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第十五話 美波、ユーチューバーになる。②

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去年終わらせたハズの宿題は再び真っ白に戻っていたが、また一からやり直す気にはならなかった、そんな時間も勿体ない、海斗くんと一緒の時間は有限なのだから有意義に過ごさなければ、しかし仕事の邪魔をする訳にはいかない、そうだ、何か手伝える事はないだろうか。

「ねえねえ、海斗くんの仕事ってなんなの?」

 簡単な朝食を作って二人で食べている時に聞いてみた、しかしプログラミングがなんたら、HTMLがCSSでどーたら、全くチンプンカンプンで仕事を手伝うというのは即刻あきらめた。 

「仕事かあ……」

 そう考えてみると美波は一切仕事をしたことがない、学生だから当然だがアルバイトくらいは高校生だってみんなしている、しかし部活動に忙しい事もあり経験したことがない、つまり自分でお金を稼いだことがない。急に自分が子供のような気がして恥ずかしくなった、海斗くんは良く解らないが、ちゃんと仕事をしてこんなに良いお家に住んでいる。

「なに、美波は仕事がしたいの」

 鮭の切り身を上手にほぐしながら海斗くんが聞いてきたが、どうなのだろう、やってみたい気持ちはあるが、幽霊が仕事をしても良いのだろうか。

「うーん、やったことないから一度くらいね」

「やめとけ、やめとけ、金に困ってる訳でもないんだから」

 美波にはムリムリ、って言われているようでカチンときた、絶対に仕事してやる、そしてそのお金で海斗くんに何かプレゼントを買う、あ、これすごくいい考えだ、決定。

 そうだ、ここの家賃なんかも払っちゃおうかな、夏休みの間だけでもね、居候とは呼ばせないわ。

「ねえ海斗くん、ここ家賃いくら」

「え、二十三万だけど」

 に、にじゅうさんまん、だと――。

 家賃は取り敢えず諦めよう、問題は何の仕事をするか、あまり家を空けて海斗くんとの時間を減らす様な事はしたくない、それでは本末転倒だ、家で自分にもできる仕事。朝食を食べ終わって、食器を片した後もずっとその事を考えていた、スマートフォンで検索するうちに一つの答えにたどり着いた。

「あたしユーチューバーになる」

「はあ?」

 書斎で仕事をしていた海斗くんの後ろから宣言すると椅子ごとコチラに振り向いた、なにか訝しげな顔をしている。自分が死んだ時代にはそこまで流行っていなかったが、現代ではユーチューブはものすごい人気で誰でも動画を上げてお金を稼ぐ事ができるらしい、さっきスマホで調べた。

「美波、おまっ、ユーチューバーって、何でまた」

「だって、お家でできるし、お金もすごく稼げるんだってさ」

「いや、それはごく一部の人達だけだろう」  

 いーや、やる、もう決めたんだから。海斗くんの事は無視してさっそく準備に取り掛かった、スマホで調べればやり方はいくらでも出てくる。

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