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2章

69 キツネミミ初心冒険者 ローラ

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今翔はメルトホルンの近くの森にいた。なぜかというと・・・



 翌日翔はガルズたち職人に大量のプラスチック粘土を渡し使い方を教えた後食器などの作成を頼んだ後(ちなみに新しい素材に職人は狂喜乱舞していた)、久々に冒険者ギルドに向かった。他のメンバーは別行動中である。



 翔が冒険者にギルドに入ると



「よう、久しぶりだな、翔」

「久しぶりですね、翔君」

「元気にしてた?」

「いろいろ噂は聞いてるわよ」



 1つのグループが声を掛けに来た。彼らはAランクパーティー『紅白の銀狼』。メンバーはリーダーである赤い狼クリムゾンブラッドウルフの鎧をきた戦士職のレイブ、白いローブに白銀の髪を持つ魔法使い職のマリー、スカウト職のシド、魔族の僧侶ライラ。翔に冒険者としてのいろいろなことを教えたり、一緒に冒険したこともある冒険者仲間である。



「帝国から美少女を連れて帰って来たんだって?やるじゃないか」

「あれか、邪神を仕留めるついでに美少女も仕留めたていうわけか」

「違うわ!全員仲間、どっからそんな噂が」



 レイブとシドはニヤニヤしながら翔に絡み、翔は突っ込みを入れる。そこにマリーとライラがため息をつきつつ止めに入る。



「いい加減にしなさいよ、レイブ、シド。翔君元気にしてた?心配したわよ」

「ええ、元気な顔が見れて安心しました」

「わりぃわりぃ、久しぶりに会ったからな、ついからんじまった」

「今度紹介してくれよ、仲間の事を」

「今度紹介するよ。皆は今日どうしたの?クエストの報告?」

「ああ、今朝帝国からメルトホルンまでの護衛クエストが終わったから、勘力報告にな。翔は?」

「時間に余裕ができたから何かクエストで儲けようかなと思って」

「そうか、じゃまた今度」

「またね」



 レイブたちと別れた翔は冒険者ギルドの掲示板から何枚か用紙を取り、クエストカウンターへ向かった。



「すみません。このクエスト受けたいんですけど」

「あら、翔さんじゃないですか、どれどれ・・えっこのクエストですか?」



 と受付嬢は困惑した顔で再度翔に訪ねた。翔が選んだクエストは

・森の墓地にスケルトンが発生!スケルトンを討伐せよ

・新鮮な薬草、毒消し草をそれぞれ50個納品せよ

・キリキリ蝶の羽が欲しい



「これ全部ゼロクエストですよ、いいんですか?」



 ゼロクエストとは依頼を発注したが報酬が低い、めんどくさいなど誰も受けてくれず依頼者もギルドも扱いに困ってるクエストである。本来なら低ランクの冒険者がランク昇格のノルマをクリアするためにしょうがなく受けるクエストで高ランク冒険者は受けることがない。



「いいよ。これぐらいなら今日で終わりそうだし、最後のキリキリ蝶のクエストは依頼者の子とても困ってるだろ?」

「さすが翔さん。そうなんです、この子は友達が明後日別の町にいくのでアクセサリーを送りたいそうなんですけど、そのアクセサリーの素材に病気体制のあるキリキリ蝶の羽が欲しいらしいのです。しかしキリキリ蝶は発見しにくく依頼料も低いため今日まで残っていたんです」



「じゃあ、手続きお願い」

「わかりました」



そして冒頭に戻る。



 翔の収納空間にはすでに依頼のアイテムは揃っていた。現在は帰り道の途中である。そこに戦闘音が聞こえてきた。翔が索敵魔法【サーチ】を使い近づくとフードをかぶった魔法使いとデカバッタが戦っていた。



 デカバッタが大口を開けて魔法使いにとびかかった。魔法使いは大きく横に飛び詠唱を始めた。



「放て火球【ファイアボール】」



 魔法使いのファイアボールはデカバッタの横っ腹に直撃した。ただし表面を焦がすだけであまりダメージを与えられていないようだ。デカバッタは魔法使いの方へ向け頭を振り頭突きをかました。



「くっ」



 魔法使いは杖を盾に防御したが体勢を崩し尻餅をついてしまう。そこへデカバッタが大口を開けて襲い掛かる。



 (戦い方が悪いな。初心者かな。森を探索中運悪くはぐれデカバッタにあちゃったのかな)



