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中編

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「どうしたんですか。何かあったんですか?」

 宰相様と一緒に歩きながら聞くと、僕を横目で見下ろしてきた。

「いえ。そういえば、私の名前はご存知ですか」

「え。いや、そりゃもちろん知ってますよ。シャノン宰相様でしょう?」

 何を言われるのかと思いきや、それぐらい国民なら誰もが知っている。シャノン・ノンラース、この国で最年少で宰相の座についた男。学生の時から、前宰相様が目をつけて政に関わらせていたという噂だ。海千山千の重鎮たちともその若さで渡り合ってきた猛者であり、この人を出し抜けるだなんて考えるやつなんていない。全国民がそれを知っているぐらいの有名な人の名前を知らないわけないじゃないか。そう思いながら返した僕。

「えぇ、そうです。では呼んでみてください」

「はい?え、名前を、ですか?」

「はい。名前をです」

 どういうこと?本当に何を考えているのこの人。名前を呼ぶ?それに何の意図があるんだ?この人のことだ、きっと何かあるには違いないのだが、如何せん少し人より要領が良いだけの僕にはそれを察する事ができない。宰相様は教える気がないようで、それ以上は何も言ってこないし。……分からない、いくら考えても。まぁ、さすがに僕の不利になるようなことはないと信じるか……。

「シャノン宰相様……?」

「役職名はいりませんよ」

「え」

 いや、本当に何!?怖いんだけど!これ呼んで投獄されたりしないよね?これだから、読めない相手とのやり取りって困るんだよ。困惑を隠せないでいると、宰相様は立ち止まって僕を見下ろしてきた。緩めた目で、少し首を傾げながら僕の言葉を待っている様子に、少し毒気が抜かれる。

「シャノン……?」

「はい。次から私を呼ぶ時はそれでお願いしますね」

 呼ぶと、嬉しそうに笑ってそう続けたシャノン。満足したのか、止まっていた足を進めだして、慌ててついて行く。

「あの、宰相様」

「レーテル、呼び名が違いますよ」

「し、シャノン……?」

「何です?ああ、もう着いてしまいましたね。ではまた」

 考えながら話しているうちに、僕の家に着いてしまったらしく。シャノンはそう言うと、さっさと踵を返して帰ってしまい、僕はポカンと見送ったのだった。


ーーー


「レーテル、どうしたんだよぉ」

「僕の可愛いユンが、カイト隊長に取られた……。」

 僕が机に突っ伏しているのを見て、おろおろと同僚のタイラが声を掛けてきたため横目で見てそういった。そうなのだ、あの騎士の紋章紛失事件の後、僕の可愛い可愛い親友のユンがカイト隊長と付き合うことになったのだ。照れながらも、一番に僕に報告してくれたのは嬉しい。だが、それはそれだ。いくらカイト隊長は信用できる人だとしても、どうあっても気に食わない僕。ユンが恥ずかしそうでありながらも嬉しそうで可愛いため、ひとまず傍観すると決めたのだが、大丈夫かなとか、傷付けられたりしないかなとか、どうあっても心配はしてしまうわけで。やる気が全然起きなくてダラーっとしている。

「元気出してよ、仕事しないと帰れないよぉ」

「僕の今日の仕事は終わらせてるよ。勝手に仕事増やしてきた誰かさんのせいで、何故か僕の仕事も増えたけど」

「うっ、ごめんよぉ、ちょっとだけだと思ったらいっぱいあったんだよ~」

 そう、自分の仕事はすでに終わらせているのだが、ややこしい仕事を引き受けてしまったタイラに泣きつかれて残業するはめになったのだ。とんだ迷惑すぎる。僕も手が空いていたから夜ご飯を奢ってもらうことを条件に手伝っていたのだが、面倒くさすぎる書類にどんどん気力を失っていった僕。でももう後は計算が間違っていないか確認するだけだから一人で出来るだろうと放っておいた。残っているのは僕たちだけだったし、ダラケながら早く終わらせろと同僚をせっついていた。

「お、終わった~」

 ようやく終わらせた様子のタイラに、僕は「お腹空いたんですけど」と横目で睨む。

「ごめんよ~、でもありがとう!さぁ、何でも奢るから!」

「レイモンド店のステーキ肉ね」

「えっ!う、うぅ、分かった、奢るよぉ……」

 僕の発言に財布を覗いたタイラは泣く泣くそう言うと、先を歩く僕の後をついてきた。僕は、美味しい肉を食べられると少し気分が上がり、早く来いと促しながら職場を出ようとした時。

「レーテル?珍しいですね、こんな時間まで。どうしたのですか」

 宰相様と廊下でばったり会ったのだ。

「いえ、仕事で。宰相様こそ、こんな時間までお仕事ですか?」

「えぇ、ですがもう終わります。……君は?」

「ひゃい!え、えっと、その、僕は、えーっと……」

 僕の後ろを見て、タイラにも声を掛けた宰相様。タイラは動揺して、冷や汗を垂らしながらもたもたと視線を泳がせている。なんだ?犯罪でも犯したのかこいつは?と呆れ返る。いくら宰相様といえど、話し掛けてきただけでここまで萎縮する必要はないだろう。そう思いながら、

「一緒に仕事していたんですよ。手伝ったので、奢ってもらうんです」

 僕が代わりに宰相様にそう返す。すると、

「……二人で食事へ?」

 と何故かタイラに目を向けたまま聞いてくる。そりゃ、今タイラと僕しかいないから二人だけど。と思っている僕と、固まっているタイラ。

「分かりました、私も行くので少し待っていてください」

 宰相様は何が分かったのか、そう言うと颯爽と行ってしまい、ポカンと後ろ姿を眺める。え?何が分かったの?

「ちょっと、どういうこと?宰相様に目を付けられるようなことしたの?」

 僕は固まっているタイラに訝しげに聞くと、ブンブンと首を横に振られる。

「ぼ、僕が、何かするはずないじゃないかぁ……」

「泣くな、鬱陶しい」

 相変わらずすぐに泣くタイラに冷めた目を向ける。宰相様も行くらしいから、とりあえず待っているかとその場でタイラと話していると、数分後にその姿が現れた。タイラは、僕に隠れるようにして恐る恐る見ていた。

「お待たせいたしました。では行きましょうか」

 宰相様はそう言い、僕の腕を掴んでスッと引き寄せると、背を軽く押すようにしてエスコートする。スマートな動きに思わず感心してしまう僕。また固まったタイラに、宰相様が一声掛けると慌てて僕たちの後を追ってきた。

「支払いは気にしなくていいですよ」

 店に着くと、個室ではなく一般の席についた僕たち。宰相様はそう言うと、メニューを持ってきた店員に一言、二言伝えると、僕たちに何にするか聞いてきた。僕はステーキで、とすぐに返し、タイラはビビりながら同じのでと小さく返した。いや、小さいな声。かしこまりましたって、店員さんすごいな聞き取れたのかこれを。と、さすが高級店は違うなと、来る料理を楽しみにしていると、先に宰相様の分が運ばれてきた。

「レーテル、こちらも美味しいですよ。君は?」

 宰相様が店員さんに言って小皿に取り分けたものを僕の前に置いてくれる。聞かれたタイラは、真っ青にしてブンブンと首を横に振る。僕はもうタイラのことは気にせず、分けてもらった肉の煮込みスープを堪能する。

「美味しいです。肉がとろけますね」

 美味しい料理に僕は笑顔になる。この店は、一般庶民が通うには高く、お祝いごとやご褒美に、と訪れたりすることが多い。値段は高いがやはり美味しい。僕は一度、就職祝いでユンと一緒に来たことがある。美味しい!と目を輝かせるユンは可愛かったな~と思い出していると、

「フフ、ついていますよ」

 宰相様が可笑しそうに目を細めてそう言うと、口の端をナフキンで拭われる。子どものような扱いに、流石に気恥ずかしくなったが、まぁ僕可愛いから大丈夫かと開き直る。そうしていると、僕のステーキが良い匂いとともに運ばれてきた。早速、ナイフを入れて食べ始める。以前と変わらず、柔らかい肉は噛むと旨味が口の中に広がってすごく美味しい。にこにこと機嫌良く食べる僕を、宰相様が頬杖をつきながら見てくる。行儀が悪いと言われるような格好でも、この人がすると様になるためずるいなぁと思いながら、何ですかと聞く。

「いえ、美味しそうに食べますね。そういえばここのステーキは食べたことがなかったなと」

 ステーキはこの店の定番なのに!?と言われたことに驚く。僕は少し考えてから、ステーキを切り分けると、食べます?と聞いた。宰相様はそんな僕に一瞬ポカンとすると、薄く笑ってステーキを刺しているフォークを持った僕の腕を掴み、そのまま自分の方へと引き寄せて食べた。

「確かに美味しいですね。ありがとうございます」

 微笑んでそう言った宰相様に、僕は目をパチクリ。残された、宰相様が食べた後のフォークを握ったまの自分の手を見て、じわじわと恥ずかしくなってきた。こ、こんな色んな人がいる店で、俗に言うあーんをしてしまった……。      

 学生の時は色々と遊んだりもしていたが、こんな脳内お花畑のような、自分たちしかこの世界にいないんですと言わんばかりの空気を出すようなことはしたことがない。だって誰とも真剣に付き合ったことなんてないんだから。こういうことに関してはあまり免疫がないというか、してこなかったから反応に困る。このフォーク、どうしよう。別に使うことに関しては嫌悪感などないが、変な反応をしてしまったため使いにくい。けれど、使わなかったら使わなかったで意識しているようで恥ずかしい。僕がフォークを片手に固まっていると、宰相様はスルッとそれを取り上げ、新しいフォークを渡される。え、と思わず顔を向けると、

「困らせるつもりはなかったんですよ。あぁ、デザートもきましたね。ここのフルーツはとても甘いんですよ」

 そう言って、話を切り替えると、黙々と気配を消しながら食べるタイラにも勧めた。僕から視線が外れたおかげで、ハッとして残りのステーキを食べると、差し出されたデザートに手を付けたのだった。




「あ、あの、本当に、僕まで……」

「構いませんよ。割り込んだのは私ですので」

 食事が終わり、店を出るとペコペコと頭を下げるタイラ。結局、宰相様が支払ってくれたため、タイラは支払わなくて済んだのだ。よし、じゃあタイラには明日のお昼を奢らせようと考えていた僕。

「じ、じゃあ僕はここで、あ、レーテルは……」

「行き慣れているので、私が送りますよ」

「え。や、やっぱり、そういう……?い、いえ、あの、じゃあ、よろしくお願いします」

 タイラと宰相様の会話を聞きながら、ん?と思う部分があったが、一先ず口出しせずにタイラと別れた僕たち。そろそろ、緊張しっぱなしで倒れそうだったもんなあいつ。では帰りましょうかと言った宰相様に、

「あの、宰相様。さっきの……」

「レーテル、呼び方が戻っていますよ。職場では構いませんがね」

微笑みながらも有無を言わせない言葉に、口を噤む。

「し、シャノン、さっきの何ですか?」

「何がです?」

「何がって、全部です。一緒にご飯を食べたり、僕にあーんさせたり、さっきのタイラへの言葉も」

 タイラがいなくなったため、歩きながら直球で聞く。何か思惑があるのならば言ってもらわないと分からない。どこか試すような、僕の反応を見ているような視線に、恐らく何か考えがあってのことだとは理解しているのだ。でも、どうしてもそれが分からない。だから恥を忍んで聞いたのだが。

「全部、何故か分からないと?本気で言ってます?」

 少し驚いたように、見下ろしてきたシャノンに思わず口を尖らす。一筋縄ではいかない人たちと心理戦を繰り広げてきたあなたとは違って、僕はあくまでも少し人の心を利用したやり方をしているだけのただの文官なんだ。過大評価するのは勝手だけど、それでついていけなかった時に失望されるのは僕としても気分が悪い。

「……もういいです。送ってもらわなくても大丈夫ですので、僕もこれで失礼します」

 顔を背けると、そう言って立ち去ろうとした僕。なんだかんだで、シャノンのことは僕だって尊敬しているわけで。頭の良さも、いつでも余裕な立ち振る舞いも、怖がられているくせに結局は最後に頼る砦となっているところも。だから、ガッカリされると僕も悲しくなってしまうぐらいの感情はあるのだ。でもそれを表出すると余計に失望されそうで、傷が浅いうちにこの場を去りたかったのだが。

「あぁ、すみません。何か勘違いをしているようですね」

 シャノンは僕の腕を優しく掴んで足を止めさせ、僕の顔を覗き込むようにして言った。

「……勘違い?」

「えぇ。君は私の行動を深読みしすぎです。特に深い意味はありませんよ」

「でもさっき、分からないって言ったら驚いていたじゃないですか」

「あぁ、それに関しては私の落ち度ですので。というより、ずっと私の行動の意味を考えていたんですか君は」

「だ、だって、仕方ないじゃないですか。シャノンは意味のないことなんてしないでしょう?」

 シャノンは少し困ったように笑って、掴んでいる僕の腕を離して背に手を当てると、そっと押して止まっていた足を進めさせた。

「レーテルは私のことを買い被りすぎですね。私もただの一人の男ですよ」

 そしてそのまま並んで歩き始めたシャノンは横目で見下ろしながらそう言った。僕は、分かったような分からないようなシャノンの言葉に、うん……?と何となく頷いた。つまり、僕が考えすぎていただけってこと?と思うも、本当に?という疑いがまだ晴れない。

「あの、結局、どういうことですか?」

 訳が分からなくなってきた僕がそう聞くと、

「つまりもっと単純な話ということですよ」

 と返ってくる。そうこうしているうちに、僕の家に着いてしまった。シャノンは、ではまた、と帰ろうとしたが、

「あぁ、あと、他の者と二人で出掛けたりするのはやめてください。嫉妬するので」

 振り向いてそう言うと、ポカンとする僕を見て可笑しそうに笑い、今度こそ背を向けて行ってしまった。僕は言われた言葉の意味を、またしても考えることになったのだった。


ーーー


「レーテル、何処へ?……あぁ、この書類なら預かりますよ。丁度、行こうとしていた部署です」

「ありがとうございます、ではよろしくお願いします」

 偶然、書類を届けようと廊下を歩いているとシャノンに出くわし、預かってくれるというため渡した。

「フフ、髪の先がインクで黒くなっていますよ。こちらへ」

 すると、さっきペンを使用した時にインクが飛んでしまったらしく、横の髪を指で掬われながらそう言われる。廊下の隅の方に誘われ、僕を壁側に追いやるようにして前に立ったシャノンは、ポケットから綺麗なハンカチを取り出してインクが付いた僕の髪を拭ってくれた。近い綺麗なシャノンの顔にちょっと覚束ない気持ちになり、視線を横にずらす。

「取れましたよ。それにしても、綺麗な金髪ですね。柔らかく触り心地が良い」

 シャノンは僕を見下ろしながら髪に指を通し、目を細めるとそう言った。

「あ、りがとうございます。宰相様こそ、サラサラの髪で、綺麗です」

 シャノンの仕草はいちいち綺麗で、長い指から体温が伝わってきて何とも気恥ずかしくなってきてしまった時、

「宰相様、月夜祭の警護のことですが……おっと、これは失礼」

 カイト隊長の声が聞こえ、僕はバッと勢い良く横に体をずらしてその場から抜け出すと、

「あの、ではよろしくお願いします!」

 と急いで言い、頭を一度下げて足早に去ったのだった。




「……俺が来ているの分かってましたよね?」

「えぇ。フフ、勝機はありそうですねぇ」

 僕が立ち去った後に、二人が何を話していたのかは知る由もなかった。



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