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カエル化女子と好きな人

ママの居場所4

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 水樹家へのアクションを考えていた矢先に、静馬から依頼が来る。
「水樹さんからすれば、とても近い関係の方です」と紹介され、やって来たのは水樹那由多という男性だ。
 見覚えがあると思ったのは、当然の感覚で、葬儀で喪主を務めていたママのお父さんその人だった。

 サロンの施術室にいる私も見るや、彼は会釈をする。スーツ姿でやって来た彼は、目の下に影が落ち、どこか疲れた印象が目立つ。目鼻立ちにママと似た場所を探そうとするけれど、中々難しかった。全体に黒いもやがまとわりついているのが見えたので、実際に施術を必要とする人なのだ、と思う。

「久しぶりだね」
 と淡々とした口調で言って来た。私は返しに迷い、「お久しぶりです。今日はどうなさいましたか?」と接客スタイルをとることにする。
 テキパキと始めてしまおうとする私の対応に、彼は苦笑した。

「白那さん。私たちの対応は、冷たく感じたかい?」
 と聞いてくるのだ。早く施術に入りたかった私は、この問いかけに困ってしまう。でも、嘘をついてとしても仕方がないと思い本音を話す。

「冷たくは感じました。ママとずっと一緒にいたのは私なのに。なんで、とは思いました」と言うと、その人は頷いた。そして、ドアの外を伺う。静馬や他のスタッフの存在を気にしているのだろうか、と思った。
「水樹家の女性は死後も狙われる。日埜家はね、水樹の力を誤解して欲しがっているんだよ。病を治せると思っている。私にはその力はないが、母が水樹の女性だった。彼女の骨は日埜家に祀られているよ」
「骨?なんで骨を?」

「水樹家の癒しの力が、日埜家の社会的地位のために役立っていた歴史があるからだね。ただ、朱那の骨は渡すつもりはなかった。だからあの葬儀を行ったんだよ」
「どういうことですか?」
「水樹家の女性がなくなったとなれば、日埜家は絶対にやって来る。日埜家が確認するために葬儀は行ったけれど、納骨の場所は嘘だよ。彼女は別のところに」

 彼はそう言って言葉を切り、じゃあ施術をしてもらおうか、と言った。ママは別のところに?そんな彼の話は私の心を揺さぶるのに、十分すぎた。
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