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第26話 電話

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星野さんから、プライベートな連絡先を教えてもらっちゃった。
私が連絡すればいいんだよね?
自宅へ帰りついても、ドキドキと息苦しいまま。

夜、携帯をみつめて悩む。
星野さん、仕事終わったのかな?
今 電話しても大丈夫かな?
連絡先を教えてもらって、すぐ連絡したら、ひかれてしまうかな?

う~ん、考えていても仕方がない。
ベッドに座り、えいっと、星野さんの携帯を鳴らす。
他の連絡方法でもよかったけど、やっぱり文字ではなく、声が聞きたい。
低音の優しい声。

5コールなり、
「もしもし」星野さんの声だ。
「星野さん、こんばんは。連絡先ありがとうございます。今、大丈夫ですか?」
「岩月さん?早速、電話くれるなんて嬉しいな。」
会社で聞いていた星野さんの声より、若干高く聞こえる。
「携帯だと、星野さんの声 少し違いますね。」
「そう?プライベートだからかな?」

名前、年齢など、仕事では必要なかった情報を聞き合う。
星野さんから、「敬語はなし。名前で呼びたいし、名前で呼んで欲しい。」と提案される。
ひゃ~、もちろん、賛成。
嬉しいです。

彼は、星野 颯真さん(ほしの そうま) 29歳
ステキな名前。
これからは、『颯真さん』と呼びますね。
颯真さんも名前で呼んでくれるんだよね。

それからは、毎晩のように電話が鳴る。
もちろん颯真さんからである。
彼は私を『雅ちゃん』と呼ぶ。
颯真さんの声、やっぱり落ち着く。
優しく私の話を聞いてくれるので、つい長電話になってしまう。

プライベートなのに、仕事で困ったことも話してしまう。
私、颯真さんに甘えてしまい、ダメだな。

「雅ちゃん、かわいい声だよね。話し方も雰囲気があって好きだな。どんな感じなのかな?誰か有名人に似てると言われたりする?」と颯真さん。

声がかわいいと誉めらちゃった。
話し方というのは、方言のことかな。
すごく嬉しいな。

ここで外見チェックですか…
残念ながら期待には添えないと思う。
有名人に似てると言われること、滅多にないしね。
外見は、目立たず。
ごくごく普通だと思う。

男女問わず、よく道を聞かれるなど、声をかけられるので、話しかけやすいのかな。
愛嬌だけはあるのかな?と、勝手に思っている。
颯真さんは、どんな人なんだろう。
どんな人が好きなんだろう。

会ってみたいけど、遠いな。
先輩だし、研修で一緒になる可能性は低いよね。
出張で、こっちへ来たりしないかな。
会いたいな。

毎晩電話で話していると、かかってくるのを待つようになる。
ドキドキしながら、まだかな、まだかなって。
星野さんからの電話が、待ち遠しい。 
早くかかってこないかな。








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