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第九章

第四百五十二話 星の煌めく世界で

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 無限に広がる大宇宙と表現される星の世界。

 その中を一筋の流星が駆けていた。

 流星の正体は灰髪銀眼の美少年で、光の速度を超えた時速一メガパーセクという、常識から大きく外れた速度で移動していた。一パーセクとは約三光年の距離であり、彼の移動速度は光速で三百万年掛かる距離を一時間で移動しているという意味だ。

 相対性理論を嘲笑うかのような桁外れの超速度で移動していても、星の世界では余りにもちっぽけだった。

 宇宙は広い。地球から太陽以上の光を持つクエーサーと呼ばれる天体など、遠いもので四千メガパーセクほど離れている。この常軌を逸した速度でも約半年の時間が必要な距離だ。

 光速でそこまで移動しようとすれば、どれほどの年数になるのかなど、計算するのも億劫になる。未だに光速で動く宇宙船の一つ作れない人類が、宇宙から見ればいかに矮小か分かるだろう。

 しかし、灰髪銀眼の美少年は違う。彼はただ一つの目標へ向かって、光以上の速度で突き進む。

 灰髪銀眼の美少年―――近衛天翔王光がここまで来た目的は、娘を殺した太陽神へ最高の復讐をすること。

 <時>の神々の弱みへつけ込み、尖兵として使い神々の戦争を起こす策略は失敗した。元々、あのプランは余りにも他人頼りだったので、失敗しても仕方がないだろう。時に忘れられた神々、世界の技術革新に付いて来られなかった連中であり、最初から過度な期待はしていない。

 それから新たなる太陽神を産み出し、かの神が崇めているマリアステラと『マリアステラの世界』を焼き尽くす策略も失敗した。これには多少驚いた。強大な器と太陽の力を創造した太陽の巨人、文字通り世界を焼き尽くす巨神が破れる可能性は低いと思っていた。

 やはり、他人も、自分で作ったAIさえも信じられない。

 信じられるのは、歴史に語られるどんな天才も凡百と断ずる、真の天才である自分しかいない。

 人も、文明も、神も、どれほど集まろうが、何億年経とうが、たった一人の天才の前に平伏す。

 近衛天翔王光はこれより『マリアステラの世界』を、そこに居るすべての神と共に消滅させる。『異世界ファーアース』にいるマリアステラと太陽神に、自分たちの世界と派閥が消滅するところを見届けさせるのだ。

 そしてその後、太陽神の目の前でマリアステラを殺し、最後に太陽神を殺す。

 それで近衛天翔王光の復讐は完遂される。

 復讐が終わった後は、少しくらいは休暇を取るつもりだ。愛する娘の姫桐のために何をしようか。近衛天翔王光は、彼女の夫を殺した太陽神への復讐を果たしたのだ。姫桐は感謝して泣いてしまうに違いない。今から慰める言葉を考えておくのが、一流の父親だ。

