8 / 15
第8話 焦る気持ち
しおりを挟む
僕 小鳥遊 周には、自慢の兄がいる。兄の名前は、小鳥遊 漣。
僕たちが勤めている会社は、現在 祖父の織田 聡(おだ さとし)が社長に就任している一族企業だ。
孫である漣が後継者ともくされている。
それを娘婿である父は、経営者の器ではないと納得しているようだ。
容姿端麗、頭脳明晰、温厚篤実。
こんな人はなかなかいないと思う。
その兄がようやく見合い話に興味を持ったんだ。
義姉さんになる人は、どんな人なのか気になっていたら、なんと会うこともなく断られたという。
えっ、釣書を一目見れば、もう決まりだろ? 断るか?
断るという選択肢はないだろ?
僕は、ひどい衝撃を受けた。
調べてみると、相手は同じ会社に勤める人だとわかった。
今からなら異動希望がまだ間に合う。
僕は急いで、彼女が所属する部署へ異動希望を出した。
もちろん彼女が当面異動する予定がないことも知人へ確認済だ。
人事は、なぜその部署に?と僕の希望に驚いていたが、社長の孫で、次期社長の弟である僕の希望は叶った。
忖度が働いたのだろう。
そして、僕は希望どおり彼女と同じ部署へ。
運良く隣の席になることができた。
愛嬌ある僕のことだ。
周りにあっという間に打ち解けた。
彼女とは同期だからと、『周』と『環奈』と呼びあうように提案した。
残念ながら、呼び捨ては却下され、『周くん』と『環奈ちゃん』と呼びあっている。
彼女はきちんと状況に合わせて臨機応変に動ける人だ。
頑張り屋で、笑顔がかわいくて…
彼女と一緒の時間は居心地がよかった。彼女といると気を張らず自然体でいられるのだ。
彼女との会話はいつも楽しく、会話の節々から聡明さを感じる。
僕は彼女の近くにいるうちに、すっかり魅了されてしまっていた。
これからどうアプローチしていこうかと考えを練っていたんだ。
倉庫で兄に会った時は、驚いた。
しかも環奈ちゃんと話してるじゃないか。
いつ知り合ったんだ?
兄は彼女に興味を持っている。
そうでなきゃ、この忙しい時期に現場へ顔を出すわけがない。
僕は焦った。
すぐに動かなければ、兄に彼女をさらわれてしまう。
彼女を夕飯に誘った。
彼女とは何度か食事しているが、これほど食事を楽しめなかったのは、初めてだ。
せっかく美味しいと評判のハンバーグを食べに行ったのに、味わう余裕が僕にはなかった。
もうどうにでもなれ!
僕は彼女に自分の気持ちを伝えた。
冗談だと笑って済まされそうで、本気だと念押しした。
突然の告白に、彼女はどう思ったのだろうか。
その夜は、彼女のことが頭から離れず、ほとんど眠れなかった。
僕たちが勤めている会社は、現在 祖父の織田 聡(おだ さとし)が社長に就任している一族企業だ。
孫である漣が後継者ともくされている。
それを娘婿である父は、経営者の器ではないと納得しているようだ。
容姿端麗、頭脳明晰、温厚篤実。
こんな人はなかなかいないと思う。
その兄がようやく見合い話に興味を持ったんだ。
義姉さんになる人は、どんな人なのか気になっていたら、なんと会うこともなく断られたという。
えっ、釣書を一目見れば、もう決まりだろ? 断るか?
断るという選択肢はないだろ?
僕は、ひどい衝撃を受けた。
調べてみると、相手は同じ会社に勤める人だとわかった。
今からなら異動希望がまだ間に合う。
僕は急いで、彼女が所属する部署へ異動希望を出した。
もちろん彼女が当面異動する予定がないことも知人へ確認済だ。
人事は、なぜその部署に?と僕の希望に驚いていたが、社長の孫で、次期社長の弟である僕の希望は叶った。
忖度が働いたのだろう。
そして、僕は希望どおり彼女と同じ部署へ。
運良く隣の席になることができた。
愛嬌ある僕のことだ。
周りにあっという間に打ち解けた。
彼女とは同期だからと、『周』と『環奈』と呼びあうように提案した。
残念ながら、呼び捨ては却下され、『周くん』と『環奈ちゃん』と呼びあっている。
彼女はきちんと状況に合わせて臨機応変に動ける人だ。
頑張り屋で、笑顔がかわいくて…
彼女と一緒の時間は居心地がよかった。彼女といると気を張らず自然体でいられるのだ。
彼女との会話はいつも楽しく、会話の節々から聡明さを感じる。
僕は彼女の近くにいるうちに、すっかり魅了されてしまっていた。
これからどうアプローチしていこうかと考えを練っていたんだ。
倉庫で兄に会った時は、驚いた。
しかも環奈ちゃんと話してるじゃないか。
いつ知り合ったんだ?
兄は彼女に興味を持っている。
そうでなきゃ、この忙しい時期に現場へ顔を出すわけがない。
僕は焦った。
すぐに動かなければ、兄に彼女をさらわれてしまう。
彼女を夕飯に誘った。
彼女とは何度か食事しているが、これほど食事を楽しめなかったのは、初めてだ。
せっかく美味しいと評判のハンバーグを食べに行ったのに、味わう余裕が僕にはなかった。
もうどうにでもなれ!
僕は彼女に自分の気持ちを伝えた。
冗談だと笑って済まされそうで、本気だと念押しした。
突然の告白に、彼女はどう思ったのだろうか。
その夜は、彼女のことが頭から離れず、ほとんど眠れなかった。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
出会ったのは間違いでした 〜御曹司と始める偽りのエンゲージメント〜
玖羽 望月
恋愛
親族に代々議員を輩出するような家に生まれ育った鷹柳実乃莉は、意に沿わぬお見合いをさせられる。
なんとか相手から断ってもらおうとイメージチェンジをし待ち合わせのレストランに向かった。
そこで案内された席にいたのは皆上龍だった。
が、それがすでに間違いの始まりだった。
鷹柳 実乃莉【たかやなぎ みのり】22才
何事も控えめにと育てられてきたお嬢様。
皆上 龍【みなかみ りょう】 33才
自分で一から始めた会社の社長。
作中に登場する職業や内容はまったくの想像です。実際とはかけ離れているかと思います。ご了承ください。
初出はエブリスタにて。
2023.4.24〜2023.8.9
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる