おばあちゃんと、まぐ
Some 100 stories of cats(猫にまつわる小篇たち)のシリーズ第16作目。
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◇主体性の剥奪への渇望こそがマゾヒストの本質だとかね……そういう話だよ。
「サキのタトゥー、好き……」
「可愛いでしょ。お気に入りなんだ」
たわれるように舞う二匹のジャコウアゲハ。一目で魅了されてしまった。蝶の羽を描いている繊細なグラデーションに、いつも目を奪われる。
「ワタシもタトゥー入れたいな。サキと同じヤツ」
「やめときな。痛いよ」
そう言った後で、サキは何かに思い至って吹き出した。
「あんた、タトゥーより痛そうなの、いっぱい入れてんじゃん」
この気づかいのなさが好きだ。思わずつられて笑ってしまう。