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宣言と祭り(フィエスタ)
言い出せない言葉
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冷めない熱気に業を煮やし、キルロは腰を上げた。破壊された長椅子の残骸に手を掛け、取り急ぎ待合を機能させようと手を動かして行く。
野郎、絶対弁償させてやるからな。
砕けた長椅子の破片を手にしながら、キルロは悶々と怒りを溜め込んで行く。
その姿を見たニウダは、慌てた姿でキルロへと手を伸ばして行った。
「あ! やります、やります。休んでいて下さい」
「いいよ、こんくらいやるって」
「いや、休んでいて下さい。私達でやりますから」
うん? 私達? そんなキャラだったっけ??
聞いた事の無いニウダの口調に、キルロは首を傾げる。
ま、いいか。
入口から中を覗き込んでいる住人達に、笑顔を向けキルロは両手を広げて見せた。
「よし。調子の悪いやついるかぁ? ゴタゴタして悪かったな。すぐに診るぞ。さぁ! ささっと片付けて、仕事に戻ろう!」
キルロはパンパンと軽く手を打って、日常を取り戻して行く。従業員一同、キルロの掛け声に答え、業務へと戻って行った。
少しばかりの違和感を残し、日々は進んで行く。壊れた長椅子と、いるはずの大柄な猫人《キャットピープル》の姿が無い事に、触れる従業員も住人もいなかった。そこにあった触れる事の許されない空気感に、キルロも触れる事無く、日々の業務をいつものようにこなすだけ。
「お疲れさん! 何とか終わったな」
夕暮れを前にしてキルロの魔力切れと共に、【キルロメディシナ】は閉院となった。少しばかり歪んでしまった日常を、何とか平穏に終える。
「はい! お疲れ様でした!」
妙にハキハキと答えるニウダを、キルロは怪訝な表情で見つめて行く。
「ニウダ~。お前、そんなキャラじゃないだろう。何だってんだ一体」
「いやぁ⋯⋯」
口ごもるニウダの姿をキルロはさらに怪訝な表情で見つめた。
何を口ごもる? アイツらを追い返してからニウダの態度が豹変した。
何かを知っている⋯⋯何かを隠す?
回りくどいのは苦手だ。ここは単刀直入、真っ直ぐに訊くしかあるまい。
「なぁ、ニウダ。言いにくい事なのかも知れないが、知っているのなら教えてくれ。アイツらは何だ? 誰だ?」
ニウダは真っ直ぐに見つめるキルロの視線から、逃れる様に視線を外した。その姿は、アイツらを知っているという同意に他ならない。キルロはひとつ嘆息し、ニウダが口を開くのを黙って待った。
一瞬の間。
でも、キルロが待ったのはその一瞬だけ。ニウダはすぐにキルロに向き直し、口を開いて行く。
「彼らの名は知りません。ただ、オーカで高い地位についている人間であるのは、間違いありません」
「オーカ⋯⋯」
ニウダのしっかりとした口調。
キルロの心に引っ掛かった単語。オーカ。
ここヴィトリアからさらに西へと進んだ所にある資源の豊富な国。そして、先日マッシュの口からキナ臭い動きがあると聞いた国⋯⋯。
先日の【ヴィトーロインメディシナ】事務長死亡事件にまつわるゴタゴタ時に、クビを切った事務方のナンバー2、犬人のクック。その影がちらつく国オーカ。
これって偶然? 出来過ぎな話か?
昨日のカズナの言葉を思い出す。
ここは中央の息が掛かっている。裏に潜んでいたいヤツらが、率先して絡むとは思えない。マッシュの話と今のニウダの話は、とりあえず別として考えるべきか⋯⋯。
こういうのは苦手なんだよな。マッシュ来てくんねえかな。
ひとり大きく嘆息して、ニウダに向き直す。
「ヤクロウ様は⋯⋯」
言葉を紡ぎ始めたニウダに、キルロは驚愕の表情でニウダを見つめる。
ヤ、ヤクロウ様??!!
