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悲しみの淵
思い思われ
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「フィリシア、しっ!」
私はフィリシアの口元に人差し指を当てます。フィリシアの困惑はますます深まり、怪訝な瞳を私に向けていました。
唐突に裏戸が開き、姿を現したのは先程の狼人さんです。
(アルシュさん!)
私の囁き声にすぐに反応し、静かに駆け寄って来ました。
店の中に突然現れたアルシュさんの姿に、私は心底驚きましたが、アルシュさんも驚きを隠せないでいました。私を見つけるとすぐに離れた所へと目配せをし、私はすぐにフィリシアの腕を取りました。
(びっくりしたぞ。こんな所で何やっている?)
(ちょっと店探しをしていまして⋯⋯)
(店⋯⋯三日前に女が犬を連れて来た。関係ありそうか?)
私とフィリシアは顔を見合わせ、次の瞬間大きく頷いて見せます。
(分かった。今は時間が取れない⋯⋯夜、そっちの店に行こう。怪しまれるとマズイ、悪いが戻る)
(お願いします)
アルシュさんとの一瞬のやり取り。フィリシアはポカンと何が起こったのか分からず⋯⋯と、言いつつ私も何でアルシュさんが、あそこにいたのかは全く理解出来ませんが、とりあえず怪しまれないようにとすぐにこの場を後にしました。
足早に煤けた街並みを抜け、今や見慣れたミドラスの中心部へと辿り着きます。仕事を終えて帰りを急ぐ人の波に紛れると、少なかった口数も安堵から自然と増えて行きました。
「ちょっと、あのおっかない狼人は誰? 顔見知りみたいだったけど」
「あの人はアルシュさんって言って、この間、私を誘拐した人です」
「へぇ~⋯⋯⋯⋯う、うん?? ⋯⋯誘拐した!? ⋯⋯えっ! えっ! どういう事?」
「どうもこうも、私を攫った人ですよ。でも、大丈夫。いい方なのです」
「攫った? ⋯⋯いい人??」
フィリシアの脳内許容範囲は完全にオーバーしてしまい、頭から湯気が出ています。これ以上の言い方も説明も出来ないので仕方ないですよね。
【ハルヲンテイム】に戻り、同じ説明を繰り返します。皆さんの反応もフィリシアと同じで、首を傾げながら頭の中が『?』だらけになっているのが分かりました。
店の片付けも終わり、アルシュさんを待つだけの少しもどかしい時間。それを振り解く、ノックの音が裏口から聞こえました。
「よお。大丈夫か?」
「大丈夫です。どうぞ中に」
アルシュさんは少し辺りを気にしながら、扉の中へと進みました。
「何だか変な感じだな」
「ですね」
ついこの間まで、敵対していたのに、今は信用に値する方。世の中は本当に不思議です。
「妹さんはどうなりました?」
「ああ。おかげさんで【ヴィトーロインメディシナ】で治療を受けている。嘘みたいに元気だよ」
「それは良かったですね!」
あ、アルシュさん、こんな笑顔が出来るのですね。柔和な笑顔を私に返してくれて、治療が順調に進んでいるのが本当に嬉しそうです。
「あんた達には本当に感謝している。出来る事なら何でもしてやるから、困った事があったら言ってくれ」
「はい」
今度は私が笑顔を返します。また心強い味方がひとり増えました。
「こちらです」
私は食堂の扉を開き、アルシュさんを中へと誘いました。私の話に緊張の面持ちで待ち構えていた皆さんの姿に、アルシュさんも思わず苦笑いです。
「この間は申し訳なかった。役立つか分からないが、分かる事は何でも話そう」
私はアルシュさんの前にコトリと湯気立つカップを置き、隣に腰を下ろしました。皆さん緊張からか、一言めがなかなか出ません。ここは私が行くしかありませんか。
「アルシュさん、三日前に犬を連れて来た女性の話を聞かせて下さい」
「そうだな⋯⋯どこから話そうか⋯⋯。まぁ、とりあえずあそこは店では無い。それを頭に入れておいてくれ。エレナ達が見た犬人、あいつがあそこの責任者で、オレは入ったばかりのペーペーだ。ヤツは調教店での経験を買われて、あそこにいる。三日前に女が、気取った爺さんに連れられてやって来た。裏で作業をしていたんで、細かい会話は分からなかったが、治療途中のペットを持ち込んだのは、ヤツが裏でぶつくさ言っていたので分かった」
「ねえ、その仔って脚の治療だったのかしら?」
モモさんが割ってはいると、その言葉にアルシュさんも軽く頷きます。その頷きに私達は確証を得ました。
