獣狂いの王子様【完】

過ぎる快感は恐怖となる

「へ、いか……。今、僕……。」

「レンだ。ニア、呼んでごらん。」

「レン……?」

ボーっとする頭で、陛下の言葉を反芻させる。

「レンだ。呼んで、ニア。」

「レン……何で……?」

まだ息が上がり、ただ快感を与えられている身体は力が入らず、回らない頭では思考ができない。幼子のように問いかける僕に、愛しいと言わんばかりに微笑んだ陛下の指は、僕の両手指を絡めとり、シーツに押し付けるように縫い付けると、唇を合わせてきた。

「……んぅ……っ……はっ……!」

舌を絡ませ、口内を舐め回される。

……気持ち良い。

陛下の熱い舌が、僕の舌と合わさって溶けるような感覚に目を閉じる。そう思っていると、唇が離れていく。陛下の顔が離れていくのを見ていると、おもむろに下へと行くのが分かった。

「……?……ひゃあっ!?あ、だめ、だめです!あぁっ……!」

僕の足の間まで下がった陛下は、あろうことかそこで緩やかに立ち上がっているそれを口に含んだのだ。僕は陛下の顔を離そうと頭を手で掴むも、熱い口の中で舌を這わして舐められる快感に力が入らず、ズズっと吸われる感覚に思わず腰が動く。

「あっ、あっ、あぁ……っ……!だめ、だめ、レン……っ!」

過ぎた快感と羞恥に生理的な涙が流れる。その時、熱いものが出そうになり僕は必死で陛下の顔を離そうと押しのける。

「だめ、だめだって、レン、離してぇ……っ!」

願いも虚しく、僕は陛下の口の中に白濁を吐き出してしまった。

「……甘い。ニア、気持ち良いな?」

意地悪気に僕を見て笑う陛下は、僕の後孔へと指を滑らせ、指をつぷっと入れてきた。

「……っ、ま、待って。僕、そこはまだ……っ!」

「大丈夫だ。私に委ねていればいい。」

首筋を舐められながら、何度も後孔に指を入れては周りをほぐされる。

「ほら、三本入った。ここだろう?ニア。」

入れられた指を中で曲げられ、全身に電気が走るような感覚に弓のように背がのけ反る。

「あ、レン、レン……!そこ、そこいやぁ……っ!」

「いい、の間違いだろう?ほら、ここだ。」

何度達したか分からないほど、陛下は僕に快感だけを与え続けた。そんな中、後孔に硬く熱いものが押し当てられる。

「……?」

もう考える力がない僕は、陛下の顔をただ見返していると、ずんっと異物が内臓を押し上げてくる圧迫感に息が止まった。

「……っ、ニア、息をしろ。」

少し顔を歪めた陛下が、僕の口を無理矢理こじ開ける。舌を吸われた時、僕は一気に息を吸い込んだ。

「……動くぞ。」

そんな僕に陛下はそう言うと、

「……あっあっ……レン……っ……あぁ、そこ、やぁ、だめっあぁっ……!」

気持ち良いところを何度も擦られ突かれ、僕は与えられる快感に声を上げ続ける。ずっと襲ってくる快感に恐怖を覚え、陛下の首に腕を回ししがみつく。すると、お腹の中で陛下のものが大きくなったのが分かり、一際大きくなった自分の声を聞きながら、僕の意識は遠のいていった。