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オヤジはゴロツキで十分です。
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「はい、ストップ」
「むごっ!?」
確保!と叫んで飛び出した高瀬の襟首を容赦なく掴んだ主任。
なんで止めるんですか、と抗議をしようと開いた口に再び林檎飴が突っ込まれ、うぐぐとひとり唸る。
「あ、あの……?」
「ん?」
その様子を困惑の瞳で見つめていた女性が、恐る恐ると行った様子で声を掛ける。
「もしかして、あの人がお二人に迷惑をかけましたか……?」
あの人、と言いながら見るのは、先程高瀬から「ごろつき」呼ばわりされた例の男。
主任としては初お目見えなわけだが、こうして見るとなかなか胡散臭い。
「おいみゃぁこ!なんでそいつらといるんだ!?ついでにそこのお嬢、おれはゴロツキじゃねぇ」
憤慨した様子でこちらに向かってくる男。
「つかお嬢、お前さん何人男を捕まえてんだ?この間とは別のやつだな。
さすがはヒメガミ、人間の男をたぶらかすくらい容易いってわけか」
「むご!!」
なんだか不名誉な誤解を受けた予感に声をあげようとする高瀬だが、突っ込まれた林檎が邪魔でまともな会話が成立しない。
そうこうしている間にすぐ目の前にまでやってきた男ーーーー頼我。
「おっさん、二人に何をしたの?」
「あ?そりゃお互い様ってやつだろ?こっちだって迷惑を被ったわけだし」
な?と当たり前の既知の態度で水を向けられても、同意は致し兼ねる。
「つか、せっかく名刺までやったのに連絡はしてこねぇしよぉ。そのうちこっちから出向いてやろうとは思ってたんだが、手間が省けたな」
「え?」
「ほら、新しい友達ができるぞって話をしてたろ?これだこれ、そこの嬢ちゃん」
「………なんとなくわかったわ」
みゃぁこ、とよばれた女性は、呑気に高瀬を指差す頼我と、その先で憤懣やるかたなくもごもご叫んでいる高瀬とを見比べ、一瞬にして事情を察したようだ。
高瀬たち二人に向かい、その場で深々と頭を下げ、一言。
「ごめんなさい!!!」
「???」
高瀬たちとしてみれば、なぜこの女性から謝られるのかがさっぱり理解できない。
「この人、仕事の事と私の事、この二つの話になると人の迷惑何一つ考えない所があるから……」
「だからみゃぁこ、そりゃお互い様だって……」
こっちも横から首を突っ込まれた挙句に引っ掻き回された被害者だから、と平然と言ってのける頼我。
「なぁ、嬢ちゃんからも言ってやってくれよ。俺はちゃんと仕事をしただけだって」
終いにはこちらに同意を求める頼我に、ようやく口の中から林檎飴を排除した高瀬はきっぱり一言。
「ゴロツキのおっさんを擁護する義務はない」
「いや、だからごろつきじゃねぇし」
嬢ちゃんが言いてぇのは”御霊憑き”だろ?と自ら律儀に訂正する頼我は案外細かい。
高瀬としてはそんな禍々しい名前よりはむしろごろつきの方がマシだと思うのだが。
そうこうしている間にも、当たり前の様子で女性の後ろに立った頼我は、「ほらみゃあこ、いつまでもこんなところにいたら風邪引くぞ」自らの着ていたコートの前をあけ、彼女を包み込むようにすっぽりと後ろから抱き込む。
そして女性の手を取り、ふぅ、と息を吹きかける頼我。
「ちょ……そんなことより話を……!」
「まだダメだ。冷たくなってんじゃねぇか」
「もう……!!」
文句を言いながらも、顔を赤くし上目遣いに頼我を見上げる女性。
そのほっぺにちゅっとキスを落としながら、いかにもデレデレとした顔の頼我。
おひとり様と思しき通りすがりの見知らぬ参拝客が、「ちっ」と舌打ちしながら羨ましげに彼らをチラ見しているが、気持ちは高瀬にもよくわかる。
なんだこの、ここだけ空気が違うあまーい雰囲気は。
「主任、ちょっと今すぐどこかで『あまーーーーい!』って砂を吐いてきていいですか」
「それよりもほら、俺達もあれやってみる?」
「私と主任だと二人羽織にしか見えないと思うので却下です」
