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お年玉企画~部長とおせちの甘い罠③~

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「―――――嫌か」
「え…………?」

至近距離で見つめれたままのその問いかけに、何を言われているのか、本気で意味がわからなかった。

其れを逃げと受けとったのか、さらに近づく二人の距離。

情欲を含んだ熱い吐息に、まばたきを忘れた瞳が揺れる。

―――これは、本当に部長だろうか。

背中のチャックを開けたら誰か別の人が入っていたりして?
……なぁんて馬鹿なことを口に出す合間すらも与えてもらえず。

「―――俺とこうなるのは嫌か、と聞いたんだ。
俺に触れられるのは、それほど耐えられない事か」
「―――それ………は」
「君が答えられないなら、答えは俺が決める。
―――君は嫌がっていない、君は俺の事が好きだ。
………それでいいな?」
「!?」

!!!なんだ、それは。
そんな急展開ありなのか。

「ず、ずるいですよ部長!?」
「なら今すぐ俺の言葉を否定すればいい。
お前など嫌いだ、触れられるのは虫酸が走ると」
「いやだからそれ極端すぎますて…!!」

好きか嫌いかyesかnoか。
突然にこんな選択を突きつけられるのは、曖昧にごまかしてきたこれまでの自分への罰?

「部長を嫌いとか…………寧ろそんな権利が私に与えられていたかすら怪しい気がするんですけど!?」

部長は部長。
それ以外考えたこともないと反論すれば、「なら今すぐ考えろ」との無茶ぶりが。

いや、だからせめて乙女チックに浸る時間くらい下さいって!!
焦りすぎは禁物ですよ部長!!

「君の中で俺はいったい何番目だ?
……………一番に選ばれるのはどの男だ」
「急に声を低くするのやめて下さい」

耳で妊娠するとはこう言うことかと納得しました。

エロボイスは公害です。

「というかさっきから一体何なんですか!
新年からはセクシー路線にキャラチェンでもする気なんですか!?部長!」
「――――赤くなったな」
「へ??」

赤い?何が?

「………って話をそらさないで下さ――――」

むっとして部長を見上げれば、そこにあるのは不敵に笑う部長の顔。

唇が、落ちてくる。

あ。
今度こそ
本当に
キス
され………………………………

垂れてくる前髪が、目の前ゆらゆら揺れて。

そっか、今わかった。
私は多分、部長にキスされるのは嫌じゃ――――。

雰囲気に飲まれ、影が完全に重なりかけたその刹那。

ぽすっ。

『ぴよ!』

「へっ!?」

いきなり降って湧いた。
何処からともなく現れ、二人の真ん中に落ちた小さな白い塊は、どこからどうみても。

「ぴ―ちゃん?」
『ピィ!!』

胸を張って答える小鳥は相変わらず可愛い。
可愛い………が、今はそんなことを言っている場合ではない。

え、でもなんで今のタイミングでここへ?
助けを求める私の声が神に届いたのだろうか。

何はともあれ。

「…………うっし!!よくやったピーちゃん!」
『ピィ!』

及川高瀬、新年早々雰囲気に流されるところでした………!

部長、邪魔されたからっていたいけな小鳥を睨まないで下さい!!

ピシッ!

「ハウス!!」
「……………ここは俺の家だが」
「あ」

ごめんなさい、忘れてました。
残るはもう潔くしかない。

「すみません。土下座するのでこの流れはもうご勘弁を!!」

これ以上、私にこの空気は無理Death です(死)!
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