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龍鳥の耽美なる戯れ
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しおりを挟む巽宮に数年ぶりに当主が在任することになり、巽宮内がにわかに賑やかになる。
前当主は、寛麒の母であった鈴龍であると静は後に父から聞いた。
静は在任に当たって宮内の整備を行い、五家内外の者が自由に使える屯所を増やすことにする。巽宮の当主はとりわけ交遊や物流を司る役割を担うことが多いと言われており、五家の中でも窓口となっているようだ。
神域外の者たちの行き来や情報を集めるためにも、宮内を整備するように静は働きかけ始めていた。
麒鞠王の退位劇後、五家には様々な変化が訪れている。璃蛇たっての懇願で坎宮にも舞台が作られるようになった。
璃蛇は朱鳥の熱心な信奉者であったらしく、お忍びで離宮の舞台へ観劇に行っていたらしい。坎宮にもぜひ舞台を作って欲しい、と晶亀に懇願し、とうとう実現したようだ。
乾宮では次期当主、虎煌の座に関して、虎煌と麗虎がそれぞれの思惑をぶつけあっている。虎牙は根の紛失時に様々な場所を駆けまわっていた功績もあり、虎煌の座へと一歩前進しているようだ。静にとっては非常にやりにくくはあるが、虎牙のあの人を食ったような態度は、乾宮当主にふさわしいとすら思えるのだった。
退位した王は、隠居するといい神域の外れで暮らし始めたらしい。寛麒に理由を聞けば、野暮なことを言うのはやめておくよ、と言うのだった。
寛麒は朗麒の補佐として中宮に滞在することもあれば、艮宮や坤宮など根のある宮へと転々と滞在していることもある。本来一つの場所に留まるのは得意ではないんだ、と巽宮に滞在へやって来た際に、寛麒は言うのだった。
飛鳥は父である離宮当主に退位を促していて、幾度となく蹴られているようだ。火の気を飼いならせ、そうでなければお前に譲ることはしない、と言われるらしい。飛鳥の火の気は歴代の紗紅那の王子で随一のようである。
そして静にとっての喫緊の課題は――――武闘大会において、飛鳥が静に勝つことである。
静は飛鳥と闘うことが楽しみで仕方ないが、飛鳥は始終浮かない顔だ。子どもの頃の組手のような遠慮なしの闘いを静は望んでいるが、飛鳥は及び腰なのである。
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