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第四章
第百六十四話 樹氷連峰
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天烏でパッと行ってパッと帰ってくるのが最も速い行程だが、それでは用事を済ませているだけでデートという感じがしない。
なのでキャロルから馬型の従魔を一匹借りてキュウと二人乗りで『樹氷連峰』へ向かうことにした。リアルワールドでは馬など乗ったことがなくとも、【騎乗】スキルをカンストさせているフォルティシモは楽々と乗りこなせる。
馬にそっくりだとは言え、そこは従魔。雪道を二人乗せて楽々と進んでいける。雪は相変わらず降り注いでいるけれど、暴風雪で一メートル先も見えないような酷いものではなく、風もなく穏やかに降り積もるようなものだった。この中で樹氷を見るとさぞ美しいことだろう。
手綱を握りながら、両腕の間にキュウを挟んでいると、なかなか良い気分になった。
しかしよくよく見てみると、キュウの顔が優れない気がする。フォルティシモが見たいのは、天烏でトーラスブルスの夜景を見せた時のような表情であって、曇らせるのであれば行く意味がない。耳と尻尾の様子を見るに、嬉しそうなのだが。
「あの、ご主人様、『樹氷連峰』、という場所は危険なのでしょうか?」
「いや、キュウのレベルでも楽に倒せるモンスターしか出ないぞ。今のキュウならソロでダンジョンボスだって倒せる」
レベルを考えて危険な場所であれば、仕事の休憩時間中にデートなんてしゃれ込もうと思わないし、仮に連れて来ようとしても、絶対に他の従者も同行させた。
「そ、そうなのですか? でも、だったら、どうしてあの方は」
キュウの言葉は途中で途切れてしまった。『樹氷連峰』の入り口までやって来たので、現れた樹氷の美しさに心を奪われた、だったら良かった。
現実はそうではない。フォルティシモとキュウが『樹氷連峰』へ入ろうとした瞬間、信じられないことに、その一部が木っ端微塵に爆散したのだ。
その余りにも巨大な爆発は、入り口付近にいても大きな震動と爆音を届ける。馬が暴れ回り振り落とされそうになるが、キュウが乗っているのに落馬なんてさせる訳にはいかない。
その衝撃は噴火したなんて生易しいものではない。山脈の一つが爆散し、視界に映る景色にぽっかりと大きな穴を開けているのだ。かつて最果ての黄金竜の最強ブレス【頂より降り注ぐ天光】が大地に巨大なクレーターを作ったが、今の爆発の被害はそれを超えている。
それにしても、エルディンしかり、『樹氷連峰』しかり、どうしてフォルティシモが誘おうと考えたデートスポットは消滅するのだろうか。呪われているのかも知れない。
「キュウ、大丈夫か!?」
「は、はい、ちょっと耳が痛いです」
キュウの無事を確認した後、フォルティシモは爆発の発生源へ視線を向けた。
爆発によって消え去ったと思われる山があった場所に、何かが浮かんでいる。最果ての黄金竜の山のような大きさとはいかないが、入り口である麓からでも視認できる程度には大きな何かが。
フォルティシモは一目でそのモンスターの名前を理解した。
「か、海淵の蒼麒麟だと?」
レイドボスモンスター海淵の蒼麒麟。当時のフォルティシモは実装されたそれとの戦いに、信じられないほど苦しめられた。
海淵の蒼麒麟は、特殊空間を生成するタイプのボスモンスターであり、一定のHPまで減るとプレイヤーはその空間に強制的に取り込まれる。その空間はインスタンス空間と呼ばれ、インスタンス空間はボスモンスターとそれと戦うプレイヤーだけのマップで、通常モンスターや他のプレイヤーは基本的に入って来られない。
そこまでは良い。そういうタイプのボスモンスターが実装されるのは初めてではない。問題はそのインスタンス空間にあった。そのインスタンス空間は、ボスモンスターの名前の通り海中だったのだ。
