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裏通りの薬剤師
嬉しい訪問と招かざる訪問
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グッタリと疲労が襲う夕方。患者さんのいなくなった待合で、長椅子に体を預けます。大きく息を吐き出し、今日一日を無事に乗り切れた安堵と、昨日とは違う達成感に天を仰ぎました。
「ふぅー」
「お嬢! お疲れ。お前さんのおかげで随分と助かった。やるじゃねえか!」
上機嫌のヤクロウさんが、バンバンと私の肩を叩いて来ました。
「ありがとうございます」
「この調子で明日も頼むぞ!」
「はい、お疲れ様でした」
ヤクロウさんを筆頭に、疲れた体を引きずる従業員の方々を見送ります。昨日から今日に掛けて相当ハードだったはずですが、皆さん泣き言など一切言わず業務に当たっていました。本当にお疲れ様です。
嬉しいけど、ヤクロウさんに叩かれた肩はちょっと痛いです。
でも、その痛さにやれたという実感が湧いて来ました。役に立てた事は素直に嬉しいです。
「さすが、エレナ。ハルヲに仕込まれているだけの事はあるなぁ」
「いえ、まだまだですよ」
そう。まだまだなのです。目標は未だ遥か彼方なのですよ。
コン! と、唐突に扉を叩く音。私達は怪訝な視線を扉に向けます。閉院を掲げているこんな時間に一体誰でしょう?
「キルロさン!」
「よう! マナル」
「え!? え? う、兎さん??」
誰も来ないと思っていた所にいきなりの登場です。し、しかも兎さん、兎人の方ですよ! 話では聞いていましたが、その立姿は凛として可愛いと言うより、綺麗な方。幼さが残る顔立ちなのに、美しい顔立ちをしていました。何だか現実感が薄くて、不思議な感じです。
長い耳にスラっと長い手足。小さな顔にまつ毛の長い、アーモンド形の紅い瞳。長い黒髪はサラサラと絹のごとく揺れ、薄く大きめの口は柔和な笑みを湛えていました。
「久しぶりだな、マナル。元気にしていたか? 会いに行きたいと思っていたんだけどさ、なかなか時間取れなくて。兎人のみんなも元気にやっているのか?」
「はイ! キルロさんも元気そうで良かったでス」
語尾に独特の発音がありました。お伽噺からまんま抜け出た美しい姿に思わず見惚れてしまいます。エルフとは違う、しなやかで柔らかな美しさです。
「エレナ、こっちはマナル・キカハ。見ての通り兎人だ。ここ、裏通りの一画に兎人の居住区があって、マナルはそこの取りまとめをしてくれているんだ」
「は、初めまして! エレナ・イルヴァンと言います」
「初めましテ。マナル・キカハでス」
私が焦りながら頭を下げると、マナルさんもゆっくりと頭を下げてくれました。
ホント綺麗な方ですね。気が付けば独特の美しい佇まいに視線が向いてしまいます。
「マナル、学校の方は順調か?」
「はイ。建物はもうほぼほぼ完成でス⋯⋯たダ⋯⋯」
「何だ? 何か問題でも?」
「教師を含めた職員の目処が付かなくテ⋯⋯」
「ここでも人材不足か~」
裏通りに学校? 何だかもう裏通りと言うには、充実し過ぎていませんか?
学校か⋯⋯。
今となっては、どんなものなのか行ってみたかったかも知れませんね。
「学校ってどんな所なのでしょウ? 作っておきながら、どんな所なのか想像も出来ませン。機会があったなら行ってみたかったですネ」
「あ! マナルさんもですか。私も行ってみたかったです」
「ええ~オレはいいや。もう勉強なんてしたくないよ」
「フフ、らしいですネ」
「ですね」
顔をしかめるキルロさんにマナルさんと笑い合ってしまいました。あまりにもキルロさんらしくて。
「カズナは元気か?」
「はイ。畑を作ったり、狩りに行ったりしています」
「カズナさん?」
「マナルと一緒に、兎人の取りまとめをしてくれているマナルの恋人だ。これがなかなか強くてな、マナルと同じく頼りにしているんだよ」
「そうなのですね」
「近いうちに挨拶に伺うのデ、エレナさん宜しくお願いしまス。愛想は無いですガ、悪い人ではありませんのデ」
「わ、わかりました」
ひと仕事終え、のんびりとした時間が心地良いです。マナルさんの明るい声色も相まって、とても幸せで贅沢な時間に感じました。
今日の調子で続ければ、明日はもっと効率良く行けるはずです。診療の流れに目処がついて本当に良かった。
「さて、ウチらも帰るか」
「はい⋯⋯あ!」
いつも持ち歩くメモ帳を使ったまま、調剤室に置きっぱなしでした。
「すいません、忘れ物したので取って来ます」
「おう」
「キノも行くー」
陽も落ちて、だいぶ暗くなってきました。半ば手探りで、調剤室を探します。夜目が効くとはいえ、調剤の為にカーテンでしっかりと遮光されているので、なかなか難儀します。
「あった。キノ、あったよ。帰ろう」
「あいあーい」
階段を駆け下りて行くと、見知らぬ声が届きます。その低い声からはとてもイヤな感じが伝わって来ました。キノが私の袖を引き、制止します。階段からそっと覗くと、赤いマントを羽織る小さな男が、ふたりの獣人を従えてキルロさん達と対峙していました。薄い笑みを浮かべる男の人は、キルロさん達を舐めて掛かっています。
すっごい、イヤな感じです。
「ヤクロウ・アキはいるか?」
ヤクロウさん??
