105 / 178
魔族大戦
第百五話 魔王対ヴェルドー
しおりを挟む
ふー疲れる。私は魔王ちゃんである、エターリアのそばで置物として、ゴスロリ服で魔王の仕事を見守ることになった。それはいい、どうせネーザン国でも、宰相としてさんざんやったことだから。
でも……。この服暑い! 黒の生地で、残暑に南方地方のウェストヘイムでただ立っているだけで、汗がだらだら出てくる。エアコンとかないし、マジで地獄。ロリータ伯爵はよく白の生地とはいえ汗一つ流さずいられるよね。
あーあ超スカートむれるー! 休憩室で、私はスカートをバタバタめくって、スカートの中に新鮮な空気を送っていた。そのときだ、私にこんな厄介なものを送り付けた、ロリータ伯爵こと、ナターシャが、ずんずんとハリセンをもってやってきた。
そして有無を言わさずに、彼女にハリセンでぱしーんとはたかれてしまった。
「あほか! スカートでパタパタすんなや!!!」
「いったー、なにすんのよ」
「あんたロリータをなめてらしゃるの!? せっかく可愛く仕上がっているというのに、ロリータにあるまじき振る舞い、同じロリータとして、伯爵として、そんな破廉恥な行為は許せませんわ!」
「いいじゃん、暑いんだもん、スカートの中むれるし、ぱたぱたーと」
「だからすんなや!」
また頭をハリセンでパシーンとはたかれた。ええーだめなのー。
「いいですこと! ロリータは心から始まるの! 動作立ち居振る舞いが、淑女として、美しくないと真のロリータになれませんわよ!」
「いいもん、男なんて、くそくらえですわ! ぱたぱたー」
「女子中学生か!」
とまたもやパシーンとはたかれた。やたらボケを拾ってくれるから、ナターシャの前でボケ甲斐がある。
「まったく、貴女にはロリータとしての教育が必要なようね」
「こう見えても国立大学卒なんだけど」
「貴女、大卒ですの?」
「あ、やべ。まあ、とりあえず、ぱたぱたー」
「やめんか!」
となんとか私はごまかして、ハリセンに頭を出した。そんなこんなで、私はロリータ漫才を堪能した後、次の魔王ちゃんの謁見に付き合うことにした。
というのも、午後は私は何としてでも参加したいと思っていた。エターリアのヴェルドーへの詰問がこれから始まる。レクスから聞いた話だと、ヴェルドーは魔王の命令を無視して、勝手に暴れていたということになる。私は事の次第とヴェルドーの真意を知りたかった。
フェニックスヒルの謁見室にヴェルドーは堂々と歩いてきた、それを冷たい目で、エターリアは見ていた。だが、ヴェルドーは膝をつくことなく、悪態をつきながら、魔王であるエターリアに言った。
「これはこれは、俺が、前線で戦っている中、つまらぬ言葉で、俺様を呼ぶとは、戦いが上手くいかず狼狽したか、魔王」
「貴様が、前線を勝手に推し進めた結果だ。私はワックスリバーの攻略を命じたはずだ。なのにこのウェストヘイムに攻め込むとはな、結果王城を落とせたものの、補給線が伸び切り、もはや戦線が膠着してしまっているではないか、ヴェルドー」
「俺がこの城を落とせたから、今ここにいるのだろう、魔王。ニンゲンどもが小細工をして、輸送部隊を襲っているから、こうなっただけで、特に侵攻に問題はない」
「たわけ! 貴様のしりぬぐいのために私がどれだけ奔走したか! 貴様にききたいことがある」
どうやら、エターリアとヴェルドーには確執があるようだ。計画の考え方の違いが感じ取れる。そして、エターリアの詰問が始まった。
「まず、ウェストヘイムの国王夫妻の殺害、これはなんだ! のちの統治計画のために、私は生かして捕らえろと命じたはずだ。これについて説明をしてもらおうか!」
「ふん! 知れたことを。ウェストヘイムを落とすために、貴族どもの旗頭の首をへし折ってやっただけだ」
「そのせいで、ウェストヘイムの騎士たちが、頑強に抵抗しているではないか。いまだウェストヘイム全土を制圧できないのはこのためだ。貴様、私に逆らう気か!」
「王族はニンゲンどもの汚物そのものだ。この世界から根絶やしにすれば、人類どもの教育とやらも簡単だろう」
「ふざけたことを。貴様の私情での行動だろ、ヴェルドー。次に統治計画の話だ。私は人間どもを導くために、再教育計画の一環として、労働管理をしている。しかしだ、貴様は無駄に人間どものみならず、味方である魔族を抑圧し、恐怖統治を行っている。これはどういうことだ」
「当り前だ。戦争状態で、軍の元に力を集結しないと、反乱がおこり、統治など夢のまた夢だ」
「そのせいで、人間たちや、貴様の部下たちまで関係にひびが入っている。結果、思ったほどの成果をあげられず、この場で足止めを食らっている。これは明らかに貴様の責任だ」
「次第に抵抗などやむ、殺し尽くせば、剣をとるものもいなくなるだろう」
「そのあと何が残る。我ら魔族だけで、人間たちを統治できるほど、組織も、人材も足りないぞ。貴様の行動は私の考えと明らかに反する。
次に、ワックスリバーの攻略についてだ。なぜ制圧せずに地形が厳しい、ウェストヘイム制圧に向かった。おかげで、物資が枯渇し始めている。貴様が急ぎすぎたせいだ」
「戦さには、流れというものがある、勢いのまま、ネーザンを制圧してしまえば、この戦争も簡単に終わらせられる。ワックスリバーなど、あとで制圧すればいい。問題はネーザン、リッチフォードだ。
ここを制圧しない限り長期戦になる。短期戦で、決着つけるには、スピードが重要だ」
「誰がそれを命じた! ええい、貴様の自分勝手な判断は目に余る。もういい、ヴェルドー、貴様は東部戦線に行け、私がワックスリバーを攻略し、ウェストヘイムの反乱を鎮圧して、西部、東部同時に、ネーザン、リッチフォードを攻略する。
話は以上だ! とっとと行け!」
「ちっ、くだらぬことを。長期戦になるぞ。まあいい、お前が魔王だ。命令には従ってやろう。お前ら行くぞ」
と、ヴェルドーは部下に言って、この場から立ち去った。エターリアはかなり、怒っているようで、まあ、計画が全部ご破算にされてしまったから当然だけど、ヴェルドーの後ろ姿に言った。
「ヴェルドー、貴様、何を考えている……!」
やっぱり、エターリアと、ヴェルドーは明らかに性格が合わない。ヴェルドーの言い分も一理あるけど、魔王である、エターリアはのちの統治のことを考えており、王家を残したほうが政治的に有利だ。政治家と、将軍の確執を私は目の当たりにした気分だった。
今日の魔王の仕事が済み、私はエターリアとミリシアとともに休憩をとっていた。その中いきなりエターリアは私に抱き着いた。
「ミサちゃん! 今日もいい子にしてたね。えらいわ、貴女はとても賢くていい子。貴女がいるだけで嫌なことも忘れられる気分だよ。えらいえらい」
「ははは……」
私たちは笑い返した。魔王ちゃんギャップ可愛い。仕事はバリバリのキャリアウーマンだけど、休みになると、ママさんになる。ぐっとくるわー。ミリシアはエターリアに尋ねた。
「ヴェルドーはどうするの、エターリア?」
「心外だが、あれでも部下の中には信頼をしている奴らもいるし、将軍として有能なのは確かだ。なんとか手綱をとって見せる」
「大変ね」
「しかたない、様々な人材が必要だ。なにぶん、軍をまとめる人材が不足しているから、背に腹は代えられない」
「ね、ねえ、魔王ちゃん」
私は気になっていることをエターリアに尋ねた。
「レクスやレミィはどうなるの? 訴えた内容はほぼ間違いないと確認されたと思うけど……」
「軍律違反をした以上不問に処すわけにはいかない。しかし、情状酌量の余地もあるし、内部告発の功もある。当分は謹慎処分として、ヴェルドー軍から外し、そうだな、私直属の軍にレクス隊をまわすか」
「よかった……」
彼らが害されることがなくてよかった。二人とも友達だし。そういえば、わたしこれからどうなるんだろう。そのこともエターリアにきいてみた。
「ねえ、私どうなるの?」
「ミサがネーザン宰相だということは人間たちを調べていて、ほぼ間違いないと私は解釈した。だが、安心して、危害を加えるつもりはないから。この戦争が終わったら、ネーザンのもとに返してあげる。
まあ、体のいい人質だと思ってくれていいわ、何かに使う気はないけど、貴女がいるだけで、ネーザンの行動を鈍らせることができる。ごめんね」
「うん……当然だと思う」
ほぼここ最近のネーザンの政治権力を握っていた私が、魔族側にとって、邪魔になるのは当たり前。だいぶ譲歩していると思う。本来なら消されておかしくない。とりあえず私は様子を見ながら、これからの行動を決めないと。
そういった中、ロリータ伯爵が、この部屋に入ってきた。
「魔王様、ご機嫌が麗しく幸いでございますわ。ちょっとミサを借りてよろしいかしら?」
「なに、ナターシャ。貴女もミサと遊びたいの?」
「彼女には、ロリータの素養がありますわ! わたくしがぜひ磨いて差し上げたいと思いまして。完全なるロリータの道はまず一歩から、歩き方から、スプーンの持ち方まで指導して差し上げますわ!」
「げっ!?」
私は思わず声をあげたが、だれの承諾もなく私はロリータ伯爵に連れ去られていく。ちょ、ちょっとこの娘、力強くない!? 流石魔族と人間のハーフ。それを和やかにエターリアとミリシアは見送っていた。
「仲のいい友達ができてよかったね、ミサ」
「ええ、私たちも一安心だわ」
いや、私の処女消失の危機なんだけど。自分で思って意味がわからないけど。その夕方、私はロリータ伯爵のロリータ特訓でしばかれて、疲れたまま、城に帰っていた。私は一言帰ったことをエターリアに告げようとしたら、エターリアとミリシアの声が聞こえてきた。
「ミリシア、相変わらずお前の肌は白いな」
「貴女の唇はとても素敵よ……」
「ミリシア……!」
「エターリア……」
まってまって、そういうこと!? そういうことなの!? 私は体が熱くなって、逃げるようにこの場から去って、自室で、顔を突っ伏した。魔族の人間関係複雑すぎるよお……。
でも……。この服暑い! 黒の生地で、残暑に南方地方のウェストヘイムでただ立っているだけで、汗がだらだら出てくる。エアコンとかないし、マジで地獄。ロリータ伯爵はよく白の生地とはいえ汗一つ流さずいられるよね。
あーあ超スカートむれるー! 休憩室で、私はスカートをバタバタめくって、スカートの中に新鮮な空気を送っていた。そのときだ、私にこんな厄介なものを送り付けた、ロリータ伯爵こと、ナターシャが、ずんずんとハリセンをもってやってきた。
そして有無を言わさずに、彼女にハリセンでぱしーんとはたかれてしまった。
「あほか! スカートでパタパタすんなや!!!」
「いったー、なにすんのよ」
「あんたロリータをなめてらしゃるの!? せっかく可愛く仕上がっているというのに、ロリータにあるまじき振る舞い、同じロリータとして、伯爵として、そんな破廉恥な行為は許せませんわ!」
「いいじゃん、暑いんだもん、スカートの中むれるし、ぱたぱたーと」
「だからすんなや!」
また頭をハリセンでパシーンとはたかれた。ええーだめなのー。
「いいですこと! ロリータは心から始まるの! 動作立ち居振る舞いが、淑女として、美しくないと真のロリータになれませんわよ!」
「いいもん、男なんて、くそくらえですわ! ぱたぱたー」
「女子中学生か!」
とまたもやパシーンとはたかれた。やたらボケを拾ってくれるから、ナターシャの前でボケ甲斐がある。
「まったく、貴女にはロリータとしての教育が必要なようね」
「こう見えても国立大学卒なんだけど」
「貴女、大卒ですの?」
「あ、やべ。まあ、とりあえず、ぱたぱたー」
「やめんか!」
となんとか私はごまかして、ハリセンに頭を出した。そんなこんなで、私はロリータ漫才を堪能した後、次の魔王ちゃんの謁見に付き合うことにした。
というのも、午後は私は何としてでも参加したいと思っていた。エターリアのヴェルドーへの詰問がこれから始まる。レクスから聞いた話だと、ヴェルドーは魔王の命令を無視して、勝手に暴れていたということになる。私は事の次第とヴェルドーの真意を知りたかった。
フェニックスヒルの謁見室にヴェルドーは堂々と歩いてきた、それを冷たい目で、エターリアは見ていた。だが、ヴェルドーは膝をつくことなく、悪態をつきながら、魔王であるエターリアに言った。
「これはこれは、俺が、前線で戦っている中、つまらぬ言葉で、俺様を呼ぶとは、戦いが上手くいかず狼狽したか、魔王」
「貴様が、前線を勝手に推し進めた結果だ。私はワックスリバーの攻略を命じたはずだ。なのにこのウェストヘイムに攻め込むとはな、結果王城を落とせたものの、補給線が伸び切り、もはや戦線が膠着してしまっているではないか、ヴェルドー」
「俺がこの城を落とせたから、今ここにいるのだろう、魔王。ニンゲンどもが小細工をして、輸送部隊を襲っているから、こうなっただけで、特に侵攻に問題はない」
「たわけ! 貴様のしりぬぐいのために私がどれだけ奔走したか! 貴様にききたいことがある」
どうやら、エターリアとヴェルドーには確執があるようだ。計画の考え方の違いが感じ取れる。そして、エターリアの詰問が始まった。
「まず、ウェストヘイムの国王夫妻の殺害、これはなんだ! のちの統治計画のために、私は生かして捕らえろと命じたはずだ。これについて説明をしてもらおうか!」
「ふん! 知れたことを。ウェストヘイムを落とすために、貴族どもの旗頭の首をへし折ってやっただけだ」
「そのせいで、ウェストヘイムの騎士たちが、頑強に抵抗しているではないか。いまだウェストヘイム全土を制圧できないのはこのためだ。貴様、私に逆らう気か!」
「王族はニンゲンどもの汚物そのものだ。この世界から根絶やしにすれば、人類どもの教育とやらも簡単だろう」
「ふざけたことを。貴様の私情での行動だろ、ヴェルドー。次に統治計画の話だ。私は人間どもを導くために、再教育計画の一環として、労働管理をしている。しかしだ、貴様は無駄に人間どものみならず、味方である魔族を抑圧し、恐怖統治を行っている。これはどういうことだ」
「当り前だ。戦争状態で、軍の元に力を集結しないと、反乱がおこり、統治など夢のまた夢だ」
「そのせいで、人間たちや、貴様の部下たちまで関係にひびが入っている。結果、思ったほどの成果をあげられず、この場で足止めを食らっている。これは明らかに貴様の責任だ」
「次第に抵抗などやむ、殺し尽くせば、剣をとるものもいなくなるだろう」
「そのあと何が残る。我ら魔族だけで、人間たちを統治できるほど、組織も、人材も足りないぞ。貴様の行動は私の考えと明らかに反する。
次に、ワックスリバーの攻略についてだ。なぜ制圧せずに地形が厳しい、ウェストヘイム制圧に向かった。おかげで、物資が枯渇し始めている。貴様が急ぎすぎたせいだ」
「戦さには、流れというものがある、勢いのまま、ネーザンを制圧してしまえば、この戦争も簡単に終わらせられる。ワックスリバーなど、あとで制圧すればいい。問題はネーザン、リッチフォードだ。
ここを制圧しない限り長期戦になる。短期戦で、決着つけるには、スピードが重要だ」
「誰がそれを命じた! ええい、貴様の自分勝手な判断は目に余る。もういい、ヴェルドー、貴様は東部戦線に行け、私がワックスリバーを攻略し、ウェストヘイムの反乱を鎮圧して、西部、東部同時に、ネーザン、リッチフォードを攻略する。
話は以上だ! とっとと行け!」
「ちっ、くだらぬことを。長期戦になるぞ。まあいい、お前が魔王だ。命令には従ってやろう。お前ら行くぞ」
と、ヴェルドーは部下に言って、この場から立ち去った。エターリアはかなり、怒っているようで、まあ、計画が全部ご破算にされてしまったから当然だけど、ヴェルドーの後ろ姿に言った。
「ヴェルドー、貴様、何を考えている……!」
やっぱり、エターリアと、ヴェルドーは明らかに性格が合わない。ヴェルドーの言い分も一理あるけど、魔王である、エターリアはのちの統治のことを考えており、王家を残したほうが政治的に有利だ。政治家と、将軍の確執を私は目の当たりにした気分だった。
今日の魔王の仕事が済み、私はエターリアとミリシアとともに休憩をとっていた。その中いきなりエターリアは私に抱き着いた。
「ミサちゃん! 今日もいい子にしてたね。えらいわ、貴女はとても賢くていい子。貴女がいるだけで嫌なことも忘れられる気分だよ。えらいえらい」
「ははは……」
私たちは笑い返した。魔王ちゃんギャップ可愛い。仕事はバリバリのキャリアウーマンだけど、休みになると、ママさんになる。ぐっとくるわー。ミリシアはエターリアに尋ねた。
「ヴェルドーはどうするの、エターリア?」
