悪役令嬢は最後に笑う

みさき

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 では、答え合わせと行きましょう。


「ロゼ商会の会長は様々な魔道具を作ったことで有名ですよね。その代表作は拘束の腕輪。さて、これで王太子殿下も分かったでしょう?」


 ねぇ、もう分かったでしょう?


「それでは、改めてご挨拶を」


 膝をおり礼を1つ。


「ロゼ商会、商会長を務めているアリシアと申します」


 顔を上げれば間抜け面がずらりと。

 やっぱり、その顔はやめた方がいいと思うよ?


『う、嘘よ。貴方が商会長なんて嘘に決まってるわ!』


 あら、レイラ嬢が顔を真っ赤にさせて怒ってる? のかな。嘘つき呼ばわりは、あなたにはして欲しくないんだけどな。


「証拠ならありますけど? そうですね、じゃあこれなんてどうでしょう」


 手を上げて魔力を手のひら全体に這わせていく。


「今から、5秒後に王都中のロゼ商会製の魔道具の電源を切りましょうか。あれらは、もしもの為に作製者の権限で使えなくなるようにしていますからね」


 これを行って困るのはどなたでしょうか?

 平民の方たちはもちろんの事、貴族の皆様も困りますよね。

 では、いきましょうか。


 5、4、3、2、1。


 パチン、と指を鳴らすと画面の向こうで一斉に明かりが消えた。


 あらら、会場の照明に使っていたんですね。というかうちの商品割と高いんだけどどんだけ使ってんの。


「理解していただけましたか? これで、私が商会長兼開発者だということが分かったでしょう。では、もう一つプレゼントを贈りましょうか」


 空間から一枚の紙を取り出しながら告げる。

 驚くことはこれだけではないよ。


「我がロゼ商会は本日をもって王国との取り引きを中止します。ああ、もっと細かなことは王宮へ話が行っているはずですよ?」


 真っ暗ななかでも皆様方の呆然とした顔はしっかりと映っていますよ。

 この婚約破棄騒動で、商会の子たちが怒っちゃってたいへんで、宥めるための最善がこれだったんだからしようがないよね。でも、その分私のことを大切におもってくれているって分かったからうれしかったなぁ。

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