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【7】悪役令嬢は対策を練る
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パーティー終了後、寮内の私の自室にイングリッドを呼ぶ。
ステラも同席する。
「いやぁ痛快だったね。ウィチタの悪巧みを阻止出来たんだもの」
イングリッドは自分の魔道器が役に立って喜んでいる。
「それでなんだけど」
私はソフィア嬢に言われた事を話す。
ウィチタから瘴気が感じられ、闇属性魔法を使っている疑いがある事を。
「ステラはどう思った?」
「私もぼんやりとですが感じられました。特にパーティー会場を出ていかれた時には、かなりはっきりと」
「聖女二人が感じるという事は確定だね」
イングリッドも頷く。
「イングリッドにお願いなんだけど、ウィチタの闇属性魔法を防御する魔道器なんて出来ないかしら?
護符みたいなもので。ステラにも協力させるから」
「闇属性魔法は四属性魔法とは根本的に違うし、第一サンプルが無い状態だから難しいかな。
でも光属性魔法と相反する関係にあるのなら、ステラさんの協力があれば何とかなるかも」
「ありがとう! 恩にきるわ!」
私はイングリッドの手を握って感謝する。
「ところでさ、殿下の護衛役を務めているニコル様、カッコ良いよね」
「ニコル様ねぇ・・・」
たしかに護衛役としていつも殿下の傍に侍っているので、いやでも目立つ。
剣の実技でも実力はピカ一だというし、寡黙なところも女性陣に人気らしい。
「ま、ウィンには殿下がいるから関係ないだろうけど」
イングリッドがからかう。
私だってノルベルト殿下は婚約者というだけで好みではない。
かといってニコル様も男性にしては小柄で華奢な感じだし。
私だったらマーヴィン殿下だなと思うのだけど、そんな事口外出来ないよね。
翌日、父ウィリアムから呼び出された。
ワイツウェル公爵館に行くと兄ウォーレンもいた。
「お前、ウィチタに何かしでかしたのか? 昨日大泣きして帰ってきて部屋に閉じこもってしまった」
「被害者だったら私の方ですわ」
私は昨日の歓迎パーティーの出来事の一部始終を話した。そして一言、皮肉を込める。
「私を一方的に悪いと言われるのなら殿下と一緒ですわ。宰相であられるのに」
「わかった。しかし、もう少しウィチタと仲良く出来ないのかね?」
「私が仲良くしようとしましても、彼女が敵意を剥き出しにしてくるのですわ」
「親父、俺はウィンに味方をする。宰相としての手腕は感心するが、家庭内の事では親父を軽蔑する。
だいたい親父がヴァイオレット女史を囲いウィチタが生まれなければ、こんな問題は無かったはずだ!」
私たち兄妹が反旗を翻した事で父は悲しい顔をし、「ウィチタにも言い聞かせる」とは言ったが、どこまでだか。やはり火の粉は自分で払うしかない。
今回はAIイラストによる挿絵は無しです。
強いていえば父親のウィリアムか、ちょっと話題に出てきたニコルとなるでしょうけど。
壮年の男性は嫌だし、ニコルは事情があって出せません。
物語が完結したら追加するかもしれません。
ステラも同席する。
「いやぁ痛快だったね。ウィチタの悪巧みを阻止出来たんだもの」
イングリッドは自分の魔道器が役に立って喜んでいる。
「それでなんだけど」
私はソフィア嬢に言われた事を話す。
ウィチタから瘴気が感じられ、闇属性魔法を使っている疑いがある事を。
「ステラはどう思った?」
「私もぼんやりとですが感じられました。特にパーティー会場を出ていかれた時には、かなりはっきりと」
「聖女二人が感じるという事は確定だね」
イングリッドも頷く。
「イングリッドにお願いなんだけど、ウィチタの闇属性魔法を防御する魔道器なんて出来ないかしら?
護符みたいなもので。ステラにも協力させるから」
「闇属性魔法は四属性魔法とは根本的に違うし、第一サンプルが無い状態だから難しいかな。
でも光属性魔法と相反する関係にあるのなら、ステラさんの協力があれば何とかなるかも」
「ありがとう! 恩にきるわ!」
私はイングリッドの手を握って感謝する。
「ところでさ、殿下の護衛役を務めているニコル様、カッコ良いよね」
「ニコル様ねぇ・・・」
たしかに護衛役としていつも殿下の傍に侍っているので、いやでも目立つ。
剣の実技でも実力はピカ一だというし、寡黙なところも女性陣に人気らしい。
「ま、ウィンには殿下がいるから関係ないだろうけど」
イングリッドがからかう。
私だってノルベルト殿下は婚約者というだけで好みではない。
かといってニコル様も男性にしては小柄で華奢な感じだし。
私だったらマーヴィン殿下だなと思うのだけど、そんな事口外出来ないよね。
翌日、父ウィリアムから呼び出された。
ワイツウェル公爵館に行くと兄ウォーレンもいた。
「お前、ウィチタに何かしでかしたのか? 昨日大泣きして帰ってきて部屋に閉じこもってしまった」
「被害者だったら私の方ですわ」
私は昨日の歓迎パーティーの出来事の一部始終を話した。そして一言、皮肉を込める。
「私を一方的に悪いと言われるのなら殿下と一緒ですわ。宰相であられるのに」
「わかった。しかし、もう少しウィチタと仲良く出来ないのかね?」
「私が仲良くしようとしましても、彼女が敵意を剥き出しにしてくるのですわ」
「親父、俺はウィンに味方をする。宰相としての手腕は感心するが、家庭内の事では親父を軽蔑する。
だいたい親父がヴァイオレット女史を囲いウィチタが生まれなければ、こんな問題は無かったはずだ!」
私たち兄妹が反旗を翻した事で父は悲しい顔をし、「ウィチタにも言い聞かせる」とは言ったが、どこまでだか。やはり火の粉は自分で払うしかない。
今回はAIイラストによる挿絵は無しです。
強いていえば父親のウィリアムか、ちょっと話題に出てきたニコルとなるでしょうけど。
壮年の男性は嫌だし、ニコルは事情があって出せません。
物語が完結したら追加するかもしれません。
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