 その後は、半分は愛してる孫を可愛がってやっても良い。姫桐と一緒に愛してやることで七十五パーセントくらいは可愛がってやるつもりだ。

 もちろん娘のお気に入りのモフモフは飼う。見るからに素晴らしかったので、自分も楽しませて貰うつもりだ。あのモフモフを苛めたら、さぞ楽しいだろう。

 それからあのクソAIは絶対に削除する。絶対にだ。

 愛する娘、その子である孫、ペットのモフモフ、良い休暇になりそうだった。

「見つけました、ご主人様」
「さすがだ、キュウ」

 時速約三百万光年で移動する近衛天翔王光を捕らえた存在が、二つ。その進行方向に現れた。



 ◇



最強アルタ瞬間モメント移動ムダールセ

 最強神フォルティシモは『マリアステラの世界』の法則システムを解析しながら、その場所へ飛び込む。もちろんキュウも一緒だ。

 そんなフォルティシモとキュウが次元の壁も越えて瞬間移動した先は、宇宙だった。

 フォルティシモは物珍しい気持ちで周囲を見回す。そこには人工的な光に邪魔されることなく、地上から見上げるよりも美しい星々が煌めいていた。

 星座や星の配置に詳しくないので知識的な感動はなかったものの、現代リアルワールドの人類でも決して作成できない絶景へ、純粋に感動を覚える。

 AIやVR空間がこれほど発展した現代リアルワールドでも、宇宙旅行なんてものは一部の金持ちの娯楽で、それも火星までがせいぜいだった。

 ちなみに近衛天翔王光は、近衛姫桐の成人の日にパパと行く二年間火星旅行をプレゼントしたらしいが、近衛姫桐が火星旅行をした記録はない。

「愛しき憎い孫よ」
「久しぶりだな、爺さん」

 先んじてAIフォルティシモが再会していたし、その記録も手に入れている。フォルティシモ自身もAI近衛天翔王光と会話した。それでも本体のフォルティシモが本体のオウコーと顔を合わせるのは久々なので、あえてそう挨拶する。

 金銀のヘテロクロミアに銀髪の超絶美形青年と、銀眼の灰髪を持った超絶美少年。

 お互いに元の肉体とは掛け離れた姿だったけれど、たしかに祖父と孫は再会した。

「ああ、儂の愛する孫よ。優しい祖父が戦場から逃がしてやったと言うのに、戻って来てしまったか」
「神戯のアカウント交代のことは、文句は言わない。最初から爺さんの代役だったからな」

「そうそう。お前が作ったお前のAIとの会話、楽しませて貰ったぞ。あとで必ず消去してやる」
「ファーアースオンラインは爺さんの仕込みだったんだな。それで何でもかんでも思い通りになると思ってるのか?」

「まあお前は儂を待っていると良い。そうじゃな。姫桐を守る役割を与えてやろう。本来は儂がしたい役割じゃ。嬉しいか?」
「だが一つだけ感謝してやる。フォルティシモは最強の神に到れたぞ。フォルティシモは最強だ」

「………」
「………」

「人の話を聞かんか、愚かで憎らしいクソ孫がぁ!」
「特大のブーメランを投げる前に、自分を省みろ!」



「だが爺さん、初めて、本気で驚いているみたいだな」
「ああ、ここまで来るとは思わなかった。これまでの過程もそうだが、星の女神の世界は広大だ。それをどうやって発見したのか、どうやって移動したのか、そして、どうやって奴らと同じ域まで到達したのか」

 近衛天翔王光は苛立ちと驚き、そこに嬉しさと悟りが入り交じったような不思議な表情を浮かべた。

「そのモフモフの仕業か?」

 近衛天翔王光がキュウへ注目したので、キュウを抱き締める腕に力を込める。キュウもフォルティシモに回している腕に力を込めた。

「タマの奴め、とんでもない邪魔をしてくれたものだ」

 キュウは元々、狐の神である玉藻御前タマが<星>の神々と戦うために作られた器である。タマはかなり昔から近衛天翔王光と結託していて、スパイとして<星>の神々の中で暗躍していた。

 だがそんなキュウはフォルティシモと出会い、まったく違った人生を歩むことになった。そしてキュウは、本体であるタマを打ち破ってここに居る。

「モフモフさえ居なければ、愛しき憎い孫は今頃、何よりも愛しい娘と儂の勝利を待っていただろうに」
「それは違います」

 キュウが近衛天翔王光の言葉を否定すると、オウコーの形の良い眉がピクリと動いた。

「たとえどんな可能性を辿ったとしても、ご主人様は最強になりました」
「キュウ、可愛すぎる。帰ったら俺のものにして良いか?」
「はい。私はずっとご主人様のものです」
「いや物理的にだ」
「はい。物理的に、ご主人様のものです」
「物理的にだぞ?」
「はい。はい?」

 フォルティシモの気持ちがキュウに伝わっていないようで、左腕で抱き締めているキュウと超至近距離で視線を交わす。

 キュウは何度か瞬きをした後、突然顔を赤くして耳を動かし、視線を逸らした。

「………目の前で儂を無視してイチャつかれると、さすがに苛立ちを感じるわ。しかし、どんな可能性を辿ったとしても、か。面白い表現じゃな」

 近衛天翔王光は空を見上げた。宇宙空間なので空というよりは単に上を見た形だけれど、視線の先には別のものが映っているのかも知れない。

「これより貴様は儂の孫、翔としてだけではない。フォルティシモとしても見るべきじゃな。儂の孫でもあるフォルティシモ、ここまで儂の前に立ち塞がるとは思わなかったぞ」

 その瞬間、近衛翔を近衛姫桐の息子としてしか認識していなかった天才近衛天翔王光が、明確に最強フォルティシモを認識した。

 近衛天翔王光はインベントリへ手を入れると、そこから光輝く剣を取り出す。虚空から抜き放たれたのは太陽のように輝き、周囲の星々を照らす剣だった。

 近衛天翔王光が取りだした光輝く剣は、ピアノがメイン武器に選んだ光剣クラウ・ソラスに似ているものの、その光量はあまりにも違う。まるでそこに太陽が現れたかのように、圧倒的な光を放っていた。

