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アックスピーク
ハルヲンテイムに走った衝撃にみんなびっくりですよ
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「どうしたのよ?」
アウロさんのあまりの慌てぶりに、ハルさんだけではなく、私達も顔を見合わせて行きます。何か緊急事態なのは、その様子から間違いはありません。
「(アックスピークの)ヘッグとフッカが巣作りを始めました」
『『『『ええええええー!!!』』』』
こ、これはびっくりです。と言うかまさかの展開です。
先程までの緩んだ空気は急速に緊張して行き、私達の表情は驚きながらも、強張って行きました。
「わ、わかった。行こう」
「はい」
ハルさんは驚愕の表情を浮かべたまま、アウロさんと共にヘッグとフッカの元へと急ぎます。驚き過ぎて、私達の食べる手は止まってしまいました⋯⋯キノは別にしてですけど。
「アックスピークの赤ちゃんが生まれるって事ですよね? す、凄い事ですよね?」
私の言葉が、止まっていたみんなの思考をゆっくりと動かして行きます。動物の知識の深さと驚き具合は完璧に比例し、みんなは私以上に驚いていました。
「そうね。凄いってレベルじゃ利かないかも知れないわね。アックスピークのブリードなんて史上初なんじゃないかしら?」
「だよな。聞いた事無いぞ。フィリシアは噂レベルでも聞いた事あるか?」
「ないよ! ないない。そもそも、アックスピークに出会う事が無いもの」
「史上初! ですか⋯⋯凄すぎる⋯⋯。あ! でも、それって前例が無いって事ですよね?」
「そうなるわね⋯⋯」
ガタっと三人は示し合わせたかの様に、立ち上がって行きます。顔を見合わせると、何か通じ合ったのか扉の外へと駆け出しました。いきなりの事に私は、びっくりしてしまい出遅れてしまいます。
「ど、どうしたの? いきなり?」
私は前を行くフィリシアに、声を掛けます。
「前例が無いって事は、全てが手探り、みんなで知恵を出し合って成功させないと⋯⋯でしょ?」
「そっか。そうだね」
知識の無い私に知恵を出せるとは思えませんが、何か出来る事はあると思います。雑用でも何でも出来る事をする。
やる事はいつもと変わらないという事です。
長い廊下を必死に走り、私はみんなのあとを追って行きました。
◇◇◇◇
中庭に作製したアックスピーク達の居住区。岩山を模したその見慣れた光景も、いつもとは違う緊張感に包まれています。
雌のフッカを探しますが、見当たりません。どうやら、壁際に作られた洞の中に閉じこもっている様です。雄のヘッグは、口ばしに小枝や、枯草を咥えて洞口と外を行ったり来たりしていました。
ヘッグが巣穴へと姿が消えると、アウロさんは小枝や枯草を中庭の地面へとバラ撒き、見つからないよう静かに抜け出ます。
その様子を私達は固唾を飲んで、見守っていました。何とも言えない緊張に、胃の辺りがキューってなっちゃいます。何が起ころうとしているのかドキドキしながら、廊下から中庭を覗き込んでいました。
(エレナ)
ハルさんに呼ばれ、静かに駆け寄ります。自然と零れる言葉は小声となり、物音に過敏に反応してしまいます。
(はい)
(裏の倉庫から、小枝と枯草を台車で持って来て。焦らなくていいから、ゆっくりと静かにね)
私は黙って頷き。裏の倉庫へと向かいました。
「ぷはぁ~」
何とも言えない息苦しさから、一瞬の解放です。言われた通りに台車に小枝と枯草を山ほど積んで、ガラガラと台車を転がして行きました。
中庭が近くなると、足取りは鈍くなります。ソロリソロリと一歩一歩ゆっくりと足を運びます。それでも、車輪はガタっと音を立て、その度に私は足を止めました。
(こっちはダメ)
進もうとした先でフィリシアが両手で大きなバツを出します。
そっか。こっちはフッカのいる巣穴側ですものね。
私は遠回りになりますが、大きく迂回してアウロさんの元へと届けました。
たったこれだけの事なのに、もの凄く疲れます。でも、何が引き金になって、失敗してしまうか分からない状況で、細心の注意を払うのは至極当然。
(とりあえず、私とアウロでこっちは見るから、みんなは業務に戻って)
ハルさんの言葉に黙って頷き、私達は受付に戻ります。
午後の業務に忙殺されながらも、心の片隅でアックスピークの事が気になっていました。
きっと、私だけじゃないはずです。すまし顔で、仕事こなしているけど心のどこかはソワソワしているに違いありません。
「「「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」」」
私達は最後のお客さんをお見送りして、本日の業務は滞りなく終了しました。ソワソワフワフワと落ち着かない心持ちは増すばかりです。
私達は中庭に急いで向かいます。アックスピーク達を刺激しない様、私達の足の運びは自然と慎重な物になっていました。
(ハルさん、どう?)
