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誕生日
最初で最後のさようなら
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後ろに隠れていた私の背中をフェインさんが優しく押します。その手の平から、前へ進む勇気と後押ししてくれる優しさを感じました。
眼前に立ちすくむ父親の姿は酷く矮小で、感情のひだは閉じて行きます。彼に何かを感じる物は何もありません。怒りも悲しみも、もちろん喜びなどあるわけも無く、そこにあるのは強いて言えば、これは憐みというものでしょうか。
何とも小さく、何とも醜い。
ハルさんとアウロさんの向こうに見える男。
ただ、それだけ。
私の姿に目を剥き、吼えます。その姿はすでに負け犬の遠吠えでしかありません。強がって見た所で自身の矮小さを曝け出すだけです。
「おい! お前ら、エレナ、エレナを抑えろ! 登録さえしちまえばこっちのもんだ!」
叫ぶ父親。睨まれ動けないふたりの仲間。退路を断たれ引くに引けないとはいえ、あまりにも無様な姿を晒しています。
フェインさんが一歩前へと躍り出ます。堂々とした姿で、一枚の書状を広げて見せました。
そこにはしっかりと私のサインがあります。それが何を意味するのか分からないほど愚かではないでしょう。愕然とした表情から、すべてを理解したのが伝わって来ました。
その書状が、終わりを告げたのです。
「エレナ・イルヴァンはたった今、【スミテマアルバレギオ】の団員として登録された。分かるよな? エレナはもう大切なウチの団員だ。【スミテマアルバレギオ】はもちろん、【ハルヲンテイム】の誰かに指一本でも触れてみろ、お前ら全員トロールの餌にしてやる。コイツは脅しじゃない。本気だ」
キルロさん一歩前に出ると、落ち着いた口調ながらも怒気を孕む凄みを見せました。
「いやいや、団長。トロールはちと面倒だ、オーク辺りで手を打とう」
マッシュさんも飄々とした言葉の中に凄みを見せます。
鋭い眼光で睨まれ、父親達はさらに小さくなっていきました。俯き悔しさを噛み殺していますが、もうどうにもならない事は重々理解しているようです。
「エレナ」
ハルさんに手招きされ、私はハルさんの横へと進みました。
こんなにも小さなものに縛られていた自分がとても悔しいと感じます。
でも、縛られていたから今の自分がある。私の背中を押してくれるみんなとの出会いがあった。そんな風に思えて怒りは湧いて来ませんでした。
俯き悔しさは噛み殺すだけの父親は酷く矮小で、取るに足らない存在に思えてなりません。欲に溺れ、自滅した姿に感情が動く事はありませんでした。
「さようなら。もう二度と会う事はないでしょう、お元気で」
私は頭を下げ、最大の敬意を示しました。俯く姿からきっと私の姿は見えていません。私の言葉を聞いても、俯いたままピクリとも動きませんでした。上手く行くはずだった計画が既の所で手の平から零れ落ち、何も考える事が出来ないようです。
「じゃっ、そう言う事なんで」
ハルさんはそれだけ言うと私の肩に手を掛けて、歩き始めました。
その姿にみんなが続きます。
キルロさんもマッシュさんも、連絡係をしてくれたネインさん、一緒にいてくれたフェインさん、慣れない陽動をしてくれたアウロさんもハルさんと私の後に続きます。行き先はひとつ、みんなが待ってくれている【ハルヲンテイム】に向かいます⋯⋯いえ、今日からは「帰ります」に変わるのです。
◇◇◇◇
「エレナ―ー」
裏口から入るなり、キノが飛び込んで来ました。足元に絡みついて、なかなか離れてくれません。
「キノ、ありがとう」
「ああー! エレナ帰って来たよ! お帰り! 良かった、良かった」
フィリシアはニカっといつもの笑顔で出迎えてくれます。
「エレナ、大変だったわね」
「この様子だと無事終了だな」
「はい、御迷惑をお掛けしてすいませんでした」
「何言っているのよ、水くさいわね」
「そうそう」
モモさんとラーサさんも満面の笑みで出迎えてくれました。ラーサさんの武勇伝も聞きたいし、ずっとひとりで店を切り盛りしてくれたモモさんにも改めて感謝をしないといけませんね。
みんながこんなにも心配してくれて、申し訳ないと思うのと同時にとても嬉しくなっていました。不謹慎かも知れませんが、何故だかとても嬉しかったのです。
「ねえ、折角みんないるんだし、このままパーティーにしない? 明日は店休日だし、ちょっとくらいハメ外すのも悪くないでしょう?」
「賛成! 賛成! さすが店長、話し分かるね~」
フィリシアが大仰におちゃらけて見せると、ハルさんは笑顔で睨んでいました。
パーティー? 何の? ですかね?
