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104 薬草採取

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 「ふんふん…ふん…ふん。」


鼻唄…ご機嫌さんだな。


 俺は、ご機嫌リーダーの後を拾った枝で、草を凪ぎ払いならが、薬草群生地を目指した。

 「そっちじゃないですよ。」

 ご機嫌リーダーが、違う道を進んだので、声を後ろからかけた。

 「そっかぁ。」と、また鼻唄混じりに返事をし、こちらへ戻ってきた。

 群生地へ近づくと、ちらほらと登録したての若い冒険者達が、草むらにしゃがんでいた。

 彼らからしたら、おっさん二人が草むしりに来ているのを、横目に見ているのがわかる。

 そして、大抵のものは二度見する。おっさんの一人は、この辺じゃ有名なチームのリーダー、彼らの憧れの人だ。

 「なぜ?」草の中を通る風に乗って聞こえてくる。

 「早くしろよ。」

 「がんばってますよ。」

 俺は探知をかけながら、必死に探す風を装う。

 本当は、もう採ったんだけど…しゃがんで、探してるふりをつづける。


 「おい。これ、はずせ。」

 「あぁ、はずしたら一歩すぐに前に出てください。」

 「おう。」

 「どうぞ。」

 ご機嫌リーダーは、一歩前に出た。

 俺はすぐに結界をはった。

 ここにいる子達は、守れる。

 ご機嫌リーダーが、消えた方から魔物の断末魔の叫びが聞こえた。

 「えっ。」声のする方へ皆が立ち上がりながら見る。

 暫くすると、ずるずる音が近づいてくると、ご機嫌リーダーが、魔物を引きずってきた。

 「そこで、止まってください。」

 「帰るぞ。」

 「いやいや…風呂入ったのに、返り血…もっと上手く殺ってくださいよ。血に魔物がつられるので、ここで血抜きして後始末します。」

 俺は土壁を作り、魔物を吊るし、下に穴を掘り血を溜めた。

 ご機嫌さんは、ガハガハと笑いながら「肉祭りだな。」と、豪快に叫ぶ。

 草むしりをしていた子達に声をかけ、肉を分けた。

 「ここを片付けたら、ギルドに戻りましょ。」と、声を掛けると顔の血を拭いながら、「血まみれだからな。」と、さっきまでご機嫌さんだったにが、ちょっとムッとしながら答えた。

 「風呂入ってさっぱりしたら、宿を探しましょう。ねっ。」と、手を握ると「うん。」可愛い返事を返してきた。

 手を繋いで二人で、ギルドへ歩いた。






 
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