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鍛冶師と調教師と白蛇
鍛冶師と蛇との初採取
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小さめの擂り鉢状の溶鉱炉に火を灯し、空気を流しこむとゴゥっと熱が上がる。
火を安定させハイミスリルから不純物を取り除き純粋な金属片へと加工していく。
「キノ、危ないからそこで大人しくしてるんだぞ」
不純物を酸化させミスリル本体は酸化させないようにタイミングを計る、繊細に大胆に作業を進めていくとゴーグルをはめた顔から汗がしたたり落ちる。
集中とセンスを問う瞬間を向かえる。
溜まっていた鍛冶仕事をこなす日常。
キノを連れ回す姿もご近所では見慣れた風景の一部となり過ごしやすくなった。
子供達は恐る恐る近づいて興味深そうにキノを眺めたり、触りたいのかもじもじしている。
“叩いちゃダメだぞ”というと恐る恐る撫で始めた。
キノも大人しく撫でられているので大丈夫だろう。
早く借金を返したいしもう少し素材が欲しいしどうすべきか思案する。
とりあえずキノを連れてかないと不安だし(過保護)近場から採取始めてみるか。
早速、装備を整え街から近いもっともポピュラーな採取場をキノと一緒に目指した。
木洩れ日の間を抜けて行くと森はどんどんと深くなり湿り気を帯びた空気が鼻腔をくすぐる。
緑が深くなるにつれモンスターとエンカウントが徐々に増えていく。
現れるモンスターにキノが牙を剥くとあっという間に屠っていき白目を向くモンスターの数が増えていくだけだった。
この辺では敵なしなんじゃないかこれ。
剣を構える頃にはもう終了、出る幕なしだ。
「つえーなー」
“そらぁそうか、レギスボアズの群れ一喝だもんな”
難なく採取場に到着しいつも通り廻りに警戒しながらゴーグルを装着し岩肌を撫でると握りしめたピッケルで削り始めた。
しばらくするとキノが鎌首を上げ左手を警戒する姿が目に入った。
「なんかいる? のか?」
目を凝らしても何も見えない。
また採取に戻るとキノが突っついてくる。
左方を向いて必死に何かをアピールしてきた。
目を凝らして見ると灰色の長い毛を纏う100Mc程のダイアウルフが三匹こちらを獲物と見定め向かって来るのが目に入った。
「キノ、ナイスだ」
この距離なら迎え撃ちができる。
バッグパックを下ろし背中の剣を抜刀、キノと共にゆっくりと構えた。
獲物を見据えた鋭い目つきで力強く地を蹴り突進を見せる。
俊敏で2~5匹程の小さい群れを作り狩りをし、弱いものからその鋭い犬歯と牙で襲うと言う。
ぐっと剣を握る手に力を込めキノの方を警戒する………
その一瞬の判断の誤りが形勢を逆転させてしまった。
狙われたのはキルロだった。
「?!」
唸りを上げる三匹が一斉に頭、腹、足へと同時に襲ってきた。
頭は剣を歯牙に咬ませそのままの勢いで地面へと叩きつける。
腹は左手の篭手に備えたラウンド形の小盾で素早く腹部をカバーすると鈍い音を立てダイアウルフは弾かれ地面に跳ねる。
上半身は防げたが下半身は無防備な状態となる。
右のスネに目標を定めた三匹目のダイアウルフが鋭い牙と犬歯を剥き出しで唸ると本能のままに突っ込んできていた。
右足の肉を抉られるのを覚悟する。
その瞬間キノが勢いを持ってダイアウルフの腹へと体当たりし突き飛ばす。
無防備な腹へ体当たりされ地面に転がるダイアウルフに出来た一瞬をキルロは見逃さなかった、踏ん張っていた足をバネにして転がっていくダイアウルフに斬りかかる。
キノはキルロが弾き返した二匹を牽制すべくキルロと二匹の間に割って入り犬歯を剥き出しにして唸る二匹が近づけぬよう睨みをきかせ牽制した。
両手で握った剣が柔らかい筋肉の首元を一刀両断すると断末魔を上げることもなく断面から血を吹き出し体と首が二つに分かれ足元の血の海に沈む。
まずは一匹
すぐさま唸りを上げている二匹と対峙しているキノの側に立つ。
二匹と二人が対峙すると転がってきた骸にダイアウルフが少しひるんだ。
その姿を見逃さずキノがすかさず飛び込む。
それを見たキルロがアシストするかようにもう一匹へ剣を振りかざす。
キノは腹部へ一直線に飛び込むと胴の部分へ巻きついた。
自分の攻撃が届かない所に飛び込まれたダイアウルフは軽いパニックを起こす。
仰向けに倒れ込み体ごと地面へキノを叩きつけようと試みる。
叩きつけようと首をもたげた瞬間キノはその無防備な首元へ牙を剥き、喉元を噛み切る。
