107 / 260
第四十九話・口づけの意味
しおりを挟む
少年はニケなど忘れた顔でほほ笑む。ぞっとするほど魅力的だった。
「違うよ。フロリアに会いに来たんだ。今日ここに来れば会えるって、分かっていたからね」
わざわざ耳元で囁いてくる。くすぐったくて耳を手で覆う。
「それって、どういう意味? 俺がここに来るのを知っているのは、ごく一部の人だけなのに」
「気になる? 詳しく知りたい? それなら――」
少年の目が仄かに光ったように感じた瞬間。
「いででっ」
ぐいっと髪を引っ張られ、フリーは強制的に横を向かされた。今度は左右同じ濃さの赤い目に見つめられる。
「あまりそいつの目を見るなよ? 僕ら(赤犬族)が火なら、こいつらは目が合っただけで虜に落ちる魔九来来(まくらら)を使う奴が稀にいる」
少年は足を組んで「フフッ」と笑う。
「大丈夫だよ。僕は魔九来来使いじゃないさ。……そもそも魔九来来なんかに頼らなくとも、僕の周りは下僕で一杯だからね。いやあ、モテるってツラい」
ふふんと勝ち誇った顔でニケに目をやるも、
「そんな畜生に囲まれて喜ぶとは……。随分特殊な性癖の持ち主だな。変態はフリーだけかと思っていたぞ」
なんか流れ弾が飛んできた気がする。
両拳を握り、イヤレスは可愛らしく頬を膨らます。
「家畜じゃないよ! ヒトだよヒト。僕を牧場主か何かだと思ってる? ったく……。フロリアの今カレは可愛げがないね」
「無くて結構だ」
ばっさりと言い捨てる。
「僕はほんのり未来が見えるんだ……。それでフロリアを迎えに来たってわけ」
「えっ? 未来?」
咄嗟に出た大声が祠内に反響する。うるさいとニケに目で言われたので謝っておく。
「ご、ごめん。そんなこと出来るの? すごいね!」
未来予知なんてキミカゲくらいしかできないと思っていた。……もちろんキミカゲに未来を予知できる力はない。膨大な人生経験が、予測を予知じみたものにしているだけだ。
「あっさり信じたね……。フロリアが詐欺に引っかからないか、心配になってきたよ」
気まずそうに頬を掻き、イヤレスは口元だけで笑う。
「フフッ。そんな心配なフロリアを、僕が守ってあげる。僕のところへおいでよ。竜は才能の有る者、珍しい者を集めるけれど、僕は美しいものに囲まれていたいんだ」
ついっと少年の指がフリーの唇をなぞる。
「特にフロリアは白い髪が」
「うひぃ!」
くすぐったかったのか、フリーの身体は大げさなほど跳ね、二人は石の床に転がり落ちた。
ごつっと痛そうな音が鳴ったから、どちらかは頭ぶつけただろう。フリーは真っ青になってふたりをかき集める。膝の上に乗っかってくれていたほうがあたたかくて助かるのだ。
ぶつけたのはイヤレスだったようで、頭を押さえ、ぷるぷると震えている。うつむいているため表情は見えないが、痛そうだ。
「ご、ごめんよ!」
まさか「あの子」に怪我を負わせてしまうなんて。どう償えばいいんだ。
ひとまず華奢な身体を抱きしめ、ぶつけたであろう個所を少年の手の上から懸命に摩る。
「……ふ…」
「え? 痛い? ごめんよ? 本当にごめん」
何を言ったのか聞き取ろうと、耳をぐっと近づける。
「ふ、ふふ……」
少年の方が小刻みに揺れる。目をぱちくりさせ見守っていると、やがて彼は顔を上げた。
「フフフッ。心が優しいね、フロリアは。真心美味しいよ」
からっとした笑顔だ。痛みに歪んでいるわけでも、涙を流しているわけでもない。ぽかんとしていると、白けた表情のニケが目に入った。彼は身体を丸めて受け身を取ったようで、怪我ひとつない。あほくさと言わんばかりの冷めた目で、悪戯っ子とまんまと騙されたフリーを見ている。
「どう見ても嘘泣きだろうが。簡単に騙されおって」
と言いつつ口元がにやけているのは、「帰ったら僕も試してみよう」と企んでいるからである。
フリーは眉を八の字にする。
「……騙したんだ?」
「おや。泣いちゃった? 怒っちゃった? フフッ。そうやって頭の中を僕で満たすと良い。僕以外のことを考えられないようにしてあげるよ」
白い髪を掬い取り、ちゅっと口づけする。
「?」
首を傾げるフリーに姉のように頭を撫でる。
「おや。キスの意味を知らないのかな?」
「え、あ! あ、これは知ってるんだ実は」
いつも教えてもらっている自分が誰かに説明できるチャンス。興奮気味のフリーに、ニケまで疑いの目を向けてくる。
「え? 知っとるのか?」
フリーはえっへんと胸を張って人差し指を立てる。
「もちろん。キミカゲさんに教えてもらったんだ。唇をくっつけると鎮痛効果や髪をツヤツヤにする効果があるってね。それってつまり、箪笥(タンス)に指ぶつけた際に唇くっつけると、痛みが和らぐってことなんじゃないの? すごい発見をしてしまった! 俺って天才かも。そんなわけでこれからどこかにぶつけたらニケに唇くっつけるぅ~」
目を輝かせるフリーに、凪いだ海のような表情になる少年たち。なんだか女神像まで「ふっ」と鼻で笑った気がした。
「え? なに?」
彼らのこけしみたいな顔を交互に見やる。
「違うの? そんなわけないよね。だってキミカゲさんが言っていたんだし。イヤレスさっき俺に唇くっつけたじゃん? あれって、お腹でも痛かったの? それならもっとくっつける?」
目を閉じ、「ん」と唇を突き出すフリーに、こけし顔から復帰したイヤレスが舌なめずりをする。
「フフッ。そうなんだよ。実はお腹痛くてさ~。そんなわけで……。いっただっきまーす」
差し出された唇に全開笑顔のイヤレスが噛みつこうとしたとき、小さなあんよがふたつ飛んできた。それはきれいにイヤレスの脇腹を蹴り飛ばす。
不審者撃退案その三・ニケドロップキックである。
「ぎゅっ?」
手加減が一切含まれていない両足蹴りに、祠の外まで吹っ飛んだイヤレスの華奢な身体は地面にバウンドし雪に埋まる。
「え?」
騒ぎに片目を開けたフリーだったが次の瞬間顔を掴まれる。視界には仏頂面のニケ。そして、
「ぶっちゅうううう~~~っ」
「!!!??!??!!」
ニケが唇に吸いついた。
「んんんんんんっっ?」
フリーはもがくが、怒っているのかニケはがっちり顔を両手で挟んで逃さない。その吸引力は凄まじく、フリーは顔の皮が持って行かれそうになった。
「……っ……? …………ッ!」
どれほど吸われていただろうか。フリーが酸欠で目を回す頃にようやくニケは顔を離した。ニケはぐいっと袖で唇を拭い、ぺっと唾を吐く。
「おい! いいか、フリー。種族によって口づけの意味は異なる。僕ら(赤犬族)は愛を誓うという意味があって、心を許した相手にのみする行為だ。気軽にほいほいするもんじゃない。覚えとけーーッ!」
祠が震えるほどの声量で唾を飛ばして怒鳴るニケに、腰を抜かしたままフリーは唖然となる。ぱらぱらと天井から砂埃が落ち、四つん這いで戻ってきたイヤレスも「うわぁ……」という顔をしていた。
腕を組んでぷいっと顔を逸らす。
「鎮痛剤代わりにされちゃ、たまらんわ。まったく」
って姉ちゃんが言ったんだ。身内と本当に心を預けられる相手にしかしちゃ駄目よって……。ニケったら可愛いから心配だわ。変な人が言い寄ってきたらお姉ちゃんに言うのよ? 回りくどくて陰湿な嫌がらせで追い払ってあげるからねって。優しく真剣な目つきで教えてくれたんだ。だからきっと大事なことなのだ。
(……でも、フリーとの口づけはなんだか気持ち良かったな。……あれ? 僕いまフリーに口づけしたのか?)