何を言っているのかキルロの理解を越えた物言いに、思考が思わず停止し掛けてしまった。
◇◇◇◇
コンコンと軽いノックの音に、ふたりは同時に顔を上げて行った。
客間を覗くハルの目に映ったのは、思いがけないふたりの姿。ただ、疲労は色濃く、何か良くない事が起こったのはすぐに理解した。
◇
扉が開くと、ハルさんは少し困った笑顔で立っていました。
いきなり何事って話ですよね。
「ハルさん、すいません。何も思いつかなくて⋯⋯その⋯⋯」
「あ、いいわよ。どうせまたあいつが、何か首を突っ込んだのでしょう」
ポンとハルさんは私の肩に手を置き、腰を下ろして行きます。一瞬見ただけで、そこまで分かるって凄いですよねって、感心している場合では無かったです。
ハルさんの青い瞳が優しく、私達を見つめます。その瞳に、私はようやくホッと安堵を覚えました。
「オレからもすまん。ヤクロウ・アキ、薬剤師だ」
「あなたが⋯⋯治療院の代表って話は聞いているわ。ハルヲンスイーバ・カラログース。ハルでいいわ。宜しく、ヤクロウ」
ハルさんは、困惑の笑顔で続けます。
「で、何がどうなっているの?」
「はい。突然【キルロメディシナ】に怪しい男達が現れて、ヤクロウさんを返せと。それを聞いたキルロさんは、彼らを追い返し、ヤクロウさんに隠れているようにと言われて⋯⋯いろいろ考えて⋯⋯みたのですけど⋯⋯何も思いつかなくて⋯⋯結局⋯⋯ここに⋯⋯」
「⋯⋯まったく」
ハルさんは苦笑いしながら、隣に座る私の頭をわしゃわしゃして来ました。怒ってはいないようなので、ひと安心です。
「あいつが、ここに連れて行けって言ったの?」
「い、いえ。す、すいません、私の独断で⋯⋯す」
「もう!」
ハルさんは、さらにわしゃわしゃして来ます。何だかちょっと嬉しそうなのは、何ででしょう?
「すまん。オレもその言葉に甘えた」
「何度も言うけど構わないわ。むしろ、状況を聞く限り最善だったんじゃない。で、ヤクロウは何で追われているの?」
ハルさんテーブルの上で指をトントンとし始めると、表情が鋭くなっていました。
その視線にヤクロウさんは頭を掻きながら、視線を逸らします。大きく溜め息をついて、諦めた様に口を開いて行きました。
「オーカって国は知っているだろう。裏通りのやつらは、ほとんどがオーカの人間だ。オレが手引きをして、あそこに連れ出している。オレを探しているヤツらは、そいつが面白くないのかも知らんな」
「オーカ⋯⋯ね。あいつもそれを知って、あなたを逃がしたって事?」
「あいつ? ああ、小僧か。いや、小僧は知らない」
「小僧? ああ、あいつの事か。また勘だけで動いたの!? まったく⋯⋯」
呆れ顔のハルさんは、ヤクロウさんの言葉をゆっくりと噛み締めていました。
オーカって場所から皆さんやって来たのですね。でも、あの人数をヤクロウさんがひとりで手引きしたって事でしょうか? だとしたら、凄いですよね。でも、何でわざわざ裏通りに引っ越したのでしょう?