「既に『マリアステラの世界』の解析は、七割方終わっている。星の女神を守る理由もあるまい。そこで大人しくしていろ」
「あまり気分の良いものじゃないが、理由はある。あいつが居たから、キュウと出会えた事実だけは認めてる。少なくとも、爺さんよりはマリアステラあのクソ野郎の味方をする」
「自分の周りしか見えておらんのか」
「見えてはいる。見えた上で、キュウと出会えたことを感謝してる」

 PKされそうになったら十倍にして返す。それは常にして来たフォルティシモの信条の一つだ。

 だが逆に、恩に対しても同じだった。フォルティシモは受けた恩を何倍にもして返す。

 異世界で最初に出会ったフィーナ、何かと贔屓してくれたギルドマスターガルバロス、キュウの危機を知らせてくれたカイル、神戯に関して色々教えてくれたテディベアなど、フォルティシモなりに恩返しをしているつもりである。

 それで『キュウとの出会い』を作ってくれたマリアステラへの返礼は、どれほどか。

「だから、その責任を取って、今後マリアステラあのクソ野郎が振りまく迷惑は、最強のフォルティシモがことごとく収めてやるつもりだ」

 マリアステラのこれまでの所業をすべて許した上で、その未来まで許す。

 マリアステラの手の平で転がされているけれど、奴がいなかったら、フォルティシモはキュウと出会えなかった。キュウとの出会いは、それでも足りないほどの価値がある。

 フォルティシモの情報ウィンドウに笑顔のスタンプが送られて来た。この『マリアステラの世界』でフォルティシモへメッセージを送ってくる。

 誰からのスタンプかなど確認するまでもないので、『絶対に許さん』『首を洗って待っていろ』スタンプを返信した。すぐに『待っているよ』というスタンプが返って来る。

「愚かな。星の女神にほだされたか」
「爺さんこそ、マリアステラは母さんを転生させ、どっかの神戯で優勝させてる。そこまで恨むことか?」
「姫桐を救うのは、パパである儂の宿命だ! どんな神でさえ奪うならば殺す! 貴様はモフモフを他人に救われて、モフモフがそいつを慕っていたら、良かったと思うか!?」

 フォルティシモは思わず考えてしまう。

「なるほど、爺さんには共感できないと言ったが、今のはちょっと理解できた。たしかにキュウを救うのは俺だ。その役割を誰にも渡すつもりはない」

 次にキュウを抱き締めている事実を思い出した。ちょっと共感してしまった自分を恥じる。

「………爺さんの言っていることは欠片も理解できないな。それはただの独占欲だ。大切なもののことを何一つ考えて無い。キュウはそんなことを望まない!」
「理解できんか。だから貴様の半分はクソで出来ているのじゃよ。儂と同じように、本気で誰かを愛しているにも関わらず、何もできん」
「同じではありません」

 フォルティシモと近衛天翔王光の遣り取りに、キュウが口を挟んだ。フォルティシモと近衛天翔王光は、お互いにモフモフに釣られてキュウへ注目する。

「何がじゃ?」
「ご主人様は、私を想って頂けています。私もご主人様を何よりも想っています。ご主人様と私の関係と、つうさんとあなたの関係は同じではありません。懐中時計のご主人様が仰った通りです。あなたたちの関係には、つうさんの、姫桐さんの気持ちがどこにもありません」

 キュウは近衛姫桐に思いを託されたから、彼女の思いを語る。

「私は姫桐さんから、あなたを止めるための力を受け継ぎました。でも、あなたは姫桐さんの気持ちを蔑ろにしています。あなたは、姫桐さんから何かを託されたことがありますか?」

 それは近衛天翔王光の逆鱗であることを理解しつつ、指摘した。
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