膝の上で仁王立ちしたままほんのり頬を染めていると、ぐいっと尻尾が引っ張られた。
「!」
「おいコラ。駄犬が。なに蹴っ飛ばしてくれちゃってんの?」
イヤレスである。笑顔に青筋を浮かべて、ぎりぎりとニケ尻尾を雑巾絞りしている。
ぽてんと尻餅をついたニケだが、チンピラのような不穏な表情で、片眉を跳ね上げた。
「ああん? ヒトの持ち物にべたべた触れるからだろう? 手垢を付けるなよ。掃除するの僕だぞ?」
「フフッ。テディベア座りのお子ちゃまが言うじゃないか。なんなの今の掃除機みたいなキスは。下手くそすぎでしょ」
「お前さんが尻尾引っ張ったからやないか。おお? 口づけに上手いも下手もあるかい。なんや? お前さんは口づけした相手にいちいち下手だの上手だの感想言うのか?」
ばちばちと火花を散らすお子様たちだが、ここはフリーの膝の上である。ダブルオモチが間近にいてなにもしない彼ではない。フリーはふたりの言い合いなど聞こえていない様子でニケたちを抱きしめる。
「ふへへへへへ。これって、あれかな? 両手に花ってやつ? ディドールさんが言ってた~」
頬を押し当て、ふたりまとめて頬ずりする。
「へっへっへ。やわらけぇ。やわらけぇなぁ……。あ、ごめんねニケ。怒らせちゃって。唇がニケに触れないよう、これからは気をつけああああー!」
ニケの片手が頬を掴んで伸ばす。
「痛いです、ニケさん。お許しを……」
「ふんっ。ま、まあ。たまにならしても構わないぞ?」
「え?」
イヤレスが「ぶほぉっ」と吹き出したが黙殺する。
「違うよ。フロリアに会いに来たんだ。今日ここに来れば会えるって、分かっていたからね」
わざわざ耳元で囁いてくる。くすぐったくて耳を手で覆う。
「それって、どういう意味? 俺がここに来るのを知っているのは、ごく一部の人だけなのに」
「気になる? 詳しく知りたい? それなら――」
少年の目が仄かに光ったように感じた瞬間。
「いででっ」
ぐいっと髪を引っ張られ、フリーは強制的に横を向かされた。今度は左右同じ濃さの赤い目に見つめられる。
「あまりそいつの目を見るなよ? 僕ら(赤犬族)が火なら、こいつらは目が合っただけで虜に落ちる魔九来来(まくらら)を使う奴が稀にいる」
少年は足を組んで「フフッ」と笑う。
「大丈夫だよ。僕は魔九来来使いじゃないさ。……そもそも魔九来来なんかに頼らなくとも、僕の周りは下僕で一杯だからね。いやあ、モテるってツラい」
ふふんと勝ち誇った顔でニケに目をやるも、
「そんな畜生に囲まれて喜ぶとは……。随分特殊な性癖の持ち主だな。変態はフリーだけかと思っていたぞ」
なんか流れ弾が飛んできた気がする。
両拳を握り、イヤレスは可愛らしく頬を膨らます。
「家畜じゃないよ! ヒトだよヒト。僕を牧場主か何かだと思ってる? ったく……。フロリアの今カレは可愛げがないね」
「無くて結構だ」
ばっさりと言い捨てる。
「僕はほんのり未来が見えるんだ……。それでフロリアを迎えに来たってわけ」
「えっ? 未来?」
咄嗟に出た大声が祠内に反響する。うるさいとニケに目で言われたので謝っておく。
「ご、ごめん。そんなこと出来るの? すごいね!」
未来予知なんてキミカゲくらいしかできないと思っていた。……もちろんキミカゲに未来を予知できる力はない。膨大な人生経験が、予測を予知じみたものにしているだけだ。
「あっさり信じたね……。フロリアが詐欺に引っかからないか、心配になってきたよ」
気まずそうに頬を掻き、イヤレスは口元だけで笑う。
「フフッ。そんな心配なフロリアを、僕が守ってあげる。僕のところへおいでよ。竜は才能の有る者、珍しい者を集めるけれど、僕は美しいものに囲まれていたいんだ」
ついっと少年の指がフリーの唇をなぞる。