ロマンスと演芸、この激しい両者の差はなんだろう。
なんだかよくわからないけれど、すっかり気が削がれてしまった。
「………撤退しましょう、主任」
「俺も今それを言おうとしていたところだよ」
胡散臭いおっさんをここで確保しようと思ったが、いかにも性格のよさそうなこの美女を巻き添えにするわけにはいかない。
このおっさん関係でなければ喜んでお友達に立候補するところなんだけど、と内心思いつつ、あたりを見渡し逃走経路を練る。
「ほら、ちょうど今こっち見てないし、あっちの人ごみに巻きれれば直ぐに探せなくなるよ」
「ですね」
ゴールでは部長が待っているし、さっさと帰ろう。
戦利品のお土産もたくさんあることだし。
そして今、神は高瀬に味方した。
「こら……待ちなさい…!!」
「えーーーママ!!早くこっち!!」
ちょどいいタイミングで、道の真ん中を占拠していた彼らの間を、一人の子供たちが笑いながら走り抜けていく。
母親らしき女性は割り込むタイミングを測りかね困っていたようだが、子供にはそんなものは関係ない。
「ママ、早く!!」
こっちこっち、と手招きをする子供に続き、申し訳なさそうな顔をしながらも間を割って入る母親。
食べかけの林檎飴を指揮棒のようにびしっと掲げ、「今です主任っ」と小声で声を掛ける高瀬。
無言で頷いた主任と、いま互いの心は一つだった。
抜き足差し足、トンズラホイーーーーー!!
「……ちょ!!待ってください、お願いっ!!こら離しておっさんっ!あの、ちょっと……!!」
それに当然気づいた女性が慌てて頼我を押しのけ、声を掛けるが、あいにく待てと言われて待つ人間は少ない。
己の腕の中に抱え込んだ女性に頬擦りをする気色の悪いオヤジは、にやりと笑ってこちらを見ていたが、どうやら引き止めるつもりはないようだ。
「またな」と、その口元が動いた気がするが、それは気のせいだったと思いたい。
そうして二人は逃げ出しーーーーーー、車の中で待ち構えていた部長に、「何をやってたんだ、お前たちは」と心底呆れらながら、年明け最初のトラブルをなんとかやり過ごしたのであった。
「むごっ!?」
確保!と叫んで飛び出した高瀬の襟首を容赦なく掴んだ主任。
なんで止めるんですか、と抗議をしようと開いた口に再び林檎飴が突っ込まれ、うぐぐとひとり唸る。
「あ、あの……?」
「ん?」
その様子を困惑の瞳で見つめていた女性が、恐る恐ると行った様子で声を掛ける。
「もしかして、あの人がお二人に迷惑をかけましたか……?」
あの人、と言いながら見るのは、先程高瀬から「ごろつき」呼ばわりされた例の男。
主任としては初お目見えなわけだが、こうして見るとなかなか胡散臭い。
「おいみゃぁこ!なんでそいつらといるんだ!?ついでにそこのお嬢、おれはゴロツキじゃねぇ」
憤慨した様子でこちらに向かってくる男。
「つかお嬢、お前さん何人男を捕まえてんだ?この間とは別のやつだな。
さすがはヒメガミ、人間の男をたぶらかすくらい容易いってわけか」
「むご!!」
なんだか不名誉な誤解を受けた予感に声をあげようとする高瀬だが、突っ込まれた林檎が邪魔でまともな会話が成立しない。
そうこうしている間にすぐ目の前にまでやってきた男ーーーー頼我。
「おっさん、二人に何をしたの?」
「あ?そりゃお互い様ってやつだろ?こっちだって迷惑を被ったわけだし」
な?と当たり前の既知の態度で水を向けられても、同意は致し兼ねる。
「つか、せっかく名刺までやったのに連絡はしてこねぇしよぉ。そのうちこっちから出向いてやろうとは思ってたんだが、手間が省けたな」
「え?」
「ほら、新しい友達ができるぞって話をしてたろ?これだこれ、そこの嬢ちゃん」
「………なんとなくわかったわ」
みゃぁこ、とよばれた女性は、呑気に高瀬を指差す頼我と、その先で憤懣やるかたなくもごもご叫んでいる高瀬とを見比べ、一瞬にして事情を察したようだ。
高瀬たち二人に向かい、その場で深々と頭を下げ、一言。
「ごめんなさい!!!」
「???」
高瀬たちとしてみれば、なぜこの女性から謝られるのかがさっぱり理解できない。
