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第2話
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マスター「隆太、お前は芽衣のマネージャーになれ」
芽衣・隆太「ま、マネージャー⁉︎」
マスター「そうだ、芽衣を1人前のVtuverにしてくれ。」
芽衣「ちょっと、まってマスター!わ、わたしまだ始めたばかりだし、マネージャー雇う余裕ないし!」
マスター「金は大丈夫だ、芽衣が成功するまでのこいつの給料は俺が出す」
芽衣「いや、でも‥」
マスター「気にするな。芽衣は芽衣のやりたい事をやれ」
芽衣「うーん‥」
わたしはどうしたらいいんだろうか‥
隆太「盛り上がってる所、すいません。質問」
マスター「なんだ?」
隆太「僕に拒否権は存在しますか?」
マスター「ない。」
隆太「‥ですよね。他の人だったら訴えるレベルだけどな‥」
隆太「あと、その前にですね、Vtuverってなんですか?」
‥場が凍るのがわかった。
マスター「まじか。俺でも知ってるぞ。簡単に言うと芽衣みたいにバーチャルで作成したキャラで『マイチューブ』とかの配信サービスで活動する人の事だ」
隆太「おお、昨日見た坂戸市の配信してるような人達の事か」
わぁ、見てくれてる人がこんな近くにいた!
芽衣「あ、あのどうでした?」
隆太「うーん、企画は全く面白くなかった。」
芽衣「えっ」
しょ、衝撃発言にわたしは動揺しはじめた‥
で、でもちゃんと言わないと!
隆太「でも、声は聞いててなんだかホッとしたな」
隆太さんにゆ、勇気を出して言わないと‥!
芽衣「あ、あの!わ、わたしです。それ‥」
隆太「えっ!まじか‥なんか‥ごめんなさい」
気まずい空気が流れる‥
芽衣「い、いえ、大丈夫です。」
今日の配信誰も見てくれなかったのはそういう事だったんだ‥
やってしまった!
芽衣さんがあからさまに落ち込んでる‥
マスターが咳払いをした
マスター「まぁ、今日は遅い。家帰って早く寝な。2人とも明日は休んでいい。明後日から、バリバリ働いてもらうぞ!」
こうして「僕」と「わたし」は家路についた。
その夜‥
芽衣「お姉ちゃん、今日からわたしにマネージャーがついたんだけど、、どうしたらいい?」
花「えっマネージャー!芽衣どこかの会社所属になったの?」
芽衣「えっ、違うよ。バイト先のマスターが行き倒れの人をマネージャーに任命したの。」
花「い、行き倒れ⁉︎‥そ、そうなんだ」
芽衣「お金もマスターが出してくれる」
花「な、なんだか、すごいマスターね。」
芽衣「でもわたし今日の配信、誰も集まんなかったんだ‥こんなわたしにマネージャーなんて必要なのかな‥」
わたしは必死に泣くのを堪えた。
隆太「ふう‥」
思わず溜息がもれた。
今日は色々ありすぎた。僕がマネージャー?
しかもよく分からないVtuverの。
うーん、どうするか‥
部屋帰っても誰もいないんだよな‥よし、少し本屋にでもよろう。
僕は店内に入るとすぐに目についたものがあった。
隆太「Vtuverハウス?おぉ、文字通りVtuver専門誌なんだ。」
タイミングのよさに思わず独り言を言ってしまった。そして即買い!
‥自宅に到着
隆太「どれどれ、今月の動画再生数トップはこの人なんだ‥へぇ、こんな企画やってるんだ。歌も歌うんだな。‥秩父のご当地Vtuverか」
秩父か‥昔アミとよく行ったな‥
また涙が出て来てしまった‥
そうこうしてると突然電話が鳴り響いた。
隆太「もしもし?」
芽衣「こんばんは!突然電話すいません!!明日秩父に行きましょう‼︎絶対、絶対に秩父行きましょう‼︎‼︎」
数分前‥
わたしは泣くのを堪えていたが、涙がこぼれてきた。
花「‥ふぅ、ねぇ芽衣。お姉ちゃんさ、明日休みでしょ?久しぶりに秩父に来ない?」
芽衣「‥うん‥」
わたしはお姉ちゃんに慰めてもらいたかった。
それにすぐ気付くほんとに優しいお姉ちゃんだ。
花「でも芽衣、条件があるの。必ずその行き倒れの人と一緒に来てね」
芽衣「えっ⁉︎なんで隆太さんと⁉︎」
花「んー、お姉ちゃんも会ってみたいからかな!」
花「それと明日、陽菜(ひな)もくるから」
芽衣「陽菜さんも⁉︎」
芽衣「いく、絶対いく!!」
花「ふふ、待ってるわ。気をつけて来てね!」
あわわ、大好きな陽菜さんにも会える!テンションMAXのまま隆太さんに電話を掛けた。
隆太「どうした⁉︎芽衣さん、落ち着いて!」
そう言われて、深呼吸をした。
だんだん落ち着いてきたら急に恥ずかしくなってきた。
これってデートに誘ってるみたいじゃない!