 デカバッタのランクはC、依頼のランクはC、B。本来森の奥で生息しており、滅多に出てこない。羽で飛ぶことは無いが動きも早く体も固く、噛みつき攻撃が強力。F、Dランクの依頼を受ける初級冒険者では手が出ないだろう。



 翔はそう考えながらデカバッタと魔法使いの間に立ち



「【アースバインド】」



 デカバッタを土で固めて拘束した。



「大丈夫?」



 翔はデカバッタが動けなくなったことを確認して突然の事態に呆然としている魔法使いの冒険者に起き上がるために手を差し出し話しかけた。尻餅をついたときローブが頭からはずれ、キツネミミがピョコンと現れた。よく見たらどうやら女の子みたいだ。



「はい、ありがとうございます」



 魔法使いの女の子は翔の手を借りて起き上がった後、服に着いた土を払いつつお礼を言った。

詳しい話を着てみると魔法使いの女の子の名はローラ。半年前に冒険者登録をしたEランク冒険者で今日は薬草採取で森へ来たところ、デカバッタに遭遇、逃げることができずに戦っていたということらしい。



 翔はローラを少し観察してある提案をした。



「まだ戦える?」



 と聞くと悔しそうな顔をしながらローラは答えた。



「戦えますけど魔法が効かないんです」

「さっきのファイアーボールより強い魔法ある?」

「ありますけど、詠唱が長くて使えないんです」

「うーん、土魔法は使える」

「はい、一応」

「だったら今から言うように動いてみて。そうすればデカバッタぐらいなら倒せるから」



 と少し説明するとデカバッタの拘束を解いた。デカバッタは拘束した翔に襲い掛かったが、透明な壁に阻まれた。翔は【フィールドバリア】でデカバッタとローラを囲った。



(まずは避けることに集中して隙ができたら体全体にマッドショットを当てる)



 ローラは翔に攻撃を続けるデカバッタに向けて魔法を放った。



「放て泥球【マッドショット】」



 デカバッタにマッドショットが当たる。デカバッタは標的を変えローラへ襲い掛かる。ローラは躱しつつマッドショットを当て続けた。1分後急激にデカバッタの動きは落ちた。



(すごい。本当に動きが落ちた。マッドショットにこんな効果があったなんて)



 理由は簡単。体中の泥が時間が立ち渇き重りとなってデカバッタの動きを鈍くしたのだ。



(でもまだ安心しちゃダメ。次は後ろ脚に魔法を集中して)



「放て火球【ファイアボール】」



 ローラは十分に距離を取りつつ、ファイアボールを今度は後ろ脚に集中的に攻撃した。デカバッタも今度は避けようとしているが動きが遅くファイアーボールは直撃する。5発あてると



「ギャシャ――」



 後ろ足が一本吹き飛んだ。ローラはもう一本の後ろ脚にもファイアーボールで集中的に攻撃さした。そして・・



「ギャシャ―ーー」



 もう一本も吹き飛んだ。デカバッタはがむしゃらに暴れ始めた。しかしローラは



(やった。後は距離をとって正面に回って口に向けて弱点の火属性魔法を)



 十分距離を取り詠唱を開始していた。



「苛烈なる火柱よ、敵を焼き尽くす槍と化せ【フレイムジャベリン】」



 ローラの頭上に大きな火の槍が出現し、デカバッタの口を貫いた。口から体内に炎が侵入しもがき苦しむデカバッタ。デカバッタは最後の攻撃を切り出した。デカバッタは前足でローラに向かって突進し、噛みつこうとした。しかしそこにはフレイムジャベリンを構え、デカバッタの口へ向かって放った。



どてっ



デカバッタは口に2発目の直撃でとうとう倒れた。



「やったー」

「うん。うまく戦えてた」



 翔は【フィールドバリア】を解除しローラに近づきほめた。



「ありがとうございます。アドバイス通り戦ったら倒せました。翔さん」

「もともとローラに倒せるだけの実力があったんだよ。じゃあさっさとデカバッタ解体しようか?仕方わかる?」

「いえ、わかりません。解体はギルドに頼んでるので?」

「覚えてみる?」

「はい」



 そして2人で解体を始めた。解体しながらローラといろいろ話した。ローラはメルトホルン共和国の北部にある獣人の町アズール出身で冒険者になろうとメルトホルンに来たそうだ。戦い方は自己流で本などを見て学んだらしい。そこでローラは翔にいろいろ戦い方を教えてほしいと頼んできた。



「いいよ。じゃあギルドに報告したら教えるよ」

「ありがとうございます、師匠」



 翔に弟子ができた瞬間である

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