「オレを突き出して終わるなら、それでいいんじゃねえのか? 迷惑なのは分かっているんだ」
諦めにも似た言葉にハルさんは睨んで見せました。
「別にあんたをひとり匿うのなんて迷惑でも何でも無いわよ。あんたはエレナの提案に乗った。それは、ここに来るのが今の段階では最善と考えたからでしょう。隠れる様に指示したあいつも、ここに連れて来たエレナも、きっと今の段階で最適解なのよ。でもさ、オーカって貧しい国だっけ? ウチのお客さんにも何人かいるけど、貧しいイメージって無いのよね」
「そうだな。油や石が取れるんで、国は潤っている。ただし、その富はある一定の層までしか恩恵に預かっていない。恩恵に預かれない層の生活は酷いもんだ」
「なるほどね。オーカには、そんな一面があるのね。あれ? でも待って、国にお金があるなら、物が無いって事は無い分けでしょう? 恩恵に預かれないってどういう事? 裏通りなんて物すら無いじゃない。裏通りに移ったら、オーカ以上に飢える可能性もあったんじゃないの?」
ハルさんの言葉にヤクロウさんは何だかやり辛そうに、頭を掻いていました。
「あいつらにとって、あそこでの暮らしは、オーカよりマシなんだよ」
「裏通りの方がマシ? 貧乏な場所なのに? 何だかピンと来ないわね。それに何であんたの家がバレなかったの? 真っ先にバレそうじゃない」
「余所者には、冷たいんだよ」
ヤクロウさんは溜め息混じりに私にも言った適当な言葉でやり過ごそうとします。ハルさんの青い瞳がヤクロウさんを射抜くと、バツが悪いのかヤクロウさんは視線を分かりやすく逸らしました。
パン!
ハルさんが手を鳴らすと、突然の破裂音にびっくりしたヤクロウさんが、ハルさんに向きます。
「腹の探り合いなんて意味無いわ。私達はあなたの味方。だからちゃんと話して。情報は多ければ多いほど武器になる。対処も出来る。でしょう? 話しなさいよ、隠す必要なんて無いのだから」
ハルさんの真剣な眼差しに、ヤクロウさんは逡巡する姿を見せています。私はテーブルの上に置かれていたヤクロウさんの手に、自身の手を重ねます。
「大丈夫ですよ、心配しないで下さい。ハルさんとキルロさんが、必ず良い解決方法をみつけますから、ヤクロウさんも協力して下さい」
「だぁ! クソ」
ヤクロウさんはまた頭をガシガシと搔きむしり、諦めの溜め息をついて見せました。
野郎、絶対弁償させてやるからな。
砕けた長椅子の破片を手にしながら、キルロは悶々と怒りを溜め込んで行く。
その姿を見たニウダは、慌てた姿でキルロへと手を伸ばして行った。
「あ! やります、やります。休んでいて下さい」
「いいよ、こんくらいやるって」
「いや、休んでいて下さい。私達でやりますから」
うん? 私達? そんなキャラだったっけ??
聞いた事の無いニウダの口調に、キルロは首を傾げる。
ま、いいか。
入口から中を覗き込んでいる住人達に、笑顔を向けキルロは両手を広げて見せた。
「よし。調子の悪いやついるかぁ? ゴタゴタして悪かったな。すぐに診るぞ。さぁ! ささっと片付けて、仕事に戻ろう!」
キルロはパンパンと軽く手を打って、日常を取り戻して行く。従業員一同、キルロの掛け声に答え、業務へと戻って行った。
少しばかりの違和感を残し、日々は進んで行く。壊れた長椅子と、いるはずの大柄な猫人《キャットピープル》の姿が無い事に、触れる従業員も住人もいなかった。そこにあった触れる事の許されない空気感に、キルロも触れる事無く、日々の業務をいつものようにこなすだけ。
「お疲れさん! 何とか終わったな」
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「はい! お疲れ様でした!」
妙にハキハキと答えるニウダを、キルロは怪訝な表情で見つめて行く。
「ニウダ~。お前、そんなキャラじゃないだろう。何だってんだ一体」
「いやぁ⋯⋯」
口ごもるニウダの姿をキルロはさらに怪訝な表情で見つめた。
何を口ごもる? アイツらを追い返してからニウダの態度が豹変した。
何かを知っている⋯⋯何かを隠す?
回りくどいのは苦手だ。ここは単刀直入、真っ直ぐに訊くしかあるまい。
「なぁ、ニウダ。言いにくい事なのかも知れないが、知っているのなら教えてくれ。アイツらは何だ? 誰だ?」
ニウダは真っ直ぐに見つめるキルロの視線から、逃れる様に視線を外した。その姿は、アイツらを知っているという同意に他ならない。キルロはひとつ嘆息し、ニウダが口を開くのを黙って待った。
一瞬の間。
でも、キルロが待ったのはその一瞬だけ。ニウダはすぐにキルロに向き直し、口を開いて行く。
「彼らの名は知りません。ただ、オーカで高い地位についている人間であるのは、間違いありません」
「オーカ⋯⋯」
ニウダのしっかりとした口調。
キルロの心に引っ掛かった単語。オーカ。
ここヴィトリアからさらに西へと進んだ所にある資源の豊富な国。そして、先日マッシュの口からキナ臭い動きがあると聞いた国⋯⋯。
先日の【ヴィトーロインメディシナ】事務長死亡事件にまつわるゴタゴタ時に、クビを切った事務方のナンバー2、犬人のクック。その影がちらつく国オーカ。
これって偶然? 出来過ぎな話か?
昨日のカズナの言葉を思い出す。
ここは中央の息が掛かっている。裏に潜んでいたいヤツらが、率先して絡むとは思えない。マッシュの話と今のニウダの話は、とりあえず別として考えるべきか⋯⋯。
こういうのは苦手なんだよな。マッシュ来てくんねえかな。
ひとり大きく嘆息して、ニウダに向き直す。
「ヤクロウ様は⋯⋯」
言葉を紡ぎ始めたニウダに、キルロは驚愕の表情でニウダを見つめる。
ヤ、ヤクロウ様??!!
何を言っているのかキルロの理解を越えた物言いに、思考が思わず停止し掛けてしまった。
◇◇◇◇
コンコンと軽いノックの音に、ふたりは同時に顔を上げて行った。
客間を覗くハルの目に映ったのは、思いがけないふたりの姿。ただ、疲労は色濃く、何か良くない事が起こったのはすぐに理解した。
◇
扉が開くと、ハルさんは少し困った笑顔で立っていました。
いきなり何事って話ですよね。
「ハルさん、すいません。何も思いつかなくて⋯⋯その⋯⋯」
「あ、いいわよ。どうせまたあいつが、何か首を突っ込んだのでしょう」
ポンとハルさんは私の肩に手を置き、腰を下ろして行きます。一瞬見ただけで、そこまで分かるって凄いですよねって、感心している場合では無かったです。
ハルさんの青い瞳が優しく、私達を見つめます。その瞳に、私はようやくホッと安堵を覚えました。
「オレからもすまん。ヤクロウ・アキ、薬剤師だ」
「あなたが⋯⋯治療院の代表って話は聞いているわ。ハルヲンスイーバ・カラログース。ハルでいいわ。宜しく、ヤクロウ」
ハルさんは、困惑の笑顔で続けます。
「で、何がどうなっているの?」
「はい。突然【キルロメディシナ】に怪しい男達が現れて、ヤクロウさんを返せと。それを聞いたキルロさんは、彼らを追い返し、ヤクロウさんに隠れているようにと言われて⋯⋯いろいろ考えて⋯⋯みたのですけど⋯⋯何も思いつかなくて⋯⋯結局⋯⋯ここに⋯⋯」
「⋯⋯まったく」
ハルさんは苦笑いしながら、隣に座る私の頭をわしゃわしゃして来ました。怒ってはいないようなので、ひと安心です。
「あいつが、ここに連れて行けって言ったの?」
「い、いえ。す、すいません、私の独断で⋯⋯す」
「もう!」
ハルさんは、さらにわしゃわしゃして来ます。何だかちょっと嬉しそうなのは、何ででしょう?
「すまん。オレもその言葉に甘えた」
「何度も言うけど構わないわ。むしろ、状況を聞く限り最善だったんじゃない。で、ヤクロウは何で追われているの?」
ハルさんテーブルの上で指をトントンとし始めると、表情が鋭くなっていました。
その視線にヤクロウさんは頭を掻きながら、視線を逸らします。大きく溜め息をついて、諦めた様に口を開いて行きました。
「オーカって国は知っているだろう。裏通りのやつらは、ほとんどがオーカの人間だ。オレが手引きをして、あそこに連れ出している。オレを探しているヤツらは、そいつが面白くないのかも知らんな」
「オーカ⋯⋯ね。あいつもそれを知って、あなたを逃がしたって事?」
「あいつ? ああ、小僧か。いや、小僧は知らない」
「小僧? ああ、あいつの事か。また勘だけで動いたの!? まったく⋯⋯」
呆れ顔のハルさんは、ヤクロウさんの言葉をゆっくりと噛み締めていました。
オーカって場所から皆さんやって来たのですね。でも、あの人数をヤクロウさんがひとりで手引きしたって事でしょうか? だとしたら、凄いですよね。でも、何でわざわざ裏通りに引っ越したのでしょう?
「オレを突き出して終わるなら、それでいいんじゃねえのか? 迷惑なのは分かっているんだ」
諦めにも似た言葉にハルさんは睨んで見せました。
「別にあんたをひとり匿うのなんて迷惑でも何でも無いわよ。あんたはエレナの提案に乗った。それは、ここに来るのが今の段階では最善と考えたからでしょう。隠れる様に指示したあいつも、ここに連れて来たエレナも、きっと今の段階で最適解なのよ。でもさ、オーカって貧しい国だっけ? ウチのお客さんにも何人かいるけど、貧しいイメージって無いのよね」
「そうだな。油や石が取れるんで、国は潤っている。ただし、その富はある一定の層までしか恩恵に預かっていない。恩恵に預かれない層の生活は酷いもんだ」
「なるほどね。オーカには、そんな一面があるのね。あれ? でも待って、国にお金があるなら、物が無いって事は無い分けでしょう? 恩恵に預かれないってどういう事? 裏通りなんて物すら無いじゃない。裏通りに移ったら、オーカ以上に飢える可能性もあったんじゃないの?」
ハルさんの言葉にヤクロウさんは何だかやり辛そうに、頭を掻いていました。
「あいつらにとって、あそこでの暮らしは、オーカよりマシなんだよ」
「裏通りの方がマシ? 貧乏な場所なのに? 何だかピンと来ないわね。それに何であんたの家がバレなかったの? 真っ先にバレそうじゃない」
「余所者には、冷たいんだよ」
ヤクロウさんは溜め息混じりに私にも言った適当な言葉でやり過ごそうとします。ハルさんの青い瞳がヤクロウさんを射抜くと、バツが悪いのかヤクロウさんは視線を分かりやすく逸らしました。
パン!
ハルさんが手を鳴らすと、突然の破裂音にびっくりしたヤクロウさんが、ハルさんに向きます。
「腹の探り合いなんて意味無いわ。私達はあなたの味方。だからちゃんと話して。情報は多ければ多いほど武器になる。対処も出来る。でしょう? 話しなさいよ、隠す必要なんて無いのだから」
ハルさんの真剣な眼差しに、ヤクロウさんは逡巡する姿を見せています。私はテーブルの上に置かれていたヤクロウさんの手に、自身の手を重ねます。
「大丈夫ですよ、心配しないで下さい。ハルさんとキルロさんが、必ず良い解決方法をみつけますから、ヤクロウさんも協力して下さい」
「だぁ! クソ」
ヤクロウさんはまた頭をガシガシと搔きむしり、諦めの溜め息をついて見せました。
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