芽衣「あ、あ、ごっごめんなさい!」
隆太「だ、大丈夫だよ。僕も秩父に行きたいと思ってね。」
おお、偶然!わたしはちょっとテンションが上がった!
隆太「ねえ、知ってる?」
隆太「秩父のご当地Vtuver『恋花(レンカ)』さんって。」
隆太「秩父でいま『恋花』の等身大パネルがじばさん商店に立ってるんだって!それを見に行きたくなったんだ。」
芽衣「あ、あ、あの、、そ、その人わたしのお姉ちゃん‥」
隆太「‥…‥えっ?」
隆太「えぇーーーー‼︎」
次の日
隆太「よ、よし、洗車OK!」
恋花さんに会えるのか、、緊張する‥
いやいや、これは勉強だ!
芽衣「おはようございます、今日は宜しくお願いします。」
隆太「おはようございます!いざ行こう、秩父へ‼︎」
芽衣「う、うん。テンション高いな‥安全運転でお願いします」
隆太「ラジャー!」
うぅ‥先行きが不安。
50分後‥
道の駅芦ヶ久保に到着
隆太「ちょっと、トイレに行ってきます!」
隆太さんずっとテンション高いな、、、
男の人と出掛けたのお父さん以来か‥
懐かしいな。
‥ん?‥これってドライブデート⁉︎
やばい、なんだかドキドキしてきた!
わたしもトイレ行こ!
数分後‥
隆太「芽衣さん、さぁ行きましょう!」
隆太「あと、もう少しで着くからあの曲かけますね!」
秩父といえばあの曲。名曲だよね。
わたしも大好き!
車中に音楽が流れる
『10年後また会えると信じて‥』
アミとも聞いたな、僕はずっと一緒だと思ってたんだけどな、、
あ、やばい、また涙が…
あっ、隆太さんが泣いてる‥
この曲なんど聴いても感動するからね‥
秩父で聴くとなおさら。
あ、あれ、わたしも涙が…
車内が変な空気になったまま、芽衣のおばぁさんの家に着いた。
芽衣「運転ありがとうございます。」
芽衣のおばぁさんの家は、番場通りにある和菓子屋だ。
隆太「あっ、『この花』のお饅頭!」
隆太「可愛い!」
1人でテンション上がってしまった。
芽衣さんの冷たい視線が痛い。
芽衣「おばあちゃん、お姉ちゃん!着いたよ!」
‥店内は静まり帰ってる
芽衣「あれ?誰もいないのかな‥」
芽衣「隆太さん、入ろう。」
芽衣が部屋の扉を開ける
パン!
パン!パン!
花「芽衣、Vtuverデビューおめでとう!」
幸子「久しぶり芽衣、おめでとう!」
陽菜「芽衣ちゃん、久しぶり!頑張ったね!」
わたしは突然の出来事に戸惑った。
だけど、すぐに嬉しさが込み上げてきて、3人に抱きついた!
芽衣「お姉ちゃん、おばあちゃん、それに陽菜さんも!ありがとう!」
花「うんうん、久しぶりに会えて嬉しい!」
幸子「芽衣、元気そうでよかった。今日はゆっくりしていきなさいな」
陽菜「芽衣ちゃん、相変わらず可愛いわね♡」
僕はなんだか邪魔している感じでソワソワする
それに僕の目の前にいるあの人があの『恋花』さんなんだ!
バーチャルでも綺麗だったけど実物はもっと綺麗じゃないか‥
やばい、ソワソワドキドキで落ち着かない!
