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ママの手紙

最愛からの手紙

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 最愛の白那へ

 ハッピーバースデー白那!
 生まれて来てくれて、本当にありがとう!


 今日も愛しているよ、私の可愛い白那。天国からも愛してる。

 そばにいてあげられないのは、とっても切ないけど、これは愛の証の結果でもあるので、私に後悔はない。
 白那に寂しい思いをさせてしまっている可能性が高いのは、反省案件。

 だけど、きっと瑠璃也くんがそばにいてくれるでしょう。これは希望的推測ね。


 水樹家の話をそろそろ聞いている頃かなと思います。あるいは、何かひと悶着、ふた悶着くらいあった後かな?
 私がいなくなったとなれば、白那が唯一の跡取りなので、どこからかアクションがある可能性は高いです。
 古い慣習を嫌う人も多い中で、真面目に慣習を護っている人もいるからね。

 それに、望むか望まないかは関わらず、何かしらの縁が出来てしまうのが、水樹家と日埜家なの。
 日埜家の水樹家なのか、日埜家なのかは分からないけれど、白那の元にアプローチはあるかと思います。
 でもま、その辺は、基本的には無視してOK。
 日埜家の子で白那にとって最高の推しメンが出てきた場合だけが例外だね。


 水樹家の本当のことは、水樹家の女性にしか分からないし、水樹家に限っては女性が生まれる確率がものすごーく低いので、実態は不透明。
 みんな憶測で語っているだけ。
 神聖化しているかなと感じる。


 ただ水樹家の女性は少し厄介。
 これは祖母から聞いたことと、私が実験して分かってきたことを掛け合わせた結果だけれど。
 水樹家の女性は、好きな人以外に触れられると、悪寒や痺れがくる上に、顔が自分にとって最上級のタイプじゃないと、深ーい関係になることはまず出来ない。
 出来ないの。
 絶対に無理!
 イケメンだろうが、どんなに仲良くなろうが、無理なものは無理!
「無理」の意味、今の白那なら分かるかな?

 これは祖母の代から検証済みなので、たしかだよ。
 いくら中身が好きでも、無理です。残念だけど、努力ではどうにもならないので、諦めてね。
 何のルール?何縛り?と思うけれど、諦めましょう。
 そういうものらしいの。


 なので、好みの顔を見つけようとする白那の行動は、理にかなっていると思う。
 好きな顔じゃないと、何にも出来ません。
 その上好きな人じゃないと、悪寒が走ります。
 好きになっていって触れるくらいなら大丈夫になる場合もあるけれど、好みの顔かって言うのがネックだよね。

 ただ、そういう深ーいのを求めない関係もありだよね。
 そういう深―い関係ばかりがすべてじゃない。
 そこは白那の判断次第かな。


 とはいえ子どもを持つときだけは、注意が必要。
 子どもの父親と寿命が分けあいになるので、短命な相手と子どもを持つと、早めに寿命が来ます。
 1年相手の寿命を延ばすのに、10年寿命が削られるとか、20年削られるとか?
 何か伝承的な本があった気もするけれど、どっかいっちゃった。
 あの本、字が読みにくくて。

 そして、私は寿命の分けあいの影響を受けている。
 私はあなたのパパと寿命を分けあった。
 残念ながら白那はほとんど会えなかったし、多分今会ったら異議があるかと思うけれど。
 あなたのパパは、私にとっての超絶イケメンで、大好きな人でした。


 私たちの力のことは、少しだけ話したと思うけど、人の持つ黒いもやを払ってあげることができる。
 これがサロンでの施術でも活かせているよね。

 ただ、キャパシティもあるし、完全に病気を治してあげることはできない。
 キャパシティをオーバーして治癒を行おうとすれば、自分の中に黒いものがため込まれてくる。
 黒いもやがため込まれると、寿命を削るとも、心が不安定になったり身体を壊したりするといわれているみたい。
 ため込まれた黒いもやだけが扱いが難しくて、こればかりは、黒いものを払う力がある人に、頼むしかないんだよね。
 日埜家がその筆頭だけれど、その血筋の人にはその力があるとも言われている。
 日埜家は元々祭事を取り扱っていたこともあって、払う力は強いし、水樹家の女性は日埜家との婚姻なら、寿命の分けあいが起こらないと言われているよ。

 そのこともあって、婚姻の自由がなかったときには、水樹家と日埜家は婚姻関係を結びやすかったらしいけれど、結果、破談や離縁になるケースも多かったらしい。
 そもそも、水樹家の女性は最上級の推しメンであり、かつ好きな人じゃなければ、深ーい関係になれないから。
 一般的な結婚を目指すなら、強制的な縁談は論外なんだよね。

 それを知らない人たちが多くて本~当に困る!
 癒しの力にしても、病気が完治するわけじゃなくて、一時的に緩和するだけなのに、水樹の力サイコーって思ってるから。


 私の母もまた、水樹の人じゃなかったから、分からなかったみたいで、日埜家のイケメンをゴリ押ししてきたこともあったよ。
 たしかにいい人だったしイケメンだったけど、無理なんだよね。
 顔が好みじゃないから。

「無理なんです」じゃ通じなくて、実践したら、本人は理解してくれたけれど。
 お互いの名誉のために、緘口令をしいて、知らんぷりすることに決めたの。
 その後、私は実家からとんずらしました。


 無理なものは無理なの。
 本来なら水樹の女性は、好きな顔×好きな人×力がある人がベスト。
 更に、結婚となれば、相手からも好かれなければいけないし、かなり難易度は高いよね。


 でも白那は弱い子じゃないから、絶対に幸せになれる。図太く追及していってね。
 私としては白那が結婚するなら瑠璃也くんがいいなって思うけど。
 白那にとっては最上級の推しメンなんでしょ?
 その上かわいいし、優しいし、なにより白那のことが好き!
 私の大切な大切な白那を愛してくれる子なんだもん、最高じゃない?
 準備は整ってる。
 あとは、白那が信じるだけだよ。


 そばにいられないのが本当に残念!
 白那大好きだよ。
 生まれて来てくれて、本当にありがとう!

 日埜家の力には裏技があるので、それはまた何かの機会に!

 ちなみに、この手紙は私の友達、木瀬藍さんが出してくれました。
 気になることがあったら、ぜひ彼女に聞いてみてね!

 ぜひ見つけに来て、白那!
 天国から愛をこめて。

 水樹朱那
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