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追跡
捜索と散策
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暗い森の中を足早に抜けていく。
道なき道を進んで行った。
草葉の微かな擦音。
森が作る暗闇と風の音に紛れ、その姿を隠し進む。
「おい! コラ! マッシュ! だから早いんだっつうの! こっちは見えねんだぞ!」
ユラが小声で前を行くマッシュに荒げる。真っ暗闇を獣人と同じスピードで駆け抜けるのにドワーフはひとり苦労していた。
「おまえさんなら大丈夫、後ろをついてくりゃあ大丈夫だ」
「そういう問題じゃねえ!」
マッシュが止まれと手を上げた。
「急に止まるな!」
「すまん、すまん。着いた」
ユラがマッシュを押しのけ居留地を覗く。
そこにはもう小さき者はいない、家も綺麗になくなりそこには何もなかった。
まっさらな土地が広がる。資材はそのままだが何かを進めている様子は見えない。
警備らしい警備も見当たらない、見られた所でただの更地、怪しまれる事はない。
何を作ろうとしていたのかはさっぱりだが、何も進めていないという事は、前回の小人族の件で足止めは出来たみたいだな。
ここはしばらく、動きはないと判断して良さそうだ。
それが確認出来ただけでも、よしとしよう。
「戻るか」
「もういいのカ?」
「いいだろ。今のところここは何も無しだ」
カズナが居留地を見渡す。あったはずの家も、いたはずの人々も、今はもう何ひとつない。
与えられた物とはいえ、我が家を失うのは辛い。
自らの失った故郷の姿が重なっていく。
カズナはもう一度更地を見つめ、そこにあった家と生活していた人々を想像した。
そこにあったはずの入口がなかった。
オーカの中心部から外れた所、【ルプスコナレギオ(狼の王冠)】団長のドルチェナとドワーフのロクが埋まってしまっている避難口を見つめ、ドルチェナが苛立ちから埋められた入口を蹴り飛ばした。
八本あると言われた避難路。把握している二か所を回ったが結果は同じ。
しっかりと埋め戻され、通路は塞がれていた。
あからさまに不機嫌な顔を見せるドルチェナにロクが嘆息する。
「そうカリカリするな。まだ避難路は残っておろうが」
「ああ? どこも一緒よ。向こうもバカじゃないって事でしょう。使われた二本だけ埋めるなんて事はしない。埋めるなら全部埋める」
「だがよ、全部埋めたらいざという時逃げられねえぞ」
「そうだな⋯⋯」
ドルチェナが逡巡する。
一度、避難路を使われた。
摂政のロブは用心深い、全部埋めるよな。
用心深い⋯⋯。
避難路は確保するはずだ、とすると⋯⋯新しい避難路を作る。
これだけの工事をそう短時間で完了するとは思えない。
今はまだ工事中か? 突貫で工事したとしても近々まで行っていたはず。
「ロク、街行って穴掘りの工事がないか探ってこい。ドワーフが穴掘り探してもそうそう怪しまれんだろ」
「構わんが、なんでじゃ?」
「新しい避難路を作っているはずだ。工事場所だけでも分かれば避難路が分かる。最近まで施工していたでもいい、突貫なら終わっている可能性もある」
「なるほど」
「シモーネが街を探っている。シモーネと合流して現場のおやじ達が立ち寄りそうな店をまずは探せ」
「ヌシは?」
「一旦戻ってこの事をマッシュに報告して⋯⋯く⋯⋯る⋯⋯」
頬を赤らめて俯くドルチェナに、ロクは盛大な溜め息をついた。
しかし、言っていた通りなんもねえな。
【キルロメディシナ】をあとにしたリブロがブラブラとアルバの街を散策していた。
領民達の明るさが目に付くくらいで、取り留めて何もない。
あてもなくさ迷っていると、先ほど見かけた顔を見つけた。
「おーい! 兄ちゃん!」
「先ほどのお付きの方」
街のパトロールに当たっていたヨルセンを見つけた。
さわやかな笑顔でリブロの元へと駆け寄る。
「お付きじゃあねえよ、リブロだ。あんたはヨルセンって言ったっけ?」
「そうです。リブロさん? どうされました?」
「この街を案内してくんねえか?」
「パトロールしながらで良ければ構いませんよ」
「頼むよ」
リブロは白い歯を見せるとがっちりとヨルセンの肩を組んでいく。
狭い街をヨルセンが案内していく、リブロが興味深そうに説明に聞き入った。
「ここが兎人と小人族の居住区と両族が管理している畑です」
「へぇー、おおおお! ホントだ。話で聞いていたけど実際に見るとビビるな。おおー! 兎人のお姉さん方はかわいいなぁ~。おーい!」
リブロは満面の笑みで手を振った。
気が付いた兎人の女性が手を振り返す。
「おほー、手を振り返してくれたぞ。小人族もかわいいけどちょっと幼い感じだな。いやーかわいいなぁ。ヨルセンいいとこ連れて来た」
ヨルセンの肩をバシバシ叩き、上機嫌のリブロにヨルセンは苦笑いを浮かべる。
「あ! マナルさんだ。マナルさーん!」
「おー! なんだ! あのカワイ子ちゃんは!」
「ここの副大統領ですよ」
畑仕事に精をだしていたマナルがトツトツと駆け寄ってきた。
額の汗を拭いながら、ヨルセンに笑顔を返す。
「マナルさん、こちらは領主様お付きのリブロさんです」
「初めましテ。マナルでス」
「お付きじゃねえ! ⋯⋯が、どうもどうも、こんなべっぴんさんに会えるなんて、あいつに着いてきて良かった」
「大げさな方ですネ」
マナルはにっこりと微笑みかけた。
しかし、こんなカワイ子ちゃんが副大統領とはね。
見かけによらずしっかりしているのか。
「キルロさんハ、どうされているのですカ?」
「大統領と話し込んでいるよ。なんか、難しい話ばっかで飽きたから出て来ちまった」
「そうなのですネ」
「なぁ、ひとつ聞いていいか? あの兄ちゃんは何者なんだ?」
「何者? ですカ??」
マナルが難しい顔で逡巡した。
おおよそ答えの出ないその問いに、明確な答えは見つけられない。
それでも何かいい答えがないか模索する。
「キルロさンはキルロさンです。きっと世界でイチ番のお人好しでス」
そう言ってマナルはにっこり笑った。
ヨルセンも隣でマナルの言葉に頷く。
「お人好しねえ⋯⋯」
リブロは顎に手をやり苦い表情を見せた。
そんなんで大丈夫なのか? 相変わらず掴みどころがわからねえ。
「マナルちゃん、ありがとね~。またねー!」
「はイ」
マナルに手を振り別れた、兎人や小人族が普通に存在している街か。
ヨルセンの案内でまた歩き出す、突貫工事で作ったとおぼしき建物が並ぶ、剝き出しの木材やレンガが目立つ。
そうかといって汚い感じはしない、雑多な感じは否めないが不思議と不潔な感じはしなかった。
「兎人はいたが、獣人が少ねえな。あんましいねえのか?」
「私達みたいに移住してきた者は多分いないです。元々ここにいた方だけでしょうね。ここはスラム街でしたから」
「そうなのか。そうは見えなかったな⋯⋯」
街を見渡す、高級な街並みとはお世辞にも言えないが、スラムだったようには見えねえな。
うん?! なんだ?