「特にフロリアは白い髪が」
「うひぃ!」
くすぐったかったのか、フリーの身体は大げさなほど跳ね、二人は石の床に転がり落ちた。
ごつっと痛そうな音が鳴ったから、どちらかは頭ぶつけただろう。フリーは真っ青になってふたりをかき集める。膝の上に乗っかってくれていたほうがあたたかくて助かるのだ。
ぶつけたのはイヤレスだったようで、頭を押さえ、ぷるぷると震えている。うつむいているため表情は見えないが、痛そうだ。
「ご、ごめんよ!」
まさか「あの子」に怪我を負わせてしまうなんて。どう償えばいいんだ。
ひとまず華奢な身体を抱きしめ、ぶつけたであろう個所を少年の手の上から懸命に摩る。
「……ふ…」
「え? 痛い? ごめんよ? 本当にごめん」
何を言ったのか聞き取ろうと、耳をぐっと近づける。
「ふ、ふふ……」
少年の方が小刻みに揺れる。目をぱちくりさせ見守っていると、やがて彼は顔を上げた。
「フフフッ。心が優しいね、フロリアは。真心美味しいよ」
からっとした笑顔だ。痛みに歪んでいるわけでも、涙を流しているわけでもない。ぽかんとしていると、白けた表情のニケが目に入った。彼は身体を丸めて受け身を取ったようで、怪我ひとつない。あほくさと言わんばかりの冷めた目で、悪戯っ子とまんまと騙されたフリーを見ている。
「どう見ても嘘泣きだろうが。簡単に騙されおって」
と言いつつ口元がにやけているのは、「帰ったら僕も試してみよう」と企んでいるからである。
フリーは眉を八の字にする。
「……騙したんだ?」
「おや。泣いちゃった? 怒っちゃった? フフッ。そうやって頭の中を僕で満たすと良い。僕以外のことを考えられないようにしてあげるよ」
白い髪を掬い取り、ちゅっと口づけする。
「?」
首を傾げるフリーに姉のように頭を撫でる。
「おや。キスの意味を知らないのかな?」
「え、あ! あ、これは知ってるんだ実は」
いつも教えてもらっている自分が誰かに説明できるチャンス。興奮気味のフリーに、ニケまで疑いの目を向けてくる。
「え? 知っとるのか?」
フリーはえっへんと胸を張って人差し指を立てる。
「もちろん。キミカゲさんに教えてもらったんだ。唇をくっつけると鎮痛効果や髪をツヤツヤにする効果があるってね。それってつまり、箪笥(タンス)に指ぶつけた際に唇くっつけると、痛みが和らぐってことなんじゃないの? すごい発見をしてしまった! 俺って天才かも。そんなわけでこれからどこかにぶつけたらニケに唇くっつけるぅ~」
目を輝かせるフリーに、凪いだ海のような表情になる少年たち。なんだか女神像まで「ふっ」と鼻で笑った気がした。
「え? なに?」
彼らのこけしみたいな顔を交互に見やる。
「違うの? そんなわけないよね。だってキミカゲさんが言っていたんだし。イヤレスさっき俺に唇くっつけたじゃん? あれって、お腹でも痛かったの? それならもっとくっつける?」
目を閉じ、「ん」と唇を突き出すフリーに、こけし顔から復帰したイヤレスが舌なめずりをする。
「フフッ。そうなんだよ。実はお腹痛くてさ~。そんなわけで……。いっただっきまーす」
差し出された唇に全開笑顔のイヤレスが噛みつこうとしたとき、小さなあんよがふたつ飛んできた。それはきれいにイヤレスの脇腹を蹴り飛ばす。
不審者撃退案その三・ニケドロップキックである。
「ぎゅっ?」
手加減が一切含まれていない両足蹴りに、祠の外まで吹っ飛んだイヤレスの華奢な身体は地面にバウンドし雪に埋まる。
「え?」
騒ぎに片目を開けたフリーだったが次の瞬間顔を掴まれる。視界には仏頂面のニケ。そして、
「ぶっちゅうううう~~~っ」
「!!!??!??!!」
ニケが唇に吸いついた。
「んんんんんんっっ?」
フリーはもがくが、怒っているのかニケはがっちり顔を両手で挟んで逃さない。その吸引力は凄まじく、フリーは顔の皮が持って行かれそうになった。
「……っ……? …………ッ!」
どれほど吸われていただろうか。フリーが酸欠で目を回す頃にようやくニケは顔を離した。ニケはぐいっと袖で唇を拭い、ぺっと唾を吐く。
「おい! いいか、フリー。種族によって口づけの意味は異なる。僕ら(赤犬族)は愛を誓うという意味があって、心を許した相手にのみする行為だ。気軽にほいほいするもんじゃない。覚えとけーーッ!」
祠が震えるほどの声量で唾を飛ばして怒鳴るニケに、腰を抜かしたままフリーは唖然となる。ぱらぱらと天井から砂埃が落ち、四つん這いで戻ってきたイヤレスも「うわぁ……」という顔をしていた。
腕を組んでぷいっと顔を逸らす。
「鎮痛剤代わりにされちゃ、たまらんわ。まったく」
って姉ちゃんが言ったんだ。身内と本当に心を預けられる相手にしかしちゃ駄目よって……。ニケったら可愛いから心配だわ。変な人が言い寄ってきたらお姉ちゃんに言うのよ? 回りくどくて陰湿な嫌がらせで追い払ってあげるからねって。優しく真剣な目つきで教えてくれたんだ。だからきっと大事なことなのだ。
(……でも、フリーとの口づけはなんだか気持ち良かったな。……あれ? 僕いまフリーに口づけしたのか?)
膝の上で仁王立ちしたままほんのり頬を染めていると、ぐいっと尻尾が引っ張られた。
「!」
「おいコラ。駄犬が。なに蹴っ飛ばしてくれちゃってんの?」
イヤレスである。笑顔に青筋を浮かべて、ぎりぎりとニケ尻尾を雑巾絞りしている。
ぽてんと尻餅をついたニケだが、チンピラのような不穏な表情で、片眉を跳ね上げた。
「ああん? ヒトの持ち物にべたべた触れるからだろう? 手垢を付けるなよ。掃除するの僕だぞ?」
「フフッ。テディベア座りのお子ちゃまが言うじゃないか。なんなの今の掃除機みたいなキスは。下手くそすぎでしょ」
「お前さんが尻尾引っ張ったからやないか。おお? 口づけに上手いも下手もあるかい。なんや? お前さんは口づけした相手にいちいち下手だの上手だの感想言うのか?」
ばちばちと火花を散らすお子様たちだが、ここはフリーの膝の上である。ダブルオモチが間近にいてなにもしない彼ではない。フリーはふたりの言い合いなど聞こえていない様子でニケたちを抱きしめる。
「ふへへへへへ。これって、あれかな? 両手に花ってやつ? ディドールさんが言ってた~」
頬を押し当て、ふたりまとめて頬ずりする。
「へっへっへ。やわらけぇ。やわらけぇなぁ……。あ、ごめんねニケ。怒らせちゃって。唇がニケに触れないよう、これからは気をつけああああー!」
ニケの片手が頬を掴んで伸ばす。
「痛いです、ニケさん。お許しを……」
「ふんっ。ま、まあ。たまにならしても構わないぞ?」
「え?」
イヤレスが「ぶほぉっ」と吹き出したが黙殺する。
9
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
孤狼のSubは王に愛され跪く
ゆなな
BL
旧題:あなたのものにはなりたくない
Dom/Subユニバース設定のお話です。
氷の美貌を持つ暗殺者であり情報屋でもあるシンだが実は他人に支配されることに悦びを覚える性を持つSubであった。その性衝動を抑えるために特殊な強い抑制剤を服用していたため周囲にはSubであるということをうまく隠せていたが、地下組織『アビス』のボス、レオンはDomの中でもとびきり強い力を持つ男であったためシンはSubであることがばれないよう特に慎重に行動していた。自分を拾い、育ててくれた如月の病気の治療のため金が必要なシンは、いつも高額の仕事を依頼してくるレオンとは縁を切れずにいた。ある日任務に手こずり抑制剤の効き目が切れた状態でレオンに会わなくてはならなくなったシン。以前から美しく気高いシンを狙っていたレオンにSubであるということがバレてしまった。レオンがそれを見逃す筈はなく、シンはベッドに引きずり込まれ圧倒的に支配されながら抱かれる快楽を教え込まれてしまう───