「心外だが、あれでも部下の中には信頼をしている奴らもいるし、将軍として有能なのは確かだ。なんとか手綱をとって見せる」
「大変ね」
「しかたない、様々な人材が必要だ。なにぶん、軍をまとめる人材が不足しているから、背に腹は代えられない」
「ね、ねえ、魔王ちゃん」
私は気になっていることをエターリアに尋ねた。
「レクスやレミィはどうなるの? 訴えた内容はほぼ間違いないと確認されたと思うけど……」
「軍律違反をした以上不問に処すわけにはいかない。しかし、情状酌量の余地もあるし、内部告発の功もある。当分は謹慎処分として、ヴェルドー軍から外し、そうだな、私直属の軍にレクス隊をまわすか」
「よかった……」
彼らが害されることがなくてよかった。二人とも友達だし。そういえば、わたしこれからどうなるんだろう。そのこともエターリアにきいてみた。
「ねえ、私どうなるの?」
「ミサがネーザン宰相だということは人間たちを調べていて、ほぼ間違いないと私は解釈した。だが、安心して、危害を加えるつもりはないから。この戦争が終わったら、ネーザンのもとに返してあげる。
まあ、体のいい人質だと思ってくれていいわ、何かに使う気はないけど、貴女がいるだけで、ネーザンの行動を鈍らせることができる。ごめんね」
「うん……当然だと思う」
ほぼここ最近のネーザンの政治権力を握っていた私が、魔族側にとって、邪魔になるのは当たり前。だいぶ譲歩していると思う。本来なら消されておかしくない。とりあえず私は様子を見ながら、これからの行動を決めないと。
そういった中、ロリータ伯爵が、この部屋に入ってきた。
「魔王様、ご機嫌が麗しく幸いでございますわ。ちょっとミサを借りてよろしいかしら?」
「なに、ナターシャ。貴女もミサと遊びたいの?」
「彼女には、ロリータの素養がありますわ! わたくしがぜひ磨いて差し上げたいと思いまして。完全なるロリータの道はまず一歩から、歩き方から、スプーンの持ち方まで指導して差し上げますわ!」
「げっ!?」
私は思わず声をあげたが、だれの承諾もなく私はロリータ伯爵に連れ去られていく。ちょ、ちょっとこの娘、力強くない!? 流石魔族と人間のハーフ。それを和やかにエターリアとミリシアは見送っていた。
「仲のいい友達ができてよかったね、ミサ」
「ええ、私たちも一安心だわ」
いや、私の処女消失の危機なんだけど。自分で思って意味がわからないけど。その夕方、私はロリータ伯爵のロリータ特訓でしばかれて、疲れたまま、城に帰っていた。私は一言帰ったことをエターリアに告げようとしたら、エターリアとミリシアの声が聞こえてきた。
「ミリシア、相変わらずお前の肌は白いな」
「貴女の唇はとても素敵よ……」
「ミリシア……!」
「エターリア……」
まってまって、そういうこと!? そういうことなの!? 私は体が熱くなって、逃げるようにこの場から去って、自室で、顔を突っ伏した。魔族の人間関係複雑すぎるよお……。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
身に覚えがないのに断罪されるつもりはありません
おこめ
恋愛
シャーロット・ノックスは卒業記念パーティーで婚約者のエリオットに婚約破棄を言い渡される。
ゲームの世界に転生した悪役令嬢が婚約破棄後の断罪を回避するお話です。
さらっとハッピーエンド。
ぬるい設定なので生温かい目でお願いします。
死に戻った逆行皇女は中継ぎ皇帝を目指します!~四度目の人生、今度こそ生き延びてみせます~
Na20
恋愛
(国のために役に立ちたかった…)
国のため敵国に嫁ぐことを決めたアンゼリーヌは敵国に向かう道中で襲われ剣で胸を貫かれてしまう。そして薄れゆく意識の中で思い出すのは父と母、それに大切な従者のこと。
(もしもあの時違う道を選んでいたら…)
そう強く想いながら息を引き取ったはずだったが、目を覚ませば十歳の誕生日に戻っていたのだった。
※恋愛要素薄目です
※設定はゆるくご都合主義ですのでご了承ください
※小説になろう様にも掲載してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる