カエル化したけど……最強夫婦になりました！

女性恐怖症男子の初恋

想像外の初恋3

　基本的にはこれまでの自分とは真逆のことをすればいい。興味があってもないふりをすればいいし、優しさを求められたら拒否すればいい。
　特に女性には注意で好意を誤解されたらおしまいだ。なるべく表情は作らずに淡々と話すし、パーソナルスペースは確保する。
　振る舞いや態度は、傲慢で相手が腹持ちならないと感じられるほうがいい。この作戦は幼なじみで同じ高校に入学予定だった栃彰文にだけ教えていて、協力を仰ぐことにしていた。

　ある日家に遊びに来ていた彰文に作戦を話したら、
「性格を取り繕うなんて、面倒なことするより、彼女作った方が効果的じゃん？女性陣には、彼女いるからダメって言うのが一番テキメンじゃん。SNSでカップルアピールすれば完璧」
　と言われた。

「彼女の作り方は？」
　と聞けば、ため息をつかれるばかりだ。正直恋愛関係に関しては、俺はまったく素養がない。一方で彰文は幼稚園から絶えずに彼女がいるような恋愛強者だ。

「好きな人と付き合えば、それが彼女だよ」
　至って簡単に説明してくれるものの、正直好きという感情が俺には欠如していた。
　しばしば人に対して助けてあげたいと思ったり、手伝ってあげたいと思ったりはするけれど、だからといって俺はその人のことが好きなわけじゃないからだ。

　ただ、なぜか、少しでも女の子と仲良くなると、不思議と付き合っていることになっている場合も多い。そして、それほど長くもない人生で、既成事実から入ろうとする人が意外に多いことを知った。まったくありがたくもない経験だけど。