あっ、目があった…!
花「あなたが行き倒れの隆太さんね?」
隆太「は、はい!」
ん、行き倒れ?
花「芽衣がいつもお世話になっております。姉の花と申します。」
隆太「よ、宜しくお願いします!」
花「そして、祖母と私の親友の陽菜。」
幸子「ここまで芽衣を連れてきてありがとうね。まだ1人じゃ不安だろうから…」
隆太「い、いえ」
陽菜「初めまして、陽菜です。花とは小学校からの付き合い。高校で離れちゃったけど今はお互いVtuverよ」
隆太「へぇ、陽菜さんも!」
花「今はわたしとユニット活動もしてるの。聞いた事あると思うけど、所沢ご当地Vtuverの『桜沢 奏(さくらざわ かなで)』よ」
陽菜「サクラタウンのイメージキャラクターオーディションで合格したの」
陽菜「サクラタウンの桜と所沢の沢、それと私、楽器が得意だから音を奏でるで奏。これから覚えてね!」
隆太「いい名前ですね!」
僕は本心からそう思った。陽菜さんも優しくて可憐な女性だ!胸が高鳴る!
陽菜「機材もキャラクターも全部用意して貰ったから、ほんとに花には申し訳ないよ」
花「そんな事ない!オーディションに合格出来るのがまず凄いもん!」
陽菜「ふふ、ありがと!」
陽菜「花、大好き♡それに、芽衣も♡」
陽菜さんが2人をぎゅっと抱きしめてじゃれている。
見ていてなんとも微笑ましい気分になる。
花「芽衣、ちょっと2人で出かけない?」
芽衣「うん、いいよ!」
幸子「陽菜も隆太さんも出かけてきなさいな。せっかく秩父に来たんだから」
陽菜「そうね、花達も出掛けるなら私達も少し外に行きましょ」
隆太「は、はい!まずはじばさん商店に行きたいです!」
一同「行ってきます♪」
隆太「久しぶりのじばさん商店!うわ!ポテくまくんの隣に恋花さんが‼︎‼︎」
パシャッ!
僕のテンションは上がりまくりだ!
それに隣には陽菜さんも‥
胸が高鳴る!
陽菜「ねえ、ちょっといい?」
隆太「はい!なんでしょう!」
陽菜さんは満面の笑みを浮かべながらぼくに近づいてきた。
陽菜「私ね、隆太さんに伝えたい事があるの」
僕の胸の鼓動が高鳴っていくのがわかった。
陽菜「あのね…」
ゴクリ。
僕は思わず唾を飲み込んだ、胸が高鳴る!
そして陽菜さんは僕の耳元でささやいた‥
陽菜「‥花と芽衣に手ぇだしたら容赦しねぇからな!」
隆太「‥‥‥」
陽菜「おい、返事は!」
隆太「‥は、はい!」
陽菜「よし!私の用事は済んだわ。後は一人で勝手にまわってて。私は映画見に行ってくる。じゃあね!」
僕は茫然と立ちすくむしかなかった‥
秩父神社境内
わたしはお姉ちゃんの参拝が終わるのをまっている。お姉ちゃんは、本殿だけでなく、全部のおやしろにお参りする。毎日のこのルーティンは欠かせないらしい。
花「お待たせ!じゃあ、ちょっと街ブラしよ♪」
参道を抜けて番場通りに向かう。ここから見える番場通りが好き!
