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第一候補 ギルバートの手紙
しおりを挟むトラキシネア王国シドラス騎士団所属、ギルバート・フォールゲンは、シドラス公爵家長女アデル・ルービッヒに婚約を申し込みたい
アデルの婚約が白紙になった事を喜んではいけないとわかっていても、踊る心は誤魔化せなかった。
俺の方が身分が下で、無謀だとわかっているがその事でお前を諦めたくない。アデルに俺を望んで欲しい。
俺は、アデルの一番の友人で、理解ある夫になりたい。
そして、騎士としてアデルと共に戦えたらいい。
俺が剣でアデルに勝てるようになったら、お前に言いたかった事があったんだ。
婚約者がいると知ってその言葉を何度も飲み込んだ。
ずっと言えなかった言葉……。
好きだ──結婚してほしい。
俺が伝えたい事はそれだけだ。
◆◇◆
まさかギルからの手紙とは驚きだ。
ギルらしい文面に微笑んでしまう。
真っ直ぐに告げられた言葉に胸の奥がジンとした。
ギルならば、誠実に私と向き合ってくれるのが手に取るようにわかる。
女であっても騎士として一緒に戦う事を許してくれる。それが嬉しかった。
ギルとだったら生き甲斐のある毎日が過ごせそうだと思った。
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