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198 元彼女

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 辻馬車に乗り込むと、一席しか空いていなかった。

 俺が、そこに座るのを確認してから御者は、馬の手綱をふるった。

 馬は、ゆっくりと、歩きだした。

 俺は、周りに座っている方々を見た。

 1、俺だけじゃなかった。

 9、皆好きねぇ。


 割合が……完全に興味が勝っていた。

 別に皆が、気持ち良くなりたーい!って、行くわけでなく仕事の人もいるだろうし、途中下車の人もいるだろうし…。

 子供からお年寄りまで乗っているのだから。

 俺一人がもしかすると、そういう目的なのかもしれないし。

 などと、考えながら馬車に揺られた。

 終点に着くまでに、3回ほど馬車は停まり、幾人か降りて行き、また幾人か乗ってきた。

 俺の隣の人が降りて、次に乗ってきた人が座るとチラチラとこちらを伺ってくるので、そちらを見ると知った顔だ。

 「もしかして…。」

 「やっぱり…そうかなって思ったのよ。」

 まさかの元彼女である。

 学園を卒業以来である。

 彼女は,子爵家の次女で初めてお付き合いをし,初めてデートをして,初めて手を繋ぎ,初めてちゅうをした相手である。

   学園に入って,こんなにかっこいい女性がいるのかと,同じ年なのに先を考え行動するすごい人だった。

   そんな彼女と話して,自分も先をしっかり考えるようになり,冒険者になろうと思ったのだ。

 「元気にしてた?」

 「私は、いつだって元気よ。」

 「「ふふふ。」」と、微笑みあった。

 「ねぇ、終点まで行くのよね?」

 「行くよ。」

  彼女の目がギラっとした。

 「うちの店に寄っていきなさいよ。」

 「どんなお店?」

 ニヤリと笑い「いい店よ。」と、言った。

 「わかった。ついていくよ。」

 
会う場所が悪かったかな。




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