20 / 21
もっと食べますよね?
しおりを挟む
「蒼斗? いるんでしょ?」
コンコンとドアがノックされてすぐにガチャリと開けられた。
何事かと思って見れば、そこにいたのは圭介先輩だった。
「蒼斗が色々買ってこいって連絡してきたんでしょ! なんでまだ寝て──」
「け、圭介先輩……」
圭介先輩と目が合って、もぞっと布団に潜る。
すると、後ろからギューッと蒼斗先輩に抱きしめられた。
俺達まだ裸なんですけど……。
素肌が触れ合うと気持ちいい──じゃなくて。
「圭介、サンキューな。俺ら昨日の夜から何も食べてなかったからさ」
そのまま蒼斗先輩に耳にチュッとされる。
「ちょっ……あ、蒼斗先輩……」
圭介先輩は、何かを察したようでため息をつく。
「トモが付き合わされて可哀想だ」
「そんなことないよなぁ? トモくんなんて初めてなのにすごい──」
「うわぁ! 何を言い出すんですか!」
慌てて蒼斗先輩の方を向いて口を塞ぐ。
この人は……!
「うわっ……トモ……すごいキスマーク……背中までくっきり……」
「え⁉︎」
先輩の口を塞いだせいで背中が見えてしまったらしい……。
言われて自分を良く見れば、鎖骨やら胸やら赤い痕がいっぱいついている……。
痛いぐらい吸われて感じてしまった昨日の自分を思い出して真っ赤になる。
先輩は嬉しそうだ……。
「5分だけ出ててあげるから二人とも服着て……」
「す、すみません……」
圭介先輩のため息に居た堪れなかった……。
◆◇◆
三人でテーブルを囲んでいた。
圭介先輩が買ってきてくれたおにぎりを頬張る。
お腹が空いていたのですごく助かった。
「蒼斗は少し我慢を覚えた方がいい」
「好きなやつに触れたいと思うのは当たり前だろ?」
二人は、俺を真ん中にして言い合いをしていた。
す、好きなやつ……スラッと言われて嬉しい。
「あのキスマークはないでしょ」
「うるせぇな。トモくんが喜ぶからしたんだ」
「よ、喜んでません!」
どうしてそういう事を言うかな……。
蒼斗先輩にニヤニヤされる。
「へぇ……。それなら、試しに一個増やしてやろうか?」
「や、やめて下さい……」
意地悪そうな顔……。
「あまりイジメるなって……小学生みたいだよ」
圭介先輩がため息をつく。
蒼斗先輩は、ちょっとムッとしたみたいだ。
「圭介は好きなやつに好きって言えないヘタレだからな」
「俺は蒼斗みたいに単純じゃないんだ」
「え? 圭介先輩、好きな人がいるんですか?」
それは大変興味がある。
「好きな人は、年上の綺麗なお姉さん」
ニコニコしながらお茶目な様子で言われた。
「そうなんですか⁉︎」
圭介先輩の好きな人って年上なんだ。
「トモくん、騙されるな。こいつは本命がいるくせに女を何人も弄ぶ悪い男だぞ」
蒼斗先輩にそんな事を言われて驚く。
「え⁉︎ 圭介先輩はそんな悪い男に見えませんよ」
圭介先輩はすごく優しい。
今だって蒼斗先輩と俺のご飯買ってきてくれたし。
「トモ~。いい子だね~」
圭介先輩にナデナデされると、蒼斗先輩がその手を叩き落とす。
お互いに目を細め合うのでハラハラしてきた。
「蒼斗の分はトモにあげちゃう」
圭介先輩は、ニッコリ笑ってそっと俺の目の前にロールケーキを2つ置いた。
蒼斗先輩は顔を引きつらせた。
「それ! 俺の大好きなやつ!」
「え~? 知らないなぁ~。トモが2個食べていいからね」
チラリと先輩を窺えば、悔しそうな顔……。
蒼斗先輩は、圭介先輩に弱いらしい。
思わず笑ってしまう。
「じゃあ、遠慮なく」
ロールケーキの袋を開けたら、蒼斗先輩の顔が仏頂面でかわいい。
フォークですくって蒼斗先輩の口元に差し出した。
驚いた顔をする先輩に笑顔を向ける。
「好きなんですよね?」
パッと嬉しそうに笑った蒼斗先輩が、すかさずロールケーキをパクリと頬張った。
かわいくて仕方ない。
「まったく。トモは優しいね」
俺たちの様子に圭介先輩がクスクスと笑う。
「もっと食べますよね?」
またロールケーキを差し出したら、蒼斗先輩は俺に真剣な顔を向けた。
不思議に思って首を傾げる。
