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 おっと、またスライムがいるぞ?

「イザベラ様、参りましょう。魔法使いの基本は攻撃を受けないことですよ。」
「はい、先生!」

(お、次はイザベラちゃんの番か。くるぞくるぞー!)

 イザベラは両手をスライムに向け突き出す。

「風を司る大いなる精霊シルフよ 我が名はイザベラ 汝の力をこの身に宿すもの 敵を斬り裂く刃をお貸し下さい くらえ! ウインドエッジ!!」

 イザベラの前に現れた半月状の風の刃は、突風の如き速さでスライムを横半分に切り裂いた。

 しかし核を外してしまい、スライムは再生してしまう。

「今だ、ヨール!」

(へ? 俺!? それじゃあいっちょ真に拗らせた男の力を見せてやりますか!)

 俺はスライムの方へ駆け出す。

「我が右手に宿りし邪悪なる闇の力よ 黄泉の門を切り裂く漆黒の刃よ 敵を灰塵に帰せ! デスブリンガー!!(シャドークロー)」

 右手にシャドークローを発現させ、スライムの体表を削る。爪の先端が核に到達しようかというその時!

「ヨール、離れるのだ! 先生、トドメを!」

 サッとバックステップをし、俺はスライムから距離を取る。

 ナナ先生が杖を天高く掲げた。

「あぁ 大いなる大地よ……」

(せ、先生……?)

 先生の顔を覗き込むと、とんがり帽子の長いつばで隠れていたが、その顔は少し赤くなっていた。

「あぁ 天高く広がる大空よ……」

(さっき詠唱要らないって……。)

 俺が疑問に満ちた視線を向け続けた為、既に先生の顔は真っ赤だ。

「ズドリーチェ ビビダーニア ロルッカ!」

(何それ!? 何語!? 先生あらかじめ考えてたよね絶対!)

「ウインドトルネード!!」

 巨大な竜巻がスライムを飲み込む。無数の風の刃は、暴風に飲み込まれ平衡感覚を失ったスライムをズタズタに切り裂いた。オーバーキルだ!

 戦闘を終えると、各々の詠唱を褒め称える謎の会議が開かれた……。

 その後は馬車に乗り込み屋敷へと戻る。今日の授業は終了だ。道中イザベラちゃんが話しかけてきた。

「ねえヨール、あなたのスキルはシャドークローよね? デスブリンガーとはなんなのかしら?」
「ふふ、お嬢様。デスブリンガーの方がカッコイイではありませんか!」
「やるではないかヨール! ふむ、ファイヤーバースト、メギドフレイム、ヘルファイア……」

 2人の子供と何故か胸の大きな女性までもが、屋敷に着くまでぶつぶつと何か呪文を唱え続けていた。

 屋敷に到着すると、依頼完了となった。伯爵から、子供達がまだ話し足りないということで夕食にも招待され、賑やかな食卓に参加させて貰った。

 いやぁ、なんだろ。

 今日はすごく楽しかった!
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