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4:救いのヒーロー

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ミコト「え!?あの巨大ロボさん、時々こっちの様子をうかがってるの?」

キッド「うん。カモフラージュ技術で姿を消してるから、今のところは僕しか気づいてないけどね。本当はじっとしてて欲しいけど。」




やっと動けるようになったんだから自由に動き回らせてあげてるんだろう。

にしても彼を巨大ロボとだけ呼ぶのはなんだか味気ない。名前つけてあげたいけど、本人ならぬ本体がいないとなぁ。

そうそう、実は魔獣さんが我が家に来てからキッドは私の元に預けられている。それまでは正の家にいたそうだ。

敵に正体も住所もバレてるし、何より女の子だから用心棒としてという理由だそうだ。なるほど納得。




キッド「ん?待って。正から何か連絡が。」

正『大変なんだ!皆、急いできてくれ!』




イシュールを通して慌てた様子の正の声が聞えてきたが、すぐに切れてしまう。まさか敵からの襲撃!?

私は急いで変身をして、キッドと一緒に正のいる場所へと向かった。

のだが。




守「・・・人命救助なら人命救助だと言って下さいよ。ノーネームかと思って変身して来てしまったじゃないですか!」

正「ごめん。だけど、これも立派なヒーローの仕事だろ?変身してたおかげでスムーズにできたし無駄じゃなかったってことで、許してくれない?」

ミコト「ヒーローじゃなくてもやることだけどね。とりあえず被害が特に無くて良かったよ。」




わざわざイシュールで呼んだから敵との対決かと思ったのだけれど、正が偶然出くわした騒動の解決だった。

その場の流れで私と守が変身したまま救助にあたったのはいいとして、正が生身で救助活動をしてたのには驚いた。




ミコト「前から強いなーとか思ってたけど、やっぱり正ってすごいんだね。かっこいいなぁ。」

正「そ、そうかな?えへへ・・・実は子供の頃からヒーローに憧れてたから、格闘術とか学んでたんだ。あっ守もすごいんだよ!医者になるために勉強してるんだって。」




照れ隠しになのか、守のことを話してきた正。人の命を助ける仕事がしたいんだそうだ。二人ともすごすぎる。私、浮いてませんか?

ともかく救助も済んで会話も終わって別れた私達。家へと帰る私の頭には、最後に守が言った言葉が残っていた。




ミコト「何かあったら連絡が欲しいって、私じゃなくてキッドにお願いするだなんて!つくづく信用がないんだな、私。」

キッド「君が心配なだけだよ。それに君は、優しすぎるから。」




そう言われてもと反論しようとした私だったが、ドアを開けてから聞えてきた狛の吼える声にかき消される。

一体どうしたのかと前を向くと、黒い何かが私の胸元に飛び込んできたのだった。




ミコト「わああああああ!!何っ何!?」

キッド「これってまさか、スライズ!?一体どこから入ってきたんだ!」




え!これスライズ?何かと思ったかなりびびった怖かった!私虫も殺せないし!

でも小さくって丸くって羽ついてるし、今まで見たスライズとは少し違うような気がする。何より涙目で私を見つめてくるのだ。やめてそんな目で見ないで。




キッド「偵察用かな?これだけ小さいなら僕達だけで十分退治できるね。」

ミコト「ぅえ!?そんな、退治しちゃうの?偵察しに来ただけなら別にそこまでしなくても。」

キッド「ミコト、何かあってからじゃ遅いんだよ?まさか、かわいいから倒したくないって言うんじゃないだろうね。」

ミコト「うっ。でもほら、偵察しに来ただけかもしれないんでしょ?まだ他に何もしてないのに、そんなの間違ってるって。」

キッド「それじゃあ何、見逃すの?次会う時にはどうせ戦うことになるんだよ?」

ミコト「だって、少なくともこの子は狛に追われてこんなに怯えてるじゃない。もしかしたら戦う力がないのかも。そんな子に危害なんて加えたら、こっちが悪者よ。弱い者いじめ反対!」




かわいく思えてしまったからっていうのも正直ある。かわいいは正義ってやつだね、うん。

だけど悪いことをした訳でもない、怖がっているスライズを敵だからというだけで倒してしまうのは私の意に反していた。




キッド「・・・言いたいことはわかった。君の意志を尊重しよう。守達には内緒だからね。」

ミコト「ありがとうキッド!」




撫でてやればスライズはこの展開にキョトンとしていた。やっぱりかわいい。

そして家の外に出てスライズを手放す。戸惑いながらも、スライズは遠くの彼方へと飛んでいった。

しばらく見送っているとイシュールを通してまた連絡が入る。今度は変身した守だった。




青『正と一緒に敵におびき出された!今大量のスライズに囲まれて苦戦してるんだ。君も来てくれ!』

ミコト「わかった今行く!もう、早速なの?」




さっき別れたばっかりなのに!まさかあの子も作戦のうちだったりしないよね?という不安にかられながら再び変身して二人の元へ向かう。

キッドは、前回足手まといになったのを気にしているらしく今回は私の家に残ることになった。なにより「家の警備を強めておきたい」んだそうだ。先ほどのこともあって正論ではあるけど、変に改造されてないといいな。

二人がいるという森の奥深くに入ってから、何度かスライズに出くわした。が、何故か攻撃してこない。あのスライズを助けたからだろうか。

考えるのは後にして急ぎ、そうしてやっと二人の戦う姿が見えたところだった。いきなり誰かに体を取り押さえられる。

本日二度目の悲鳴をあげた私の前にいたのは、最初に出会ったあの怪人さんだった。




怪人「会いたかったよミコトー!あっ今はイシュピンクって呼んだ方が良い?ボクはアシスト、よろしくね!」

ピンク「あなた、あの時の!もしかして、今スライズと戦わせてるのってあなたの仕業?」

アシスト「そうだよ、僕の呼んだスライズ達なんだ。今回は機械とか取り込ませてみたから苦戦してるね。僕頭良い!」




あれがスライズ?なんか人外頭こと異種頭とか異形頭ってといわれるものっぽく見えるんだけど。そういえば合体したこともあるし、さっきは小さいのに会ったばっかりだっけ。いろんな形状に変われるってことか。

あーいうの好きなんでしょ?とアシストに言われた。まさか私の性癖を意識してでのパワーアップなのだろうか。




アシスト「ボク、人間は嫌いだけどミコトのことは気に入っちゃった!他の人間と違うんだもん。ボクとスライズを助けてくれたし。」

ピンク「スライズを助けたことを知ってるってことは、もしかしてあなたがあのスライズを?」

アシスト「だってキミに興味があったから。スライズもキミのこと気に入ったみたいだね。ねぇ、イシュレンジャーなんてやめてボク達の仲間になりなよ?キミさえ来てくれれば問題解決だしね!」




なんで問題解決?あぁそっか、イシュールは一つでも欠けてたら完全復活できないってことね!

話を聞いたブルーが必死に私を止めようと説得してくる。失礼な。

怪人さん達と仲良くしたいのは山々だが、もちろん断るつもりだ。でも、彼らのことを知るチャンスかもしれない。なんと切り返せばいいかと悩んでいると、なんとか敵を蹴散らしてきたレッドが駆けつけてきていた。




赤「ピンクを離せ!離さないとまた痛い目に合うことになるぞ!」

アシスト「ヤダ。言っておくけど、ボクは常に進化してるんだ。前より強いからね。邪魔しないで!」

ピンク「っやめて!!」




アシストが腕にある何かでレッドを狙ったのを見て、私は咄嗟に前に立ちふさがってしまった。

けれどアシストが放ったものは私の横の地面へと撃たれる。いつのまにかアシストを取り押さえていたのは・・・黒い、イシュレンジャー?




アシスト「何なのキミ!新しいイシュレンジャー?そんな、まさか。」

黒「彼女を傷つけることは許さない。それは、君もそうだろう?」




彼はあっさりとアシストを解放する。突然現われた彼に困惑する私達。

聞きたいことは沢山あるけれど、とりあえず今は冷静になって彼に私の答えを伝えなくては。




ピンク「アシスト。悪いけど私は仲間になれない。だって私は誰かを救ったり、戦いを止めたいと思うから。」

アシスト「・・・わかったよ。さっきは、ゴメンね。でもボク、諦めないから。」




新たな戦力も現われて、スライズも倒されたからかアシストはまたすぐにその場を去ってしまった。

残されたのは私達と、黒い彼。




赤「キミは一体何者なんだ?名前は?」

黒「僕の、名前?・・・黒野。黒野比呂。ミコト、君を守るために来た。」






ーーーーーーー{NEXT}


突然現れた黒野比呂くん。私を守るために来たってどういうことなのか、さっぱりわからない。

戸惑う私たちだったけど、新メンバーが増えて大変なのは向こうも一緒よね。




次回、様々な進展の第5話「恋せよ悪役」




どうしよ、私に決闘なんて
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