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日常の非日常
ご指名頂きありがとうございます。これが私の推しになります
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「よ、ようこそ、ハルヲンテイムへ」
アウロさんの絞り出した挨拶で、私達は動き始めます。だらけ切っていた空気を仕事モードへと切り替え、受付の中へと飛び込んで行きました。私は奥の机に座り、書類の準備を始めます。あの姿から冒険って事は無いですよね。愛玩動物の登録で準備を進めて行きました。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「そうね⋯⋯」
透き通る瑞々しい声が、静まりかえる待合に響き渡ります。フードの奥から翠眼の力強い瞳が、値踏みするかのように店内を見渡していました。その力強い視線に、何故か私達は緊張を強いられてしまいます。美しくも力強いその目力に、私達は圧倒されていました。
だけど、その視線に怖さというのは感じません。その美しい瞳に吸い込まれるかのように私達はただ、魅入ってしまっていたのです。
「ソフィー、いらっしゃい」
「はい、ママ」
しっかりとした返事が聞こえると、馬車から幼女が元気良く下りて来ました。
満面の笑顔は何か期待に満ち溢れている様に見えます。
あれ? あの子⋯⋯。
「このお店にハーフ猫の娘がいるでしょう?」
その一声に一斉に視線が私に注がれ、少し緊張しながら立ち上がりました。
やっぱりあの子だ。でも、いきなりどうしたのでしょう?
怒られる事はしてないです⋯⋯よね?
「は、はい。私です。あなたとは久しぶりですね」
私は女の子に微笑みを向けました。ニコニコとしていた、女の子は照れた様に相好を崩します。
「あら? 覚えているの?」
「は、はい。とても印象的でしたので⋯⋯」
そう。私が初めてひとりで担当したお客さん。この子が運び込んだ小鳥を救ってあげられず、悔しい思いをした。
そして、いつもポケットに入れている1ミルド硬貨。忘れるわけがありません。
「助からないって分かっていたのに、付き合って頂いて申し訳なかったわね。ほら、ソフィー。あなたもちゃんとお礼を言いなさい」
「お姉ちゃん。あの時はありがとうございました」
「いえいえいえ。いいのですよ。救ってあげられればもっと良かったのですけど⋯⋯」
顔は隠していますが、とても美しい方なのではないでしょうか。マスク越しでも分かる、筋の通った鼻。美しい翠眼を見せる大きくそれでいて切れのある目。娘さんの整った顔立ちはきっとお母さん譲りなのでしょうね。
みんなは何故か私達のやり取りを、固唾を飲んで見守っていました。そこはかとなく緊張感を強いられる不思議なオーラを放つ方です。
「それで、こちらは愛玩動物の販売はしているのかしら? やけに静かで何の気配も感じないけど」
「動物達は、裏で大人しくしていますから。な、何かご希望の動物はいらっしゃいますか?」
「そうね⋯⋯」
短いやり取りながら警戒を解いてくれたのか、少し空気の和らぎを感じます。おかげで私も、落ち着きを取り戻せました。
逡巡する姿も憂いを帯びて、雰囲気を持っていますね。
「犬や猫というのが一般的ですね。あとは鳥ですとか、熊を選択される方もいらっしゃいますよ」
「熊!? フフ、熊は流石にね。ソフィーはどうなの? どんな仔が欲しいの?」
「う~ん」
この子の為に買ってあげるのですね。扱いやすい小さな仔か、守ってくれる従順で強い仔でしょうか。
「小さい仔がいい? 守ってくれる大きな仔がいい?」
「う~ん」
「悩んじゃうね。ゆっくり考えよう。どっちがいいかな⋯⋯」
真剣に悩む娘を見つめる翠眼は、包み込む優しさに溢れていました。母娘の幸せな時間が、私の心をほっこりとさせてくれます。いろいろあって疲れていた心に優しさのお裾分けを頂いて、自然と笑みが零れていきました。
「ほら、ソフィー。お姉さんが、困っているでしょう。早くしなさい」
「いえいえ。ゆっくりと考えて下さい。ご覧のように今は誰もいませんので。どんな仔を迎え入れるかは大切な事ですから、焦らずに決めて下さい」
「確かにヒマそうね」
「そうなのですよ。正直、困っています」
「フフフ、正直な娘ね。そうね⋯⋯ウチの子は訳あって、あまり外に出せないの。必然的に友達という者が出来なくてね。友達の代わりではないけど、この子に寄り添ってくれる仔ならどんな仔でもいいわ。ソフィー、仲良しさんがいいわよね?」
「はい。一緒に遊べる仔がいい!」
「なるほどです⋯⋯。友達、友達⋯⋯」
一緒に遊べる仔と考えると、強くなくていいですね。
友達か⋯⋯。いないのは寂しいです。少し前なら分からなかったけど、今なら分かります。友達と聞いて真っ先に浮ぶのは、白髪のいたずらっ子キノの姿。私の仕事を邪魔ばっかりするけど⋯⋯あ! そうだ!