その風貌には似つかわしくない低い声で、小さな男は問い掛けます。その問い掛けに、待合の空気は一気にヒリついて行きました。
キルロさんは私達の気配に気づいた様子で、後ろ手に待てと指示をくれます。
一触即発とも言えるピリピリとした空気に、私の心臓は否が応なしにドクンと高鳴りを見せました。
一体誰ですかね? 小さな胸を張り、派手な装飾で必死に威厳を保とうとしているのが分かります。その姿から、ここの住人でないのは間違い無いですよね。視線の動かし方からも分かる不遜な態度。
キルロさんの背中からは、怒りに似た熱を感じます。マナルさんの背中からは、不安な空気を感じ取れました。間違い無く、招かざる客だと分かります。
「ヤクロウ何? 誰? 知らねえな。他を当たれ」
キルロさんの冷めた返答に、小さな男はゆっくりと後ろで手を組んで行きます。表情は変えず、低い声で静かに続けました。
「はぁ~。わざわざ臭い連中に聞いてまで、ここに来たんだぞ。隠すなら、もっと上手く隠さんとな」
キルロさんの熱が上がります。マナルさんも、失礼な物言いに厳しい横顔を見せていました。
「知らねえものは知らねえ、ここはもう終わりだ、帰れ」
キルロさんは怒りを押し殺し、淡々と告げます。
長椅子を挟んでしばらく睨み合っていましたが、小さな男はわざとらしく大きく息を吐き出して見せました。
「⋯⋯珍しいな。ここには兎もいるのか。兎、お前も知らぬか?」
「いい加減にしろ。ここはオレの治療院だ。いねえものは、いねえ。知らねえものは、知らねえ。分かったか。カ・エ・レ!」
キルロさんの語尾は強くなり、出口を指差します。小さな男は、その指先を一瞥する事も無く、肩を軽く落として見せました。
「まぁ、いい。こんな臭い所に長居は御免被る。お前達、行くぞ」
小さな男は大仰にマントをひるがえし、獣人を従えて出口をあとにして行きました。
ふたりの背中から怒りをひしひしと感じます。きっと、大切な街と大切な人達に対する不躾な言葉が、ふたりの琴線に触れたのだと思います。
「エレナ、まだ隠れていろ」
扉が閉まるのを確認して、キルロさんは小声で告げます。私は下りかけた足を止め、階段に静かに腰を下ろします。
出口を睨んだままのキルロさん。前を向いたまま微動だにしません。
「オレは念の為、マナルを送って来る。エレナ達はしばらくここに隠れていろ」
「分かりました」
「あいあーい」
「マナル、カズナに会えるかな? この事を伝えておきたいんだが⋯⋯」
「大丈夫でス。もう、家にいるはずでス」
キルロさんは黙って頷きます。先程までの緊張は未だに解けず、ヒリついたままの空気が待合を覆っていました。
「エレナ、オレ達がここから出たら、しばらく待って、ここを出るんだ。それと、ふたりに頼みがある」
キルロさんがこちらに振り返ります。表情は厳しく、凄く警戒しているのが分かりました。
「頼み? 何でしょうか?」
「街の中心から西に逸れた所に、緑と青のテントが目印の家がある。暗くて見辛いかも知れないが、そこがヤクロウの家だ。しばらく治療院には顔を出さず、身を隠すように伝えてくれ。キノ、エレナを守ってくれ。ふたりとも頼んだぞ」
「はい」
私はすぐに返事をします。キルロさんとマナルさんはすぐに出口から、街中へと消えて行きました。
何が一体起きているのか、起ころうとしているのか、今の時点では誰にも分かりません。ただ、ヤクロウさんを軸にして何かが動き始めたのは、キルロさんと小さな男のやり取りから、私でも分かりました。
「ふぅー」
「お嬢! お疲れ。お前さんのおかげで随分と助かった。やるじゃねえか!」
上機嫌のヤクロウさんが、バンバンと私の肩を叩いて来ました。
「ありがとうございます」
「この調子で明日も頼むぞ!」
「はい、お疲れ様でした」
ヤクロウさんを筆頭に、疲れた体を引きずる従業員の方々を見送ります。昨日から今日に掛けて相当ハードだったはずですが、皆さん泣き言など一切言わず業務に当たっていました。本当にお疲れ様です。
嬉しいけど、ヤクロウさんに叩かれた肩はちょっと痛いです。
でも、その痛さにやれたという実感が湧いて来ました。役に立てた事は素直に嬉しいです。
「さすが、エレナ。ハルヲに仕込まれているだけの事はあるなぁ」
「いえ、まだまだですよ」
そう。まだまだなのです。目標は未だ遥か彼方なのですよ。
コン! と、唐突に扉を叩く音。私達は怪訝な視線を扉に向けます。閉院を掲げているこんな時間に一体誰でしょう?
