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第44話 反対される

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僕はツムギを我が家へ招き入れ、もうすぐ彼女は僕の妻となるのだと有頂天だった。
彼女と同じ屋敷に生活していると思うと…あぁ幸せだ。

彼女も僕の想いに応えてくれ、辺境伯夫人になるべく、努力してくれている。
その為、母と過ごす時間が長くなるのは仕方がない。
だが、もう少し、もう少しだけ一緒にいたいと思ってしまう。

ツムギとの時間を作りたい僕は、初日の夕食後に彼女と二人で庭を散策した。
彼女との時間は楽しくて、甘くて… 
まだまだ一緒に居たかった。
だが、夜が更けてくると寒くなる。
仕方なく、彼女を部屋へ送り届ける。


翌朝、僕は彼女付きの侍女であるマノンから苦情を受けた。
「ツムギ様が真っ赤な顔で戻ってきましたが、婚姻前ですので自重をお願いします。」と、

マノンは僕が生まれる前から、この屋敷に勤めるベテランだ。
生まれた時から世話になっている彼女に、そんな苦情を言われるとは…
何とも居たたまれない。

失敗したな。

それから僕がツムギと二人になろうとすると、マノンの目が厳しい。
無言の抗議である。
もう少し彼女のほてりを冷まして、部屋に戻すべきだった。



先程、執務中に父から聞かされた内容に、僕は驚愕した。

とっくに僕らの婚約の許可が出ているものと思っていたが、実はまだ保留中らしいのだ。

ラウンド辺境伯である父、賢者と呼ばれるキリノ男爵が、王家へ抗議を申し入れたが、まだ返答がない。

それだけでなく、第二王女アリーローズ様の釣書が父の机に無造作に置かれているのを見てしまった。
アリーローズ様は、ツムギと同じく僕の2歳年上だ。
剣を握るじゃじゃ馬で、本人は「私は一生婚姻しない。」と宣言したと聞いたのだが…

なぜ彼女の釣書があるんだ?
彼女は弟 テオよりも4歳年上だ。
さすがに僕宛ではないと祈りたい。
父からはまだ何も聞いていない。

王家はいったいどういうつもりだ。
まさか辺境伯家と賢者を敵にまわすつもりなのか。



席を外していた父が戻ってきた。
「父上、申し訳ありません。王女の釣書を見てしまいました。」
「いや、構わん。テオにアリーローズ様との縁談がきておるのだ。」

「えっ、テオに?」

「実は、『ラウンド家の魔法』で、アリーローズ様と巡りあったようなのだ。」

「いつの間に… そうか、テオも16歳になっていましたね。」

「そうだ。授業で行われた狩りの演習で、トラブルがあり、出逢ったそうだ。」

「となると、テオも王女と困難を乗り越えたのですか?」

「そう、そのとおりだ。」









    
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