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カエル化女子と好きな人

リアコ売りの暴走1

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 水樹那由多さんの言葉が気になって、私は家の中にヒントがないかと探し回る。そしてママが何か言っていなかっただろうか、と懸命に思い出そうとしていた。ママは病気の話をしてから数日後に倒れて、そのまま亡くなってしまったから、倒れる前の数日のことを思い出す。ほとんどが仕事の引継ぎの話で、施術の話だった。
 出来る限り一緒に飯を食べに行って、一緒の時間を作ろうとはしていたけれど、特別な話があったようには思えない。
 となれば、私が知るより前に、話を聞いていた瑠璃也の方が何か知っているのかもしれない、と思った。
 サロンの施術の後に、瑠璃也に聞いてみよう、と思う。

 その日は美亜がサロンに来てくれた。
 以前のような鋭いキレはなく、おずおずといった調子で、「来たわ、割引してくれるのよね?」と言う。長い黒髪に細身のスラっとした抜群のスタイルの美亜は、大学生をしながらモデル業もしているらしい。

 カウンセリングでは、この頃は両立が忙しく、心身のバランスを取るのが難しいと言っていた。早速施術に入るときになって、美亜が奇妙な話をしてくる。
「ね、日埜静馬って知っている?従弟なんだけど」
 と言う話から入り、配信liveの内容を聞かされた。その何でも内容で、私の名前が出てきたというのだ。
 その場で見せてくれたアーカイブによれば、静馬は「癒しのパワーを持つ、自分の彼女」という表現をしている。

「彼女、とは?」
 と私は思わず美亜に問いかけてしまったくらいだ。美亜は眉をあげて、
「文字通りなら、付き合っている人ってとこ?本当これ?」と聞いてくる。
「嘘です。それにアイドル売りしてて、彼女匂わせるセンスはちょっと。推せないです」
 と私が言えば、美亜は目を丸くしてから、破顔した。
「変な人」と言う。
 「瑠璃也の方が変な人ですよ」と言っておくと、美亜は、肩をすくめてみせて、「残念ながらそんな変な部分、私は見てないわ」と言うのだった。

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