芽衣「番場通りも一年で大分変わったね。へぇ、わらび餅屋さんが出来てる!」
花「うんうん、新しいお店、沢山出来たわ。今日は新しく出来たお店の芋うららさんの『いもんぶらん』食べに行こ♪」
わたし達の目の前でパフェみたいなモンブランが出来上がっていく。
隣に木目の長椅子がある。そこにわたし達は腰掛けた。
芽衣「うわぁ、美味しい♡何これ!はまっちゃいそう!」
花「うんうん、甘すぎずお芋の味がしっかりしてクセになるよね!」
二人とも夢中で食べてしまった。
花「ねぇ、芽衣?お姉ちゃんなんで秩父でデビューしたと思う?」
芽衣「えっ、それは秩父が有名だから?」
花「有名だけど、凄いアニメあるじゃない。絶対に勝てないよね。」
花「だけど、やっぱり好きだから秩父にした。
伝えたい事が沢山あるから。芽衣はどう?」
芽衣「わたしは‥わたしは坂戸が好き!嫌な思い出もあるけどやっぱり、いい思い出も沢山あるから!」
花「ふふ、うんうん、なら大丈夫!」
芽衣「‥でも、昨日の配信1人も見てくれなかったよ‥」
花「最初はそれが普通だよ。私も最初は1人も見てくれなかったし、しかも見てくれてもひどい事言われたりしたわ」
花「でも、諦めなかった。伝えたい事そして目標があるから」
花「芽衣、今は辛いけど伝えたい事、目標がある限り諦めないでね」
芽衣「‥うん、ありがと。頑張ってみる!」
花「あとね、芽衣‥、お姉ちゃんは芽衣の歌声が好きだよ、…いつかまた歌って欲しいな」
芽衣「‥歌は‥ごめん。」
花「‥そう‥だよね。お姉ちゃんこそごめん!」
花「よし!それじゃ、帰ろっか。‥ん、あれ?あそこにいるの、隆太さんじゃない?ふふ、なんか猫と一緒に寝てるね‥」
芽衣「なにしてんだか」
わたしはおばあちゃんに挨拶して帰る事にした。
まだ陽菜さんは帰ってきてないみたい。
芽衣「それじゃぁ、またくるね!おばあちゃん、お姉ちゃん!」
幸子「うん、いつでもおいで。今度は泊まりでお母さんともおいでね!」
わたしは泣きそうだったけど堪えて手を振った。
花「芽衣!」
花「あのね、芽衣!今日の私の配信見て!今夜20時に配信するから、絶対みてね!」
芽衣「うん、わかった!」
わたしは激しく落ち込んでいる隆太さんを励ましながら帰路についた。
帰りの車中‥
芽衣「隆太さん、大丈夫?」
隆太「‥あ、あのさ、ひ、陽菜さんってど、どんな人?」
芽衣「えっと、わたし達姉妹にはすごく優しいよ!」
芽衣「あっ、そういえば昔お姉ちゃんに、しつこくつきまとっていた人を投げ飛ばした事あった!あの時はかっこよかった!」
僕はマネージャー業に専念する事を心に誓った
その夜‥
わたしは秩父のお土産を渡すついでにマスターと一緒に配信を見る事にした。隆太さんも一緒にみるらしい。
芽衣「あっ、始まる!」
カウントダウンが始まる‥3、2、1
恋花『みんなこんばんわ!恋花だよ!』
奏『奏だよ!』
恋花・奏『私達!恋の桜を咲かせます!『恋桜(コイザクラ)』です♡』
恋花『みんな!今日は配信予定じゃなかったけど、大事なお知らせがあります!』
奏『私達のユニット『恋桜』の全国ツアーLiveが決定しました!半年後、埼玉スーパーアリーナを皮切りに全国に飛び立ちます!』
恋花『さらに各県のご当地Vtuver達とコラボLive予定!』
恋花『そこでまずは埼玉ご当地Vtuverのオーディションを開催します!』
奏『場所は来月末サクラタウン特別会場!』
恋花『参加した方の中から5名が選ばれます!さらに選ばれた5名の方は2ヶ月後、秩父ミューズパークでのLiveが決定してます♪』
恋花・奏『はい、今日はここまで!詳細は私達のホームページで確認してね♪沢山の参加待ってます!これからも『恋桜』宜しくね♡それじゃ、まったねー♡』
続く
芽衣・隆太「ま、マネージャー⁉︎」
マスター「そうだ、芽衣を1人前のVtuverにしてくれ。」
芽衣「ちょっと、まってマスター!わ、わたしまだ始めたばかりだし、マネージャー雇う余裕ないし!」
マスター「金は大丈夫だ、芽衣が成功するまでのこいつの給料は俺が出す」
芽衣「いや、でも‥」
マスター「気にするな。芽衣は芽衣のやりたい事をやれ」
芽衣「うーん‥」
わたしはどうしたらいいんだろうか‥
隆太「盛り上がってる所、すいません。質問」
マスター「なんだ?」
隆太「僕に拒否権は存在しますか?」
マスター「ない。」
隆太「‥ですよね。他の人だったら訴えるレベルだけどな‥」
隆太「あと、その前にですね、Vtuverってなんですか?」
‥場が凍るのがわかった。
マスター「まじか。俺でも知ってるぞ。簡単に言うと芽衣みたいにバーチャルで作成したキャラで『マイチューブ』とかの配信サービスで活動する人の事だ」
隆太「おお、昨日見た坂戸市の配信してるような人達の事か」
わぁ、見てくれてる人がこんな近くにいた!