突然だが、アバターフォルティシモを操るリアルワールドの近衛翔は、幼い頃に両親を失ってから三人のAIだけが家族で、引き籠もりに近い生活を送ってきた。必然として、リアルワールドでプールや海へ行った経験はない。まともに学校も行っていないので、水泳の授業も受けていない。幼い頃にスイミングスクールへ通っていたという事実もない。
だから、フォルティシモは泳げなかった。
◇
キュウはその巨大な爆発があった時、驚いて主人に抱きついてしまった。何か怖いことがあった時、主人の影に隠れようとする癖を直さなければならないと思いつつ、臆病な性格はなかなかそれを許してくれない。
一体何が爆発したのかと思ったら、山の一つが抉り取られていた。しばらく呆然としていたが、主人なら同じようなことができるはずだと言い聞かせ、心を落ち着ける。凄そうに見えるけれど、主人が『浮遊大陸』を地上に墜としたら、これ以上の破壊をもたらすのは確実。だから主人にとったら問題ないのだ。
「か、海淵の蒼麒麟だと?」
そうやって心を落ち着けたのに、主人の声音に恐れが混じった。キュウは聞き間違いかと、自分の耳を疑う。それくらい有り得ないことだ。
主人は最強で、どんな時も自信に満ちあふれ、誰にも負けない。だから何も恐れないはずだ。あの山を爆散させた魔物は、黄金竜をも撃退した主人が恐れるほど強大なのだろうか。
怖い。キュウは魔物を直視できないほどに怖くなった。
目を瞑ったせいか、聴覚が研ぎ澄まされる。
変な音が聞こえた気がした。最近はあの少女の声も聞こえなくなって安心していたのに、聞き覚えのある不思議な聞こえ方の音がしたように感じる。
しばらくは自分の勘違いだと言い聞かせたけれど、一度気にしたら、どんどんその音がハッキリと聞こえるようになってきて、しっかりとした声になるのに時間は掛からなかった。
キュウはこの声の質を聞いたことがある。場所はトーラスブルス、話し掛けて来たのは、御神木。オープンチャットというスキルなのか魔術なのか、よく分からない力でキュウに話し掛けて来たのだ。だが今回は御神木であるはずがない。彼はテディベアという、可愛らしい熊のぬいぐるみになって、サンタ・エズレル神殿にいる。
> 誰か、誰かぁぁぁーーー!
> 助けてくれぇーーー!
> うわあああぁぁぁーーー!
声は一人や二人ではない。十人、いやもっと多い。主人に伝えるべきか迷う。
「ご主人様」
なのでキャロルから馬型の従魔を一匹借りてキュウと二人乗りで『樹氷連峰』へ向かうことにした。リアルワールドでは馬など乗ったことがなくとも、【騎乗】スキルをカンストさせているフォルティシモは楽々と乗りこなせる。
馬にそっくりだとは言え、そこは従魔。雪道を二人乗せて楽々と進んでいける。雪は相変わらず降り注いでいるけれど、暴風雪で一メートル先も見えないような酷いものではなく、風もなく穏やかに降り積もるようなものだった。この中で樹氷を見るとさぞ美しいことだろう。
手綱を握りながら、両腕の間にキュウを挟んでいると、なかなか良い気分になった。
しかしよくよく見てみると、キュウの顔が優れない気がする。フォルティシモが見たいのは、天烏でトーラスブルスの夜景を見せた時のような表情であって、曇らせるのであれば行く意味がない。耳と尻尾の様子を見るに、嬉しそうなのだが。
「あの、ご主人様、『樹氷連峰』、という場所は危険なのでしょうか?」
「いや、キュウのレベルでも楽に倒せるモンスターしか出ないぞ。今のキュウならソロでダンジョンボスだって倒せる」
レベルを考えて危険な場所であれば、仕事の休憩時間中にデートなんてしゃれ込もうと思わないし、仮に連れて来ようとしても、絶対に他の従者も同行させた。
「そ、そうなのですか? でも、だったら、どうしてあの方は」
キュウの言葉は途中で途切れてしまった。『樹氷連峰』の入り口までやって来たので、現れた樹氷の美しさに心を奪われた、だったら良かった。
現実はそうではない。フォルティシモとキュウが『樹氷連峰』へ入ろうとした瞬間、信じられないことに、その一部が木っ端微塵に爆散したのだ。
その余りにも巨大な爆発は、入り口付近にいても大きな震動と爆音を届ける。馬が暴れ回り振り落とされそうになるが、キュウが乗っているのに落馬なんてさせる訳にはいかない。
