上 下
104 / 479

スイス・アーミー・マン の粗筋

しおりを挟む

無人島に流れ着いたハンクは絶望から自死しようとしていた。その矢先、彼は浜辺に打ち上げられていた死体を発見した。ハンクは人工呼吸による蘇生を試みたが、失敗に終わってしまった。その死体はガスで膨れ上がっており、水に浮いていた。しかも、ガスの排出によって、死体は沖合に出ようとしていた。死体に飛び乗ったハンクは、ジェットスキーの要領で死体に乗って沖合へと向かった。何とか大きな島にたどり着けたものの、そこも無人島であることには変わりなかった。その夜、ハンクは死体と共に洞窟で眠りについた。夜の間に降った雨水が死体の口の中に流れ込んだ結果、死体は飲料水の供給源となった。さらに驚くべきことに、死体は英語を話し始め、自らをメニーと名乗った。海岸で拾ったポルノ雑誌を見て勃起したメニーに苦笑したハンクだったが、そのペニスが方位磁針の役割を果たせることに気が付いた。メニーは生前の記憶を全てなくしていたため、ハンクは彼に様々なことを教えてあげた。しかし、メニーの子供じみた態度はハンクを苛立たせることもあった。

ハンクの故郷へと向かう道中、ハンクはメニーに食べることや映画館に行くことの喜びを語った。そこら辺に生い茂っていた植物やゴミを利用して、ハンクは即興劇をやった。その内容はメニーがサラという名前の女性と恋に落ちるというものだった。劇の内容を真に受けたメニーは、自分の愛するサラがいるハンクの故郷へ帰る意志をより強くした。しかし、サラというのはハンクが一目惚れした女性の名前であった。ハンクはサラとバス停で毎日顔を合わせていたのだが、1回も会話したことがなかった。ハンクは彼女に話しかける勇気を持ち合わせていなかったのである。しかし、彼女を隠し撮りして、その写真を自分の携帯電話の待ち受け画面にすることはできた。SNSの投稿を通して、ハンクはサラが既婚者であることを知っていたが、それでも恋愛感情が消えることはなかった。

熊に襲われるという絶体絶命の危機を乗り切った2人は、遂に故郷へと辿り着いた。ところが、死体と共に帰還したために、とんでもない混乱が生じてしまうのだった。
しおりを挟む

処理中です...