私はソフィーちゃんに笑顔を向けます。私が何か閃いたのが通じたようで、期待の籠るキラキラの笑顔を返して来ました。
「おすすめの仔がいます」
ソフィーちゃんは鼻息を荒くして、私の言葉に興奮気味です。お母さんの方も興味津々と、笑みを向けて来ました。
「犬かしら? 猫かしら? 熊は無いわよね?」
「では、今連れて来ますね。少々お待ち下さい」
私は奥へと下がり、小動物の部屋へと向かいました。
「お待たせしました」
私がその仔を連れて受付へと戻ると、その姿に母娘共々、驚いた顔を見せています。やはり予想外だったようですね。
「さ、猿?」
「おさるさん!」
「はい! こちらオルンモンキーという猿になります」
私の腕にしがみつく、二つの尾を持つ小さな猿。綺麗な毛並みを見せながら、少し怯えを見せていました。
「引掻いたりしない? 大丈夫?」
「それは危険なめにあったりすれば、反撃しますがそれはどの仔でも同じですので。危害を加える事をしなければ、攻撃的になる事はないですよ」
「かわいい!」
「動物の中でもかなり臆病な部類に入ります。慣れるまでは少し時間が必要ですが、慣れてしまえば娘さんと一緒に遊ぶ事間違いなしです」
小動物の部屋で暴れ回るキノとルンタの姿を思い出し、苦笑いしてしまいました。
「飼うのは大変じゃない?」
「大変じゃない仔はいません。どの仔にも気は使って欲しいです。でも、オルンモンキーは飼い易い部類に入ります。臆病ですが、頭は良いので躾は楽だと思います」
「確かにそうね。生き物を預かるのですものね」
「はい。それと、オルンモンキーは寂しがり屋なので多頭飼いをお勧めします。二頭もいれば十分ですよ。慣れない間は一頭飼いで様子を見て頂いて、慣れてきたら二頭目をお勧め致します⋯⋯。あ、でもご予算の都合もありますね」
「予算に糸目はつけないわ。あなた商売上手ね」
「ええー!? いやいや、そ、そ、そんな事は⋯⋯」
「フフフ、おかしな娘」
何だか急に恥ずかしくなって、頬が熱を帯びるのが分かります。私は誤魔化すかのようにソフィーちゃんに小さな革袋を渡しました。
「ソ、ソフィーちゃん。その中にドライフルーツが入っているから、小さくちぎって手の平からこの仔にあげて見てくれる」
つたない手の動き。ソフィーちゃんは一生懸命にちぎって、橙色のオレンの実を手の平に乗せて行きました。
「お姉ちゃん、こう?」
「そうそう。上手」
恐る恐る伸ばした手の平の上にあるオレンの実に気付くと、首をキョロキョロとさせながら周りを警戒していきます。知らない手の平と美味しい匂いを放つオレンの実。オレンの実の誘惑に、私の腕から離れサッと小さな手の平からオレンの実を奪い取りました。両手でモグモグと食べる姿に母娘は顔を見合わせ、満足そうな笑みを見せます。
「かわいい!! もっとあげていい?」
「もちろん」
私もふたりの笑顔に釣られ、満面の笑みを返していました。
アウロさんの絞り出した挨拶で、私達は動き始めます。だらけ切っていた空気を仕事モードへと切り替え、受付の中へと飛び込んで行きました。私は奥の机に座り、書類の準備を始めます。あの姿から冒険って事は無いですよね。愛玩動物の登録で準備を進めて行きました。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「そうね⋯⋯」
透き通る瑞々しい声が、静まりかえる待合に響き渡ります。フードの奥から翠眼の力強い瞳が、値踏みするかのように店内を見渡していました。その力強い視線に、何故か私達は緊張を強いられてしまいます。美しくも力強いその目力に、私達は圧倒されていました。
だけど、その視線に怖さというのは感じません。その美しい瞳に吸い込まれるかのように私達はただ、魅入ってしまっていたのです。