完結・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に味見されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
婚約破棄したら隊長(♂)に愛をささやかれました
ヒンメル
BL
フロナディア王国デルヴィーニュ公爵家嫡男ライオネル・デルヴィーニュ。
愛しの恋人(♀)と婚約するため、親に決められた婚約を破棄しようとしたら、荒くれ者の集まる北の砦へ一年間行かされることに……。そこで人生を変える出会いが訪れる。
*****************
「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく(https://www.alphapolis.co.jp/novel/221439569/703283996)」の番外編です。ライオネルと北の砦の隊長の後日談ですが、BL色が強くなる予定のため独立させてます。単体でも分かるように書いたつもりですが、本編を読んでいただいた方がわかりやすいと思います。
※「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく」の他の番外編よりBL色が強い話になりました(特に第八話)ので、苦手な方は回避してください。
※完結済にした後も読んでいただいてありがとうございます。
評価やブックマーク登録をして頂けて嬉しいです。
※小説家になろう様でも公開中です。
俺の彼氏
ゆきの(リンドウ)
BL
26歳、役所勤めの榊 哲太は、ある悩みに頭を抱えていた。それは、恋人である南沢 雪の存在そのものについてだった。
同じ男のはずなのに、どうして可愛いと思うのか。独り占めしたいのか、嫉妬してしまうのか。
挙げれば挙げるほど、悩みは尽きない。
リスク回避という名の先回りをする哲太だが、それを上回る雪に振り回されてー。
一方の雪も、無自覚にカッコよさを垂れ流す哲太が心配で心配で仕方がない。
「それでもやっぱり、俺はお前が愛しいみたいだ」
甘酸っぱくてもどかしい高校時代と大人リアルなエピソードを交互にお届けします!
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
金色竜は空に恋う
兎杜唯人
BL
その都市には言葉を解し、まるで人のような生活をする獣族と、その獣族に守られともに生きる人族がいた。
獣族は大きくわけて四つの種族に分かれて生活していた。
さらにその都市の中心には特別な一族が居た。
人族は人族と、獣族は獣族と、同じ種族同士が番となり子供を産んで生活するのが当たり前のなか、時折2つの種族の間に番ができ子供が生まれた。
半人半獣のその存在は奇跡であり、だが同時に忌み嫌われてもいた。
ある時恋人同士であった虎族と人族がひとりの半人半獣に出会う。
交わるはずのなかった三人が紡ぐ甘く優しい運命の物語。
オメガバースを主軸とした、獣人と人が暮らす世界の出来事であり、『小説家になろう』から転載中『世界は万華鏡でできている』と同じ世界の話。
★=がっつり行為描写あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる