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第6話
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タッタッタッタッタ
草原の中を軽快に走る足音が聞こえる
「おーい!止まれーい!!」
大声で叫びながら大きな人影が後を追っている
「あははは!」
前を走る人影は笑いながら遠くへ過ぎ去っていく
「はあはあ‥、あのおてんばめ!」
ーアニマ秩父市街ー
タッタッタッタッタ
「おはようございまーす!」
「おはよー、今日も元気だね」
小柄なウサギ族の女性が挨拶に応え、過ぎ去る後ろ姿を手をふりながら見送った
すれ違う人たちに挨拶をしながら、颯爽と街中を走り抜ける
「フフン♪フン♪フフン♪フン♪あっ、新作のお団子だ!一個ちょうだい!」
ガラッ
団子屋の主人は自慢げに店から出てくる
「オイの自信作、メープル団子だ。心して食べるがよ‥」
ゴクン!
「ごちそうさまー!美味しかったよ!それじゃ!」
主人が言い終わる前に団子を飲み込み、走り去っていった
「‥うん、またお代はツケね‥、まあ、あの子の笑顔が見られたからいいか」
タッタッタッタッタッタ
ザザザッ!
人影は勢いよく止まった
そこには大きな門がそびえたっている
「よおし、着いたー!おじいちゃーん、開けてー!!」
ゴゴゴゴッ
門がゆっくりと開いていく
白いヒゲが目立つ亀が立っている
亀はカッと目を見開き、叫んだ
「よおきたのう、ミラ!」
「ゲンブじいちゃん、ただいま!!」
ミラはピョンとゲンブに抱きついた
「おお、よしよし‥、かわいいのぉ‥。今日はどうしたんじゃ?まだ、学校だったはずじゃが‥」
「だって今日はじいちゃんの誕生日じゃん!早くじいちゃんに会いたくて抜け出してきた!」
「ぐぬぉ!‥なんと、なんと!‥嬉しいのお‥」
ゲンブは涙ぐんでいる
「‥あれ、今日はメエバアは?」
メエバアはミラを育てるとゲンタが宣言した時から、ゲンブの家に引っ越してミラの面倒とゲンブの面倒も見ていた
「メエは病院じゃよ、腰が痛いそうじゃ」
メエバアは70歳になった現在も『祭りの館』を経営している。ただ、年には勝てずあちこち痛めている。
ゲンブは長寿種の亀だが、今日で110歳になった。最近はメエバアに身の回りの世話を頼むことが多くなってきたようだ。
「えー、そうなんだ‥じゃあ、2人で先に始めよっ!」
あれこれ話していると、チャイムの音が数回鳴り響いた。
「おや、誰か来たみたいじゃの‥」
ゲンブは訪問者の顔を確認し、門を開けた
「ゲンブ先生、失礼します!!」
ドタドタと乱暴な足音で部屋に上がってきた
「あっ、先生!やっと着いたんだね」
ミラはニコニコと教師を見ている
「‥『やっと』じゃない!何回も抜け出しおって!」
ミラの担任教師ネコ種マキタ先生だ
「だってぇ、だってぇ、今日はじいちゃんの誕生日なんだからさ!勉強なんてしてらんないよ」
ミラはぷくーっと頬を膨らませた
「勉強はしてられるでしょうが!明日は休みなのだから、学校が終わってからでも良いではないか!」
「我慢できないよ!『時は金なり』って先生も教えてくれたじゃない」
「それとこれとは‥」
ガラッ
ゲンブが部屋の中に入ってきた
「まあまあ、マキタ先生。今日はわしに免じて許してやってくれい‥」
ゲンブはマキタの手の上にそっと何かを乗せた
「こ、これは‥にゃにゃ、まさか!!」
マキタは目を輝かせて尻尾を降り出した
マキタはすぐにハッと我に帰った
「ゴ,ゴホン!ふむ、今日は大目に見よう。ゲンブ先生と楽しんでくれたまえ」
マキタは喜び勇んで帰っていった
「ホッホッホ、マキタ先生に喜んでもらえてよかったわい」
「先生に何を渡したの?」
「それはそれは‥いいものじゃよ」
ゲンブは二ンマリと笑った
「ふーん、まあ、いいや!」
ピンポーン
「あっ、ピザがきたかな!」
「おお、今日はピザパーティーじゃな」
喜ぶゲンブを横目にミラはウキウキしながら玄関に向かった
ピザが届き、ミラはテーブルの上に箱を開けぬまま並べた
「さあ、じいちゃん、開けてみて」
ゲンブは期待に胸を膨らませ、箱を開けた
「こ、これは‥わしの大好物の小魚と山菜がたっぷり入った海と山の幸スペシャルじゃないか!!」
「へっへーん、さあ、いっぱい食べてね!」
こうしてミラとゲンブのピザパーティーが始まった
草原の中を軽快に走る足音が聞こえる
「おーい!止まれーい!!」
大声で叫びながら大きな人影が後を追っている
「あははは!」
前を走る人影は笑いながら遠くへ過ぎ去っていく
「はあはあ‥、あのおてんばめ!」
ーアニマ秩父市街ー
タッタッタッタッタ
「おはようございまーす!」
「おはよー、今日も元気だね」
小柄なウサギ族の女性が挨拶に応え、過ぎ去る後ろ姿を手をふりながら見送った
すれ違う人たちに挨拶をしながら、颯爽と街中を走り抜ける
「フフン♪フン♪フフン♪フン♪あっ、新作のお団子だ!一個ちょうだい!」
ガラッ
団子屋の主人は自慢げに店から出てくる
「オイの自信作、メープル団子だ。心して食べるがよ‥」
ゴクン!
「ごちそうさまー!美味しかったよ!それじゃ!」
主人が言い終わる前に団子を飲み込み、走り去っていった
「‥うん、またお代はツケね‥、まあ、あの子の笑顔が見られたからいいか」
タッタッタッタッタッタ
ザザザッ!
人影は勢いよく止まった
そこには大きな門がそびえたっている
「よおし、着いたー!おじいちゃーん、開けてー!!」
ゴゴゴゴッ
門がゆっくりと開いていく
白いヒゲが目立つ亀が立っている
亀はカッと目を見開き、叫んだ
「よおきたのう、ミラ!」
「ゲンブじいちゃん、ただいま!!」
ミラはピョンとゲンブに抱きついた
「おお、よしよし‥、かわいいのぉ‥。今日はどうしたんじゃ?まだ、学校だったはずじゃが‥」
「だって今日はじいちゃんの誕生日じゃん!早くじいちゃんに会いたくて抜け出してきた!」
「ぐぬぉ!‥なんと、なんと!‥嬉しいのお‥」
ゲンブは涙ぐんでいる
「‥あれ、今日はメエバアは?」
メエバアはミラを育てるとゲンタが宣言した時から、ゲンブの家に引っ越してミラの面倒とゲンブの面倒も見ていた
「メエは病院じゃよ、腰が痛いそうじゃ」
メエバアは70歳になった現在も『祭りの館』を経営している。ただ、年には勝てずあちこち痛めている。
ゲンブは長寿種の亀だが、今日で110歳になった。最近はメエバアに身の回りの世話を頼むことが多くなってきたようだ。
「えー、そうなんだ‥じゃあ、2人で先に始めよっ!」
あれこれ話していると、チャイムの音が数回鳴り響いた。
「おや、誰か来たみたいじゃの‥」
ゲンブは訪問者の顔を確認し、門を開けた
「ゲンブ先生、失礼します!!」
ドタドタと乱暴な足音で部屋に上がってきた
「あっ、先生!やっと着いたんだね」
ミラはニコニコと教師を見ている
「‥『やっと』じゃない!何回も抜け出しおって!」
ミラの担任教師ネコ種マキタ先生だ
「だってぇ、だってぇ、今日はじいちゃんの誕生日なんだからさ!勉強なんてしてらんないよ」
ミラはぷくーっと頬を膨らませた
「勉強はしてられるでしょうが!明日は休みなのだから、学校が終わってからでも良いではないか!」
「我慢できないよ!『時は金なり』って先生も教えてくれたじゃない」
「それとこれとは‥」
ガラッ
ゲンブが部屋の中に入ってきた
「まあまあ、マキタ先生。今日はわしに免じて許してやってくれい‥」
ゲンブはマキタの手の上にそっと何かを乗せた
「こ、これは‥にゃにゃ、まさか!!」
マキタは目を輝かせて尻尾を降り出した
マキタはすぐにハッと我に帰った
「ゴ,ゴホン!ふむ、今日は大目に見よう。ゲンブ先生と楽しんでくれたまえ」
マキタは喜び勇んで帰っていった
「ホッホッホ、マキタ先生に喜んでもらえてよかったわい」
「先生に何を渡したの?」
「それはそれは‥いいものじゃよ」
ゲンブは二ンマリと笑った
「ふーん、まあ、いいや!」
ピンポーン
「あっ、ピザがきたかな!」
「おお、今日はピザパーティーじゃな」
喜ぶゲンブを横目にミラはウキウキしながら玄関に向かった
ピザが届き、ミラはテーブルの上に箱を開けぬまま並べた
「さあ、じいちゃん、開けてみて」
ゲンブは期待に胸を膨らませ、箱を開けた
「こ、これは‥わしの大好物の小魚と山菜がたっぷり入った海と山の幸スペシャルじゃないか!!」
「へっへーん、さあ、いっぱい食べてね!」
こうしてミラとゲンブのピザパーティーが始まった
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