「ソフィー、いらっしゃい」
「はい、ママ」
しっかりとした返事が聞こえると、馬車から幼女が元気良く下りて来ました。
満面の笑顔は何か期待に満ち溢れている様に見えます。
あれ? あの子⋯⋯。
「このお店にハーフ猫の娘がいるでしょう?」
その一声に一斉に視線が私に注がれ、少し緊張しながら立ち上がりました。
やっぱりあの子だ。でも、いきなりどうしたのでしょう?
怒られる事はしてないです⋯⋯よね?
「は、はい。私です。あなたとは久しぶりですね」
私は女の子に微笑みを向けました。ニコニコとしていた、女の子は照れた様に相好を崩します。
「あら? 覚えているの?」
「は、はい。とても印象的でしたので⋯⋯」
そう。私が初めてひとりで担当したお客さん。この子が運び込んだ小鳥を救ってあげられず、悔しい思いをした。
そして、いつもポケットに入れている1ミルド硬貨。忘れるわけがありません。
「助からないって分かっていたのに、付き合って頂いて申し訳なかったわね。ほら、ソフィー。あなたもちゃんとお礼を言いなさい」
「お姉ちゃん。あの時はありがとうございました」
「いえいえいえ。いいのですよ。救ってあげられればもっと良かったのですけど⋯⋯」
顔は隠していますが、とても美しい方なのではないでしょうか。マスク越しでも分かる、筋の通った鼻。美しい翠眼を見せる大きくそれでいて切れのある目。娘さんの整った顔立ちはきっとお母さん譲りなのでしょうね。
みんなは何故か私達のやり取りを、固唾を飲んで見守っていました。そこはかとなく緊張感を強いられる不思議なオーラを放つ方です。
「それで、こちらは愛玩動物の販売はしているのかしら? やけに静かで何の気配も感じないけど」
「動物達は、裏で大人しくしていますから。な、何かご希望の動物はいらっしゃいますか?」
「そうね⋯⋯」
短いやり取りながら警戒を解いてくれたのか、少し空気の和らぎを感じます。おかげで私も、落ち着きを取り戻せました。
逡巡する姿も憂いを帯びて、雰囲気を持っていますね。
「犬や猫というのが一般的ですね。あとは鳥ですとか、熊を選択される方もいらっしゃいますよ」
「熊!? フフ、熊は流石にね。ソフィーはどうなの? どんな仔が欲しいの?」
「う~ん」
この子の為に買ってあげるのですね。扱いやすい小さな仔か、守ってくれる従順で強い仔でしょうか。
「小さい仔がいい? 守ってくれる大きな仔がいい?」
「う~ん」
「悩んじゃうね。ゆっくり考えよう。どっちがいいかな⋯⋯」
真剣に悩む娘を見つめる翠眼は、包み込む優しさに溢れていました。母娘の幸せな時間が、私の心をほっこりとさせてくれます。いろいろあって疲れていた心に優しさのお裾分けを頂いて、自然と笑みが零れていきました。
「ほら、ソフィー。お姉さんが、困っているでしょう。早くしなさい」
「いえいえ。ゆっくりと考えて下さい。ご覧のように今は誰もいませんので。どんな仔を迎え入れるかは大切な事ですから、焦らずに決めて下さい」
「確かにヒマそうね」
「そうなのですよ。正直、困っています」
「フフフ、正直な娘ね。そうね⋯⋯ウチの子は訳あって、あまり外に出せないの。必然的に友達という者が出来なくてね。友達の代わりではないけど、この子に寄り添ってくれる仔ならどんな仔でもいいわ。ソフィー、仲良しさんがいいわよね?」
「はい。一緒に遊べる仔がいい!」
「なるほどです⋯⋯。友達、友達⋯⋯」
一緒に遊べる仔と考えると、強くなくていいですね。
友達か⋯⋯。いないのは寂しいです。少し前なら分からなかったけど、今なら分かります。友達と聞いて真っ先に浮ぶのは、白髪のいたずらっ子キノの姿。私の仕事を邪魔ばっかりするけど⋯⋯あ! そうだ!