「そうだ。オレは専門家じゃないんで細かい事は分からないが、ヤツの言葉の端々から、爺さんに無茶ぶりされたって感じがしたな。んで、二日後にその女が死んだって喚きながら飛び込んで来た。犬人が、すぐに対応して追い返しちまった。会話の内容までは、分からない」
店では無いと言う場所。謎の老輩⋯⋯。
アウロさんが頭の中を整理しながら、口を開きます。
「オランジュさんは自分の意志で、そちらに伺ったわけでは無いという事ですよね。そのオランジュさんを連れてきた老輩の方は誰なのでしょう?」
「すまん。誰かは、まだ分からない。ただ、責任者に面倒事を押し付ける事が出来る立場の人間。犬人より、立場的に上なんだろうな」
アルシュさん、押し黙る私達を見渡し、ひとつ嘆息します。苦笑いを浮かべ、言葉を続けました。
「ま、何と言うか、あそこはあんた達が関わって良い場所じゃない。悪い事は言わないから、手を引いた方がいい。何か必要なら、オレが情報を流す。どうだ?」
アルシュさんの少し言い淀む感じに真実味があります。私達は、視線を交わし合い頷き合いました。
ラーサさんは煮え切らない表情のまま、諦めを見せます。
「それで頼むよ。ただ、分かったら教えて欲しい。その気取った爺さんが、何でオランジュさんをそこに連れて行ったのか」
「分かった。探りを入れて見よう。ただ、あまり期待はしないでくれ、目立つ動きは余り出来ないんだ。そういや、何であんた達は、あんな胡散臭い所に乗り込んだんだ?」
私は机の一点を見つめ、煮え切らない思いを吐露します。
「たまたまです。店を探して彷徨っていたらあそこに辿り着きました。オランジュさんは、私達の助言を無視してここを飛び出してしまいました。そして、後日。死んでしまったのはウチのせいだと、飛び込んで来ました。普通に治療を行っていれば、死んでしまう事はなかった仔なのです。ちゃんと治療してあげられなかった後悔と、どうしてこうなってしまったのか、私達は疑問が拭え切れませんでした。だから、オランジュさんの足取りを辿って、その疑問を払拭したかったのです」
私がアルシュさんに向くと、何度も軽く頷いてくれました。
「なるほどね。一番は連れて来た爺さんが何者かって、とこか。そいつはオレも知りたい所なんで、分かったら伝えよう」
「お願いします。でも、どうしてアルシュさんは、あそこにいたのですか?」
「うん? オレか? そうだな⋯⋯。まっ、あんたなら良いか。あの後マッシュの口利きで、オレ達兄弟は【ブラウブラッタレギオ(青い蛾)】って言う、デカいソシエタスに加入出来たんだ。あそこに潜入しているのは、そのソシエタスの仕事だ。裏の仕事が多いが、もう悪さはしなくて良くなったよ。仕事も紹介して貰って、妹の治療も出来て、あんたらには頭が上がらない。何かあれば言ってくれよ、貰った恩は返さないとな」
ニコっと柔和な笑顔に、今が充実しているのが分かります。
考えて見れば私も、ここに来てから随分と笑うようになりましたね。
いろいろな人のおかげで前に進めている。私もいつか皆さんに恩を返せるように頑張らないと。お世話になってばかりですものね。
「こちらこそよろしくお願いします」
私も笑顔を返しました。
◇◇◇◇
「いいから⋯⋯」
シャロンを振り切り、【スミテマアルバレギオ】のテントに顔を出したのは【ブルンタウロスレギオ(鉛の雄牛)】の副団長リグ。感情を失くしたふたりの姿に、大きな溜め息と共にドワーフらしく忌憚の無い言葉を訥々と紡いで行った。
「⋯⋯泣け、大いに泣け。枯れるまで泣いて弔え。今までの事を思い出して、思いきり泣いて、自分の中の一部とせえ。それでいなくなった者も常に一緒じゃ」
憐憫の眼差しを向けるドワーフの檄。その言葉は、キルロとユラの止まっていた感情のタガを外した。堰き止めていた感情が一気に溢れ出す。
止まらない涙は、悔しさを前に向く熱へと変えて行く。
ひとしきり泣いた。
堰き止めていた感情を洗い流し、全身の熱を上げて行く。
ユラは立ち上がり、立てかけてあった大楯を握り締める。
「行くぞ」
「ああ。キノも行くぞ」
「あいあーい」
テントの外に出るとふたりの瞳には力が戻っていた。
キルロは拳を差し出す。コツっとユラが拳を合わせると、力強い足取りでハル達の後を追って行った。
私はフィリシアの口元に人差し指を当てます。フィリシアの困惑はますます深まり、怪訝な瞳を私に向けていました。
唐突に裏戸が開き、姿を現したのは先程の狼人さんです。
(アルシュさん!)
