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第4話

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僕のミスで公開配信されてしまった芽衣さんの歌の配信から数日後‥

メイメイ『皆さん、こんにちわ!坂戸メイメイだよ♡』
メイメイ『今日はみんなにメイメイが好きな坂戸を紹介するよ!』

メイメイ『はいっ!ここは聖天宮。五千頭の龍が昇る台湾の道教の寺院です!うん、日本のお寺とは全然違うね!』
メイメイ『きゃあ、門がすごいきらびやか!それにでっかいね!うわぁ、すごい!境内も綺麗な彫刻が沢山ある!』

ガイドさん「埼玉の中でも道教の施設で聖天宮は大規模と言われていますよ」

メイメイ『すごい、そんなに大きいんですね!』

ガイド「天井を見てください。龍が沢山いるでしょ?私は長年みてますが飽きない程、素晴らしい彫刻です」

メイメイ『うわぁ‥ほんとだ、すごいかっこいい‥』
メイメイ『これは本物を見ないと損だね!是非みんなも坂戸市の聖天宮見にきてね♡今回の配信はこれで終わり、また次も会おうね♡♡
それじゃあ、みんないらっさかど♡♡♡』

芽衣「撮影ありがとうございました!」
ガイド「こちらこそ、来てくれてありがとう。芽衣ちゃんこのままでも可愛いのにVなんとかで顔隠しちゃんでしょ?」
芽衣「いえいえ、可愛くなんかないですよ。Vtuberしか出来ない事もきっとあるのでVtuberがいいんです」
ガイド「そうなのかい?どちらにしてもおじさんも応援するね!」
ガイド「またおいで」
芽衣「はい、ありがとうございます♪今度はお母さんときます!」

僕と芽衣はガイドさんに挨拶をしてお土産販売機の休憩室で台湾の豆乳を飲みながら動画を見直している。
隆太「うん、いい動画になってる。面白い動画になりそう。」
隆太「‥あのさ、最後のいらっさかどって何?」
芽衣「えっ、いらっしゃい坂戸を短くしたの!斬新でしょ?」
隆太「斬新すぎて意味が分からん」
芽衣「えー‥」
隆太「ま、まぁ芽衣さんがしたいのなら少し続けてみよう。あとはファンの人次第だね」

あの配信以来、着々とチャンネル登録者が増えてきている。今はファンを大事にしないとね。
隆太「ファンの人達の呼び方とか決めてる?」
芽衣「うーん、メイッコ?」
隆太「‥‥」
芽衣「駄目ですか?」
隆太「‥いや、なんていうか‥」
隆太「他にある?」
芽衣「‥坂っ子?」
どうしても『こ』をつけたいらしい
隆太「ま、まぁ、どうせならファンのみんなに決めてもらおうか。それまでに何個か案を考えよう」
芽衣「うーん、メイッコがいいなぁ」
隆太「よし、とりあえず保留!」

その前に数週間後にはオーディションだ。気合い入れていかないと!
隆太「芽衣さん、数週間後に控えているオーディションの再確認なんだけど受けるよね?」
芽衣「うん、受ける。がんばるよ!」
隆太「ボイストレーニングとかした方がいいよね‥」
芽衣「たしかに‥あとダンスもしなきゃだね」

隆太「芽衣さん、ダンスは得意?」
芽衣「自慢じゃないですが、幼稚園のお遊戯以来踊ってません!」
隆太「‥うん、自慢しちゃダメだね。」
どうするか‥誰か知り合いに聞いてみるかな‥
その時携帯が鳴り響いた。

隆太「⁉︎」
ひ、陽菜さんからだ‥な、なんだろう‥
隆太「ひゃ、ひゃい!」
陽菜「‥ひゃいって何よ。配信見たわよ」
隆太「す、すいません!」
陽菜「お、怒ってないわよ!あぁ、もう!
話になんないわね‥芽衣といるんでしょ?芽衣と代わって」
僕は手を震わせながら芽衣さんに携帯を渡した