リブロの視線の先に俯き加減で歩く猫人が映った。
じっと猫人の動向を見つめる。
「ヨルセン、あんたここの衛兵だよな。あの猫人に見覚えあるか?」
リブロの真剣な声色にヨルセンの目も厳しくなる、視線の先に猫人を捉える。
「見ない顔ですね」
「そうか、何しているんだろうな。ヨルセン聞いて来いよ」
「そうですね」
ヨルセンが足早に猫人に駆け寄った、リブロもすぐに動く。
「ちょっといいかな? 見ない顔だな、ここで何をしている?」
ヨルセンの呼びかけに一瞬体を強張らせた。
平静を装い振り返る。
「特に何も、散歩だよ」
薄ら笑いを浮かべる猫人にヨルセンは鋭い視線を投げ掛ける。
「なんだったら、一緒に散歩しようか? ひとり案内中だから、もうひとり増えたところで問題ないぞ」
「いいよ、そんなの。ほっといてくれよ」
「あなた、見ない顔ですね。どこの方ですか? 散歩しにわざわざこんな所に来ないでしょう?」
ヨルセンの目つきが鋭く睨む、猫人は舌打ちをひとつしてヨルセンに背を向けるといきなりダッシュする。
狭い通りを駆け抜けていると建物の間からふいに男が飛び出した。
「はいはい、予想通りってやつだ」
目の前にリブロが立ちはだかる、猫人は急停止を掛けたが、勢いは止まらない。
足元は滑るようにリブロへと接近していく。
「うがっあ!」
猫人は後ろからの衝撃に呻きを上げた。
もんどり打って前のめりに倒れ込む。
猫人の背中にヨルセンが馬乗りになっていた。
逃げ出そうと必死にもがく姿へリブロはしゃがみ込み、猫人の前髪を片手でむんずと掴むと頭を引き上げる。
「さあて、どうしようか? 何しようとしたんだ? うん? 素直に言えや」
「離せ!」
ドガっ!
猫人の顔面を地面に叩きつけた。
潰れた鼻から血がボタボタと落ちていく。
「なんだ、まずは口の聞き方から教えなくちゃならねえのか? 面倒だな」
「は、話します! 話します!」
「最初からそう言えばいいのに。お兄さんは優しいから、ちゃんと話し聞いてあげるよ」
リブロはヨルセンへ目で合図を送る。
ヨルセンはひとつ頷くと腰に携えていた縄紐で猫人の手首と足首を縛り上げる。
「んじゃまあ、ゆっくり話しを聞こうか」
リブロは猫人の肩を抱き耳元で囁いた。
道なき道を進んで行った。
草葉の微かな擦音。
森が作る暗闇と風の音に紛れ、その姿を隠し進む。
「おい! コラ! マッシュ! だから早いんだっつうの! こっちは見えねんだぞ!」
ユラが小声で前を行くマッシュに荒げる。真っ暗闇を獣人と同じスピードで駆け抜けるのにドワーフはひとり苦労していた。
「おまえさんなら大丈夫、後ろをついてくりゃあ大丈夫だ」
「そういう問題じゃねえ!」
マッシュが止まれと手を上げた。
「急に止まるな!」
「すまん、すまん。着いた」
ユラがマッシュを押しのけ居留地を覗く。
そこにはもう小さき者はいない、家も綺麗になくなりそこには何もなかった。
まっさらな土地が広がる。資材はそのままだが何かを進めている様子は見えない。
警備らしい警備も見当たらない、見られた所でただの更地、怪しまれる事はない。
何を作ろうとしていたのかはさっぱりだが、何も進めていないという事は、前回の小人族の件で足止めは出来たみたいだな。
ここはしばらく、動きはないと判断して良さそうだ。
それが確認出来ただけでも、よしとしよう。
「戻るか」
「もういいのカ?」
「いいだろ。今のところここは何も無しだ」
カズナが居留地を見渡す。あったはずの家も、いたはずの人々も、今はもう何ひとつない。
与えられた物とはいえ、我が家を失うのは辛い。
自らの失った故郷の姿が重なっていく。
カズナはもう一度更地を見つめ、そこにあった家と生活していた人々を想像した。
そこにあったはずの入口がなかった。
オーカの中心部から外れた所、【ルプスコナレギオ(狼の王冠)】団長のドルチェナとドワーフのロクが埋まってしまっている避難口を見つめ、ドルチェナが苛立ちから埋められた入口を蹴り飛ばした。
八本あると言われた避難路。把握している二か所を回ったが結果は同じ。
しっかりと埋め戻され、通路は塞がれていた。
あからさまに不機嫌な顔を見せるドルチェナにロクが嘆息する。
「そうカリカリするな。まだ避難路は残っておろうが」
「ああ? どこも一緒よ。向こうもバカじゃないって事でしょう。使われた二本だけ埋めるなんて事はしない。埋めるなら全部埋める」
「だがよ、全部埋めたらいざという時逃げられねえぞ」
「そうだな⋯⋯」
ドルチェナが逡巡する。
一度、避難路を使われた。
摂政のロブは用心深い、全部埋めるよな。
用心深い⋯⋯。
避難路は確保するはずだ、とすると⋯⋯新しい避難路を作る。
これだけの工事をそう短時間で完了するとは思えない。
今はまだ工事中か? 突貫で工事したとしても近々まで行っていたはず。
「ロク、街行って穴掘りの工事がないか探ってこい。ドワーフが穴掘り探してもそうそう怪しまれんだろ」
「構わんが、なんでじゃ?」
「新しい避難路を作っているはずだ。工事場所だけでも分かれば避難路が分かる。最近まで施工していたでもいい、突貫なら終わっている可能性もある」
「なるほど」
「シモーネが街を探っている。シモーネと合流して現場のおやじ達が立ち寄りそうな店をまずは探せ」
「ヌシは?」
「一旦戻ってこの事をマッシュに報告して⋯⋯く⋯⋯る⋯⋯」
頬を赤らめて俯くドルチェナに、ロクは盛大な溜め息をついた。
しかし、言っていた通りなんもねえな。
【キルロメディシナ】をあとにしたリブロがブラブラとアルバの街を散策していた。
領民達の明るさが目に付くくらいで、取り留めて何もない。
あてもなくさ迷っていると、先ほど見かけた顔を見つけた。
「おーい! 兄ちゃん!」
「先ほどのお付きの方」
街のパトロールに当たっていたヨルセンを見つけた。
さわやかな笑顔でリブロの元へと駆け寄る。
「お付きじゃあねえよ、リブロだ。あんたはヨルセンって言ったっけ?」
「そうです。リブロさん? どうされました?」
「この街を案内してくんねえか?」
「パトロールしながらで良ければ構いませんよ」
「頼むよ」
リブロは白い歯を見せるとがっちりとヨルセンの肩を組んでいく。
狭い街をヨルセンが案内していく、リブロが興味深そうに説明に聞き入った。
「ここが兎人と小人族の居住区と両族が管理している畑です」
「へぇー、おおおお! ホントだ。話で聞いていたけど実際に見るとビビるな。おおー! 兎人のお姉さん方はかわいいなぁ~。おーい!」
リブロは満面の笑みで手を振った。
気が付いた兎人の女性が手を振り返す。
「おほー、手を振り返してくれたぞ。小人族もかわいいけどちょっと幼い感じだな。いやーかわいいなぁ。ヨルセンいいとこ連れて来た」
ヨルセンの肩をバシバシ叩き、上機嫌のリブロにヨルセンは苦笑いを浮かべる。
「あ! マナルさんだ。マナルさーん!」
「おー! なんだ! あのカワイ子ちゃんは!」
「ここの副大統領ですよ」
畑仕事に精をだしていたマナルがトツトツと駆け寄ってきた。
額の汗を拭いながら、ヨルセンに笑顔を返す。
「マナルさん、こちらは領主様お付きのリブロさんです」
「初めましテ。マナルでス」
「お付きじゃねえ! ⋯⋯が、どうもどうも、こんなべっぴんさんに会えるなんて、あいつに着いてきて良かった」
「大げさな方ですネ」
マナルはにっこりと微笑みかけた。
しかし、こんなカワイ子ちゃんが副大統領とはね。
見かけによらずしっかりしているのか。
「キルロさんハ、どうされているのですカ?」
「大統領と話し込んでいるよ。なんか、難しい話ばっかで飽きたから出て来ちまった」
「そうなのですネ」
「なぁ、ひとつ聞いていいか? あの兄ちゃんは何者なんだ?」
「何者? ですカ??」
マナルが難しい顔で逡巡した。
おおよそ答えの出ないその問いに、明確な答えは見つけられない。
それでも何かいい答えがないか模索する。
「キルロさンはキルロさンです。きっと世界でイチ番のお人好しでス」
そう言ってマナルはにっこり笑った。
ヨルセンも隣でマナルの言葉に頷く。
「お人好しねえ⋯⋯」
リブロは顎に手をやり苦い表情を見せた。
そんなんで大丈夫なのか? 相変わらず掴みどころがわからねえ。
「マナルちゃん、ありがとね~。またねー!」
「はイ」
マナルに手を振り別れた、兎人や小人族が普通に存在している街か。
ヨルセンの案内でまた歩き出す、突貫工事で作ったとおぼしき建物が並ぶ、剝き出しの木材やレンガが目立つ。
そうかといって汚い感じはしない、雑多な感じは否めないが不思議と不潔な感じはしなかった。
「兎人はいたが、獣人が少ねえな。あんましいねえのか?」
「私達みたいに移住してきた者は多分いないです。元々ここにいた方だけでしょうね。ここはスラム街でしたから」
「そうなのか。そうは見えなかったな⋯⋯」
街を見渡す、高級な街並みとはお世辞にも言えないが、スラムだったようには見えねえな。
うん?! なんだ?
リブロの視線の先に俯き加減で歩く猫人が映った。
じっと猫人の動向を見つめる。
「ヨルセン、あんたここの衛兵だよな。あの猫人に見覚えあるか?」
リブロの真剣な声色にヨルセンの目も厳しくなる、視線の先に猫人を捉える。
「見ない顔ですね」
「そうか、何しているんだろうな。ヨルセン聞いて来いよ」
「そうですね」
ヨルセンが足早に猫人に駆け寄った、リブロもすぐに動く。
「ちょっといいかな? 見ない顔だな、ここで何をしている?」
ヨルセンの呼びかけに一瞬体を強張らせた。
平静を装い振り返る。
「特に何も、散歩だよ」
薄ら笑いを浮かべる猫人にヨルセンは鋭い視線を投げ掛ける。
「なんだったら、一緒に散歩しようか? ひとり案内中だから、もうひとり増えたところで問題ないぞ」
「いいよ、そんなの。ほっといてくれよ」
「あなた、見ない顔ですね。どこの方ですか? 散歩しにわざわざこんな所に来ないでしょう?」
ヨルセンの目つきが鋭く睨む、猫人は舌打ちをひとつしてヨルセンに背を向けるといきなりダッシュする。
狭い通りを駆け抜けていると建物の間からふいに男が飛び出した。
「はいはい、予想通りってやつだ」
目の前にリブロが立ちはだかる、猫人は急停止を掛けたが、勢いは止まらない。
足元は滑るようにリブロへと接近していく。
「うがっあ!」
猫人は後ろからの衝撃に呻きを上げた。
もんどり打って前のめりに倒れ込む。
猫人の背中にヨルセンが馬乗りになっていた。
逃げ出そうと必死にもがく姿へリブロはしゃがみ込み、猫人の前髪を片手でむんずと掴むと頭を引き上げる。
「さあて、どうしようか? 何しようとしたんだ? うん? 素直に言えや」
「離せ!」
ドガっ!
猫人の顔面を地面に叩きつけた。
潰れた鼻から血がボタボタと落ちていく。
「なんだ、まずは口の聞き方から教えなくちゃならねえのか? 面倒だな」
「は、話します! 話します!」
「最初からそう言えばいいのに。お兄さんは優しいから、ちゃんと話し聞いてあげるよ」
リブロはヨルセンへ目で合図を送る。
ヨルセンはひとつ頷くと腰に携えていた縄紐で猫人の手首と足首を縛り上げる。
「んじゃまあ、ゆっくり話しを聞こうか」
リブロは猫人の肩を抱き耳元で囁いた。
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