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1:正義の道は悪の道!?
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私の名前は平川ミコト。
私の町ではとある非現実な話題で持ちきりだった。怪人が出たとかヒーローがどうとか。
あくまで噂で本当かわからないけど、私もその話が気になって仕方がなかった。
怪人が魅力的かどうかで!!
そんな私の話を聞いた友人からは「危機感が無い」だの「そこはヒーローに興味もちなよ」とか言われてしまった。
失礼な!ヒーローさんにだって興味あるよ!スーツが本体であればなおさら、ではありますけど。
そう、私は世間いわゆる人外好きだった。
ミコト「怪人にヒーローかぁ。本当にいるならあってみたいよね、狛。」
狛「ワォン!」
家で愚痴をこぼせば狛が返事をしてくれた。狛は探し物等が得意な我が家の優秀な番犬のシェパードだ。
ミコト「まぁ・・・かっこいい怪人なんかが、昔から夢見たような『家に突然転がり込んでくる』なんてことがある訳が」
ドッガァァアアアン!!!
言葉を遮って音が響いた。かなり近くで何かが派手に壊れたような音。
事態が把握できずにいる私を置いて狛が吠えながら外に出る。まさか、まさかそんなこと。と思いながら私も慌ててついていく。
家の裏の古い倉庫に入ると、そこには一部が壊れた壁と崩れ落ちた箱や物。そして隅の暗闇に・・・怪人が倒れていた。
「ぐ・・・うぅ。」
人生は何が起こるかわからない、とはいえこんな事が起こるものなのか。
怪人「いったいなぁもう。油断さえ、してなかったら勝ってたのに。」
あぁ、なんてこと!先ほどまでの発言を撤回しなければ。
この怪人さんかっこいいじゃなくて、可愛い!
声とか口調とか!ってそんなこと考えてる場合じゃないでしょ私。
狛「ウゥゥゥウウ・・・。」
ミコト「あっ!待って狛、大人しくして。」
警戒して唸る狛を静止する。よく見ると怪人さんは体に大きな傷を負っている様子だった。
どうしようかと思いながらも放っておけず、私は倉庫に置いてあった救急箱を見つけて手を伸ばす。
そこへ、赤と青のスーツの人が飛び込んできた。もしかして、例のヒーローさん?
赤い人「とうとう追い詰めたぞ悪者め、覚悟しろ!!」
青い人「全く、倉庫とはいえ破壊するとは迷惑ですね。これでトドメといきましょう。」
ミコト「えっちょ、ちょっと待って!待ってください!」
呆然と見ていたけれど、聞き逃せない単語を耳にして思わず止めに入る。
赤「君は、ここの家の人かい?危ないから下がってて!」
ミコト「あの、トドメってもしかして怪人さんを殺すんですか?どうして!?」
青「彼は力で全人類を支配しようと企んでいる組織の怪人なんです。誰かに危害をくわえる前に倒さないと。」
ミコト「誰か、襲われたりしたんですか?」
赤「それはまだみたいだけど、今あいつが持ってるのを奪い返さないと大変なんだ。」
怪人「これは、絶対渡さない!これはマスターのだ。」
怪人さんの手元を見てみれば、何か小さいものを握っているようだった。
ミコト「今の私にはどっちが正しいのか判断できません。けど、殺すのは間違いだと思います!」
赤「何言ってるんだ!相手は悪の怪人だぞ、俺達が信用できないのか?」
ミコト「でも誰も襲ってないんでしょ?その物さえ手に入れば良いじゃないですか!」
青「ですが彼は死んでも渡す気はありません。それに先ほども言ったように危険な奴なんです。生かしておく訳にはいかない。」
言ってることはわかる。わかるけど、どうしても納得できなかった。拘束じゃ駄目なの?話し合えないの?
話しても無駄だと思ったのか青い人が怪人さんの元に近づこうとしたのを見て、私は怪人さんに飛びついた。
怪人「んなっ!何のつもり!?」
青「馬鹿な真似はやめて離れてください!危険です!!」
赤「どうして、そいつを庇うんだ!相手は怪人で、悪者なんだぞ?」
ミコト「何が悪かなんてわかりませんし、目の前で傷ついている人や生き物を助けるのは当前じゃないですか!」
直接触れてわかる。苦しそうな息遣いに、動こうにも上手く動けない体が。怖いけど、逃げたら間違いなく殺されてしまう。
そんなのは嫌だ!本当に悪者かわからないのに。もし、もし悪でもそんなに悪い怪人さんでないのなら。
ミコト「たとえ悪でもかまわない!私は、この怪人さんを助けたい!!」
叫んだ途端のことだった。怪人さんの手に持っていたものから強い光が溢れ出た。思わず目をつぶる。
あたりに吹き荒れる風。光が収まって目を開けてみれば・・・私はピンク色の、彼らと同じスーツを着ていた。
ミコト「え?何、これどういうこと??」
青「まさか、イシュールは彼女を認めたのか!?」
ミコト「はい?」
よくわからないけど、大きな力が体に溢れているのは身に感じた。この風を私が起こしているということも。
それならばと、私は怪人さんを抱えて突風を起こして逃げ出す。
ヒーローさんたちは追いかけようとしたけれど、狛が邪魔してくれる。さすが我が家自慢の番犬だ。
こうして私は彼らから逃げることに成功したのだった。
しばらく飛んで誰もいない場所に降りてから、怪人さんに怪訝な目で見られつつも持ってた救急箱から包帯を巻く。
救急箱をしまい、怪人さんからも話を聞こうと思って振り返る。
けれど、いつの間に去っていったのだろう。既に彼はいなくなっていた。
変身がとけて手元に残ってしまった物を見ながら私は途方にくれる。
私、とんでもないことをしてしまったんじゃないだろうか。とか、そもそも怪人に包帯は意味あったのかな?とか。
だけどその時私は、この戦いに巻き込まれることになるなんて思いもしなかったのである。
ミコト「あ、カメラで撮りたかったなぁ。」
怪我して無かったらの話だけど。
ーーーーー{NEXT}
私、平川ミコト!偶然変身できちゃった訳だけど、この変身装置って誰にどうやって返せばいいの?
悩んでいた私の前に現れたのは・・・。ぇえ!?イシュレンジャー?
次回、ついに正体判明の第2話「イシュレン上等」
変身、イシュミレーション!
私の町ではとある非現実な話題で持ちきりだった。怪人が出たとかヒーローがどうとか。
あくまで噂で本当かわからないけど、私もその話が気になって仕方がなかった。
怪人が魅力的かどうかで!!
そんな私の話を聞いた友人からは「危機感が無い」だの「そこはヒーローに興味もちなよ」とか言われてしまった。
失礼な!ヒーローさんにだって興味あるよ!スーツが本体であればなおさら、ではありますけど。
そう、私は世間いわゆる人外好きだった。
ミコト「怪人にヒーローかぁ。本当にいるならあってみたいよね、狛。」
狛「ワォン!」
家で愚痴をこぼせば狛が返事をしてくれた。狛は探し物等が得意な我が家の優秀な番犬のシェパードだ。
ミコト「まぁ・・・かっこいい怪人なんかが、昔から夢見たような『家に突然転がり込んでくる』なんてことがある訳が」
ドッガァァアアアン!!!
言葉を遮って音が響いた。かなり近くで何かが派手に壊れたような音。
事態が把握できずにいる私を置いて狛が吠えながら外に出る。まさか、まさかそんなこと。と思いながら私も慌ててついていく。
家の裏の古い倉庫に入ると、そこには一部が壊れた壁と崩れ落ちた箱や物。そして隅の暗闇に・・・怪人が倒れていた。
「ぐ・・・うぅ。」
人生は何が起こるかわからない、とはいえこんな事が起こるものなのか。
怪人「いったいなぁもう。油断さえ、してなかったら勝ってたのに。」
あぁ、なんてこと!先ほどまでの発言を撤回しなければ。
この怪人さんかっこいいじゃなくて、可愛い!
声とか口調とか!ってそんなこと考えてる場合じゃないでしょ私。
狛「ウゥゥゥウウ・・・。」
ミコト「あっ!待って狛、大人しくして。」
警戒して唸る狛を静止する。よく見ると怪人さんは体に大きな傷を負っている様子だった。
どうしようかと思いながらも放っておけず、私は倉庫に置いてあった救急箱を見つけて手を伸ばす。
そこへ、赤と青のスーツの人が飛び込んできた。もしかして、例のヒーローさん?
赤い人「とうとう追い詰めたぞ悪者め、覚悟しろ!!」
青い人「全く、倉庫とはいえ破壊するとは迷惑ですね。これでトドメといきましょう。」
ミコト「えっちょ、ちょっと待って!待ってください!」
呆然と見ていたけれど、聞き逃せない単語を耳にして思わず止めに入る。
赤「君は、ここの家の人かい?危ないから下がってて!」
ミコト「あの、トドメってもしかして怪人さんを殺すんですか?どうして!?」
青「彼は力で全人類を支配しようと企んでいる組織の怪人なんです。誰かに危害をくわえる前に倒さないと。」
ミコト「誰か、襲われたりしたんですか?」
赤「それはまだみたいだけど、今あいつが持ってるのを奪い返さないと大変なんだ。」
怪人「これは、絶対渡さない!これはマスターのだ。」
怪人さんの手元を見てみれば、何か小さいものを握っているようだった。
ミコト「今の私にはどっちが正しいのか判断できません。けど、殺すのは間違いだと思います!」
赤「何言ってるんだ!相手は悪の怪人だぞ、俺達が信用できないのか?」
ミコト「でも誰も襲ってないんでしょ?その物さえ手に入れば良いじゃないですか!」
青「ですが彼は死んでも渡す気はありません。それに先ほども言ったように危険な奴なんです。生かしておく訳にはいかない。」
言ってることはわかる。わかるけど、どうしても納得できなかった。拘束じゃ駄目なの?話し合えないの?
話しても無駄だと思ったのか青い人が怪人さんの元に近づこうとしたのを見て、私は怪人さんに飛びついた。
怪人「んなっ!何のつもり!?」
青「馬鹿な真似はやめて離れてください!危険です!!」
赤「どうして、そいつを庇うんだ!相手は怪人で、悪者なんだぞ?」
ミコト「何が悪かなんてわかりませんし、目の前で傷ついている人や生き物を助けるのは当前じゃないですか!」
直接触れてわかる。苦しそうな息遣いに、動こうにも上手く動けない体が。怖いけど、逃げたら間違いなく殺されてしまう。
そんなのは嫌だ!本当に悪者かわからないのに。もし、もし悪でもそんなに悪い怪人さんでないのなら。
ミコト「たとえ悪でもかまわない!私は、この怪人さんを助けたい!!」
叫んだ途端のことだった。怪人さんの手に持っていたものから強い光が溢れ出た。思わず目をつぶる。
あたりに吹き荒れる風。光が収まって目を開けてみれば・・・私はピンク色の、彼らと同じスーツを着ていた。
ミコト「え?何、これどういうこと??」
青「まさか、イシュールは彼女を認めたのか!?」
ミコト「はい?」
よくわからないけど、大きな力が体に溢れているのは身に感じた。この風を私が起こしているということも。
それならばと、私は怪人さんを抱えて突風を起こして逃げ出す。
ヒーローさんたちは追いかけようとしたけれど、狛が邪魔してくれる。さすが我が家自慢の番犬だ。
こうして私は彼らから逃げることに成功したのだった。
しばらく飛んで誰もいない場所に降りてから、怪人さんに怪訝な目で見られつつも持ってた救急箱から包帯を巻く。
救急箱をしまい、怪人さんからも話を聞こうと思って振り返る。
けれど、いつの間に去っていったのだろう。既に彼はいなくなっていた。
変身がとけて手元に残ってしまった物を見ながら私は途方にくれる。
私、とんでもないことをしてしまったんじゃないだろうか。とか、そもそも怪人に包帯は意味あったのかな?とか。
だけどその時私は、この戦いに巻き込まれることになるなんて思いもしなかったのである。
ミコト「あ、カメラで撮りたかったなぁ。」
怪我して無かったらの話だけど。
ーーーーー{NEXT}
私、平川ミコト!偶然変身できちゃった訳だけど、この変身装置って誰にどうやって返せばいいの?
悩んでいた私の前に現れたのは・・・。ぇえ!?イシュレンジャー?
次回、ついに正体判明の第2話「イシュレン上等」
変身、イシュミレーション!
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