「この人、仕事の事と私の事、この二つの話になると人の迷惑何一つ考えない所があるから……」
「だからみゃぁこ、そりゃお互い様だって……」
こっちも横から首を突っ込まれた挙句に引っ掻き回された被害者だから、と平然と言ってのける頼我。
「なぁ、嬢ちゃんからも言ってやってくれよ。俺はちゃんと仕事をしただけだって」
終いにはこちらに同意を求める頼我に、ようやく口の中から林檎飴を排除した高瀬はきっぱり一言。
「ゴロツキのおっさんを擁護する義務はない」
「いや、だからごろつきじゃねぇし」
嬢ちゃんが言いてぇのは”御霊憑き”だろ?と自ら律儀に訂正する頼我は案外細かい。
高瀬としてはそんな禍々しい名前よりはむしろごろつきの方がマシだと思うのだが。
そうこうしている間にも、当たり前の様子で女性の後ろに立った頼我は、「ほらみゃあこ、いつまでもこんなところにいたら風邪引くぞ」自らの着ていたコートの前をあけ、彼女を包み込むようにすっぽりと後ろから抱き込む。
そして女性の手を取り、ふぅ、と息を吹きかける頼我。
「ちょ……そんなことより話を……!」
「まだダメだ。冷たくなってんじゃねぇか」
「もう……!!」
文句を言いながらも、顔を赤くし上目遣いに頼我を見上げる女性。
そのほっぺにちゅっとキスを落としながら、いかにもデレデレとした顔の頼我。
おひとり様と思しき通りすがりの見知らぬ参拝客が、「ちっ」と舌打ちしながら羨ましげに彼らをチラ見しているが、気持ちは高瀬にもよくわかる。
なんだこの、ここだけ空気が違うあまーい雰囲気は。
「主任、ちょっと今すぐどこかで『あまーーーーい!』って砂を吐いてきていいですか」
「それよりもほら、俺達もあれやってみる?」
「私と主任だと二人羽織にしか見えないと思うので却下です」
ロマンスと演芸、この激しい両者の差はなんだろう。
なんだかよくわからないけれど、すっかり気が削がれてしまった。
「………撤退しましょう、主任」
「俺も今それを言おうとしていたところだよ」
胡散臭いおっさんをここで確保しようと思ったが、いかにも性格のよさそうなこの美女を巻き添えにするわけにはいかない。
このおっさん関係でなければ喜んでお友達に立候補するところなんだけど、と内心思いつつ、あたりを見渡し逃走経路を練る。
「ほら、ちょうど今こっち見てないし、あっちの人ごみに巻きれれば直ぐに探せなくなるよ」
「ですね」
ゴールでは部長が待っているし、さっさと帰ろう。
戦利品のお土産もたくさんあることだし。
そして今、神は高瀬に味方した。
「こら……待ちなさい…!!」
「えーーーママ!!早くこっち!!」
ちょどいいタイミングで、道の真ん中を占拠していた彼らの間を、一人の子供たちが笑いながら走り抜けていく。
母親らしき女性は割り込むタイミングを測りかね困っていたようだが、子供にはそんなものは関係ない。
「ママ、早く!!」
こっちこっち、と手招きをする子供に続き、申し訳なさそうな顔をしながらも間を割って入る母親。
食べかけの林檎飴を指揮棒のようにびしっと掲げ、「今です主任っ」と小声で声を掛ける高瀬。
無言で頷いた主任と、いま互いの心は一つだった。
抜き足差し足、トンズラホイーーーーー!!
「……ちょ!!待ってください、お願いっ!!こら離しておっさんっ!あの、ちょっと……!!」
それに当然気づいた女性が慌てて頼我を押しのけ、声を掛けるが、あいにく待てと言われて待つ人間は少ない。
己の腕の中に抱え込んだ女性に頬擦りをする気色の悪いオヤジは、にやりと笑ってこちらを見ていたが、どうやら引き止めるつもりはないようだ。
「またな」と、その口元が動いた気がするが、それは気のせいだったと思いたい。
そうして二人は逃げ出しーーーーーー、車の中で待ち構えていた部長に、「何をやってたんだ、お前たちは」と心底呆れらながら、年明け最初のトラブルをなんとかやり過ごしたのであった。
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