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第5話 いただきます

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「ん?魔法?うーん、どうなんだろう。」
妙に歯切れが悪い彼。
言いにくい?それとも言いたくないのかな。
無理に聞き出すこともないね。
私もいろいろ聞かれると困る。

部屋中に香ばしい香りが漂ってきた。
そろそろ魚が焼けたかな。

グーグー
彼のお腹の虫は我慢できなかったようね。
グー
あっ、私も。
二人とも顔だけでなく、首まで真っ赤だ。
顔を見合せ笑いあう。

「これだけお腹空いてたら、きっと美味しいよね。ジル、魚をありがとう。さあ食べよう。いただきます。」
「うん、どういたしまして。いただきます。」

パリッモグモグ、パリパリモグモグ
魚は皮はパリパリで、身はふっくら。
上手く焼けている。魚の味がよくわかる。

かなりやさしい味だ。
塩や醤油が恋しいよ。
それでも空腹の私たちにはご馳走だ。

「焼魚美味しいね。」
「うん、美味しい。」
二人でよかった。

もし一人ぼっちだったら、山小屋もみつけられなかったかもしれない。
魚も食べられなかっただろう。

食べたら、他にすることがない。
それぞれ床に寝転んで就寝。
「ジル、おやすみなさい。」
「ねぇ、ツムギは寒くない?」
「うん、大丈夫。」

ジルは寒いんだろうか。
一応まだカマドに熱は残ってるから、そこまで寒くはないんだけどな。
寒いというより、痛いな。
布団がひかれていない床で眠るなんて初めてだ。

ジルは扉の近くだから寒いのかな。
「ジル、寒いんなら近くに来る?」
「いや、さすがにそれは… ツムギが寒くないならいいんだ。じゃあ、おやすみ。」

スースー
すぐに彼の寝息が聞こえだした。
彼も疲れてたんだね。

ふわわあ~。
私も大きなアクビが出た。
すごく眠たいんだけど、床は固くて痛い。
だんだん寒くなってきた。

プルプル
できるだけ丸まって眠る。

朝、目が覚めると、あれ?あんまり寒くない。むしろほんわかと暖かい。
私の体には、彼が昨日羽織っていたマントがかけられていた。

「ジル、おはよう。マントかけてくれたんだね。ありがとう。」
「うん。ツムギ、おはよう。寒くなかった?」
「うん、マントのおかげで暖かかったよ。」
ジルは私にマントをかけてくれたんだ。

自分も寒かっただろうに。
優しいな。
ホコリがついたマントをパンパンと叩いて、彼に返す。

朝ご飯は、私が持ち歩いていたクッキーと飴を二人で分ける。
早く街につかないとまずいかもしれない。

今日も出発前に川へ向かい、スノーに川の水を飲ませ、私は水筒に水を入れる。
ジルは顔を洗い、水をすくって飲んでいる。

川の水は透明で、魚が泳ぐ姿が見える。
なかなか大きい魚もいるじゃない。
そっと手を入れて、ササッと魚に手を伸ばす。
スススイーと、逃げられてしまった。

そうだよね。簡単には捕まえられないよね。
私が音を立てたので、泳いでいた魚は隠れてしまった。
昨日、魚を捕まえたジルはやっぱりすごいや。












    
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