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同じ会社って難しい……でも、悪くない
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仕事中に部長に呼ばれた。
「田杉、営業部で新しいシステムでわからない所あるらしくて説明して欲しいって。行ってこい」
「部長! そんなのメールで十分でしょ! なんで俺が行くんですか⁉︎」
営業部にはできるだけ行きたくない。
「メールじゃ説明しづらいだろ。他のみんなは自分の事で手一杯だ」
「俺だってそうですよ!」
「お前は自分の事も人の事もできちゃうすごい奴だからだ」
「横暴だ! 仕事ダラダラしますよ!」
「無理だな。お前は仕事をダラダラできるような奴じゃない」
ちっくしょう……!
もう何も言い返せない。
勝ち誇った富田部長の顔を見ると悔しい。
たっつんにも富田部長にも言いくるめられている気がしてならない。
そもそもなんで営業部……。
がっかりしながら席に戻る。
「村住……行くぞ。タブレット持ってきな」
「はい!」
いい返事してくれちゃって……。
村住は、ちょっと危なっかしい所もあるけれど、仕事には一生懸命だ。
会社ではたっつんは見かける程度であまり会わなかった。
それは助かっていたのに、仕事でかち合うとなると緊張する。
自然とため息が出てしまうのは仕方ない。
営業部へ行って古谷を見つけた。
「田杉、悪かったね。とりあえず僕に説明してくれればいいから」
たっつんに直接関わるわけじゃなくてホッと安心した。
一通りの説明が終わってさぁ戻ろうという時に、部署内にたっつんの声が響いた。
「白石戻りましたぁ!」
ビクッとしてしまうのはしょうがない。
少ししてからこっちに来た。
な、なんで来るんだ?
古谷の横に並んだ。
「古谷さん、それ、もう終わっちゃいました?」
「うん、今終わった所だよ。僕が田杉から聞いておいたから、後で教えるね」
「はい……」
シュンとするな……。
同じ会社だとやりづらい……。
「じゃ、じゃあ、俺は行くから」
「ありがとうね。また今日の歓迎会でね」
歓迎会……。
たっつんと朝のやり取りを思い出す。
『正親さん、今日、仕事終わりに歓迎会で飲みでしたよね?』
『そうだな』
『一緒に飲みましょうね? そこで仲良くなったって事にすれば、会社でも話せます』
『そう……だな……』
そこまでして会社で話したいのかよ。
ちょっと照れる。
『正親さん、そんな顔すると……朝から勃ちそうです……』
『万年発情期! さっさと行け!』
『正親さぁん……』
『あ……ちょっ、お前、どこ触って……ん、んんっ……』
朝から濃厚なキスしてから会社に来て、その相手と顔を合わせるってどうなんだ……。
恥ずかし過ぎる。
チラリとたっつんを見れば目が合って話しかけたそうだ。
「あー……新入社員の白石だったよな?」
「は、はい!」
「古谷に教わって頑張ってな」
「はい!」
おかしくない程度の会話をすれば、たっつんがキラキラと眩しい笑顔を向ける。
甘やかしすぎかな……と思うけれど、嬉しそうなたっつんを見るのは悪くなくて微笑む。
やっぱり俺はたっつんに弱いのかもしれない。
「田杉、営業部で新しいシステムでわからない所あるらしくて説明して欲しいって。行ってこい」
「部長! そんなのメールで十分でしょ! なんで俺が行くんですか⁉︎」
営業部にはできるだけ行きたくない。
「メールじゃ説明しづらいだろ。他のみんなは自分の事で手一杯だ」
「俺だってそうですよ!」
「お前は自分の事も人の事もできちゃうすごい奴だからだ」
「横暴だ! 仕事ダラダラしますよ!」
「無理だな。お前は仕事をダラダラできるような奴じゃない」
ちっくしょう……!
もう何も言い返せない。
勝ち誇った富田部長の顔を見ると悔しい。
たっつんにも富田部長にも言いくるめられている気がしてならない。
そもそもなんで営業部……。
がっかりしながら席に戻る。
「村住……行くぞ。タブレット持ってきな」
「はい!」
いい返事してくれちゃって……。
村住は、ちょっと危なっかしい所もあるけれど、仕事には一生懸命だ。
会社ではたっつんは見かける程度であまり会わなかった。
それは助かっていたのに、仕事でかち合うとなると緊張する。
自然とため息が出てしまうのは仕方ない。
営業部へ行って古谷を見つけた。
「田杉、悪かったね。とりあえず僕に説明してくれればいいから」
たっつんに直接関わるわけじゃなくてホッと安心した。
一通りの説明が終わってさぁ戻ろうという時に、部署内にたっつんの声が響いた。
「白石戻りましたぁ!」
ビクッとしてしまうのはしょうがない。
少ししてからこっちに来た。
な、なんで来るんだ?
古谷の横に並んだ。
「古谷さん、それ、もう終わっちゃいました?」
「うん、今終わった所だよ。僕が田杉から聞いておいたから、後で教えるね」
「はい……」
シュンとするな……。
同じ会社だとやりづらい……。
「じゃ、じゃあ、俺は行くから」
「ありがとうね。また今日の歓迎会でね」
歓迎会……。
たっつんと朝のやり取りを思い出す。
『正親さん、今日、仕事終わりに歓迎会で飲みでしたよね?』
『そうだな』
『一緒に飲みましょうね? そこで仲良くなったって事にすれば、会社でも話せます』
『そう……だな……』
そこまでして会社で話したいのかよ。
ちょっと照れる。
『正親さん、そんな顔すると……朝から勃ちそうです……』
『万年発情期! さっさと行け!』
『正親さぁん……』
『あ……ちょっ、お前、どこ触って……ん、んんっ……』
朝から濃厚なキスしてから会社に来て、その相手と顔を合わせるってどうなんだ……。
恥ずかし過ぎる。
チラリとたっつんを見れば目が合って話しかけたそうだ。
「あー……新入社員の白石だったよな?」
「は、はい!」
「古谷に教わって頑張ってな」
「はい!」
おかしくない程度の会話をすれば、たっつんがキラキラと眩しい笑顔を向ける。
甘やかしすぎかな……と思うけれど、嬉しそうなたっつんを見るのは悪くなくて微笑む。
やっぱり俺はたっつんに弱いのかもしれない。
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