芽衣「あ、あのどうでした?」
隆太「うーん、企画は全く面白くなかった。」
芽衣「えっ」
しょ、衝撃発言にわたしは動揺しはじめた‥
で、でもちゃんと言わないと!
隆太「でも、声は聞いててなんだかホッとしたな」
隆太さんにゆ、勇気を出して言わないと‥!
芽衣「あ、あの!わ、わたしです。それ‥」
隆太「えっ!まじか‥なんか‥ごめんなさい」
気まずい空気が流れる‥
芽衣「い、いえ、大丈夫です。」
今日の配信誰も見てくれなかったのはそういう事だったんだ‥
やってしまった!
芽衣さんがあからさまに落ち込んでる‥
マスターが咳払いをした
マスター「まぁ、今日は遅い。家帰って早く寝な。2人とも明日は休んでいい。明後日から、バリバリ働いてもらうぞ!」
こうして「僕」と「わたし」は家路についた。
その夜‥
芽衣「お姉ちゃん、今日からわたしにマネージャーがついたんだけど、、どうしたらいい?」
花「えっマネージャー!芽衣どこかの会社所属になったの?」
芽衣「えっ、違うよ。バイト先のマスターが行き倒れの人をマネージャーに任命したの。」
花「い、行き倒れ⁉︎‥そ、そうなんだ」
芽衣「お金もマスターが出してくれる」
花「な、なんだか、すごいマスターね。」
芽衣「でもわたし今日の配信、誰も集まんなかったんだ‥こんなわたしにマネージャーなんて必要なのかな‥」
わたしは必死に泣くのを堪えた。
隆太「ふう‥」
思わず溜息がもれた。
今日は色々ありすぎた。僕がマネージャー?
しかもよく分からないVtuverの。
うーん、どうするか‥
部屋帰っても誰もいないんだよな‥よし、少し本屋にでもよろう。
僕は店内に入るとすぐに目についたものがあった。
隆太「Vtuverハウス?おぉ、文字通りVtuver専門誌なんだ。」
タイミングのよさに思わず独り言を言ってしまった。そして即買い!
‥自宅に到着
隆太「どれどれ、今月の動画再生数トップはこの人なんだ‥へぇ、こんな企画やってるんだ。歌も歌うんだな。‥秩父のご当地Vtuverか」
秩父か‥昔アミとよく行ったな‥
また涙が出て来てしまった‥
そうこうしてると突然電話が鳴り響いた。
隆太「もしもし?」
芽衣「こんばんは!突然電話すいません!!明日秩父に行きましょう‼︎絶対、絶対に秩父行きましょう‼︎‼︎」
数分前‥
わたしは泣くのを堪えていたが、涙がこぼれてきた。
花「‥ふぅ、ねぇ芽衣。お姉ちゃんさ、明日休みでしょ?久しぶりに秩父に来ない?」
芽衣「‥うん‥」
わたしはお姉ちゃんに慰めてもらいたかった。
それにすぐ気付くほんとに優しいお姉ちゃんだ。
花「でも芽衣、条件があるの。必ずその行き倒れの人と一緒に来てね」
芽衣「えっ⁉︎なんで隆太さんと⁉︎」
花「んー、お姉ちゃんも会ってみたいからかな!」
花「それと明日、陽菜(ひな)もくるから」
芽衣「陽菜さんも⁉︎」
芽衣「いく、絶対いく!!」
花「ふふ、待ってるわ。気をつけて来てね!」
あわわ、大好きな陽菜さんにも会える!テンションMAXのまま隆太さんに電話を掛けた。
隆太「どうした⁉︎芽衣さん、落ち着いて!」
そう言われて、深呼吸をした。
だんだん落ち着いてきたら急に恥ずかしくなってきた。
これってデートに誘ってるみたいじゃない!