「それじゃあ、ちゃちゃっとあり物で何か作りますよ。少しだけ時間を下さい」
「アウロ大丈夫? 走り回って疲れたんじゃない?」
「簡単な物を作るだけですから、訳ないですよ」
「はいはい! 私も手伝うよ」
「フィリシアがそっち手伝うなら、私とラーサで会場の準備でもしましょうか。この人数なら食堂でいいでしょう」
「だね」
「じゃあ、お願いするわ。受付で待っている」
「私も手伝います⋯⋯」
「何言っているの? エレナはこっちに来なさい」
ハルさんに促され、私は【スミテマアルバレギオ】の皆さんと受付へ移動しました。待合のベンチに体を投げ出し、各々が体を休めています。
一体何が始まるのか戦々恐々となりながら、受付に座りました。とりあえず、皆さんにお礼を言わないとですよね。
私は意を決し、お礼を言おうと皆さんの方を見ると⋯⋯寝ていました。
ものの見事に皆さん寝ています。お疲れの所、起こすのは忍びないので私は静かに時が過ぎるのを待つ事としました。
【ハルヲンテイム】に初めて来た時とは似ているようで違う想い。新しい生活が待っているワクワクに少し興奮しています。私を縛る足枷は外され、本当の意味で自由になりました。もう邪魔をするものはありません。俯いていた私も置いて来ました。心に鎮座していた不安や不穏が、霧散していきます。
眼前に立ちすくむ父親の姿は酷く矮小で、感情のひだは閉じて行きます。彼に何かを感じる物は何もありません。怒りも悲しみも、もちろん喜びなどあるわけも無く、そこにあるのは強いて言えば、これは憐みというものでしょうか。
何とも小さく、何とも醜い。
ハルさんとアウロさんの向こうに見える男。
ただ、それだけ。
私の姿に目を剥き、吼えます。その姿はすでに負け犬の遠吠えでしかありません。強がって見た所で自身の矮小さを曝け出すだけです。
「おい! お前ら、エレナ、エレナを抑えろ! 登録さえしちまえばこっちのもんだ!」
叫ぶ父親。睨まれ動けないふたりの仲間。退路を断たれ引くに引けないとはいえ、あまりにも無様な姿を晒しています。
フェインさんが一歩前へと躍り出ます。堂々とした姿で、一枚の書状を広げて見せました。
そこにはしっかりと私のサインがあります。それが何を意味するのか分からないほど愚かではないでしょう。愕然とした表情から、すべてを理解したのが伝わって来ました。
その書状が、終わりを告げたのです。
「エレナ・イルヴァンはたった今、【スミテマアルバレギオ】の団員として登録された。分かるよな? エレナはもう大切なウチの団員だ。【スミテマアルバレギオ】はもちろん、【ハルヲンテイム】の誰かに指一本でも触れてみろ、お前ら全員トロールの餌にしてやる。コイツは脅しじゃない。本気だ」
キルロさん一歩前に出ると、落ち着いた口調ながらも怒気を孕む凄みを見せました。
「いやいや、団長。トロールはちと面倒だ、オーク辺りで手を打とう」
マッシュさんも飄々とした言葉の中に凄みを見せます。
鋭い眼光で睨まれ、父親達はさらに小さくなっていきました。俯き悔しさを噛み殺していますが、もうどうにもならない事は重々理解しているようです。
「エレナ」
ハルさんに手招きされ、私はハルさんの横へと進みました。
こんなにも小さなものに縛られていた自分がとても悔しいと感じます。
でも、縛られていたから今の自分がある。私の背中を押してくれるみんなとの出会いがあった。そんな風に思えて怒りは湧いて来ませんでした。
俯き悔しさは噛み殺すだけの父親は酷く矮小で、取るに足らない存在に思えてなりません。欲に溺れ、自滅した姿に感情が動く事はありませんでした。