その衝撃は噴火したなんて生易しいものではない。山脈の一つが爆散し、視界に映る景色にぽっかりと大きな穴を開けているのだ。かつて最果ての黄金竜の最強ブレス【頂より降り注ぐ天光】が大地に巨大なクレーターを作ったが、今の爆発の被害はそれを超えている。
それにしても、エルディンしかり、『樹氷連峰』しかり、どうしてフォルティシモが誘おうと考えたデートスポットは消滅するのだろうか。呪われているのかも知れない。
「キュウ、大丈夫か!?」
「は、はい、ちょっと耳が痛いです」
キュウの無事を確認した後、フォルティシモは爆発の発生源へ視線を向けた。
爆発によって消え去ったと思われる山があった場所に、何かが浮かんでいる。最果ての黄金竜の山のような大きさとはいかないが、入り口である麓からでも視認できる程度には大きな何かが。
フォルティシモは一目でそのモンスターの名前を理解した。
「か、海淵の蒼麒麟だと?」
レイドボスモンスター海淵の蒼麒麟。当時のフォルティシモは実装されたそれとの戦いに、信じられないほど苦しめられた。
海淵の蒼麒麟は、特殊空間を生成するタイプのボスモンスターであり、一定のHPまで減るとプレイヤーはその空間に強制的に取り込まれる。その空間はインスタンス空間と呼ばれ、インスタンス空間はボスモンスターとそれと戦うプレイヤーだけのマップで、通常モンスターや他のプレイヤーは基本的に入って来られない。
そこまでは良い。そういうタイプのボスモンスターが実装されるのは初めてではない。問題はそのインスタンス空間にあった。そのインスタンス空間は、ボスモンスターの名前の通り海中だったのだ。
突然だが、アバターフォルティシモを操るリアルワールドの近衛翔は、幼い頃に両親を失ってから三人のAIだけが家族で、引き籠もりに近い生活を送ってきた。必然として、リアルワールドでプールや海へ行った経験はない。まともに学校も行っていないので、水泳の授業も受けていない。幼い頃にスイミングスクールへ通っていたという事実もない。
だから、フォルティシモは泳げなかった。
◇
キュウはその巨大な爆発があった時、驚いて主人に抱きついてしまった。何か怖いことがあった時、主人の影に隠れようとする癖を直さなければならないと思いつつ、臆病な性格はなかなかそれを許してくれない。
一体何が爆発したのかと思ったら、山の一つが抉り取られていた。しばらく呆然としていたが、主人なら同じようなことができるはずだと言い聞かせ、心を落ち着ける。凄そうに見えるけれど、主人が『浮遊大陸』を地上に墜としたら、これ以上の破壊をもたらすのは確実。だから主人にとったら問題ないのだ。
「か、海淵の蒼麒麟だと?」
そうやって心を落ち着けたのに、主人の声音に恐れが混じった。キュウは聞き間違いかと、自分の耳を疑う。それくらい有り得ないことだ。
主人は最強で、どんな時も自信に満ちあふれ、誰にも負けない。だから何も恐れないはずだ。あの山を爆散させた魔物は、黄金竜をも撃退した主人が恐れるほど強大なのだろうか。
怖い。キュウは魔物を直視できないほどに怖くなった。
目を瞑ったせいか、聴覚が研ぎ澄まされる。
変な音が聞こえた気がした。最近はあの少女の声も聞こえなくなって安心していたのに、聞き覚えのある不思議な聞こえ方の音がしたように感じる。
しばらくは自分の勘違いだと言い聞かせたけれど、一度気にしたら、どんどんその音がハッキリと聞こえるようになってきて、しっかりとした声になるのに時間は掛からなかった。
キュウはこの声の質を聞いたことがある。場所はトーラスブルス、話し掛けて来たのは、御神木。オープンチャットというスキルなのか魔術なのか、よく分からない力でキュウに話し掛けて来たのだ。だが今回は御神木であるはずがない。彼はテディベアという、可愛らしい熊のぬいぐるみになって、サンタ・エズレル神殿にいる。
> 誰か、誰かぁぁぁーーー!
> 助けてくれぇーーー!
> うわあああぁぁぁーーー!
声は一人や二人ではない。十人、いやもっと多い。主人に伝えるべきか迷う。
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