「キルロさン!」
「よう! マナル」
「え!? え? う、兎さん??」
誰も来ないと思っていた所にいきなりの登場です。し、しかも兎さん、兎人の方ですよ! 話では聞いていましたが、その立姿は凛として可愛いと言うより、綺麗な方。幼さが残る顔立ちなのに、美しい顔立ちをしていました。何だか現実感が薄くて、不思議な感じです。
長い耳にスラっと長い手足。小さな顔にまつ毛の長い、アーモンド形の紅い瞳。長い黒髪はサラサラと絹のごとく揺れ、薄く大きめの口は柔和な笑みを湛えていました。
「久しぶりだな、マナル。元気にしていたか? 会いに行きたいと思っていたんだけどさ、なかなか時間取れなくて。兎人のみんなも元気にやっているのか?」
「はイ! キルロさんも元気そうで良かったでス」
語尾に独特の発音がありました。お伽噺からまんま抜け出た美しい姿に思わず見惚れてしまいます。エルフとは違う、しなやかで柔らかな美しさです。
「エレナ、こっちはマナル・キカハ。見ての通り兎人だ。ここ、裏通りの一画に兎人の居住区があって、マナルはそこの取りまとめをしてくれているんだ」
「は、初めまして! エレナ・イルヴァンと言います」
「初めましテ。マナル・キカハでス」
私が焦りながら頭を下げると、マナルさんもゆっくりと頭を下げてくれました。
ホント綺麗な方ですね。気が付けば独特の美しい佇まいに視線が向いてしまいます。
「マナル、学校の方は順調か?」
「はイ。建物はもうほぼほぼ完成でス⋯⋯たダ⋯⋯」
「何だ? 何か問題でも?」
「教師を含めた職員の目処が付かなくテ⋯⋯」
「ここでも人材不足か~」
裏通りに学校? 何だかもう裏通りと言うには、充実し過ぎていませんか?
学校か⋯⋯。
今となっては、どんなものなのか行ってみたかったかも知れませんね。
「学校ってどんな所なのでしょウ? 作っておきながら、どんな所なのか想像も出来ませン。機会があったなら行ってみたかったですネ」
「あ! マナルさんもですか。私も行ってみたかったです」
「ええ~オレはいいや。もう勉強なんてしたくないよ」
「フフ、らしいですネ」
「ですね」
顔をしかめるキルロさんにマナルさんと笑い合ってしまいました。あまりにもキルロさんらしくて。
「カズナは元気か?」
「はイ。畑を作ったり、狩りに行ったりしています」
「カズナさん?」
「マナルと一緒に、兎人の取りまとめをしてくれているマナルの恋人だ。これがなかなか強くてな、マナルと同じく頼りにしているんだよ」
「そうなのですね」
「近いうちに挨拶に伺うのデ、エレナさん宜しくお願いしまス。愛想は無いですガ、悪い人ではありませんのデ」
「わ、わかりました」
ひと仕事終え、のんびりとした時間が心地良いです。マナルさんの明るい声色も相まって、とても幸せで贅沢な時間に感じました。
今日の調子で続ければ、明日はもっと効率良く行けるはずです。診療の流れに目処がついて本当に良かった。
「さて、ウチらも帰るか」
「はい⋯⋯あ!」
いつも持ち歩くメモ帳を使ったまま、調剤室に置きっぱなしでした。
「すいません、忘れ物したので取って来ます」
「おう」
「キノも行くー」
陽も落ちて、だいぶ暗くなってきました。半ば手探りで、調剤室を探します。夜目が効くとはいえ、調剤の為にカーテンでしっかりと遮光されているので、なかなか難儀します。
「あった。キノ、あったよ。帰ろう」
「あいあーい」
階段を駆け下りて行くと、見知らぬ声が届きます。その低い声からはとてもイヤな感じが伝わって来ました。キノが私の袖を引き、制止します。階段からそっと覗くと、赤いマントを羽織る小さな男が、ふたりの獣人を従えてキルロさん達と対峙していました。薄い笑みを浮かべる男の人は、キルロさん達を舐めて掛かっています。
すっごい、イヤな感じです。
「ヤクロウ・アキはいるか?」
ヤクロウさん??