「先輩?」
「トモくん……愛してる」
不意打ちの言葉に俺の胸がキュンと鳴る。
蒼斗先輩のせいで俺の心臓は大丈夫なのか心配になってくる。
一気に顔が熱くなった。
「きゅ、急に何を言い出すんですか!」
蒼斗先輩は、差し出していた腕を掴むと、フォークをテーブルに置いた。そのままドサリと床に押し倒された。
「先輩⁉︎ ロールケーキは⁉︎」
まだ一口しか食べていない。
蒼斗先輩の真剣な顔が俺の事を真っ直ぐに見下ろす。
「圭介、俺はロールケーキより好きなものを見つけた……」
「はいはい。それじゃ俺はもう行くから。トモ、頑張ってね」
いい笑顔で手を振る圭介先輩に唖然とする。そのまま部屋を出て行ってしまった。
頑張れって何をですか⁉︎
「トモくん、もっと食べさせてもらうよ……」
今日の先輩のキスは甘いロールケーキの味……。
先輩の手が体を撫でる。
「せ、せんぱい……あっ……!」
こんなに愛されて……いいんだろうか……。
コンコンとドアがノックされてすぐにガチャリと開けられた。
何事かと思って見れば、そこにいたのは圭介先輩だった。
「蒼斗が色々買ってこいって連絡してきたんでしょ! なんでまだ寝て──」
「け、圭介先輩……」
圭介先輩と目が合って、もぞっと布団に潜る。
すると、後ろからギューッと蒼斗先輩に抱きしめられた。
俺達まだ裸なんですけど……。
素肌が触れ合うと気持ちいい──じゃなくて。
「圭介、サンキューな。俺ら昨日の夜から何も食べてなかったからさ」
そのまま蒼斗先輩に耳にチュッとされる。
「ちょっ……あ、蒼斗先輩……」
圭介先輩は、何かを察したようでため息をつく。
「トモが付き合わされて可哀想だ」
「そんなことないよなぁ? トモくんなんて初めてなのにすごい──」
「うわぁ! 何を言い出すんですか!」
慌てて蒼斗先輩の方を向いて口を塞ぐ。
この人は……!
「うわっ……トモ……すごいキスマーク……背中までくっきり……」
「え⁉︎」
先輩の口を塞いだせいで背中が見えてしまったらしい……。
言われて自分を良く見れば、鎖骨やら胸やら赤い痕がいっぱいついている……。
痛いぐらい吸われて感じてしまった昨日の自分を思い出して真っ赤になる。
先輩は嬉しそうだ……。
「5分だけ出ててあげるから二人とも服着て……」
「す、すみません……」
圭介先輩のため息に居た堪れなかった……。
◆◇◆
三人でテーブルを囲んでいた。
圭介先輩が買ってきてくれたおにぎりを頬張る。
お腹が空いていたのですごく助かった。
「蒼斗は少し我慢を覚えた方がいい」
「好きなやつに触れたいと思うのは当たり前だろ?」
二人は、俺を真ん中にして言い合いをしていた。
す、好きなやつ……スラッと言われて嬉しい。
「あのキスマークはないでしょ」
「うるせぇな。トモくんが喜ぶからしたんだ」
「よ、喜んでません!」
どうしてそういう事を言うかな……。
蒼斗先輩にニヤニヤされる。
「へぇ……。それなら、試しに一個増やしてやろうか?」
「や、やめて下さい……」
意地悪そうな顔……。
「あまりイジメるなって……小学生みたいだよ」
圭介先輩がため息をつく。
蒼斗先輩は、ちょっとムッとしたみたいだ。
「圭介は好きなやつに好きって言えないヘタレだからな」
「俺は蒼斗みたいに単純じゃないんだ」
「え? 圭介先輩、好きな人がいるんですか?」
それは大変興味がある。
「好きな人は、年上の綺麗なお姉さん」
ニコニコしながらお茶目な様子で言われた。
「そうなんですか⁉︎」
圭介先輩の好きな人って年上なんだ。
「トモくん、騙されるな。こいつは本命がいるくせに女を何人も弄ぶ悪い男だぞ」
蒼斗先輩にそんな事を言われて驚く。
「え⁉︎ 圭介先輩はそんな悪い男に見えませんよ」
圭介先輩はすごく優しい。
今だって蒼斗先輩と俺のご飯買ってきてくれたし。
「トモ~。いい子だね~」
圭介先輩にナデナデされると、蒼斗先輩がその手を叩き落とす。
お互いに目を細め合うのでハラハラしてきた。
「蒼斗の分はトモにあげちゃう」
圭介先輩は、ニッコリ笑ってそっと俺の目の前にロールケーキを2つ置いた。
蒼斗先輩は顔を引きつらせた。
「それ! 俺の大好きなやつ!」
「え~? 知らないなぁ~。トモが2個食べていいからね」
チラリと先輩を窺えば、悔しそうな顔……。
蒼斗先輩は、圭介先輩に弱いらしい。
思わず笑ってしまう。
「じゃあ、遠慮なく」
ロールケーキの袋を開けたら、蒼斗先輩の顔が仏頂面でかわいい。
フォークですくって蒼斗先輩の口元に差し出した。
驚いた顔をする先輩に笑顔を向ける。
「好きなんですよね?」
パッと嬉しそうに笑った蒼斗先輩が、すかさずロールケーキをパクリと頬張った。
かわいくて仕方ない。
「まったく。トモは優しいね」
俺たちの様子に圭介先輩がクスクスと笑う。
「もっと食べますよね?」
またロールケーキを差し出したら、蒼斗先輩は俺に真剣な顔を向けた。
不思議に思って首を傾げる。
「先輩?」
「トモくん……愛してる」
不意打ちの言葉に俺の胸がキュンと鳴る。
蒼斗先輩のせいで俺の心臓は大丈夫なのか心配になってくる。
一気に顔が熱くなった。
「きゅ、急に何を言い出すんですか!」
蒼斗先輩は、差し出していた腕を掴むと、フォークをテーブルに置いた。そのままドサリと床に押し倒された。
「先輩⁉︎ ロールケーキは⁉︎」
まだ一口しか食べていない。
蒼斗先輩の真剣な顔が俺の事を真っ直ぐに見下ろす。
「圭介、俺はロールケーキより好きなものを見つけた……」
「はいはい。それじゃ俺はもう行くから。トモ、頑張ってね」
いい笑顔で手を振る圭介先輩に唖然とする。そのまま部屋を出て行ってしまった。
頑張れって何をですか⁉︎
「トモくん、もっと食べさせてもらうよ……」
今日の先輩のキスは甘いロールケーキの味……。
先輩の手が体を撫でる。
「せ、せんぱい……あっ……!」
こんなに愛されて……いいんだろうか……。
2
お気に入りに追加
596
あなたにおすすめの小説
好きな人が「ふつーに可愛い子がタイプ」と言っていたので、女装して迫ったら思いのほか愛されてしまった
碓氷唯
BL
白月陽葵(しろつきひなた)は、オタクとからかわれ中学高校といじめられていたが、高校の頃に具合が悪かった自分を介抱してくれた壱城悠星(いちしろゆうせい)に片想いしていた。
壱城は高校では一番の不良で白月にとっては一番近づきがたかったタイプだが、今まで関わってきた人間の中で一番優しく綺麗な心を持っていることがわかり、恋をしてからは壱城のことばかり考えてしまう。
白月はそんな壱城の好きなタイプを高校の卒業前に盗み聞きする。
壱城の好きなタイプは「ふつーに可愛い子」で、白月は「ふつーに可愛い子」になるために、自分の小柄で女顔な容姿を生かして、女装し壱城をナンパする。
男の白月には怒ってばかりだった壱城だが、女性としての白月には優しく対応してくれることに、喜びを感じ始める。
だが、女という『偽物』の自分を愛してくる壱城に、だんだん白月は辛くなっていき……。
ノンケ(?)攻め×女装健気受け。
三万文字程度で終わる短編です。
【完結】Ωの王子はαのドS執事と絶倫騎士に啼かされる~生意気な王子でごめんなさい~
碓氷唯
BL
社畜の久実崎蒼はメヴィーサ王国の王太子、アルマに転生する。この世界には第二の性があり、姉がよく布教してきたオメガバースが存在する世界だと知ったアルマは、自分が次期国王になる王族だということからαに違いないと感じる。成人式の儀式で第二の性が分かるこの国で、アルマは成人する前から自分はαだと思い込み、執事のカルヴェと自分を護衛している近衛騎士団団長のグランにワガママ言いたい放題。しかし、成人式を迎えたアルマの性別検査で、Ωということがわかって…… 執事α&絶倫騎士α×平凡鈍感王子Ω。
4人の乙女ゲーサイコパス従者と逃げたい悪役令息の俺
りゅの
BL
おそらく妹が買ったであろうR18の乙女ゲーの世界に入り込んでしまった俺は、気がついたらその世界の悪役として登場していた。4人のサイコパス従者に囲まれ絶体絶命ーーーやだ、視線が怖い!!帰りたい!!!