私の囁き声にすぐに反応し、静かに駆け寄って来ました。
店の中に突然現れたアルシュさんの姿に、私は心底驚きましたが、アルシュさんも驚きを隠せないでいました。私を見つけるとすぐに離れた所へと目配せをし、私はすぐにフィリシアの腕を取りました。
(びっくりしたぞ。こんな所で何やっている?)
(ちょっと店探しをしていまして⋯⋯)
(店⋯⋯三日前に女が犬を連れて来た。関係ありそうか?)
私とフィリシアは顔を見合わせ、次の瞬間大きく頷いて見せます。
(分かった。今は時間が取れない⋯⋯夜、そっちの店に行こう。怪しまれるとマズイ、悪いが戻る)
(お願いします)
アルシュさんとの一瞬のやり取り。フィリシアはポカンと何が起こったのか分からず⋯⋯と、言いつつ私も何でアルシュさんが、あそこにいたのかは全く理解出来ませんが、とりあえず怪しまれないようにとすぐにこの場を後にしました。
足早に煤けた街並みを抜け、今や見慣れたミドラスの中心部へと辿り着きます。仕事を終えて帰りを急ぐ人の波に紛れると、少なかった口数も安堵から自然と増えて行きました。
「ちょっと、あのおっかない狼人は誰? 顔見知りみたいだったけど」
「あの人はアルシュさんって言って、この間、私を誘拐した人です」
「へぇ~⋯⋯⋯⋯う、うん?? ⋯⋯誘拐した!? ⋯⋯えっ! えっ! どういう事?」
「どうもこうも、私を攫った人ですよ。でも、大丈夫。いい方なのです」
「攫った? ⋯⋯いい人??」
フィリシアの脳内許容範囲は完全にオーバーしてしまい、頭から湯気が出ています。これ以上の言い方も説明も出来ないので仕方ないですよね。
【ハルヲンテイム】に戻り、同じ説明を繰り返します。皆さんの反応もフィリシアと同じで、首を傾げながら頭の中が『?』だらけになっているのが分かりました。
店の片付けも終わり、アルシュさんを待つだけの少しもどかしい時間。それを振り解く、ノックの音が裏口から聞こえました。
「よお。大丈夫か?」
「大丈夫です。どうぞ中に」
アルシュさんは少し辺りを気にしながら、扉の中へと進みました。
「何だか変な感じだな」
「ですね」
ついこの間まで、敵対していたのに、今は信用に値する方。世の中は本当に不思議です。
「妹さんはどうなりました?」
「ああ。おかげさんで【ヴィトーロインメディシナ】で治療を受けている。嘘みたいに元気だよ」
「それは良かったですね!」
あ、アルシュさん、こんな笑顔が出来るのですね。柔和な笑顔を私に返してくれて、治療が順調に進んでいるのが本当に嬉しそうです。
「あんた達には本当に感謝している。出来る事なら何でもしてやるから、困った事があったら言ってくれ」
「はい」
今度は私が笑顔を返します。また心強い味方がひとり増えました。
「こちらです」
私は食堂の扉を開き、アルシュさんを中へと誘いました。私の話に緊張の面持ちで待ち構えていた皆さんの姿に、アルシュさんも思わず苦笑いです。
「この間は申し訳なかった。役立つか分からないが、分かる事は何でも話そう」
私はアルシュさんの前にコトリと湯気立つカップを置き、隣に腰を下ろしました。皆さん緊張からか、一言めがなかなか出ません。ここは私が行くしかありませんか。
「アルシュさん、三日前に犬を連れて来た女性の話を聞かせて下さい」
「そうだな⋯⋯どこから話そうか⋯⋯。まぁ、とりあえずあそこは店では無い。それを頭に入れておいてくれ。エレナ達が見た犬人、あいつがあそこの責任者で、オレは入ったばかりのペーペーだ。ヤツは調教店での経験を買われて、あそこにいる。三日前に女が、気取った爺さんに連れられてやって来た。裏で作業をしていたんで、細かい会話は分からなかったが、治療途中のペットを持ち込んだのは、ヤツが裏でぶつくさ言っていたので分かった」
「ねえ、その仔って脚の治療だったのかしら?」
モモさんが割ってはいると、その言葉にアルシュさんも軽く頷きます。その頷きに私達は確証を得ました。
「そうだ。オレは専門家じゃないんで細かい事は分からないが、ヤツの言葉の端々から、爺さんに無茶ぶりされたって感じがしたな。んで、二日後にその女が死んだって喚きながら飛び込んで来た。犬人が、すぐに対応して追い返しちまった。会話の内容までは、分からない」
