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(シャドークロー)
両手にスキルを発動させ、疾風の如く敵に接近する。昼間は素早く感じたゴブリンの動きが、今やスローモーションのように遅く感じる。
駆け抜けるついでとばかりに右手の一撃で1体の頭を消滅させ、その勢いのまま裏へ回ると、ゴブリンたちは何が起こったのか分からない様子で狼狽える。
その隙を見逃さず、残る2体も一閃二閃と漆黒の斬撃を振り下ろし、一瞬のうちに葬り去った。
「体が凄く軽いや、これなら問題なさそうだね!」
カバンを背負っているだけでもステータスが低下してしまうので、戦闘の度にカバンを下ろさなければならないのは面倒だが仕方ない。
通路を右へ左へ思うがままに進んでいくと、次から次にゴブリンの集団が襲いかかってくる。
攻撃を躱しながら、狙いやすい頭を狙い、敵の群れを1体ずつダンジョンへと帰していく。
「お!? 初ドロップ品ゲット!」
20体ほど倒しただろうか、ゴブリンの死体が消えると、そこには小さな金属塊が残っていた。
「鉄……かな? ま、どんどん行きましょう!」
カバンにしまうと、駆け抜けるように迷宮を進んでいく。ゴブリンはまったく相手にならず、2時間程度で5階へと到着してしまった。
「順調だね、ここからは弓を使うゴブリンがでるんだっけ。」
気を引き締め、慎重に歩を進めていくと、直進、左、右に分かれた分岐点に差し掛かる。
直進を選択し少し行くと、何かを弾くような音が聞こえ、その直後に弧を描くように飛来する矢を視界に捉えた。
素早く左に移動して矢を避けると、地面を強く蹴るように前進する。
「見えない位置から撃ってくるなんて……。」
元いた場所から10メートル程離れた場所から矢を放っていたようだ。ゴブリン4体にゴブリンアーチャー1体を視認する。
(ダーク シャドークロー)
弓を引く動作をとっていたゴブリンアーチャーの視界を闇が包み込む。急に視界を失い驚いたのか、弓から手を離し、闇を払うように顔を手で拭っている。
手前のゴブリンから順に命を奪っていく、ゴブリンアーチャーも右手で顔を貫くと、ゴブリンと同様に迷宮へ吸収されるかのように消えていった。
「おおおお!? 短剣が落ちてる! ゴブリンの持ってたやつか?」
よく見ると刃が欠けていたり、手入れがされていない様子で、切れ味は悪そうだが、金属製なので高く売れるかもしれない。
カバンにポイっと放り込むと、嫌な予感がした。
「夜明けにカバンを背負った状態で矢を撃たれたらまずくないか!?」
最悪の状況を想定し身震いする。
今のペースで進めれば、夜明けまでには余裕を持って10階のセーフゾーンに辿り着けるだろう。
放たれた矢は目で追えるほどの速度であり、矢を射る音が聞こえたら足を止めれば問題なく対処できるだろう。
それより今の課題は、カバンを背負った状態ではステータスが低下してしまう事だ。何も身につけていない状態で常に行動していたいが、カバンをセーフゾーンに置いておくわけにもいかない。
「あれ? ……何もつけてない状態?」
首から下げた金属のチェーンにぶら下がる冒険者証に気づく。金属製である事、アクセサリーである事、肌に触れる面積が少ない事等条件は分からないが、ステータスが低下しないことに気付いた。
収納の魔道具は指輪型なので、ステータスに影響がない可能性が高い。と考えていると。
「グギギ……。」
背後から声が聞こえる。
その場に立ち止まり、しばらく考えを巡らせていたため、忍び寄るモンスターの気配に気づかなかったのか。いや、そうではない。時間経過により突然出現したのだ。
咄嗟に振り向くと、ゴブリンがナイフを振り下ろし、脇腹へと到達する寸前だった。
(まずい! 避けられない!)
両手にスキルを発動させ、疾風の如く敵に接近する。昼間は素早く感じたゴブリンの動きが、今やスローモーションのように遅く感じる。
駆け抜けるついでとばかりに右手の一撃で1体の頭を消滅させ、その勢いのまま裏へ回ると、ゴブリンたちは何が起こったのか分からない様子で狼狽える。
その隙を見逃さず、残る2体も一閃二閃と漆黒の斬撃を振り下ろし、一瞬のうちに葬り去った。
「体が凄く軽いや、これなら問題なさそうだね!」
カバンを背負っているだけでもステータスが低下してしまうので、戦闘の度にカバンを下ろさなければならないのは面倒だが仕方ない。
通路を右へ左へ思うがままに進んでいくと、次から次にゴブリンの集団が襲いかかってくる。
攻撃を躱しながら、狙いやすい頭を狙い、敵の群れを1体ずつダンジョンへと帰していく。
「お!? 初ドロップ品ゲット!」
20体ほど倒しただろうか、ゴブリンの死体が消えると、そこには小さな金属塊が残っていた。
「鉄……かな? ま、どんどん行きましょう!」
カバンにしまうと、駆け抜けるように迷宮を進んでいく。ゴブリンはまったく相手にならず、2時間程度で5階へと到着してしまった。
「順調だね、ここからは弓を使うゴブリンがでるんだっけ。」
気を引き締め、慎重に歩を進めていくと、直進、左、右に分かれた分岐点に差し掛かる。
直進を選択し少し行くと、何かを弾くような音が聞こえ、その直後に弧を描くように飛来する矢を視界に捉えた。
素早く左に移動して矢を避けると、地面を強く蹴るように前進する。
「見えない位置から撃ってくるなんて……。」
元いた場所から10メートル程離れた場所から矢を放っていたようだ。ゴブリン4体にゴブリンアーチャー1体を視認する。
(ダーク シャドークロー)
弓を引く動作をとっていたゴブリンアーチャーの視界を闇が包み込む。急に視界を失い驚いたのか、弓から手を離し、闇を払うように顔を手で拭っている。
手前のゴブリンから順に命を奪っていく、ゴブリンアーチャーも右手で顔を貫くと、ゴブリンと同様に迷宮へ吸収されるかのように消えていった。
「おおおお!? 短剣が落ちてる! ゴブリンの持ってたやつか?」
よく見ると刃が欠けていたり、手入れがされていない様子で、切れ味は悪そうだが、金属製なので高く売れるかもしれない。
カバンにポイっと放り込むと、嫌な予感がした。
「夜明けにカバンを背負った状態で矢を撃たれたらまずくないか!?」
最悪の状況を想定し身震いする。
今のペースで進めれば、夜明けまでには余裕を持って10階のセーフゾーンに辿り着けるだろう。
放たれた矢は目で追えるほどの速度であり、矢を射る音が聞こえたら足を止めれば問題なく対処できるだろう。
それより今の課題は、カバンを背負った状態ではステータスが低下してしまう事だ。何も身につけていない状態で常に行動していたいが、カバンをセーフゾーンに置いておくわけにもいかない。
「あれ? ……何もつけてない状態?」
首から下げた金属のチェーンにぶら下がる冒険者証に気づく。金属製である事、アクセサリーである事、肌に触れる面積が少ない事等条件は分からないが、ステータスが低下しないことに気付いた。
収納の魔道具は指輪型なので、ステータスに影響がない可能性が高い。と考えていると。
「グギギ……。」
背後から声が聞こえる。
その場に立ち止まり、しばらく考えを巡らせていたため、忍び寄るモンスターの気配に気づかなかったのか。いや、そうではない。時間経過により突然出現したのだ。
咄嗟に振り向くと、ゴブリンがナイフを振り下ろし、脇腹へと到達する寸前だった。
(まずい! 避けられない!)
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