その風貌には似つかわしくない低い声で、小さな男は問い掛けます。その問い掛けに、待合の空気は一気にヒリついて行きました。
キルロさんは私達の気配に気づいた様子で、後ろ手に待てと指示をくれます。
一触即発とも言えるピリピリとした空気に、私の心臓は否が応なしにドクンと高鳴りを見せました。
一体誰ですかね? 小さな胸を張り、派手な装飾で必死に威厳を保とうとしているのが分かります。その姿から、ここの住人でないのは間違い無いですよね。視線の動かし方からも分かる不遜な態度。
キルロさんの背中からは、怒りに似た熱を感じます。マナルさんの背中からは、不安な空気を感じ取れました。間違い無く、招かざる客だと分かります。
「ヤクロウ何? 誰? 知らねえな。他を当たれ」
キルロさんの冷めた返答に、小さな男はゆっくりと後ろで手を組んで行きます。表情は変えず、低い声で静かに続けました。
「はぁ~。わざわざ臭い連中に聞いてまで、ここに来たんだぞ。隠すなら、もっと上手く隠さんとな」
キルロさんの熱が上がります。マナルさんも、失礼な物言いに厳しい横顔を見せていました。
「知らねえものは知らねえ、ここはもう終わりだ、帰れ」
キルロさんは怒りを押し殺し、淡々と告げます。
長椅子を挟んでしばらく睨み合っていましたが、小さな男はわざとらしく大きく息を吐き出して見せました。
「⋯⋯珍しいな。ここには兎もいるのか。兎、お前も知らぬか?」
「いい加減にしろ。ここはオレの治療院だ。いねえものは、いねえ。知らねえものは、知らねえ。分かったか。カ・エ・レ!」
キルロさんの語尾は強くなり、出口を指差します。小さな男は、その指先を一瞥する事も無く、肩を軽く落として見せました。
「まぁ、いい。こんな臭い所に長居は御免被る。お前達、行くぞ」
小さな男は大仰にマントをひるがえし、獣人を従えて出口をあとにして行きました。
ふたりの背中から怒りをひしひしと感じます。きっと、大切な街と大切な人達に対する不躾な言葉が、ふたりの琴線に触れたのだと思います。
「エレナ、まだ隠れていろ」
扉が閉まるのを確認して、キルロさんは小声で告げます。私は下りかけた足を止め、階段に静かに腰を下ろします。
出口を睨んだままのキルロさん。前を向いたまま微動だにしません。
「オレは念の為、マナルを送って来る。エレナ達はしばらくここに隠れていろ」
「分かりました」
「あいあーい」
「マナル、カズナに会えるかな? この事を伝えておきたいんだが⋯⋯」
「大丈夫でス。もう、家にいるはずでス」
キルロさんは黙って頷きます。先程までの緊張は未だに解けず、ヒリついたままの空気が待合を覆っていました。
「エレナ、オレ達がここから出たら、しばらく待って、ここを出るんだ。それと、ふたりに頼みがある」
キルロさんがこちらに振り返ります。表情は厳しく、凄く警戒しているのが分かりました。
「頼み? 何でしょうか?」
「街の中心から西に逸れた所に、緑と青のテントが目印の家がある。暗くて見辛いかも知れないが、そこがヤクロウの家だ。しばらく治療院には顔を出さず、身を隠すように伝えてくれ。キノ、エレナを守ってくれ。ふたりとも頼んだぞ」
「はい」
私はすぐに返事をします。キルロさんとマナルさんはすぐに出口から、街中へと消えて行きました。
何が一体起きているのか、起ころうとしているのか、今の時点では誰にも分かりません。ただ、ヤクロウさんを軸にして何かが動き始めたのは、キルロさんと小さな男のやり取りから、私でも分かりました。
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