「さようなら。もう二度と会う事はないでしょう、お元気で」
私は頭を下げ、最大の敬意を示しました。俯く姿からきっと私の姿は見えていません。私の言葉を聞いても、俯いたままピクリとも動きませんでした。上手く行くはずだった計画が既の所で手の平から零れ落ち、何も考える事が出来ないようです。
「じゃっ、そう言う事なんで」
ハルさんはそれだけ言うと私の肩に手を掛けて、歩き始めました。
その姿にみんなが続きます。
キルロさんもマッシュさんも、連絡係をしてくれたネインさん、一緒にいてくれたフェインさん、慣れない陽動をしてくれたアウロさんもハルさんと私の後に続きます。行き先はひとつ、みんなが待ってくれている【ハルヲンテイム】に向かいます⋯⋯いえ、今日からは「帰ります」に変わるのです。
◇◇◇◇
「エレナ―ー」
裏口から入るなり、キノが飛び込んで来ました。足元に絡みついて、なかなか離れてくれません。
「キノ、ありがとう」
「ああー! エレナ帰って来たよ! お帰り! 良かった、良かった」
フィリシアはニカっといつもの笑顔で出迎えてくれます。
「エレナ、大変だったわね」
「この様子だと無事終了だな」
「はい、御迷惑をお掛けしてすいませんでした」
「何言っているのよ、水くさいわね」
「そうそう」
モモさんとラーサさんも満面の笑みで出迎えてくれました。ラーサさんの武勇伝も聞きたいし、ずっとひとりで店を切り盛りしてくれたモモさんにも改めて感謝をしないといけませんね。
みんながこんなにも心配してくれて、申し訳ないと思うのと同時にとても嬉しくなっていました。不謹慎かも知れませんが、何故だかとても嬉しかったのです。
「ねえ、折角みんないるんだし、このままパーティーにしない? 明日は店休日だし、ちょっとくらいハメ外すのも悪くないでしょう?」
「賛成! 賛成! さすが店長、話し分かるね~」
フィリシアが大仰におちゃらけて見せると、ハルさんは笑顔で睨んでいました。
パーティー? 何の? ですかね?
「それじゃあ、ちゃちゃっとあり物で何か作りますよ。少しだけ時間を下さい」
「アウロ大丈夫? 走り回って疲れたんじゃない?」
「簡単な物を作るだけですから、訳ないですよ」
「はいはい! 私も手伝うよ」
「フィリシアがそっち手伝うなら、私とラーサで会場の準備でもしましょうか。この人数なら食堂でいいでしょう」
「だね」
「じゃあ、お願いするわ。受付で待っている」
「私も手伝います⋯⋯」
「何言っているの? エレナはこっちに来なさい」
ハルさんに促され、私は【スミテマアルバレギオ】の皆さんと受付へ移動しました。待合のベンチに体を投げ出し、各々が体を休めています。
一体何が始まるのか戦々恐々となりながら、受付に座りました。とりあえず、皆さんにお礼を言わないとですよね。
私は意を決し、お礼を言おうと皆さんの方を見ると⋯⋯寝ていました。
ものの見事に皆さん寝ています。お疲れの所、起こすのは忍びないので私は静かに時が過ぎるのを待つ事としました。
【ハルヲンテイム】に初めて来た時とは似ているようで違う想い。新しい生活が待っているワクワクに少し興奮しています。私を縛る足枷は外され、本当の意味で自由になりました。もう邪魔をするものはありません。俯いていた私も置いて来ました。心に鎮座していた不安や不穏が、霧散していきます。
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