モモさんの開口一番に、軽く肩をすくめて見せるハルさん。
その姿に問題が起きてはいない事への安堵なのか、何も動きの無い事への落胆なのか⋯⋯何とも言えない溜め息を私達は返すだけです。
(アウロさんは?)
(今、休んで貰っている。後で交代して貰うんでね)
(だったら、ハルさんも休んでは? 特に動きは無いみたいだし、少しの間私達で見ておきますよ)
(お言葉に甘えて、モモお願いしていい)
(もちろん)
ハルさんは目尻を手で揉みながら、向かいの空き部屋で休憩に入りました。未知の事柄に相当気を使っていたのが見て取れます。
静まり返る中庭。街の喧騒が届く事も無く、夜の訪れに静けさが増して行きます。
吹き抜けから届く、月の明かりが淡く中庭を照らします。
淡い青。
その光が洞口のすぐ側で、足を畳み佇むヘッグをぼんやりと浮かび上がらせていました。純白の羽毛は青く静かな光を放ち、巣穴の守り神のごとくジッと前を見つめ続けています。
アウロさんから聞いた話しでは、ひとつめのハードルは産卵。
上手く産み落とす事が出来るのか? 本当に産むのか? 中には空の卵を産んでしまう事もあるとか⋯⋯。
そして、一度に何個産むのか?
文献も何も無い状態で、傾向と対策を練って行きます。アウロさんの予想では、産み落とす卵はひとつ。大型の陸鳥が複数個の卵を産み落とす事例は無いとの事です。ただ、初めての事なので、断言は出来ないとおしゃっていました。
そして次のハードルは、無事に産み落ちた卵が無事に孵化するかどうか。孵化した瞬間に自分の子供を突っついて殺してしまったり、子育てを全くせずに殺してしまったりする事もあるとか。
ヘッグとフッカに限っては、この辺りは大丈夫なのではと漠然と思います。
フッカを守る為に佇むヘッグの姿から、そんな事をする様には感じられません。子を子だと思わないなら、あんなに一生懸命に巣作りだってしないはずです。
私の考えなのでアテにはなりませんが、何故だかここに関しては不安を感じませんでした。
ヘッグもさすがに疲れたみたいです。首を地面に投げ出し、体を休めていました。危険は無いと判断したのかも知れませんね。
(あとは私が見ますので、みなさん一度お帰り下さい)
私の言葉に顔を見合わせて、軽く頷き合います。
(そうね。今日の今日で動きは無さそうね)
(だな)
モモさんもラーサさんも大きく体を伸ばして行きました。
(それじゃ、エレナよろしく)
フィリシアはポンと私の背中を叩くと、ニカっといつもの笑みを見せました。
(うん。皆さん、お疲れ様でした)
(((お疲れー)))
みんなは静かに廊下をあとにしました。
私は体をひと伸びさせて、気合いを入れ直します。モモさんの言う通り、今日はきっと大きな動きは無いと思うのです。
何も無い今こそが、きっと私の出番。出来る事の少ない私が役立てるのは、きっと今。私の頑張り時は今ですよね。
(よし。もうちょっと、頑張ろう)
漏らした言葉は本音。
淡い青に照らされているヘッグと洞口を見つめ、もう一度体を伸ばして行きました。
アウロさんのあまりの慌てぶりに、ハルさんだけではなく、私達も顔を見合わせて行きます。何か緊急事態なのは、その様子から間違いはありません。
「(アックスピークの)ヘッグとフッカが巣作りを始めました」
『『『『ええええええー!!!』』』』
こ、これはびっくりです。と言うかまさかの展開です。
先程までの緩んだ空気は急速に緊張して行き、私達の表情は驚きながらも、強張って行きました。
「わ、わかった。行こう」
「はい」
ハルさんは驚愕の表情を浮かべたまま、アウロさんと共にヘッグとフッカの元へと急ぎます。驚き過ぎて、私達の食べる手は止まってしまいました⋯⋯キノは別にしてですけど。
「アックスピークの赤ちゃんが生まれるって事ですよね? す、凄い事ですよね?」
私の言葉が、止まっていたみんなの思考をゆっくりと動かして行きます。動物の知識の深さと驚き具合は完璧に比例し、みんなは私以上に驚いていました。
「そうね。凄いってレベルじゃ利かないかも知れないわね。アックスピークのブリードなんて史上初なんじゃないかしら?」
「だよな。聞いた事無いぞ。フィリシアは噂レベルでも聞いた事あるか?」
「ないよ! ないない。そもそも、アックスピークに出会う事が無いもの」
「史上初! ですか⋯⋯凄すぎる⋯⋯。あ! でも、それって前例が無いって事ですよね?」
「そうなるわね⋯⋯」
ガタっと三人は示し合わせたかの様に、立ち上がって行きます。顔を見合わせると、何か通じ合ったのか扉の外へと駆け出しました。いきなりの事に私は、びっくりしてしまい出遅れてしまいます。
「ど、どうしたの? いきなり?」
私は前を行くフィリシアに、声を掛けます。
「前例が無いって事は、全てが手探り、みんなで知恵を出し合って成功させないと⋯⋯でしょ?」
「そっか。そうだね」
知識の無い私に知恵を出せるとは思えませんが、何か出来る事はあると思います。雑用でも何でも出来る事をする。
やる事はいつもと変わらないという事です。
長い廊下を必死に走り、私はみんなのあとを追って行きました。
◇◇◇◇
中庭に作製したアックスピーク達の居住区。岩山を模したその見慣れた光景も、いつもとは違う緊張感に包まれています。
雌のフッカを探しますが、見当たりません。どうやら、壁際に作られた洞の中に閉じこもっている様です。雄のヘッグは、口ばしに小枝や、枯草を咥えて洞口と外を行ったり来たりしていました。
ヘッグが巣穴へと姿が消えると、アウロさんは小枝や枯草を中庭の地面へとバラ撒き、見つからないよう静かに抜け出ます。
その様子を私達は固唾を飲んで、見守っていました。何とも言えない緊張に、胃の辺りがキューってなっちゃいます。何が起ころうとしているのかドキドキしながら、廊下から中庭を覗き込んでいました。
(エレナ)
ハルさんに呼ばれ、静かに駆け寄ります。自然と零れる言葉は小声となり、物音に過敏に反応してしまいます。
(はい)
(裏の倉庫から、小枝と枯草を台車で持って来て。焦らなくていいから、ゆっくりと静かにね)
私は黙って頷き。裏の倉庫へと向かいました。
「ぷはぁ~」
何とも言えない息苦しさから、一瞬の解放です。言われた通りに台車に小枝と枯草を山ほど積んで、ガラガラと台車を転がして行きました。
中庭が近くなると、足取りは鈍くなります。ソロリソロリと一歩一歩ゆっくりと足を運びます。それでも、車輪はガタっと音を立て、その度に私は足を止めました。
(こっちはダメ)
進もうとした先でフィリシアが両手で大きなバツを出します。
そっか。こっちはフッカのいる巣穴側ですものね。
私は遠回りになりますが、大きく迂回してアウロさんの元へと届けました。
たったこれだけの事なのに、もの凄く疲れます。でも、何が引き金になって、失敗してしまうか分からない状況で、細心の注意を払うのは至極当然。
(とりあえず、私とアウロでこっちは見るから、みんなは業務に戻って)
ハルさんの言葉に黙って頷き、私達は受付に戻ります。
午後の業務に忙殺されながらも、心の片隅でアックスピークの事が気になっていました。
きっと、私だけじゃないはずです。すまし顔で、仕事こなしているけど心のどこかはソワソワしているに違いありません。
「「「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」」」
私達は最後のお客さんをお見送りして、本日の業務は滞りなく終了しました。ソワソワフワフワと落ち着かない心持ちは増すばかりです。
私達は中庭に急いで向かいます。アックスピーク達を刺激しない様、私達の足の運びは自然と慎重な物になっていました。
(ハルさん、どう?)
モモさんの開口一番に、軽く肩をすくめて見せるハルさん。
その姿に問題が起きてはいない事への安堵なのか、何も動きの無い事への落胆なのか⋯⋯何とも言えない溜め息を私達は返すだけです。
(アウロさんは?)
(今、休んで貰っている。後で交代して貰うんでね)
(だったら、ハルさんも休んでは? 特に動きは無いみたいだし、少しの間私達で見ておきますよ)
(お言葉に甘えて、モモお願いしていい)
(もちろん)
ハルさんは目尻を手で揉みながら、向かいの空き部屋で休憩に入りました。未知の事柄に相当気を使っていたのが見て取れます。
静まり返る中庭。街の喧騒が届く事も無く、夜の訪れに静けさが増して行きます。
吹き抜けから届く、月の明かりが淡く中庭を照らします。
淡い青。
その光が洞口のすぐ側で、足を畳み佇むヘッグをぼんやりと浮かび上がらせていました。純白の羽毛は青く静かな光を放ち、巣穴の守り神のごとくジッと前を見つめ続けています。
アウロさんから聞いた話しでは、ひとつめのハードルは産卵。
上手く産み落とす事が出来るのか? 本当に産むのか? 中には空の卵を産んでしまう事もあるとか⋯⋯。
そして、一度に何個産むのか?
文献も何も無い状態で、傾向と対策を練って行きます。アウロさんの予想では、産み落とす卵はひとつ。大型の陸鳥が複数個の卵を産み落とす事例は無いとの事です。ただ、初めての事なので、断言は出来ないとおしゃっていました。
そして次のハードルは、無事に産み落ちた卵が無事に孵化するかどうか。孵化した瞬間に自分の子供を突っついて殺してしまったり、子育てを全くせずに殺してしまったりする事もあるとか。
ヘッグとフッカに限っては、この辺りは大丈夫なのではと漠然と思います。
フッカを守る為に佇むヘッグの姿から、そんな事をする様には感じられません。子を子だと思わないなら、あんなに一生懸命に巣作りだってしないはずです。
私の考えなのでアテにはなりませんが、何故だかここに関しては不安を感じませんでした。
ヘッグもさすがに疲れたみたいです。首を地面に投げ出し、体を休めていました。危険は無いと判断したのかも知れませんね。
(あとは私が見ますので、みなさん一度お帰り下さい)
私の言葉に顔を見合わせて、軽く頷き合います。
(そうね。今日の今日で動きは無さそうね)
(だな)
モモさんもラーサさんも大きく体を伸ばして行きました。
(それじゃ、エレナよろしく)
フィリシアはポンと私の背中を叩くと、ニカっといつもの笑みを見せました。
(うん。皆さん、お疲れ様でした)
(((お疲れー)))
みんなは静かに廊下をあとにしました。
私は体をひと伸びさせて、気合いを入れ直します。モモさんの言う通り、今日はきっと大きな動きは無いと思うのです。
何も無い今こそが、きっと私の出番。出来る事の少ない私が役立てるのは、きっと今。私の頑張り時は今ですよね。
(よし。もうちょっと、頑張ろう)
漏らした言葉は本音。
淡い青に照らされているヘッグと洞口を見つめ、もう一度体を伸ばして行きました。
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