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10. 話し合い?
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無色透明な水をビーカーに用意する。
その中に一滴、赤い食紅を垂らしてみよう。
今まで無色だった水はたちまち浸食され赤く染まる。
ガラス棒でかき混ぜれば、どこが無色だったのかさえ分からなくなる。
私の頭の中で過去の記憶が垂らされた一滴の食紅のように
浸透していく。
今まで忘れていたことが不思議なように馴染んで
一体どこが過去でどこからが今で、未来のことなのか
境目が消えていく。
過去の私も私。
目の前の彼も私の夫と自然に馴染む。
でもどこかで混ざらぬまだ純粋な透明な私もいるようで
どこか油と水のように完全に混ざりきらない拒絶も感じて
それも時間と共に消えるのだろうか
彼を見て騒ぐ心と凪いだ心
二重にだぶる感情にすみれも戸惑いをかみ締める。
まだきちんと誰かと付き合ったことのないすみれの中に生まれる
自分が抱いたこともない女性の恋心と切なさとない交ぜの感情が
すみれを不可解な感覚に襲わせる。
まだ自分の中でも整理がつかない情報にそれでも自分で終息を付ける。
学生カバンから自宅の鍵を取り出す。
迷いなく鍵穴に鍵を差し込めばドアは開き、いつもの住み慣れた風景が
目に入る。
「入って?何もないけど…。」
無色透明な水をビーカーに用意する。
その中に一滴、赤い食紅を垂らしてみよう。
今まで無色だった水はたちまち浸食され赤く染まる。
ガラス棒でかき混ぜれば、どこが無色だったのかさえ分からなくなる。
私の頭の中で過去の記憶が垂らされた一滴の食紅のように
浸透していく。
今まで忘れていたことが不思議なように馴染んで
一体どこが過去でどこからが今で、未来のことなのか
境目が消えていく。
過去の私も私。
目の前の彼も私の夫と自然に馴染む。
でもどこかで混ざらぬまだ純粋な透明な私もいるようで
どこか油と水のように完全に混ざりきらない拒絶も感じて
それも時間と共に消えるのだろうか
彼を見て騒ぐ心と凪いだ心
二重にだぶる感情にすみれも戸惑いをかみ締める。
まだきちんと誰かと付き合ったことのないすみれの中に生まれる
自分が抱いたこともない女性の恋心と切なさとない交ぜの感情が
すみれを不可解な感覚に襲わせる。
まだ自分の中でも整理がつかない情報にそれでも自分で終息を付ける。
学生カバンから自宅の鍵を取り出す。
迷いなく鍵穴に鍵を差し込めばドアは開き、いつもの住み慣れた風景が
目に入る。
「入って?何もないけど…。」
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