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第5章 モナ・リザの考察
モナ・リザの真実
しおりを挟むレオナルドは、モナ・リザに、何を表現したかったのか?
まわりまわって、
探求し続け、ようやく世の人は、理解する。
誰の姿でもない絵画は、誰の姿でもある絵画だと気付きを得る。
あの絵画は、鑑賞者にとって、変幻自在なモデルとなる。誰の姿でもない絵は、誰の顔にも見えてしまうから、実に不思議だ。
元々あの絵は、ダ・ヴィンチが
自からへの慰めの為に描かれた絵画だった。
自分の魂と、母カテリーナの魂を、 融合させ、来世での再会を神に祈った、自分自身の為に描いた絵画だった。
来世で、巡り合う
来世の母の姿、それが本来のテーマだったはず。
しかし、最終的にダ・ヴィンチは
来世の母を、自からだけの来世の母にとどめる事なく、世の人々に普遍的な光を与える、
全てに通じる母の姿にさせた。
絵画は、パズルのように他の絵画と、交じり合ったり組み合わさって、進化を遂げた。
モナリザのモデルは、
ダ・ヴィンチが絵画制作着手時には、純粋に追憶の母への思慕的なものだったのかもしれないのだが、発展し進化し、だんだんワンネスへの道しるべ的な全てを現す絵画となったのである。ダ・ヴィンチが、絵を描くあいだに体感した、数多くの悟りが、最終的にあのような絵画を生み出した背景だったのだろう。
こう考えると、もはや、モナリザを一人のモデルに限定しようと考えることすら馬鹿らしくなるように、ダ・ヴィンチの発想は万人の思考を超越したものだった。
宇宙の真理や、宗教のあるべき姿や、歴史の真実を、モナリザと呼ばれる絵画に、まるで隠し絵のように、閉じ込めたのだ。
モナリザは、元々肖像画ではないのだから、誰であるかに拘る必要はないのだ。
肖像画より、むしろ宗教画に近い絵画、それも、普通の宗教ではない。宗教を超えた宗教画。
全ての宗教を、一つに纏めるようなスタンスで描かれた絵画
それがモナリザの真実。
ダ・ヴィンチは、
宇宙的な視野に立って、世の中を見て、
人民が翻弄されている宗教とは別の次元において、
神の存在を意識し、確信し、絵画に、メッセージを封じ込めたのではなかろうか?
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