芽衣「久しぶり!陽菜さん!」
芽衣「今週の日曜日?うん、バイトは休みです」
芽衣「ほんとに⁉︎行く!絶対に行きます!」
芽衣「それじゃ、日曜日楽しみにしてます♪」
芽衣は嬉しそうに電話を切った。

芽衣「隆太さん、今週の日曜日、所沢祭りがあるんだって!所沢に行こ!」
隆太「か、かしこまりましたでござる!陽菜殿に謁見させていただきます!」
隆太さんがよく分からない状態になってる‥
それにしても久しぶりのお祭り、楽しみだな♡

2日後‥
隆太「昨日の動画の反響はっと‥」

「聖天宮かっこいい!」「坂戸メイメイ可愛い」「坂戸ってどこ?」「歌が聴きたい」「次は歌よろ」
そこまで悪い反応ではないか。やっぱりみんな芽衣さんの歌が聴きたいよね。
次回は歌を唄ってもらおう。
明日所沢に行く間に相談だな。
と、所沢‥
き、緊張してきた‥

所沢祭り当日‥
隆太「そ、それでは陽菜殿に会いに行きまする!」
芽衣「‥隆太さん、ちょっと落ち着こうか。陽菜さんいい人だよ?」
芽衣さんは知らない‥
陽菜さんの本当の姿を‥


そんなこんなで所沢に到着
あっ、緊張のあまり次の配信について相談できなかった‥
所沢駅、しばらく来ない内に変わったな。ストリートピアノまであるじゃん!
駅から出ると祭囃子が聞こえて来る。
焼きそばのいい匂いもしてきた!
これこそ祭りだ!

?「こんにちわ、隆太さん!」
後ろから声が聞こえてきた。
振り返るとそこには、ひ、陽菜さんだ!
隆太「おひさしゅうございます!陽菜殿にお会いできて恐悦至極でございまする!」
陽菜「ちょ、やめてよ、みんな見てるじゃない!」
芽衣「陽菜さん、こんにちわ!」
陽菜「ちょっと、こいつなんとかして!」
芽衣「うーん‥ほっとこ!陽菜さん、キッチンカーでお手伝い?」
陽菜「うん、今日は数年振りのお祭りだからね。お父さんも気合い入ってる」
隆太がポカンとしている

芽衣「あっ、隆太さんに説明しなきゃ。陽菜さんのお父さんってね、所沢醤油焼きそばを全国に広めた『芹沢焼きそば』の社長さんなの。」
隆太「えっ、あのめちゃくちゃ有名な会社の⁉︎」
陽菜「まぁ、私はたまに手伝う程度だけどね。」
芽衣「所沢醤油焼きそばを広げる為全国行脚してる時に中学3年まで陽菜さんのお父さんの実家の坂戸に暮らしてたんだ。小学生の時にお姉ちゃんと出会ったみたい」
隆太「へぇ、そうなんだ‥すごいな」
陽菜さんは社長令嬢‥イメージとピッタリだ!

陽菜「言わなかったけど今日、花もきてるから」
芽衣「えっ、ほんと!どこにいるの?」
陽菜「トコトコスクエアで食材買ってきてもらってる」
芽衣「わたし、買い物手伝ってくる!そのあと、みんなでお祭りたのしも!」
陽菜「うん、ありがと。いってらっしゃい!」
芽衣さんは走って行ってしまった‥
気まずい空気がただよう‥

陽菜「あたしもちょっと休憩。あんたちょっと話せる?」
隆太「は、はい!」
僕達は近くのベンチに腰掛けた。

陽菜「あんたにはさ、お礼を言わないとね」
陽菜「芽衣ちゃんの歌をみんなに届けてくれてありがとう!芽衣がまた唄えるようになったのは正直すごいと思った。よくやったわ、あんた。」
隆太「えっ⁉︎ほ、褒められた!」
陽菜「い、いや、あたしの方が年下だし、敬語とかいいよ。それに私はあんたに‥」
隆太「えっ?」
陽菜さんが何かを言いかけた時に元気な足音が聞こえてきた。
花・芽衣「ただいま!」
陽菜「あっ、花、芽衣ちゃんおかえり!」

隆太「お久しぶりです、花さん!」
相変わらず花さんは綺麗だ。
花「お久しぶりです!隆太さん、いつも芽衣をありがとうございます!」
僕達はしばらく談笑した後、お祭りをみてまわることになった。
芽衣さんと花さんが楽しそうにはしゃいでいる。
イイね!

僕と陽菜さんは2人を見ながらゆっくり歩いている。
隆太「あの、陽菜さん、さっき何か言いかけなかったですか?」
陽菜「えっ⁉︎‥な、なんでもないわ!早くしないと置いてくわよ!」
陽菜さんは何かに怒りながら足早に去っていった

所沢祭り‥数年振りの開催で大いに盛り上がっている。
お囃子の音を聞きながら僕はここにいる人達を眺めている。
神輿をかつぐ人、神輿の中で舞を踊る人、その舞を見ている人、みんな笑顔だ。ここには笑顔が溢れている。
僕もこの空間にいる間だけは嫌な事は忘れていた。
僕はこんな空間を作ってみたい、そう強く思った。
僕の目の前ではしゃぐ芽衣さんを見ながら芽衣さんとなら出来そうだと心からそう思ったんだ。

1時間後‥

陽菜「キッチンカー、本部の人がきてくれるみたいだからそれまで3人でお祭り楽しんでて。あたしはここで店番してるね!」
僕達3人はアイコンタクトをした。
隆太・芽衣・花「一緒に手伝うよ!」

僕達はただ手伝うのもなんだからと、キッチンカーのマイクを使って芽衣さんと花さんで陽菜さんの会社の社歌を唄う事になり、僕はそれに合わせて、マスコットキャラ『とこやき君』の着ぐるみを着て踊る事になった。

花・芽衣『醤油が決め手の♪(所沢!)
美味しい焼きそば♪(所沢!)
みんな大好き♪(所沢!)
一度食べたらやめらない♪そぉれ!
焼き焼きそばそば所沢♪』

花さんと芽衣さんのデュエット!
こ、これはすごい瞬間を見ているのでは⁉︎
僕は子どもに蹴られながら感慨にふけっている。

観客「なにあの歌⁉︎すごくダサいけどすごくいい歌声!所沢醤油焼きそばだって、食べに行こ!」
恋花ファン「ん?この声‥恋花さんに似てるけど‥まさかね。焼きそばか‥美味しそうだから食べに行こ!」
すごい!どんどん人が集まってくる!

30分後‥
花・芽衣『皆さんありがとうございました♪おかげさまで完売です!残念ながら食べられなかった方、是非芹沢焼きそばの店舗にも食べにきてくださいね♪』
お客様「う~ん、残念!お願い!最後にもう一度歌って!」
花・芽衣『わかりました!みんなで歌いましょう♪』

陽菜「すごい‥完売した‥」
隆太「さすが、陽菜さんの焼きそば!」
陽菜「みんなの手伝いのおかげだよ」
陽菜「2人の歌声ほんとにすごいわ」
隆太「うん‥思わず聞きいっちゃった。歌に惚れてしまったな」
陽菜「惚れるか‥凄いよね。あたし、2人に嫉妬しちゃうかな。色々な意味で‥」
隆太「えっ?」
陽菜「あっ!やば‥、も、もう、なんでもないわよ!」
陽菜「あんたは、さっさと片付けしなさい!」
陽菜さんは何故か顔を赤らめて僕に蹴りを入れて立ち去った
隆太「意味がわからん‥」

そんなこんなで30分後‥
陽菜「後の片付けは本部の人に任してあたし達はサクラタウンに行こっか」
花「うん、今日の目的はそこだからね」
陽菜「芽衣ちゃんに見せたい物があるのよ」

サクラタウン

芽衣「うわぁ、奏さんが沢山いる!」
陽菜「あたしのホームタウンだからね」
陽菜「ここがあたしの撮影場所。芽衣ちゃんに機材だけでもみて欲しくて。これから本格的に続けるなら見ておいた方がいいと思って。」
芽衣「す、すごい‥これだけあれば3D撮影も簡単にできるね‥」
陽菜「今日試しに撮影してみる?」
芽衣「う、うん!」
陽菜「隆太さんは外でお茶でも飲んで待ってて」
隆太「えっ、なんで?」
陽菜「いいから!」
隆太「は、はい!」

わたしは期待に胸を躍らせながら撮影用のスーツに着替えた。
芽衣「えっ、想像以上にピッチピチ!これは隆太さんに見せられない‥」
それになんだかわたしが着ると、再放送でみたモジモジ君みたい‥
花「うんうん、可愛い♡」
陽菜「ちょっと動いてみて。奏をつかっていいから」
わたしは色々と動いてみた。

芽衣「わぁ、すごい!こんなにリアルに動くんだ!」
花「全国ツアーに先駆けて私達も使う事にしたの。よりリアルにみんなに届けたくて」
芽衣「すごい!でも、わたし達こんな機材ないよ‥」
陽菜「そこは大丈夫。オーディションに受かった人の出来る技術レベルに合わせられるようにしてるから、今の所は」
花「芽衣、だから頑張ってオーディションに合格してね。申し訳ないけど、身内びいきはしないから実力で上がってきて」
芽衣「うん、わたし絶対に合格する!」
花「うんうん、その調子!」
陽菜「ついでだから会場見てみる?」
芽衣「うん、見たい!」
わたしは特設会場を見学させてもらう事になった。

花「当日はここで全オーディション参加者がここの機材を通して配信するの」
花「それぞれの個性を活かしてもらう為なるべく普段通りに配信できるように調整していくわ」
陽菜「ごめんだけど、投票方法は芽衣ちゃんにも教えられないわ。特別扱いになっちゃうから」
陽菜「芽衣ちゃんも嫌でしょ?」
芽衣「‥うん!だって5人合格したらその人達とチームになるんだからズルはいや」
花「だね!さすが、芽衣!」
陽菜「芽衣ちゃんなら大丈夫!頑張ってね、芽衣ちゃん!」
芽衣「うん!」
花「それじゃあ、もう遅いから帰ろうか」
陽菜「だね、駅まで送るね。」
わたしとお姉ちゃんはそれぞれの帰路についた。
芽衣「‥あれ?なんか忘れてる気が‥」
芽衣「まぁ、いっか」

サクラタウン
陽菜「今日は楽しかったな‥ちょっとお茶してから帰ろうっと」
陽菜「あっ‥」
そこにはどんよりと佇む隆太の姿があった‥
陽菜「ご、ごめんなさい!完全に忘れてたわ!」
隆太「‥‥」
陽菜「‥抹茶パフェおごるわ」
隆太「ありがとうございます!」
隆太は物凄い勢いでパフェを食べ終えた。
陽菜「す、すごいわね‥」
隆太「甘い物には目がございませぬ」
陽菜「ちょっと、また変な感じになってるわよ‥まぁ、今日は楽しかったわ、ありがとう」
隆太「僕も色々勉強になりました。」
陽菜「これからも芽衣ちゃんを宜しくね!絶対に合格させて!」
隆太「は、はい!」
陽菜「ただし‥」
陽菜「手ぇだけは出すなよ?」
隆太「ひゃ、ひゃい!」
陽菜「よし!ここは、おごるわね。‥ほんとにありがとう!」
そういうと陽菜さんは伝票をもってそそくさと出ていった。


駄菓子屋付近

獰猛な犬「ワン‼︎ワンワン‼︎」
小さい陽菜「助けてぇ!」
?「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃん!お助けヒーロー見参!」
?「このわんこめ!成敗してやる!」
?「さぁ、お嬢さんはお逃げなさって!」
小さい陽菜「うん!」

‥チュン
‥チュンチュン 

ガバッ

陽菜「ゆ、夢か‥」
陽菜「‥‥」
陽菜「‥もう、なんで気づいてくれないの‥陽菜のヒーロー‥」

                続く
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