店では無いと言う場所。謎の老輩⋯⋯。
アウロさんが頭の中を整理しながら、口を開きます。
「オランジュさんは自分の意志で、そちらに伺ったわけでは無いという事ですよね。そのオランジュさんを連れてきた老輩の方は誰なのでしょう?」
「すまん。誰かは、まだ分からない。ただ、責任者に面倒事を押し付ける事が出来る立場の人間。犬人より、立場的に上なんだろうな」
アルシュさん、押し黙る私達を見渡し、ひとつ嘆息します。苦笑いを浮かべ、言葉を続けました。
「ま、何と言うか、あそこはあんた達が関わって良い場所じゃない。悪い事は言わないから、手を引いた方がいい。何か必要なら、オレが情報を流す。どうだ?」
アルシュさんの少し言い淀む感じに真実味があります。私達は、視線を交わし合い頷き合いました。
ラーサさんは煮え切らない表情のまま、諦めを見せます。
「それで頼むよ。ただ、分かったら教えて欲しい。その気取った爺さんが、何でオランジュさんをそこに連れて行ったのか」
「分かった。探りを入れて見よう。ただ、あまり期待はしないでくれ、目立つ動きは余り出来ないんだ。そういや、何であんた達は、あんな胡散臭い所に乗り込んだんだ?」
私は机の一点を見つめ、煮え切らない思いを吐露します。
「たまたまです。店を探して彷徨っていたらあそこに辿り着きました。オランジュさんは、私達の助言を無視してここを飛び出してしまいました。そして、後日。死んでしまったのはウチのせいだと、飛び込んで来ました。普通に治療を行っていれば、死んでしまう事はなかった仔なのです。ちゃんと治療してあげられなかった後悔と、どうしてこうなってしまったのか、私達は疑問が拭え切れませんでした。だから、オランジュさんの足取りを辿って、その疑問を払拭したかったのです」
私がアルシュさんに向くと、何度も軽く頷いてくれました。
「なるほどね。一番は連れて来た爺さんが何者かって、とこか。そいつはオレも知りたい所なんで、分かったら伝えよう」
「お願いします。でも、どうしてアルシュさんは、あそこにいたのですか?」
「うん? オレか? そうだな⋯⋯。まっ、あんたなら良いか。あの後マッシュの口利きで、オレ達兄弟は【ブラウブラッタレギオ(青い蛾)】って言う、デカいソシエタスに加入出来たんだ。あそこに潜入しているのは、そのソシエタスの仕事だ。裏の仕事が多いが、もう悪さはしなくて良くなったよ。仕事も紹介して貰って、妹の治療も出来て、あんたらには頭が上がらない。何かあれば言ってくれよ、貰った恩は返さないとな」
ニコっと柔和な笑顔に、今が充実しているのが分かります。
考えて見れば私も、ここに来てから随分と笑うようになりましたね。
いろいろな人のおかげで前に進めている。私もいつか皆さんに恩を返せるように頑張らないと。お世話になってばかりですものね。
「こちらこそよろしくお願いします」
私も笑顔を返しました。
◇◇◇◇
「いいから⋯⋯」
シャロンを振り切り、【スミテマアルバレギオ】のテントに顔を出したのは【ブルンタウロスレギオ(鉛の雄牛)】の副団長リグ。感情を失くしたふたりの姿に、大きな溜め息と共にドワーフらしく忌憚の無い言葉を訥々と紡いで行った。
「⋯⋯泣け、大いに泣け。枯れるまで泣いて弔え。今までの事を思い出して、思いきり泣いて、自分の中の一部とせえ。それでいなくなった者も常に一緒じゃ」
憐憫の眼差しを向けるドワーフの檄。その言葉は、キルロとユラの止まっていた感情のタガを外した。堰き止めていた感情が一気に溢れ出す。
止まらない涙は、悔しさを前に向く熱へと変えて行く。
ひとしきり泣いた。
堰き止めていた感情を洗い流し、全身の熱を上げて行く。
ユラは立ち上がり、立てかけてあった大楯を握り締める。
「行くぞ」
「ああ。キノも行くぞ」
「あいあーい」
テントの外に出るとふたりの瞳には力が戻っていた。
キルロは拳を差し出す。コツっとユラが拳を合わせると、力強い足取りでハル達の後を追って行った。
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