魔王少女と魔王使い

たとい

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魔王少女と魔王使い

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この世界は、魔界と契約された。

その日から世界中の人々はあらゆる魔物との契約者、いわゆる魔物使いとなったのだった。




「は、反則だろ。強すぎる。」

「はーっはっはっは!恐れ入ったか愚民。」




圧倒的な力の差を見せつけて、俺は軽い喧嘩を吹っ掛けてきたよその暴力団を壊滅させた。

さっきまで強がっていた群がりが、八方に逃げていく様はなんとも面白い。

これほどまでに強いのも、威勢を張れるのも、全ては俺が従えているモノの強さのおかげである。

それはもはや魔物というにはあまりに弱い。




なにせこいつは、魔王なのだから。

そう。俺は魔物使いならぬ、魔王使いなのだ。




「やれやれ。ちょっとは良い戦いになると思ったのだがな。あの数でこの程度とは片腹痛い。」

「まったくだ。」

「ところでヤミ、お前と契約してからもう一年だな。早いものだ。」

「そうだな。あの時のことはよく覚えてる。」




運命的な出会いだった。

事故に遭って死の境をさ迷った俺は、まさにそこで魔王と出会った。




「生き返りたいか。力がほしいか。」




俺は迷わずその契約を結んだ。




「お前ほど血の繋がりが強い人間がいなかった。死にかけたことでより強まったその繋がりで、我はより強力な力を発揮できている。」

「俺もそのおかげで、あれからまるで負ける気がしない。」




魔物が人間と契約する理由はそこにある。

契約することで人間は魔物の力を得て、魔物も人間の性質によってより強い力を使えるのだ。

持ちつ持たれつの関係なのである。




「だがな、ヤミよ。お前に言ってなかったことがある。」

「ん?なんだ。」

「もうすぐ我と貴様と契約は切れるのだよ。」




「は、はぁああああ!?」




「すまない。」

「ちょっと待てよ冗談じゃねーよ!契約ってどちらかが生きてるうちは絶対に切れねぇんだろ!?」

「それがだな、貴様が望んだのは魔王との契約だった。しかし我はもうすぐその王位を降りるのだ。」

「じゃ、じゃあ俺は、、、これから一気に凡人に!?」




最悪だ。

これまで好き勝手してきて有名にもなってしまったというのに、これからどうやって生きていけばいいのだこの力に頼りきっていたというのに。




「安心しろ。我が後を継がせた者と契約が紡がれ、今の力も我からそちらへと受け継がれる。お前は異常なまでに魔王という存在との相性がずば抜けている。うまくやっていけるはずだ。」

「そ、そうか。じゃあ今まで通りにやってけるんだな。よかった。ところで、その後継者っていうのは一体?」

「うむ。紹介しよう。」




魔王は闇の魔方陣から何者かを呼び出した。

一体どんな強いやつだろうと身構えていたが、目を疑う。




「ユゥユでーす。よろしくね、ヤミ。」

「、、、この幼女が、次の魔王なのか?」

「あぁ、我が愛しい娘だ。」




な、なんだってー!?!?




「娘なのか?!魔物には見えないが!?」

「人間との娘だからなぁ。そう見えても仕方なかろうな。」

「人間と!!?ハーフなのか!?」

「まぁ、人間界に来るのは初めてだがな。よろしく頼むよ。」

「よろしくね♪」

「は、はは。」




魔王に逆らうわけにもいかず、俺は突然巨大で厳つく恐ろしいまでに強面な老いた魔王から、小さく愛らしく知識も乏しい半分人間の幼女な魔王とパートナーになることになったのだった。




いや、たしかに力は強いみたいだけどさ!

魔法少女ならぬ魔王少女ってか??笑えねぇ、っていうかむしろ魔王幼女じゃないかおい。




「大丈夫なのか?」

「安心してください!力はたぶん衰えませんから!ちょっと力加減できないぐらいですし!」




それはむしろ短所になるのではないだろうか。




「なんだったら成長もできますよ!」

「何ですと!!!」




彼女との学園生活が決まるまで、そう時間はかからなかったのだった。
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