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第31話

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小嶋茜の物語③

私は亜里沙にオーディションの応募方法を確認し、早速応募した。
あとは父さんに言うだけだ。

茜の実家
茜「父さん、ちょっと話できる?」
父「ああ、大丈夫だよ。」
茜「進路についてなんだけど‥」
父「おぉ、決まったか。やはり、神道の学校に行ってくれるのか?」
父の期待に茜は申し訳なさとこの後に何を言われるか分からない為、緊張したが勇気を振り絞った。

茜「父さん‥私、歌手になる!」
父「ん?」
茜「神主ではなく、歌手になりたい!」
父「ちょ、ちょっと待ってくれ!か、歌手って芸能人って事か⁉︎」
茜「まぁ‥いわゆる芸能人」
黙って聞いていた母も話に入ってきた。
母「あんた、何言ってるのよ!この神社はどうするのよ⁉︎」
茜「そ、それは‥」
父「かぁさん、ちょっと茜の話を聞こうか」
母「‥そ、そうね。」
茜「ありがとう‥」
私はオーディションがある事とこれまでの経験で得た感動を両親に伝えた

父「なるほどな‥」
母「確かに茜の歌は好きだけど‥」
茜「私は後悔したくないの!」
私は必死に訴えた
父「茜、お前はこの神社を継ぎたくないというのか?」
茜「私はこの神社が好きだし、重要性も分かってる。だけど‥、全力で挑んでみたい!‥私は私の道を進むって決めたの」
父「わかった‥だが、いつでも戻ってこい。ここはお前の帰る場所だ。」
茜「父さん‥ありがとう!」
月日は流れ、歌姫オーディション第1次選考当日
歌姫オーディションは東京で行われる
選ばれるのはただ1人。
亜里沙と応募する時は人数はまだ発表されていなかった。
まさか1人とは亜里沙も思わなかっただろう‥
人数が公表された時は2人とも辞退する事を考えた。
だけど、恨みっこなしで挑戦する事にした。お互い譲れない夢だから‥

今度こそ、亜里沙には負けたくない!



‥オーディションは最終選考までは残れた。
でも、選ばれたのは亜里沙だった。

大宮のとある喫茶店

茜「‥‥」
亜里沙「‥‥」
茜「‥亜里沙おめでとう」
亜里沙「‥うん、ありがとう」
茜「絶対デビューしたらアルバム買うね!」
亜里沙「‥うん、ありがとう!」
茜「亜里沙の目標は?」
亜里沙「私の目標は‥ワールドツアーをする!」
茜「せ、世界!‥うん、私に勝ったんだからそれぐらいになってもらわないと!」
亜里沙「でも、そこには茜もいて欲しい。だから、この道諦めないで!」
茜「‥‥うん。これからは誰にも負けない!」
亜里沙「うん、うん!それでこそ、茜!お互い頑張ろうね!」
私達は熱い握手を交わしてそれぞれの道へと進み出した。

茜の実家

茜「なんか、かっこいい事言ったけど、オーディション落ちました‥」
父「残念だったな‥」
母「‥‥諦めるの?」
茜「ううん、続ける!亜里沙と約束したから!」
母「うん、よし、その調子!」
父「‥でな、相談なんだが‥」
父の話によると大宮の神社組合が神社をより近くに感じてもらえる様にVtuberをしてくれる人を探していて、活動内容は神社のアピールをしてくれればなんでもいいらしい

父「ってな訳で、どうだろうか‥これなら歌も唄えるし、このご当地Vtuberなら神社の役にも立てるし‥」
茜「やるわ。このビジュアルなら海外受けも良さそう。リアル歌姫とバーチャル歌姫で全世界に挑戦して見せる!」
こうして『氷川 まつり』は誕生した

現在

アナウンサー「ALiSAさん、全国ツアーに対する意気込みをどうぞ!」
ALiSA「これまで応援してくれた方々へ恩返しが出来る事に感謝しています。私の歌声を皆さんに楽しんで貰えたら最高です!」
ALiSA「それから、ここまで来れたのは高校の時に勇気を出して歌えたから。ステージに上がる前、『頑張って』と声を掛けてくれた大切な友人のおかげです!
夢、絶対に叶えようね!」
インタビューが終わるとテレビを消した

茜「亜里沙‥私もすぐに追いつくわ!」
埼玉から世界に‥このオーディションは負けられない!

続く
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