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長いようで短い沈黙が訪れた。
結子はその間静かに黙って同じ空間にいるだけのただの置物となっていた。
今の沈黙はウィルにとってとても大切な気がして、そして邪魔してはいけないし
なんだか物珍しがって見てもいけない気がして、視線も反らしてそ知らぬふりをした。
自分は置物。感情はありません。
どうぞ存分に、自分の世界に入っていてください。
念仏のように唱える。
そうして沈黙にいるのが苦手なウィルとだというのに今の時間は結子には
苦痛ではなかった。
どこか本能で、空気で察した。今は大事な時間なんだと。
だから、黙って見守れと。
ルイの言う通りご神木は大切な木なんだ。
そして神官様の態度から分かるようにきっとみんながそれこそ長い時間
大切に愛してきた、人々のよりどころともなってきた木。
まだ、この世界に来て間がない。だから不確かだけれど。
こんな男にでもそれは変わらなくて、きっと小さい時から神木として見て来た。
それこそ王族でこの神域に入ることを許されていて
あの神官様が傍にいて
気にもかけてこなければ足も運んだこともないということもないんだろう。
そんなものを切るって、壊すって、どんなことなんだろう。
どんな気持ちで…。
それは結子が妄想で今、推測すべきことじゃない。
隣で動く気配がするのを見れば、ウィルと目が合った。
すぐに反らされるかと思った視線は思いがけないほど力づよく、下手をすれば睨んでると
勘違いしそうなほど強くて、結子は面食らった。
「…お前は静かなのだな。礼を言う。」
そう呟いたウィルはまた傲慢なだけの男とは違う男だった。
少しだけつき物が落ちた様子で、そうなんというか彼の周りに今まで流れていた
空気が変わった。
それは少しだけ結子に気を許したのか
はたまた驚きからさめた虚脱からか、は分からない。
三つ子の魂、100まで。小憎たらしいまでの不遜さはこの男から抜けない気もした。
でも、
ああ、そう。嫌いではない。対立する立場の人間だけれど。
刺々しさのない彼もまた彼なのだろう。
「お前はこの木に選ばれた本物の聖女なんだな」
いわれた言葉がいまさらの言葉で、結子は拍子抜けして
そして少しだけ調子を戻して意地悪げにウィルに答えた。
「今更?そうだよ。異世界からそのために呼ばれたんだから…」
そんなことも認めてなかったのか。漏れた吐息は自分でも分かるほど呆れを含んだもので
それがおかしくて結子は笑った。
この男にとっては憎らしかろう存在。それは肌で感じて分かっていた。
せっかくのこの男の思惑も、きっと自分の存在のせいで食い違ったか、頓挫しただろう。
鼻を明かしたということか。小さな芽はしっかりと木の新たな芽吹きを思わせたのだから。
「思い通りにならなくてごめんなさい。貴方の計画を歪めたか、誤算があったみたい。
私って言うね。」
後で思っても大胆だと思う言葉を結子はウィルに吐いて、そしてこの男を鼻で笑って見せた。
どこかで無意識に自分とルイへの対応への仕返しを図っていたのかもしれない。
後に後悔するのだが。
結子の不敵の笑みに、男は目を瞬かせて
その後に結子以上に堂に入った不敵な笑みを見せた。
その蠱惑的な笑みに結子は見入るのではなく、なぜか悪寒を感じたのだった。
「そうか、面白い」
あれ?
長いようで短い沈黙が訪れた。
結子はその間静かに黙って同じ空間にいるだけのただの置物となっていた。
今の沈黙はウィルにとってとても大切な気がして、そして邪魔してはいけないし
なんだか物珍しがって見てもいけない気がして、視線も反らしてそ知らぬふりをした。
自分は置物。感情はありません。
どうぞ存分に、自分の世界に入っていてください。
念仏のように唱える。
そうして沈黙にいるのが苦手なウィルとだというのに今の時間は結子には
苦痛ではなかった。
どこか本能で、空気で察した。今は大事な時間なんだと。
だから、黙って見守れと。
ルイの言う通りご神木は大切な木なんだ。
そして神官様の態度から分かるようにきっとみんながそれこそ長い時間
大切に愛してきた、人々のよりどころともなってきた木。
まだ、この世界に来て間がない。だから不確かだけれど。
こんな男にでもそれは変わらなくて、きっと小さい時から神木として見て来た。
それこそ王族でこの神域に入ることを許されていて
あの神官様が傍にいて
気にもかけてこなければ足も運んだこともないということもないんだろう。
そんなものを切るって、壊すって、どんなことなんだろう。
どんな気持ちで…。
それは結子が妄想で今、推測すべきことじゃない。
隣で動く気配がするのを見れば、ウィルと目が合った。
すぐに反らされるかと思った視線は思いがけないほど力づよく、下手をすれば睨んでると
勘違いしそうなほど強くて、結子は面食らった。
「…お前は静かなのだな。礼を言う。」
そう呟いたウィルはまた傲慢なだけの男とは違う男だった。
少しだけつき物が落ちた様子で、そうなんというか彼の周りに今まで流れていた
空気が変わった。
それは少しだけ結子に気を許したのか
はたまた驚きからさめた虚脱からか、は分からない。
三つ子の魂、100まで。小憎たらしいまでの不遜さはこの男から抜けない気もした。
でも、
ああ、そう。嫌いではない。対立する立場の人間だけれど。
刺々しさのない彼もまた彼なのだろう。
「お前はこの木に選ばれた本物の聖女なんだな」
いわれた言葉がいまさらの言葉で、結子は拍子抜けして
そして少しだけ調子を戻して意地悪げにウィルに答えた。
「今更?そうだよ。異世界からそのために呼ばれたんだから…」
そんなことも認めてなかったのか。漏れた吐息は自分でも分かるほど呆れを含んだもので
それがおかしくて結子は笑った。
この男にとっては憎らしかろう存在。それは肌で感じて分かっていた。
せっかくのこの男の思惑も、きっと自分の存在のせいで食い違ったか、頓挫しただろう。
鼻を明かしたということか。小さな芽はしっかりと木の新たな芽吹きを思わせたのだから。
「思い通りにならなくてごめんなさい。貴方の計画を歪めたか、誤算があったみたい。
私って言うね。」
後で思っても大胆だと思う言葉を結子はウィルに吐いて、そしてこの男を鼻で笑って見せた。
どこかで無意識に自分とルイへの対応への仕返しを図っていたのかもしれない。
後に後悔するのだが。
結子の不敵の笑みに、男は目を瞬かせて
その後に結子以上に堂に入った不敵な笑みを見せた。
その蠱惑的な笑みに結子は見入るのではなく、なぜか悪寒を感じたのだった。
「そうか、面白い」
あれ?
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