その横でキルロがもう一匹の首を一刀両断すると灰色の毛が真っ赤に染まった骸が三つ地面へと転がった。
「やったな、キノ」
満面の笑みでキノの頭を撫でた。
キノも嬉しそうに見える。
普段だったら2~3人組のパーティーでも手こずる時がある相手をあっという間に片付けてしまったのだ。
ちょっと危なかったけど。
採取に戻り予定通り鉄鉱石やミスリルを削りだし街へと帰還する。
ダイアウルフの毛皮を三匹分手に入ったのは嬉しい誤算だ。
街に戻るとその足で街の中心にあるギルド本部へ毛皮の換金へ向かう。
ギルド本部は八角形の巨大な建物で入口が8ヵ所あり各入口が各部署に直結し効率良く作業が進むようになっている。
冒険系クエスト、素材の買い取り、衣食住系の仲介卸など生活に関わるあらゆる事柄、全てを取り扱っている。
個人の向けのものから大口のソシエタスへの受注発注など規模も様々だ。
ソシエタスも冒険に特化した所や農業など衣食住に特化したソシエタス、冒険から農業それこそ鍛冶などあらゆる分野を網羅している大型のソシエタスなど大小様々存在する。
キルロの場合ソシエタスには加入せず個人で鍛冶屋を営んでいるのでたまに仕事が途切れるとギルドに顔出し鍛冶系の注文やちょっとした採取や簡単な討伐クエストがないかチェックしに訪れていた。
換金がてら手頃な発注かクエストがないかチェックしてみたが目星いものはなし。
換金だけ済まして帰路についた。
ご近所以上に中心街の白蛇連れは目立つ。
ヒューマンや獣人系やエルフ、ドワーフなど様々な人種が歩いているが白蛇を連れてる人はいない。
ご近所ほど奇異な目で見られないが何やら周りがコソコソ話してるのは聞こえてないフリをしてやり過ごそう。
気にしていたら切りがない。
家に着き今日の戦利品を並べ整理を始めた。
“思ってた以上にスムーズな採取が出来たな”
毛皮は一枚残しておきたかったが背に腹は代えられない。
ミスリルや鉄鉱石と共に希少なコーラリウムが手に入った。
武器や防具としては使えないがミスリルと並び魔力に影響を与えることが出来る使い勝手の良い石だ。
ソーサラーの使う杖などに使えば術者の補助として活躍出来る。
“でも、ソーサラーの仕事あんまし鍛冶屋にこないんだよな”
杖系は鍛冶屋ではなく魔法アイテムを取り扱う魔術屋のほうが明らかに豊富だ。
“場合に寄っては魔術屋に売るかギルド通すより高く売れそうだしな”とコーラリウムを手のひらで転がしながら思い耽った。
火を安定させハイミスリルから不純物を取り除き純粋な金属片へと加工していく。
「キノ、危ないからそこで大人しくしてるんだぞ」
不純物を酸化させミスリル本体は酸化させないようにタイミングを計る、繊細に大胆に作業を進めていくとゴーグルをはめた顔から汗がしたたり落ちる。
集中とセンスを問う瞬間を向かえる。
溜まっていた鍛冶仕事をこなす日常。
キノを連れ回す姿もご近所では見慣れた風景の一部となり過ごしやすくなった。
子供達は恐る恐る近づいて興味深そうにキノを眺めたり、触りたいのかもじもじしている。
“叩いちゃダメだぞ”というと恐る恐る撫で始めた。
キノも大人しく撫でられているので大丈夫だろう。
早く借金を返したいしもう少し素材が欲しいしどうすべきか思案する。
とりあえずキノを連れてかないと不安だし(過保護)近場から採取始めてみるか。
早速、装備を整え街から近いもっともポピュラーな採取場をキノと一緒に目指した。
木洩れ日の間を抜けて行くと森はどんどんと深くなり湿り気を帯びた空気が鼻腔をくすぐる。
緑が深くなるにつれモンスターとエンカウントが徐々に増えていく。
現れるモンスターにキノが牙を剥くとあっという間に屠っていき白目を向くモンスターの数が増えていくだけだった。
この辺では敵なしなんじゃないかこれ。
剣を構える頃にはもう終了、出る幕なしだ。
「つえーなー」
“そらぁそうか、レギスボアズの群れ一喝だもんな”
難なく採取場に到着しいつも通り廻りに警戒しながらゴーグルを装着し岩肌を撫でると握りしめたピッケルで削り始めた。
しばらくするとキノが鎌首を上げ左手を警戒する姿が目に入った。
「なんかいる? のか?」
目を凝らしても何も見えない。
また採取に戻るとキノが突っついてくる。
左方を向いて必死に何かをアピールしてきた。
目を凝らして見ると灰色の長い毛を纏う100Mc程のダイアウルフが三匹こちらを獲物と見定め向かって来るのが目に入った。
「キノ、ナイスだ」
この距離なら迎え撃ちができる。
バッグパックを下ろし背中の剣を抜刀、キノと共にゆっくりと構えた。
獲物を見据えた鋭い目つきで力強く地を蹴り突進を見せる。
俊敏で2~5匹程の小さい群れを作り狩りをし、弱いものからその鋭い犬歯と牙で襲うと言う。
ぐっと剣を握る手に力を込めキノの方を警戒する………
その一瞬の判断の誤りが形勢を逆転させてしまった。
狙われたのはキルロだった。
「?!」
唸りを上げる三匹が一斉に頭、腹、足へと同時に襲ってきた。
頭は剣を歯牙に咬ませそのままの勢いで地面へと叩きつける。
腹は左手の篭手に備えたラウンド形の小盾で素早く腹部をカバーすると鈍い音を立てダイアウルフは弾かれ地面に跳ねる。
上半身は防げたが下半身は無防備な状態となる。
右のスネに目標を定めた三匹目のダイアウルフが鋭い牙と犬歯を剥き出しで唸ると本能のままに突っ込んできていた。
右足の肉を抉られるのを覚悟する。
その瞬間キノが勢いを持ってダイアウルフの腹へと体当たりし突き飛ばす。
無防備な腹へ体当たりされ地面に転がるダイアウルフに出来た一瞬をキルロは見逃さなかった、踏ん張っていた足をバネにして転がっていくダイアウルフに斬りかかる。
キノはキルロが弾き返した二匹を牽制すべくキルロと二匹の間に割って入り犬歯を剥き出しにして唸る二匹が近づけぬよう睨みをきかせ牽制した。
両手で握った剣が柔らかい筋肉の首元を一刀両断すると断末魔を上げることもなく断面から血を吹き出し体と首が二つに分かれ足元の血の海に沈む。
まずは一匹
すぐさま唸りを上げている二匹と対峙しているキノの側に立つ。
二匹と二人が対峙すると転がってきた骸にダイアウルフが少しひるんだ。
その姿を見逃さずキノがすかさず飛び込む。
それを見たキルロがアシストするかようにもう一匹へ剣を振りかざす。
キノは腹部へ一直線に飛び込むと胴の部分へ巻きついた。
自分の攻撃が届かない所に飛び込まれたダイアウルフは軽いパニックを起こす。
仰向けに倒れ込み体ごと地面へキノを叩きつけようと試みる。
叩きつけようと首をもたげた瞬間キノはその無防備な首元へ牙を剥き、喉元を噛み切る。
その横でキルロがもう一匹の首を一刀両断すると灰色の毛が真っ赤に染まった骸が三つ地面へと転がった。
「やったな、キノ」
満面の笑みでキノの頭を撫でた。
キノも嬉しそうに見える。
普段だったら2~3人組のパーティーでも手こずる時がある相手をあっという間に片付けてしまったのだ。
ちょっと危なかったけど。
採取に戻り予定通り鉄鉱石やミスリルを削りだし街へと帰還する。
ダイアウルフの毛皮を三匹分手に入ったのは嬉しい誤算だ。
街に戻るとその足で街の中心にあるギルド本部へ毛皮の換金へ向かう。
ギルド本部は八角形の巨大な建物で入口が8ヵ所あり各入口が各部署に直結し効率良く作業が進むようになっている。
冒険系クエスト、素材の買い取り、衣食住系の仲介卸など生活に関わるあらゆる事柄、全てを取り扱っている。
個人の向けのものから大口のソシエタスへの受注発注など規模も様々だ。
ソシエタスも冒険に特化した所や農業など衣食住に特化したソシエタス、冒険から農業それこそ鍛冶などあらゆる分野を網羅している大型のソシエタスなど大小様々存在する。
キルロの場合ソシエタスには加入せず個人で鍛冶屋を営んでいるのでたまに仕事が途切れるとギルドに顔出し鍛冶系の注文やちょっとした採取や簡単な討伐クエストがないかチェックしに訪れていた。
換金がてら手頃な発注かクエストがないかチェックしてみたが目星いものはなし。
換金だけ済まして帰路についた。
ご近所以上に中心街の白蛇連れは目立つ。
ヒューマンや獣人系やエルフ、ドワーフなど様々な人種が歩いているが白蛇を連れてる人はいない。
ご近所ほど奇異な目で見られないが何やら周りがコソコソ話してるのは聞こえてないフリをしてやり過ごそう。
気にしていたら切りがない。
家に着き今日の戦利品を並べ整理を始めた。
“思ってた以上にスムーズな採取が出来たな”
毛皮は一枚残しておきたかったが背に腹は代えられない。
ミスリルや鉄鉱石と共に希少なコーラリウムが手に入った。
武器や防具としては使えないがミスリルと並び魔力に影響を与えることが出来る使い勝手の良い石だ。
ソーサラーの使う杖などに使えば術者の補助として活躍出来る。
“でも、ソーサラーの仕事あんまし鍛冶屋にこないんだよな”
杖系は鍛冶屋ではなく魔法アイテムを取り扱う魔術屋のほうが明らかに豊富だ。
“場合に寄っては魔術屋に売るかギルド通すより高く売れそうだしな”とコーラリウムを手のひらで転がしながら思い耽った。
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