私はソフィーちゃんに笑顔を向けます。私が何か閃いたのが通じたようで、期待の籠るキラキラの笑顔を返して来ました。
「おすすめの仔がいます」
ソフィーちゃんは鼻息を荒くして、私の言葉に興奮気味です。お母さんの方も興味津々と、笑みを向けて来ました。
「犬かしら? 猫かしら? 熊は無いわよね?」
「では、今連れて来ますね。少々お待ち下さい」
私は奥へと下がり、小動物の部屋へと向かいました。
「お待たせしました」
私がその仔を連れて受付へと戻ると、その姿に母娘共々、驚いた顔を見せています。やはり予想外だったようですね。
「さ、猿?」
「おさるさん!」
「はい! こちらオルンモンキーという猿になります」
私の腕にしがみつく、二つの尾を持つ小さな猿。綺麗な毛並みを見せながら、少し怯えを見せていました。
「引掻いたりしない? 大丈夫?」
「それは危険なめにあったりすれば、反撃しますがそれはどの仔でも同じですので。危害を加える事をしなければ、攻撃的になる事はないですよ」
「かわいい!」
「動物の中でもかなり臆病な部類に入ります。慣れるまでは少し時間が必要ですが、慣れてしまえば娘さんと一緒に遊ぶ事間違いなしです」
小動物の部屋で暴れ回るキノとルンタの姿を思い出し、苦笑いしてしまいました。
「飼うのは大変じゃない?」
「大変じゃない仔はいません。どの仔にも気は使って欲しいです。でも、オルンモンキーは飼い易い部類に入ります。臆病ですが、頭は良いので躾は楽だと思います」
「確かにそうね。生き物を預かるのですものね」
「はい。それと、オルンモンキーは寂しがり屋なので多頭飼いをお勧めします。二頭もいれば十分ですよ。慣れない間は一頭飼いで様子を見て頂いて、慣れてきたら二頭目をお勧め致します⋯⋯。あ、でもご予算の都合もありますね」
「予算に糸目はつけないわ。あなた商売上手ね」
「ええー!? いやいや、そ、そ、そんな事は⋯⋯」
「フフフ、おかしな娘」
何だか急に恥ずかしくなって、頬が熱を帯びるのが分かります。私は誤魔化すかのようにソフィーちゃんに小さな革袋を渡しました。
「ソ、ソフィーちゃん。その中にドライフルーツが入っているから、小さくちぎって手の平からこの仔にあげて見てくれる」
つたない手の動き。ソフィーちゃんは一生懸命にちぎって、橙色のオレンの実を手の平に乗せて行きました。
「お姉ちゃん、こう?」
「そうそう。上手」
恐る恐る伸ばした手の平の上にあるオレンの実に気付くと、首をキョロキョロとさせながら周りを警戒していきます。知らない手の平と美味しい匂いを放つオレンの実。オレンの実の誘惑に、私の腕から離れサッと小さな手の平からオレンの実を奪い取りました。両手でモグモグと食べる姿に母娘は顔を見合わせ、満足そうな笑みを見せます。
「かわいい!! もっとあげていい?」
「もちろん」
私もふたりの笑顔に釣られ、満面の笑みを返していました。
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