って思ってたら………あれ?って話です。
一部従者に人外要素ある上バリバリ主人公総受けです。対戦よろしくお願いします。
⚠️主人公の「身体の持ち主」かなりゲスいことやってます。苦手な方はお気をつけください
広告視聴・コメント・ブクマ大変励みになります。いつもありがとうございます。
HOT女性向けランキング 39位
BLランキング 22位
ありがとうございます
2024/03/20
曙花町男娼-夜鷹坂-
み馬
BL
走りだす彼を、追いかける足音がした。その腕から逃げたいわけじゃない。むしろ、強く抱きしめてほしかった──。
和風BL第二弾です。趣味丸出しパワーアップ、ほぼ異世界ファンタジーだと思ってください。
男娼の主人公が客と枕を共にする性活動の物語。H予告なし。ときどき流血ありにつき、苦手な方はご注意ください。現在、不定期連載ですが完結まで必ず書きます。
★ノスタルジック和風BL布教作品★お読みいただき誠にありがとうございます★他サイト[ムーンライトノベルズ]にて同時公開中です★
転生者の妹がやけにガチムチを勧めてくると思ったらここは俺が総攻主人公のBLゲームらしい。
天城
BL
最愛の妹は転生者だった。ここは俺が総攻主人公のBLゲームの世界だという。幼い頃から「最高効率の育成なら任せて!」と言う妹の指示のもと大陸最強となった俺。今更この世界がBLゲームで俺が総攻主人公とか、どうしろって?妹が勧めるガチムチには興味が湧かないし、このままでは倫理観の欠如したエロ学園BLゲームが始まってしまう。妹は魔術と剣術の育成が済んだからと性技の訓練に入れというし!ほんとに悪いがガチムチを抱く気はありません!
【攻】ガチムチBLゲームで攻略対象者(受)になるはずだった幼馴染(金髪青目、長身タレ目わんこ)×【受】総攻主人公になるはずだった黒髪黒目の猫科の猛獣系 細マッチョ。
※タグにあります通り『ガチムチハーレム』です。攻略対象全てとイチャイチャあります。メイン攻は幼馴染です。※
攻略対象→銀髪逞しい第二王子、その側近の金髪メガネ美青年、赤髪騎士団長巨漢おじさん!等々各種取り揃えております。ハーレム楽しめる方はどうぞ!(他からの転載です。一章完結。番外編に続く。今後、二章に続きます)
潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは
マフィアのボスの愛人まで潜入していた。
だがある日、それがボスにバレて、
執着監禁されちゃって、
幸せになっちゃう話
少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に
メロメロに溺愛されちゃう。
そんなハッピー寄りなティーストです!
▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、
雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです!
_____
▶︎タイトルそのうち変えます
2022/05/16変更!
拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です
2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。
▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎
_____
リセットしてもヤンデレに犯される俺の話
多崎リクト
BL
池田涼太はある日リセットボタンを拾った。過去に戻ることができるこのボタンを使って、可愛い女の子と付き合う!と思っていたが、気がつけばクラスのイケメンの三浦海斗に犯されてしまっていた。
リセットしてもリセットしても、三浦に犯される涼太。リセットしているはずなのに、段々と体だけは慣れていってしまって……?
テーマは「処女なのに気持ちよくなっちゃう♡」
ムーンライトノベルズさんと自サイトにも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる