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11. 詫びる貴方はどの面下げて。

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玄関を上がってすぐに右側に台所、左にトイレとお風呂。
奥に三部屋。和室に洋室がある3DKのファミリータイプ?のアパート。

すみれは玄関で靴を脱ぎ、持っていた買い物袋を台所の隅に置く。
ついでに学生かばんからお弁当を出してシンクにおいた。
そして制服のポケットから出したシュシュで長い肩までの髪をゆるい
ポニーテールにして結び、冷蔵庫を開けて麦茶を取り出す。

「麦茶でいい?緑茶とレモンティーと後、お父さんが飲むコーヒーと
スポーツドリンクもあるけどどれがいい?」

未だ玄関にいる男に問いかける。

「水でかまわない」

「…あ、そう。ん、狼だもんね。わかった」

台所のシンクに行き、そのままグラスに水道水を注ぐ。
それをお盆に載せて自分は麦茶を出す。

それから棚をあさってポテチと丸い円形の穴の開いたスナックを一袋だして
お盆に載せてリビング兼居間、団欒の場として使っている一室の戸を開ける。

中はソファに出したばかりのコタツとテレビがある。
コタツの上にお盆を載せてすみれが男を促す。

「どうぞ」

「失礼する」

背の高い男が天井を気にしながらすみれが座ったコタツの席と対面する場所に
正座で座る。それを確認してすみれがスナック菓子の袋を開ける。


一旦立ち上がったすみれが隣の部屋に学生かばんを置いてくる。
チラッと見えたすみれの部屋には机が二つ、二段ベットがちらりと見えた。


「弟が部活から帰ってくるから話は早めにお願いします。」


今度こそきちんと居ずまいをただし、
男と同じように正座して座ったすみれを男が真正面から見る。

コタツから体を少しずらした男がまた正座のまま頭を下げようとするのに
すみれが顔をしかめた。


「土下座はやめてください。」

「だが、これがこちらの世界での一番の謝罪方法だと教わった。頼む、俺のけじめだ、させてほしい」

そう言ってすみれの制止も聞かず再び頭を下げた。


「すまなかった」







しばらくの間、沈黙がある。
それにすみれがもう十分だと声を出す。

「何の謝罪かは知りませんが、必要ありません」



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