芽衣「あ、あ、ごっごめんなさい!」
隆太「だ、大丈夫だよ。僕も秩父に行きたいと思ってね。」
おお、偶然!わたしはちょっとテンションが上がった!
隆太「ねえ、知ってる?」
隆太「秩父のご当地Vtuver『恋花(レンカ)』さんって。」
隆太「秩父でいま『恋花』の等身大パネルがじばさん商店に立ってるんだって!それを見に行きたくなったんだ。」
芽衣「あ、あ、あの、、そ、その人わたしのお姉ちゃん‥」
隆太「‥…‥えっ?」
隆太「えぇーーーー‼︎」
次の日
隆太「よ、よし、洗車OK!」
恋花さんに会えるのか、、緊張する‥
いやいや、これは勉強だ!
芽衣「おはようございます、今日は宜しくお願いします。」
隆太「おはようございます!いざ行こう、秩父へ‼︎」
芽衣「う、うん。テンション高いな‥安全運転でお願いします」
隆太「ラジャー!」
うぅ‥先行きが不安。
50分後‥
道の駅芦ヶ久保に到着
隆太「ちょっと、トイレに行ってきます!」
隆太さんずっとテンション高いな、、、
男の人と出掛けたのお父さん以来か‥
懐かしいな。
‥ん?‥これってドライブデート⁉︎
やばい、なんだかドキドキしてきた!
わたしもトイレ行こ!
数分後‥
隆太「芽衣さん、さぁ行きましょう!」
隆太「あと、もう少しで着くからあの曲かけますね!」
秩父といえばあの曲。名曲だよね。
わたしも大好き!
車中に音楽が流れる
『10年後また会えると信じて‥』
アミとも聞いたな、僕はずっと一緒だと思ってたんだけどな、、
あ、やばい、また涙が…
あっ、隆太さんが泣いてる‥
この曲なんど聴いても感動するからね‥
秩父で聴くとなおさら。
あ、あれ、わたしも涙が…
車内が変な空気になったまま、芽衣のおばぁさんの家に着いた。
芽衣「運転ありがとうございます。」
芽衣のおばぁさんの家は、番場通りにある和菓子屋だ。
隆太「あっ、『この花』のお饅頭!」
隆太「可愛い!」
1人でテンション上がってしまった。
芽衣さんの冷たい視線が痛い。
芽衣「おばあちゃん、お姉ちゃん!着いたよ!」
‥店内は静まり帰ってる
芽衣「あれ?誰もいないのかな‥」
芽衣「隆太さん、入ろう。」
芽衣が部屋の扉を開ける
パン!
パン!パン!
花「芽衣、Vtuverデビューおめでとう!」
幸子「久しぶり芽衣、おめでとう!」
陽菜「芽衣ちゃん、久しぶり!頑張ったね!」
わたしは突然の出来事に戸惑った。
だけど、すぐに嬉しさが込み上げてきて、3人に抱きついた!
芽衣「お姉ちゃん、おばあちゃん、それに陽菜さんも!ありがとう!」
花「うんうん、久しぶりに会えて嬉しい!」
幸子「芽衣、元気そうでよかった。今日はゆっくりしていきなさいな」
陽菜「芽衣ちゃん、相変わらず可愛いわね♡」
僕はなんだか邪魔している感じでソワソワする
それに僕の目の前にいるあの人があの『恋花』さんなんだ!
バーチャルでも綺麗だったけど実物はもっと綺麗じゃないか‥
やばい、ソワソワドキドキで落ち着かない!
あっ、目があった…!
花「あなたが行き倒れの隆太さんね?」
隆太「は、はい!」
ん、行き倒れ?
花「芽衣がいつもお世話になっております。姉の花と申します。」
隆太「よ、宜しくお願いします!」
花「そして、祖母と私の親友の陽菜。」
幸子「ここまで芽衣を連れてきてありがとうね。まだ1人じゃ不安だろうから…」
隆太「い、いえ」
陽菜「初めまして、陽菜です。花とは小学校からの付き合い。高校で離れちゃったけど今はお互いVtuverよ」
隆太「へぇ、陽菜さんも!」
花「今はわたしとユニット活動もしてるの。聞いた事あると思うけど、所沢ご当地Vtuverの『桜沢 奏(さくらざわ かなで)』よ」
陽菜「サクラタウンのイメージキャラクターオーディションで合格したの」
陽菜「サクラタウンの桜と所沢の沢、それと私、楽器が得意だから音を奏でるで奏。これから覚えてね!」
隆太「いい名前ですね!」
僕は本心からそう思った。陽菜さんも優しくて可憐な女性だ!胸が高鳴る!
陽菜「機材もキャラクターも全部用意して貰ったから、ほんとに花には申し訳ないよ」
花「そんな事ない!オーディションに合格出来るのがまず凄いもん!」
陽菜「ふふ、ありがと!」
陽菜「花、大好き♡それに、芽衣も♡」
陽菜さんが2人をぎゅっと抱きしめてじゃれている。
見ていてなんとも微笑ましい気分になる。
花「芽衣、ちょっと2人で出かけない?」
芽衣「うん、いいよ!」
幸子「陽菜も隆太さんも出かけてきなさいな。せっかく秩父に来たんだから」
陽菜「そうね、花達も出掛けるなら私達も少し外に行きましょ」
隆太「は、はい!まずはじばさん商店に行きたいです!」
一同「行ってきます♪」
隆太「久しぶりのじばさん商店!うわ!ポテくまくんの隣に恋花さんが‼︎‼︎」
パシャッ!
僕のテンションは上がりまくりだ!
それに隣には陽菜さんも‥
胸が高鳴る!
陽菜「ねえ、ちょっといい?」
隆太「はい!なんでしょう!」
陽菜さんは満面の笑みを浮かべながらぼくに近づいてきた。
陽菜「私ね、隆太さんに伝えたい事があるの」
僕の胸の鼓動が高鳴っていくのがわかった。
陽菜「あのね…」
ゴクリ。
僕は思わず唾を飲み込んだ、胸が高鳴る!
そして陽菜さんは僕の耳元でささやいた‥
陽菜「‥花と芽衣に手ぇだしたら容赦しねぇからな!」
隆太「‥‥‥」
陽菜「おい、返事は!」
隆太「‥は、はい!」
陽菜「よし!私の用事は済んだわ。後は一人で勝手にまわってて。私は映画見に行ってくる。じゃあね!」
僕は茫然と立ちすくむしかなかった‥
秩父神社境内
わたしはお姉ちゃんの参拝が終わるのをまっている。お姉ちゃんは、本殿だけでなく、全部のおやしろにお参りする。毎日のこのルーティンは欠かせないらしい。
花「お待たせ!じゃあ、ちょっと街ブラしよ♪」
参道を抜けて番場通りに向かう。ここから見える番場通りが好き!
芽衣「番場通りも一年で大分変わったね。へぇ、わらび餅屋さんが出来てる!」
花「うんうん、新しいお店、沢山出来たわ。今日は新しく出来たお店の芋うららさんの『いもんぶらん』食べに行こ♪」
わたし達の目の前でパフェみたいなモンブランが出来上がっていく。
隣に木目の長椅子がある。そこにわたし達は腰掛けた。
芽衣「うわぁ、美味しい♡何これ!はまっちゃいそう!」
花「うんうん、甘すぎずお芋の味がしっかりしてクセになるよね!」
二人とも夢中で食べてしまった。
花「ねぇ、芽衣?お姉ちゃんなんで秩父でデビューしたと思う?」
芽衣「えっ、それは秩父が有名だから?」
花「有名だけど、凄いアニメあるじゃない。絶対に勝てないよね。」
花「だけど、やっぱり好きだから秩父にした。
伝えたい事が沢山あるから。芽衣はどう?」
芽衣「わたしは‥わたしは坂戸が好き!嫌な思い出もあるけどやっぱり、いい思い出も沢山あるから!」
花「ふふ、うんうん、なら大丈夫!」
芽衣「‥でも、昨日の配信1人も見てくれなかったよ‥」
花「最初はそれが普通だよ。私も最初は1人も見てくれなかったし、しかも見てくれてもひどい事言われたりしたわ」
花「でも、諦めなかった。伝えたい事そして目標があるから」
花「芽衣、今は辛いけど伝えたい事、目標がある限り諦めないでね」
芽衣「‥うん、ありがと。頑張ってみる!」
花「あとね、芽衣‥、お姉ちゃんは芽衣の歌声が好きだよ、…いつかまた歌って欲しいな」
芽衣「‥歌は‥ごめん。」
花「‥そう‥だよね。お姉ちゃんこそごめん!」
花「よし!それじゃ、帰ろっか。‥ん、あれ?あそこにいるの、隆太さんじゃない?ふふ、なんか猫と一緒に寝てるね‥」
芽衣「なにしてんだか」
わたしはおばあちゃんに挨拶して帰る事にした。
まだ陽菜さんは帰ってきてないみたい。
芽衣「それじゃぁ、またくるね!おばあちゃん、お姉ちゃん!」
幸子「うん、いつでもおいで。今度は泊まりでお母さんともおいでね!」
わたしは泣きそうだったけど堪えて手を振った。
花「芽衣!」
花「あのね、芽衣!今日の私の配信見て!今夜20時に配信するから、絶対みてね!」
芽衣「うん、わかった!」
わたしは激しく落ち込んでいる隆太さんを励ましながら帰路についた。
帰りの車中‥
芽衣「隆太さん、大丈夫?」
隆太「‥あ、あのさ、ひ、陽菜さんってど、どんな人?」
芽衣「えっと、わたし達姉妹にはすごく優しいよ!」
芽衣「あっ、そういえば昔お姉ちゃんに、しつこくつきまとっていた人を投げ飛ばした事あった!あの時はかっこよかった!」
僕はマネージャー業に専念する事を心に誓った
その夜‥
わたしは秩父のお土産を渡すついでにマスターと一緒に配信を見る事にした。隆太さんも一緒にみるらしい。
芽衣「あっ、始まる!」
カウントダウンが始まる‥3、2、1
恋花『みんなこんばんわ!恋花だよ!』
奏『奏だよ!』
恋花・奏『私達!恋の桜を咲かせます!『恋桜(コイザクラ)』です♡』
恋花『みんな!今日は配信予定じゃなかったけど、大事なお知らせがあります!』
奏『私達のユニット『恋桜』の全国ツアーLiveが決定しました!半年後、埼玉スーパーアリーナを皮切りに全国に飛び立ちます!』
恋花『さらに各県のご当地Vtuver達とコラボLive予定!』
恋花『そこでまずは埼玉ご当地Vtuverのオーディションを開催します!』
奏『場所は来月末サクラタウン特別会場!』
恋花『参加した方の中から5名が選ばれます!さらに選ばれた5名の方は2ヶ月後、秩父ミューズパークでのLiveが決定してます♪』
恋花・奏『はい、今日はここまで!詳細は私達のホームページで確認してね♪沢山の参加待ってます!これからも『恋桜』宜しくね♡それじゃ、まったねー♡』
続く
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洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
小児科医、姪を引き取ることになりました。
sao miyui
キャラ文芸
おひさまこどもクリニックで働く小児科医の深沢太陽はある日事故死してしまった妹夫婦の小学1年生の娘日菜を引き取る事になった。
慣れない子育てだけど必死に向き合う太陽となかなか心を開こうとしない日菜の毎日の奮闘を描いたハートフルストーリー。
ヤンデレ男の娘の取り扱い方
下妻 憂
キャラ文芸
【ヤンデレ+男の娘のブラックコメディ】
「朝顔 結城」
それが僕の幼馴染の名前。
彼は彼であると同時に彼女でもある。
男でありながら女より女らしい容姿と性格。
幼馴染以上親友以上の関係だった。
しかし、ある日を境にそれは別の関係へと形を変える。
主人公・夕暮 秋貴は親友である結城との間柄を恋人関係へ昇華させた。
同性同士の負い目から、どこかしら違和感を覚えつつも2人の恋人生活がスタートする。
しかし、女装少年という事を差し引いても、結城はとんでもない爆弾を抱えていた。
――その一方、秋貴は赤黒の世界と異形を目にするようになる。
現実とヤミが混じり合う「恋愛サイコホラー」
本作はサークル「さふいずむ」で2012年から配信したフリーゲーム『ヤンデレ男の娘の取り扱い方シリーズ』の小説版です。
※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています。
※第三部は書き溜めが出来た後、公開開始します。
こちらの評判が良ければ、早めに再開するかもしれません。
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