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カエル化女子と大嫌いな婚約者
ママの告白3
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「私ね、もう長くないの。だから、白那には大切な人を見つけて欲しい」
「は」
私は思わず手のタブレットを取り落とし、施術ベッドの上に落してしまう。
「ちょっとー気をつけてよ。備品の扱い方」
「ママ今のは冗談だとしたら怒るよ」
「冗談じゃないから、怒らないで」
「長くないって何?」
「国民の半分がなるいわゆるな奴が、血液の方に来てて割とまずーいの」
ママは軽く言うけれど、全然軽くない話だ。
「大丈夫すぐじゃないよ。一年くらいは持つはず」
つるりと艶やかな肌やよく笑う愛らしいママの顔を見ていると、病気が進行しているようには見えない。不具合のサインとなる、黒いもやだって見ないのだ。
「嘘、じゃないんだよね?」
私が聞くと眉を下げて柔らかに笑う。
「本当。白那、顔怖いよ」
「だって、黒いもや見えないよ」
と言ったら、ママは頷いた。私たちにとってはこれは共通言語だ。
「そう言うんじゃないから。もう、これはね、大分昔に決まってたんだよ」
とそう言うママは、どこか安心したような、大切な何かを思うような、そんな様子だった。
「ママいなくなっちゃうの?」
「すぐじゃないよ」
すぐじゃない。それは執行猶予なだけで、執行されないわけじゃない。不本意な形でキープする言葉だ。
「やだよ」
「すぐじゃないから、まだ白那といろんなこと出来るよ」
「思い出が欲しいわけじゃないよ。ママにいて欲しいの」
「分かってるよ、でもね、すでに私の人生の思い出は、ほとんどが白那なの。白那が幸せなら嬉しい。今日は仕事終わったら新しい創作麵屋行こう」
「私の人生の思い出だってほぼママだよ。ママがいない人生に意味はあるの?」
「あるよ。白那が私、私が白那だもん。白那がした経験は私にもちゃーんと還元されてく。これから楽しいことたくさんするよ」
楽しいことたくさんするよ、と言ったのに、ママはその一週間後にあっさりと、亡くなった。
本当に潔すぎるよ、と思うくらいに、あっさりと。
「は」
私は思わず手のタブレットを取り落とし、施術ベッドの上に落してしまう。
「ちょっとー気をつけてよ。備品の扱い方」
「ママ今のは冗談だとしたら怒るよ」
「冗談じゃないから、怒らないで」
「長くないって何?」
「国民の半分がなるいわゆるな奴が、血液の方に来てて割とまずーいの」
ママは軽く言うけれど、全然軽くない話だ。
「大丈夫すぐじゃないよ。一年くらいは持つはず」
つるりと艶やかな肌やよく笑う愛らしいママの顔を見ていると、病気が進行しているようには見えない。不具合のサインとなる、黒いもやだって見ないのだ。
「嘘、じゃないんだよね?」
私が聞くと眉を下げて柔らかに笑う。
「本当。白那、顔怖いよ」
「だって、黒いもや見えないよ」
と言ったら、ママは頷いた。私たちにとってはこれは共通言語だ。
「そう言うんじゃないから。もう、これはね、大分昔に決まってたんだよ」
とそう言うママは、どこか安心したような、大切な何かを思うような、そんな様子だった。
「ママいなくなっちゃうの?」
「すぐじゃないよ」
すぐじゃない。それは執行猶予なだけで、執行されないわけじゃない。不本意な形でキープする言葉だ。
「やだよ」
「すぐじゃないから、まだ白那といろんなこと出来るよ」
「思い出が欲しいわけじゃないよ。ママにいて欲しいの」
「分かってるよ、でもね、すでに私の人生の思い出は、ほとんどが白那なの。白那が幸せなら嬉しい。今日は仕事終わったら新しい創作麵屋行こう」
「私の人生の思い出だってほぼママだよ。ママがいない人生に意味はあるの?」
「あるよ。白那が私、私が白那だもん。白那がした経験は私にもちゃーんと還元されてく。これから楽しいことたくさんするよ」
楽しいことたくさんするよ、と言ったのに、ママはその一週間後にあっさりと、亡くなった。
本当に潔すぎるよ、と思うくらいに、あっさりと。
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